ガンダムビルドダイバーズ REBOOT   作:キラメイオレンジ

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寒い日が続いていますが、どうぞ皆様、風邪などひかれませんように!

ちなみに私はダイチのモデルである職場の先輩とともに毎日汗だくで配達してるのでいたって健康です(笑)


第26話 ヴァイス・ユニオン

「ヴァイス・ユニオン? ――要するにフォースの垣根を超えた仲良しグループって認識でいいのか?」

 

『仲良しグループ? ……フッ、どうやらあなたはあまり頭の良くない人間のようだね?可哀そうに……。だが敢えてその愚かさを許そう。君の様な愚かな弱者を守る事こそ、我らの使命なのだから!』

 

――イラッ。

 

ビルゴ3兄弟との戦闘中、突如乱入……というか諸共に始末しようとしてきた真っ白なガンプラで構成された集団のリーダーは、ナチュラルに人を見下す姿勢で会話を続けちょくちょくイラっとさせてくる。――正直、ぶん殴りてぇ!

 

いや、落ち着けアカギ・ダイチ。この程度のことでいちいち目くじらを立てていたら社会でもゲームでも生きていけないぞ? そう、彼はきっと、自分が中学生の頃に発症し、高校2年くらいまで患っていた中2病(あの病気)の患者なんだ。

 

いつか大人になって後々自らの言動や行動の痛々しさに身悶えるその日まで、生暖かい目で見守ってやる。それが大人の度量だろう。

 

「そ、それでそのご立派な同盟さんは、一体なんで俺達の戦闘に介入したんだよ? いや、ヴァルガ(ココ)の仕様を考えれば獲物の横取りそのものは自由かもしれんけど……」

 

「我々とてこんな薄汚い場所には来たくなかったさ。ただここ数週間、偽りのチュートリアルミッションを作って初心者を誘い込み、襲い掛かってポイントを搾取する初心者狩り(クズ)がいるという情報を得てね。止む得ず来た次第だよ」

 

成程。言い方がいちいち嫌味ったらしいが要するにアキラ(あのアホ)と同じようにビルゴ3兄弟(コイツら)を運営に突き出して名声なりご褒美を貰おうって腹積もりな訳か。

 

しかし――

 

「マギーさん。……知り合いの上位ランカーに聞いたがけど、それは例の有志連合だったか? その中枢にいて運営から直接依頼された極一部がやる事じゃないのか?」

 

初心者狩りなどマナーの悪いダイバーを懲らしめ、英雄になる。

 

そういう願望を抱くこと自体は悪い事じゃないし、それもまた1つの正義感ではある。

 

しかしそれは、1つ違えばダイバーがダイバーを断罪するという言わば自警活動だ。

 

“正義の裁き”という名の御題目の下、本来公平である筈のダイバー同士で“裁く者”と“裁かれる者”の区分けをする。

 

それは現実に於いても仮想世界に於いても歪みを生みかねない危険な思想だ。

 

『なんと! 君はあのマギー氏の知人だったか。非礼を詫びよう』

 

……コイツ、俺がマギーさん(有名人)と知り合いだと聞いた途端フレンドリーに接してきやがったな? 権力や名声は絶対視するタイプか……。

 

『然り。確かにキミの言う通り、我々には初心者狩りの捕縛の依頼は来ていない。偉大な我がフォースリーダー・キョウヤさんも、我らの身の安全を慮って捜索の許可を出してはくださらなかった。――しかし、我らに溢れる正義の炎は、そんな命令一つ鎮まるものではない! 故に我々は、独断でこの同盟を結成し動いたのだ!! ――全ては、このGBNという美しい理想郷を守る為に!!』

 

たっぷりと自己陶酔に浸った様な声音で未成年の主張をかまし、取り巻きの同士から拍手喝采を受けるリーダー。

 

いや、多分だけどクジョウ・キョウヤさんは、お前の事を心配してる訳じゃないと思うよ?

 

関わらせると却って厄介な事になるから遠ざけただけじゃないかな?

