ガンダムビルドダイバーズ REBOOT   作:キラメイオレンジ

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ゼロクアンタライザーのデビュー戦です。

それとこの場を借りて感謝の言葉を。

ガリアムスさん、先日は我が家の変態集団をそちらの『ガンダム:ビルドライジング』にゲスト登場してくださり、ありがとうございます!



第25話 予期せぬ再会

 

ゼロクアンタの改修を終えた翌日の木曜日。

 

幸いにも定時退勤できた俺は予め鞄に入れて持ってきたガンプラと共にガンダムベースへと直行。

 

時間帯柄、店内は学校帰りの学生がごったがえすかと踏んでいたが、やはり学年末試験が近い時期だからか意外と落ち着いている。感心感心。

 

俺は問題なくGBNの席を確保して仮想世界へとログイン。

 

学校が近く学生が多いガンダムベースとは異なり、セントラルエリア内はやはり人が多く、ミッションを受注する受付は長蛇とまではいかずともそれなりに並んでいた。

 

まあ、今回は正規のミッションではなくGBN内に於ける無法地帯ヴァルガで対人戦をするだけなので問題ない。

 

目的はゼロクアンタライザーの試験運用と、機体改修の為にほぼすっからかんになってしまったポイントの補充だ。

 

精々返り討ちに逢って更に困窮という事態に陥らない様に気を付けよう。

 

尚、昨晩メールで対人戦を頼んだアキラとマギーさんだが、2人とも生憎と今日は用事があるらしく断れてしまった。

 

何気に完全ボッチのダイブは初めてなので、少し緊張する。

 

――早くユナと一緒にダイブしたいなぁ。……ヴァルガは教育によろしくなさそうだが。

 

おそらく今も試験勉強を頑張っているであろう愛する弟子に思いを馳せつつ、俺は格納庫へと移動し、等身大スケールになったゼロクアンタライザーをチェック。

 

因みに今回は本体の基本スペックを測るのが目的の為、オプションパーツとして作成したスラスター付きコンデンサーは外している。

 

特徴的な両肩のライザーウィング以外は、左手に持ったライフルと腰に懸架した実体剣のみというシンプルな構成だ。

 

――うん、我ながら実にカッコイイ!

 

高校時代から漠然と考えていた『俺だけのクアンタ』の一応の完成形を目の当たりし、感慨がこみ上げてくる。その所為でうっかり10分ほど浪費してしまった。

 

「と、いかんいかん、点検点検。――よし、本体装備共に問題なし。行くぞ相棒!」

 

デュオ・マックスウェルばりの気さくさをもって愛機に語り掛けた後、俺はコックピットに搭乗。GBN名物の発進シークエンスに入る。

 

「ダイチ。ゼロクアンタライザー、出る!!」

 

電磁カタパルトから勢いよく射出され、俺とゼロクアンタは仮想世界の空へと羽ばたく。

 

ライザーウィングからは青みがかったGN粒子が放出され、第1形態やガルム(第2形態)と比べると重量は多少増したにもかかわらず推進力が上昇しているのが分かる。

 

加えて軽く旋回などをしてみたところ、マニューバも良好だ。

これならトランザムを起動した加速時にあっても、鋭い機動を行えそうだ。

 

そうしてしばしセントラルエリアの空で試験飛行を行った後、俺はヴァルガへと続く転移ゲートを潜り、破壊と闘争が渦巻く混沌のディメンションへと足を踏み入れた。

 

 

・・・・・

 

 

ハードコアディメンション・ヴァルガ。

 

今更説明する必要もないが、そこは弱肉強食を是とする武闘派ダイバーの為に用意された全領域フリーバトルゾーンである特殊なフィールドだ。

 

ひとたび足を踏み入れれば次の瞬間飛来したビームに呑まれて蒸発、なんて事態も珍しくないらしく、だからこそ他のエリアやミッションでは味わえない緊張感や戦闘勘を磨くことが出来る。筈なのだが……

 

「誰も喧嘩をふっかけてこないな……」

 

灰色の空と廃墟。雰囲気を出す為にそこら中に撃ち捨てられたMSの残骸型オブジェクトで構成される世紀末感あふれるディメンションを飛翔し始めて早10分。

 

俺は未だに誰からも攻撃を受けずにいた。

 

確かに先週、初めてこのディメンションに入った時には色んな意味で存在感に溢れたマギーさんと一緒にいたというのも大きいだろう。

 

