ガンダムビルドダイバーズ REBOOT 作:キラメイオレンジ
現在絶賛繁忙期中の身ですが、年末の空いた時間に書いた作品を時限式投稿させてもあいました。
バカと変態ばかりの拙作ではありますが、今年もよろしくお願いします。
今回はプロローグと同様、本編より少し先の未来。ダイチとユナが出会って半年近く経った夏の1日を描写しました。甘さ控えめを心がけています(笑)
新年早々、思わず通報したくなる主人公の『ごく普通の日常』をお楽しみください。
糖分は控えめにつもりです(笑)
人間という奴は、良くも悪くも環境に適応し“慣れる”生き物だ。
繰り返し反復する事で無意識の内に行える技術や作業。
何度も読み返す事でいつの間にか暗記した知識。
新たな環境や仕事に対する緊張感の緩和。
或いは、ハードな作風のアニメなので偶に聞く『初めて人を手にかけた時は怖くてたまらなかったが、何人も殺す内に、何も感じなくなった』的な哀しき順応。
そうした適応力とも言い換えられる力は、人生を心身ともに健やかに過ごす上でなくてはならないものだ。
しかし同時に、そうした慣れは“油断”という形で足元をすくう事は間々あるし、逆にちょっとおかしい環境に適応した場合、不意に正気に戻って『アレ? 俺ってもしかして、ヤバくね?』と己を省みる事態に陥る事もある。
例えば……そう。
華の
・・・・・
「フンフフフ~~ン♪」
時は7月中旬。
1カ月近い鬱陶しい梅雨も明け、いよいよ本格的な夏の到来を感じさせる今日この頃。
「んん……」
1人暮らし2年目の俺、アカギ・ダイチ(24歳)の朝は、リズミカルな包丁の音と鍋が沸騰する音、そして1人の少女の鼻歌によって目覚める。
「あっ、おはよーございますししょー♡ もうすぐ朝ご飯できますから、TVでも観て待っててくださいね♪」
俺が身を起こし、キッチンの方に視線を向けると、そこにはセーラー服の上にエプロンを着けた天使の如き清らかな心とその内面が反映された美少女――アサヒ・ユウナことユナが振り返り笑顔を見せてくれた。
――ああ、今日も死ぬほど可愛いな。うっかりすると浄化されて消滅しそう。
「ああ、おはようユナ。今日もありがとうな」
「も~う、だからそんな毎朝お礼とか言わないでくださいってば~、弟子がししょーのお世話をするのは当たり前の事じゃないですか♪」
俺が寝ぼけたマヌケ声で感謝の言葉を口にすると、ユナは笑顔で感謝は不要と返すが、それは無理というものだろう。
だって、朝っぱらからこんなに可愛い美少女が制服エプロンで飯を作ってくれているんだぜ? それも毎朝、仕事柄6時には起きて7時には家を出なきゃいけない俺の為に。
最高過ぎじゃね?
例え突然死神が現れて『キミ、明日死ぬから』とか宣告されても全然悔いがないくらい幸せなんですけど!
しかし俺がどれだけそんな風に思い、言葉にしてもユナは『私がしたくてしてるんです♪』『ししょーのお世話は弟子のつとめです♡』とばかりで受け止めてくれない。
それが無性にもどかしい。
一体俺は、どうすればこの最高の愛弟子に感謝の気持ちを返すことができるのだろうか?
『そんなの簡単ですよ♪ これまで娘にしでかした諸々の責任も含めて残りの人生捧げてくだされば結構です♡ まあお安い!』
クッ、脳内に出てきたアキナさんがまたとんでもねえ戯言を口にしてくる!
というかまさかコレ、本人から脳量子波とかじゃないよね?
あの人ならそれ位のことをしれっとやってのけそうで怖いんですけど!