 

大所帯のフォースを仕切るリーダーってのも大変だな……。

人数が増えると、どうしてもこういう変わり者が出てくるし。

 

だがまあ、話は一応分かった。

 

「要するにこいつらを運営に突き出したいから譲れって話なんだな? OK。こいつらには俺にとっても大事な子が被害にあったんだ。しょっ引いてくれ。俺は俺で予定があるから失礼するよ」

 

こいつ等の思想や行動には少々物申したいが、それは俺じゃなくクジョウ・キョウヤら各々のフォースリーダーがすべき事だ。見ず知らずのおっさんから何か言われたって彼らの心には響かないだろう。

 

撃墜ポイントは逃したがゼロクアンタライザーの性能実験はそれなりに出来たし、俺は場所を移して修行を再開してこの話はおしまいだ。

 

『協力に感謝する! このゴミ共は我々が責任を以て運営に引き渡すと約束しよう。だが、その前に――』

 

ガシッ!

 

これ以上こいつらに付き合うのはごめんと思い、俺はゼロクアンタを浮上させようとするが、そこで突如、既に動ける状態じゃないビルゴを踏みつけた。

 

「おい! 何をしているんだ!?」

 

『別に大したことじゃないさ。ただこういう弱者をいたぶり私服を肥やすブタは運営から罰則(ペナルティ)を受けた程度じゃ反省なんてしないだろうからね。自らも抗う術がない状態になった上で、たっぷりと嬲られる側の気持ちという奴を知ってもらおうという善意だよ。――――分かったら黙ってないで喘いでみせろよこのクズが!!』

 

『ガッ!』

 

――――コイツ、何を言ってるんだ?

 

『ミハエル! 止めろ!! 俺達にはもう抵抗する意思はない! さっさと運営にでもチャンプの元にでも突き出せ!!』

 

『ハッ! 弱者を襲う下劣なダニがいっちょ前に友情ごっこか? 虫唾が奔る! そもそもお前らみたいなこの世界を穢す害虫が、僕たちの様な“選ばれたフォース”に所属する人間に指図するんじゃない!! 立場を弁えろ!!』

 

俺が目の前で起きてる吐き気を催す様な光景に呆けている間、白いデュエルガンダムに乗る同盟リーダーは動けないビルゴを何度も足蹴にし、聴くに耐えない罵倒の言葉を巻き散らす。

 

更に周囲を見渡せば、取り巻きの白い機体に乗る“同志たち”とやらも(白いウィングに乗る少女を除き)その行為をせせら笑い、中には撮影する者までいた。

 

何なんだコイツら?

何故、こんな真似を楽しそうに出来る?・

 

『まったく……クズというのは本当に救い難いな。こんなゴミ、未来永劫この世界に入ってこれない様にすれば良いものを……どうせ厳重注意とポイント没収くらいなのだから運営も温い。――――なあ、ゴミ共、この際だから言わせてもらうが、もうお前らはGBN辞めたらどうだ? くだらない違反行為をしてこの程度ならどの道、続けたってなにも成せはしないだろう! なあ? 頼むから消えてくれよ! この美しい世界を守る為に! ハハハハハハッ!!』

 

 

 

「いい加減にしろこのバカ野郎っ!!!!!」

 

「ゲハッ!!?」

 

 

 

気が付けば俺はゼロクアンタのスラスターを全開にして白いデュエルガンダムに迫り、その背中にドロップキックを見舞って吹き飛ばした。

 

『ア、アンタどうして……?』

 

「別にお前らの為じゃない。――今回は見逃してやるからとっとと3人で逃げろ。これに懲りたらもうつまらん真似は止めろ。……出来れば自首してくれることを願う」

 

『『『…………』』』

 

俺による思いがけない救援に戸惑いつつ、ビルゴ3兄弟はガンプラを解除した上でログアウトした。

 

――まったく、愛弟子をいたぶった奴らを助ける羽目になるとはな……。

 

――悪いなユナ。けどキミが慕ってくれる。カッコイイと言ってくれるししょーとしては、やっぱりこういうの、見過ごせんわ。

 

『ぎざまああああああああっ!! 自分が何をしたか分かっているのか!!? あんな愚劣な害虫を逃がし、あまつさえこの僕に! このGBNで最も気高いフォースであるアヴァロンの中核を担う人材になる予定の僕に、蹴りを入れるなど! あってはならない暴挙だぞ!!?』

 

瓦礫の中から出てきた白いデュエルのダイバーは、これ以上にないほど怒り狂ったご様子だ。おやおや、全身純白にするからあちこち埃で汚れてるぞ?