だが、それにしたってログインしている人間も多い時間帯に単機でフラフラ飛んでいるガンプラがいて何も起きないと言うのは、些かおかしい。

 

現にセンサーに目を向けてみると、半径1㎞圏内だけでも十数体のガンプラが廃墟の影やMS型オブジェクトに紛れて潜伏している。

 

まるで何かに怯えている様にも見えるが、まかり間違っても俺に恐れをなしてという事はないだろう。

 

 

因みに、これは実際に操縦して初めて気づいた点なのだが、どうやらこのゼロクアンタライザー、索敵能力と粒子制御能力のステータスがかなり高く仕上がっている。

 

どうやら本来、偵察機として索敵能力に優れたオーライザーの性質と、ツインドライブ制御を担う大型のクラビカルアンテナを搭載したライザーウィングをドライブを介さず一体化させた事が功を奏したらしい。嬉しい誤算だ。

 

 

閑話休題(それはさておき)

 

 

わざわざこんなディストピアに足を運んでかくれんぼをする理由というと、やはり『極力関わり合いたくない厄介な何か』がこの辺りにいるという事だろうか……“ピピピピッ!”って言ってる傍からかよ!

 

突如鳴り響いた警報に即座に対応し、飛来した3本のビームを何とか回避して旋回。

 

ビームが放たれたと思しき残骸MS密集地に向けてライザーウィングを前方に向け、GNサブマシンガンとGNマイクロミサイルを撃ち込み、隠れている奴らをいぶり出した。

 

『クソ、仕留め損なったか! アルバート、リートリヒ、無事か!?』

『俺の方は問題ないぜシュミット! それよりどうする? “連中”の偵察だと厄介だし、ここで始末するか?』

『いや、今の動きみる限りまともに仕留めるにも時間がかかる相手だ。ここは一旦散って……っておい! アイツもしかして、この間の――』

 

サウンドオンリーの通信機越しに聞こえる野太い声、妙にカッコいいトイツ人っぽいダイバーネーム。そして、漆黒のカラーに染めた3機のビルゴ……。

 

「ア―――――――ッ!! お前らこの間のブサイク3兄弟!!」

 

『『『そういうお前はあの時のロリコンダイバー!!』』』

 

「誰がロリコンだ!!! 殺すぞ!!?」

 

『『『そっちこそ人をブサイク呼ばわりしてんじゃねえ!! ブチ殺すぞ!!?』』』

 

襲撃者の正体は、俺とユナが出会うきっかけとなった初心者狩り――ビルゴ3兄弟だった。

 

あの自称ELダイバーの介入後、どさくさに紛れて逃亡し、マギーさんの話じゃデータ改ざんでうまく雲隠れしたとの事らしいが、まさかこんな所で再会するとは……!

 

『チッ、連中の斥候かと思ったらよりにもよってテメーかよ! 余計に胸糞悪ぃぜ!!』

『テメーさえ現れなきゃ、俺らもあの人に見限られることなく楽な狩りが出来たってのによぉ!』

『落とし前として俺達に撃たれてポイントに還元されやがれ!』

 

初心者のユナを相手に嬲る様な真似をしておいて勝手な事を……!

だが、相手がこいつらというならば逆に遠慮なく暴れられるというものだ!

 

俺は左腰に懸架したGNセイバーを抜き、臨戦態勢に入る。

 

「あの時の事で頭に来てるのはこっちも同じだよ……! テメーらこそ瞬殺してやるからかかってこい! お前らを倒して獲得したポイントで、ユナに何か買ってやる!」

 

『『『やっぱりロリコンじゃねええええか!!』』』

 

「違う! 師弟愛だ!!」

 

色々と相容れない主張をぶつけ合いつつ、俺達は戦闘に突入。

 

3機のビルゴは武装こそ依然と同じビームキャノンとプラネイトディフェンサーだが、腰回りにスラスターを増設したらしく、以前に比べ機動性が上昇している。

 

そして相変わらず、統率の取れた良い連携だ。

 

こちらが1機に狙いを絞れば、残りの2機がプラネイトディフェンサーを射出して防御を集中しこちらの螺旋ビームを防ぎつつ、囲むような位置取りで砲撃を放つ。

 

キャノンのみという大味な装備の穴を、見事に補い合っている。

 