得体の知れない不安を一旦意識の隅に押しのけ、俺は寝間着(夏季は暑いので甚兵衛)を脱ぐごうとするが、そこでふと、台所の方から視線を感じる。
「…………(じー)」
「あ、あのユナさん? 何度も言ってるけど、できれば着替えてる時はこっち見ないでくれるかな?」
「あっ、す、すみません私ったら! ……ししょー、今日もガッチリした素敵なお身体だなって思って……」
「素敵かぁ? ユナくらいの年頃だと、寧ろこういうゴツゴツした身体よりもっとこう、線の細い系のが魅力的なんじゃないか?」
何故か口の端から少し涎を垂らしながら俺の指示通り視線を背けてくれた素直な弟子に、俺は一般論をもって尋ねる。
歴代のガンダム作品で例えるなら、俺の身体は“鉄血のオルフェンズ系”だ。
流石に【明弘・アルドラント】ほどのガチマッチョではないが、それでも他の鉄華団に負けない程度には厳つい。因みにおばさん受けはそこそこ良い。
しかしイケメンが大好物な十代女子といえばやはり“ガンダムW系”や“ガンダムSEED系”みたいな華奢な身体つきの美少年に魅力を感じるのが自然な気がする。
「そんな事ありません! 確かにそういう細めの男の子が好きな女の子もいますけど、私はやっぱり、男の人はがっちりしてるのが1番だと思います!! ……エヘヘ♡」
そんな俺の見解に対し、ユナは再び振り返り、熱い筋肉推しを主張。
まあ、この子の場合、お父さんからして厳ついし、素敵な男性基準がおゴウザブロウさん、という主観になっても不思議ではないが……。
ていうかこやつ、反論する体を装ってパン一の俺をガン見しなかった?
今もなぜか調理を一旦止め、食器置き場から取り出したグラスを手に取って凝視している。
鏡代わりにして俺の身体を覗くの止めろ!!
クッ、これは今の様な生活サイクルが始まってからもう10回以上注意している事なのだが、ユナは何度言っても改めてくれない。
大概の言い付けは素直に聞いてくれるのに何故だ?
そんなにマッチョが好きなのか我が弟子よ!?
最早説得は困難と悟った俺はせめてもの抵抗として素早く着替えを済ませ、テーブルに食器を並べる。
本当はもっと積極的にあれこれ手伝いたいが、ただでさえ手狭な1人暮らし用のキッチンでデカいのがウロウロしても邪魔でしかないので、心苦しいが卓の前に座り、TVをつけて朝のニュースや天気をチェックする。
――しかし実際のところ垂れ流される芸能ニュースなどはまるで頭に入って来ず、俺の視線は台所ばかりに向いてしまう。
「もうすぐ出来ますから待っててくださいねー♪」
などといつも通り上機嫌で焼いた干物を皿に盛るユナ。
先程も……否、常々思っている事だが、制服エプロンってどうしてこんなにグッとくるのだろう? 世には他に“裸エプロン”なる破廉恥なジャンルが存在するらしいが、俺は寧ろ
決して露出が多い訳でもないのに、視線が中々外せない。
出来ればずっとガン見していたい。
無論、着こなしているユナが全世界でも指折りの美少女(※ダイチ個人の主観です)というのもあるのだろうが、それにつけてもこの破壊力はヤヴァい。
後、座った状態で調理しているユナを見ているとチラチラ見えるピンク色のフリルの付いた布――その、なんだ……俗にいうパンツが見えちゃうのが凄く、ヤヴァい。
因みに、俺があの子の誕生日にねだられて贈った物だったりする。
店員さんや他の女性客の冷え切った視線は今でも忘れられない。
いや、一応釈明させてもらうと俺は断じてパンツ目当てでユナをチラ見している訳ではないのだ。あくまでただ、制服エプロンのユナを見て幸せになっているだけ、そこの所は明言しておこう!
「さ、出来ましたよ~。冷めないうちに食べちゃいましょう♪」
「ああ、いただきます」
ありったけの感謝の念を込めて手を合わせ、愛弟子が用意してくれた朝食をいただく。
今日のメニューは白米を主軸にアジの干物、豆腐とわかめの味噌汁、漬物、納豆という王道的且つ理想的な布陣。
因みにユナはパンとハムエッグなど洋食系のメニューを作る事もあるが、こうして色んなバリエーションを用意してくれる。最高か。
「美味しいですかししょー?」
「ああ、いつも通り最高に美味しい。今が人生のピークかってくらい幸せだ」
「え~大げさですよもぉ♡ お味噌汁以外は殆ど焼いたり盛り付けたりするだけの手抜きメニューですよ?」
「そんな事はない。これだけ完璧な朝飯を毎朝喰える果報者、全国でもごく僅かに違いない」
「もぉ~~! ししょーったらもぉおお~~♡ 褒めてもおかわりしかでませんよ~♡」
俺としてはありのままの感想を言ったまでなのだがユナは周囲に♡マークを乱舞させて身体をクネクネさせる。
朝早くからこれだけの事をしてくれて、この程度の称賛で喜ぶなんて、謙虚な弟子である。
俺もししょーという立場上、褒めてばかりもいられない。
苦言を呈すべきところはきっちりしなければならない。
「あー……ユナ? 親でも先生でもない俺がこんなこと言うのもどうかと思うけど……その、なんだ。スカートの丈、短過ぎないかな?」
暗に『パンツ見えてたぞ』という自白をしつつ、スカート丈について指導をする。
するとユナは一瞬キョトンとした後、笑顔で。
「大丈夫ですよ。私いつも、ししょーのお部屋に入る時だけスカートの位置上げてるだけですから♪ 外ではちゃんと下げてます」
「えっ、ああそうなんだ。なら問題ないな!」
「そうですよ。フフ♪」
成程成程、外ではちゃんと見えづらいようにしてるわけか。
うんうん。それならに何も問題ない。余計な事を言ってしまったな。
………………って、ちょっと待て。そもそも何で俺の部屋にいる時だけスカートを短く見せる???