 

「君がどこの誰で、どれだけお偉いダイバーかは知らん。こちとらまだ初めて2週間のFランクだからな。だが、断罪の名の下に動けなくなった相手を痛めつけて罵倒し、尊厳すら否定する。――俺には、君の方が余程この世界を穢しているように見える」

 

『なんだとぉおおおおおおお!? 無名のザコダイバーが、この僕を、あんなゴミと同列視すると言うのかああああああああっ!!?』

 

俺の言葉に激昂、というかぶちキレた白デュエルのダイバーは、マント状態で懸架していた大型ソードを展開し、突っ込んでくる。

 

パッと見た感じ、自信を持つだけあって良いビルディング技術をもっているようだが……勿体ないな。

 

「“同列視”なんかしてないさ。――アイツら“以下”だって言ってるんだよ」

 

『黙れええええええええええええええっ!!!!』

 

 

最早理性が消失する1歩手前という咆哮を上げ突っ込んでくる白デュエル。

 

――トランザムを使うまでもないな。

 

俺は左右の手にライフルと軍刀を再装備し、突っ込んでくる白デュエルの斬撃を躱しつつ、すれ違い覚めの左足を斬り落とす。

 

そして背後を取ったところでGNドッズライフルを連射し右太腿と両肩を撃ち抜いて、先程のビルゴと同じ身動きの取れない状態にする。――流石に踏みつける気にはなれないが。

 

「がっ! バカな……! 僕は……僕はアヴァロンのBランクダイバーだぞ!? 何故こんな無名のFランクダイバーに一方的に倒される!? 貴様! さてはなにか不正ツールを使用しているな!? 卑怯者め! 恥を知れ!!」

 

ダルマ状態で仰向けの状態になりながら、白デュエルのパイロットは依然劣らぬ威勢今度は俺をチート扱いする。

 

拗らせてるとは思っていたが相当酷いな……。

 

最早怒りを通り越して彼の将来が心配になるレベルだ。

 

リーダーの醜態に先程までの私刑(リンチ)行為をニヤニヤと楽しんでいた純白の同志たちとやらも動揺する。――どうやら、大半は遊び半分で集まった手合いのようだ。

 

『お、お前ら何をマヌケにつっ立っている! それでも誇り高い有志連合加盟フォースのメンバーか!? 不正ツール使用の疑いがあるそこのゴミを、今すぐ殺せ! 殺せえええええっ!!』

 

そんな“同志たち”の煮え切らない態度に腹を立てたリーダーの命令を受け、十数機の白という色に統率された――或いは、染め上げられたガンプラが迫ってくる。

 

白デュエルと同様、流石に上位フォースに所属されるだけあってどの機体も良い出来だ。

 

しかし所詮、悪趣味な“ヒーローごっこ”の為に戯れ半分に集まった輩。

 

お痛が過ぎたおしおきだ!

 

「トランザム!」

 

白の集団に対して俺はゼロクアンタライザーを紅蓮に染め上げ、応戦。

 

名ばかりの同盟で連携もロクに出来ず、士気も消沈し半ば惰性で攻めてくる者達など、ものの数ではない!

 

同時に攻め込んでくる機体と機体の間をすり抜けて射撃攻撃を封殺しつつ、GNセイバーによる斬撃と、ドッズライフルによる射撃で打ち抜いていく。

 

戦場に於いて最も安全な場所、それは他のどこでもない。敵の懐の中なのだ。

 

「――悪いな? 生憎と俺にはキラ・ヤマトみたいに多勢を不殺で無力化する技量がないんだ」

 

心ばかりの謝罪の言葉を放った直後、十数体の白い機体はほぼ全て爆散。

今頃は出撃した各フォースネストの格納庫に舞い戻っているだろう。

 

今この場に残っているヴァイス・ユニオンの機体は、ダルマ状態になっている白デュエルと、唯一攻撃に参加しなかった白いウィングガンダムだけだ。

 

『おのれ! オノレ!! 己ぇえええええええ!!! この卑怯者がああああ!!!!』

 

ご自慢の同志たちも失い抗う術も失ったリーダーは、唯一自由な口で呪詛を吐く。

 