『ハッ、この間より機体を強化したらしいが、俺達が最初から本気をだせばこんなもんよ!』

『お得意のトランザム、使えるもんなら使ってみやがれ! 例え俺達の誰かが討たれても、残る2人でテメーの機体に風穴開けてやらあ!!』

 

成程、どうやらこの互いに距離を置いた包囲陣形は、俺が誰がしか狙いを絞って攻撃した瞬間に他の2機で仕留めるという意図らしい。

 

“あの技”を試すのには絶好の機会かもしれない。

高校時代、最後の大会に向け開発して、日の目を見ることなく封印したあの――

 

「―――――【トランザム・モーメント】」

 

そう呟く共に、俺はビルゴ3兄弟の陣形に特攻。

 

トランザムシステムの“起動”と“解除”を数秒感覚で連続に行う事で動きに緩急を持たせ、機動予測が困難な動きを行い、砲撃と回避。

 

懐に飛び込み、ライフルと軍刀でディフェンサーやキャノン砲身、ビルゴ本体を斬り刻み、貫いていった。

 

『な、何だこいつの動き!? ただ速いだけじゃねえ!』

『稲妻みたいに鋭いと思えば、花弁みたいにヒラヒラと……ぐわあああ!』

『シュミットォオオオオオオ!!』

 

性格と顔面偏差値はともかく、単純なファイターとしての技量はその連携力も含めそれなりである筈のブサイク3兄弟を翻弄しながら、俺は改めてこのゼロクアンタライザーが想定通りの性能を発揮できたことを確信した

 

やはりライザーウィングで推進力を上げつつ、装備を抑えて重量を軽くしたのは正解だったみたいだ。

 

機体のリソースに余裕を持たせた事で、本来なら自壊を招きかねないトランザムの連続起動に伴う付加を最小限に抑えられている。

 

旋回性能と加速力が上がった事で鋭く精密な攻撃ができるようになった。だが――

 

「ハァ、ハァ……やっぱ、いきなり巧くは……いかないか……」

 

機体の性能を瞬間的に切り替えるこの技術は、ファイターである俺にも著しい負荷を掛ける。敵機との距離感も独特なものになるし、ほんの一瞬でも発動と解除のタイミングが狂えば逆にこっちが自滅するから求められる集中力も尋常じゃない。

 

事実、俺は今の攻撃でビルゴ3兄弟の戦闘力をほぼ無力化こそ出来たが、仕留めきれていない。とどめを刺す瞬間に距離感が僅かにブレ、コックピットを外してしまったためだ。

 

とうやらまだ、この技を実戦で使うのは早いらしい。

 

とはいえ、相手の損傷も甚大。このまま押し通させてもらう!

 

 

 

『――タクト隊長、標敵を確認しました。現在、無関係の機体と交戦中ですが、如何なされますか?』

 

『撃ちたまえ、“正義”に犠牲はつきものだ』

 

 

 

戦闘が間もなく決着というタイミングに差し掛かったところで、後方から極太のビーム砲撃が飛来。この出力と磁場は……【バスターライフル】か!?

 

俺は前方にGNフィールドを展開しつつ回避運動を取ってギリギリ無傷で凌いでみせたが、先程までのプラネイトディフェンサーを半数以上失っていた3兄弟のビルゴは間に合わず直撃を受け、身動きが取れない状態で地面に堕ちた。

 

辛うじて撃破状態は免れた様だが、全員虫の息状態だ。

 

「オイオイオイ、いくらルール無用のフリーバトルディメンションだからって、ちょっと今のは無粋なんじゃないか?」

 

俺はゼロクアンタのトランザムを解除して武装を両腰に収めつつ、攻撃を仕掛けた先でふんぞり返っている純白のガンダムタイプが声をかけた。

 

ベース機は【デュエルガンダム】の様だが、装備構成はチャンプことクジョウ・キョウヤが駆る【トライエイジマグナム】を意識したものになっている。

 

そしてその傍らには、同じく純白に塗装されたウィングガンダムの改修機がバスターライフルを構えている。前者は主犯、後者は実行犯で間違いないだろう。

 

『いや、申し訳ない。そこに転がっている連中は我々が追いかけていてね。あのまま君に撃破されるとそのまま逃げ仰せられると思って強硬手段をとらせてもらったんだ。まあ、許してくれたまえ』

 