『おい! 何故貴様は攻撃しない【ミズキ】!! 早くあの卑怯者を殺せ!! フォースの先輩である僕の言う事が聞けないのか!?』

 

『っ! ……け、けど……こんな……そんな……』

 

『僕の言う事が聞けないというのか!? 女ぁああ!』

 

喚き散らす白デュエルのダイバーの叱責に押され、躊躇いながらもバスターライフルの銃口を俺に向ける。というか仲間の事を、女とか雑な呼び方するなタコ。

 

俺はゼロクアンタを操作してライフルと軍刀を放棄し、こちらに戦意がない事を示した。

 

「――君はこういうの向いてないよ」

 

『っ! …………ごめん、なさい……』

 

俺の言葉を受け止めてくれた白ウィングの少女(多分、ユナより少し年上かな?)もバスターライフルを放棄し、降参してくれた。

 

何だろう。このちょっと対話に成功したっぽい空気――クアンタ使いの冥利に尽きるな。

 

『ミ、ミズキ貴様ぁああああ! 自分が何をしたか分かっているのか!?』

 

『(ビクッ!)』

 

と、折角いい感じに終わりそうだったのに喚き散らす白デュエルのダイバー。

 

あんな状態であれだけ怒鳴り散らせるとか、ここまでくるとある意味大物に思えてくるな。

 

 

 

『――何をしているのか? か……。それは私も君に問いたいよ。【タクト】』

 

 

 

『っ! あ、貴方は―――――!?』

 

しかし次の瞬間、上空より降った一条の光が白デュエルのコックピットを射抜き爆散。

 

俺は反射的にビームが飛来した上空を見上げると、そこには光のマントをたなびかせた1体のガンプラが腕を組んだ状態で滞空していた。

 

その機体の名は【ガンダムTRYAGEマグナム】。

 

全2千万人のダイバー達の頂点に訓練する不動のチャンプ――【クジョウ・キョウヤ】が駆る。GBN最強のガンプラだった。

 

『すまない。彼をアヴァロン(こちら)のフォースネストに転移させる為に撃墜させた貰った。――この後、少し時間をいただけるかな?』

 

申し訳なさそうに伺いを立てる彼の言葉に従い、俺とこの場に残されたミズキという少女はヴァルガを後にするのだった。

 

 




最近思うのだけど、我が家のロリコン主人公、ヒロインが絡まない時の方がまともな気がする(笑)


【シロミネ・タクト/タクト】
・アヴァロンに所属する若手ダイバー。現状はBランク。リアルでは名門進学校に通う高校1年生の少年。使用ガンプラは、デュエルガンダムにトライエイジガンダムの装備を搭載し白く染め上げた機体【TRYデュエルガンダム】。

・エルドラを巡る最終決戦の後にGBNを始めた若手ダイバーながら、生来のセンスで短期間でBランクまで登り詰めた秀才。

・一方でその人間性にはやや難がある所があり、恵まれた家庭環境と多方面の才能で何でもこなしてきた環境から非常に自尊心が強い性格をしており、自分の事を『選ばれた特別な人間』と認識し、自分と同等以上に優れた人間には敬意を払い、劣った人間は見下し、自分の間違いを認めないという厄介な性格に育ってしまった。

・GBNデビュー後はしばらくソロで活躍した後、『自分に相応しい最も気高いフォース』としてアヴァロンのフォースネストを尋ね、リーダーであるキョウヤに直談判。
この折、キョウヤは彼の中に存在する歪みに気づいていたが、その上で敢えて加入を認め、近くで見守る事で、彼を正しい道に進めようとした。

・しかし皮肉にも、アヴァロンへの加入は彼の中にあった選民思想を更に肥大化させる原因となり、自分はキョウヤに目を懸けられ、将来はアヴァロン――ひいてはGBNの中核を担うダイバーになるのだと考えるようになってしまい、独断で上位フォースに所属する若手に声をかけ【ヴァイス・ユニオン】を結成。

・初心者狩りなど後ろ暗い事をするダイバーを追い詰め、心身ともに痛めつけて愉しむ私刑(リンチ)紛いの凶行を密かに繰り返していた。

・ビルダーとしてもファイターとしても確かな才能を持っているのは間違いないが、現状ではその未熟な精神性が枷になっていて活かしきれていない。
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