……なんだろうコイツ? 一見して態度は紳士的で一応謝罪の言葉を口にしているがまるで心がこもっていないし、ナチュラルに自分が目上の人間であるかの様な言い回しをする。

 

正直、アキラとは別のベクトルで、イラっとさせられる。

 

そうして純白のデュエル、ウィングと向き合っていると、やがて各地から彼らと同じ純白に塗装したガンプラが全部で数十機集結した。

 

廃墟の様な薄汚れたフィールドにあって、潔癖な印象を与えるその様相は逆に異物感があり、失礼ながら怪しげな新興宗教団体の様な印象すら与える。

 

「アンタたち、フォースでヴァルガに遠征に来たのか?」

 

『いや、ここにいる我々はフォースではなく言うなれば……そう、同盟だ。【第七機甲師団】【ビルドウォーリアーズ】【英傑同盟】そして【アヴァロン】。いずれもかの【有志連合】に属するフォースメンバーの若手によって構成されたこのGBNを“悪のいない真の理想郷”とする為の集い――――【ヴァイス・ユニオン】だ!!』

 

 





というわけでブサイク3兄弟再登場の巻でした~誰得?(笑)



【ゼロクアンタライザー】
・ダイチが3度に渡るGBNダイブの経験と、GPD時代から培ったガンプラ論を結集して完成させた彼の、彼による、彼の為のガンプラ。その(一先ず)の完成形。

・開発コンセプトは第1形態から一貫した『クアンタのシングルドライブ化』、『操作性に秀でた量産型のクアンタ』の2つに加え『あらゆるミッション、怪物に対しても挑める究極の汎用機』という思想が加わっている。

・外見的な最大の特徴として00クアンタをベースにダブルオーガンダムのものを改造したバックパックを介し、オーライザーの翼部ユニット(ライザーウィング)が直接搭載されている点。これはダイチが運用にあたり『極力装備やスラスターを増やさず、攻撃・防御・機動力を引き上げたい』という考えを追求した結果、GNサブマシンガン&ミサイル、GNフィールと発生装置、スラスターを全て兼ね揃えた本装備を選択した為。

・ライザーウィングの搭載により第2形態ガルムで課題になっていた連射性のある攻撃力の獲得に成功しつつ、防御性能と推進力増強に成功。一方で第1~2に比べて上半身のボリュームが増量された分を調整する為、それまでの特徴だったGNガントレットをオミットしている(ビームサーベルはリアスカートに懸架)。

・また、メイン装備も標準的な燃費で高威力が望めるGNドッズライフルの完成版。及びGNソードⅤと同じ素材を使いながらライフル機構をオミットしたGNセイバーというシンプルな構成を選択した。

・このガンプラの最大の特徴。それはビルダーとして確かな腕を持つダイチによって高い完成度を誇りながら、その基本性能を『意図的にデチューンさせている』という点、一方で多くのビルダーが軽視しがちな“エネルギー効率”、“機体重量”、“操作性”の向上を目的としたカスタマイズがされている点にある。

・一見すると扱い易いだけで華のない機体に仕上がっているが、嘗ては【トランザムマイスター】と呼ばれていたダイチが運用することでその真価を発揮する。機体重量を可能な範囲で軽くした事で、トランザム時の推進に架かる粒子負担の軽減=活動時間延長が望め、尚且つ重武装機では不可能な鋭いマニューバが可能。

・攻撃力や防御力、推進力などは『必要にせまられた時にだけ、トランザムに頼ればよい』という判断で抑えた。また、豊富なエネルギーと操作性はパイロットにかかる負担を軽減させ、継戦能力に優れる。

・ダイチはこの機体を、桁外れの実力を持つ上位ランカーや、尖った性能をギミックを持つロマン機体という名の“怪物”を『人の身で討つ』という思想を体現する為の【怪物殺し】を目指し仕上げた。

・この機体の基本戦術は、ライザーウィングのサブマシンガン&マイクロミサイルで敵の集団を散らし、離れた敵はドッズライフルで打ち抜き、接近戦では軍刀で斬り裂くというシンプルなもの(ビームライフルとサーベル、バルカンというガンダムの基本装備で構成)。無論、手持ち装備を変える事で様々な戦局に対応できる。

・総じてファイターの技量と閃き次第で凡庸な機体にも、英雄的な活躍が期待できる人機一体と呼べる機体である。

・ダイチの技量と合わさる事で使用できる【トランザム・モーメント】を詳細に関してはまた後日。
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