・・・・・
ユナとの朝ご飯は至福の時だが悲しいかな朝くつろげる時間は短い。
朝食を終えた後は手早く身支度を整え、7時には家を出なければならない(これでも通勤時間15分なのでかなりマシな方)。
ユナは俺を見送った後に洗い物を済ませた後に、この部屋でくつろいだり宿題をしながら8時過ぎに部屋を出るらしい。
「はいお弁当ですししょー、今日もお仕事頑張ってくださいね♡」
「いつも悪いなホント。――何か、俺にしてほしい事とかないか?」
朝食だけでも感謝感激状態なのに、ユナはそれと並行してお弁当まで用意してくれている。
これはもう、何かしてあげなくてはと思ってしまうのが当然だろう。
「え~、私は別に……あっ、それだったら今度、お買い物に付き合ってもらえませんか? 夏休みに行く旅行で着ていく水着、ししょーに選んで欲しいです♡」
「み、水着!?」
ちょっとしたプレゼントなんかは勿論想定していた範囲だがよりによって水着と来たか。
数か月前のランジェリーショップでのトラウマが蘇る……。
「去年まで着てた水着はもう着れなくなっちゃったんですよね~。お気に入りだったんですけど」
「そ、そうか……まあ、成長期だし、な」
水着というワードに心揺さぶられていた俺は更にユナが齎した情報に対し、反射的に彼女のエプロンに覆われた膨らみを見た。
出会った頃は傍目には殆ど起伏が見られなかった(実際に抱き着かれた際は意外と存在感があるが)その胸は、僅か数か月の内に如実に成長を見せ今では服越しにも確かな存在感を現すようになった。今はD……いや、Eあるかもしれん。
げに恐ろしきは十代の成長速度というべきか。
割としょっちゅう抱き着かれる俺は、その成長を視覚的にも触覚的にも痛感させられる。
……そろそろ、警察に出頭した方がいいだろうか?
「……けど、その、なんだ。やっぱり可愛い水着とかは俺なんかよりミナとかカスミさんと一緒に買いに行った方がいいんじゃないか? ほら俺、流行の水着とか分からんし」
「私は
あ、あのド変態お嬢様は……。
それにしても『俺が見たい水着』とかどういう基準だ?
ぶっちゃけ俺は、ユナが満面の笑顔を見せてくれるなら、水着だろうがジャージだろうが何でも嬉しいし幸せなんだが……。
「ダメ……ですか?」
はうっ! その表情は反則だろ!
消極的な姿勢を示す俺に対しユナは上目遣いで尋ねてきた。
世界一可愛い弟子×制服エプロン×上目遣いのおねだり=逆らえる筈がない!!
「いいよ。今日は帰りが遅いから、明日の放課後にでも買いに行こうか? それで帰りに偶にはどこかで外食でもしよう。ししょーが寿司でもうなぎでも好きな物ごちそうしてやる」
「ええっ! お買い物デートまでしてくれるんですか!? やった♡」
「いや、デートじゃない。ただの買い物だから」
花が咲いた様な笑顔で後頭部のポニテをワンコのしっぽの様にパタパタ揺らすユナ。
この娘は俺と出かける際、度々デートと言う言葉を使うが果たしてその意味を正しく理解しているのか……常識と良識は確かにある筈なのに、偶に突飛な発言をするので戸惑う。
「ししょー、お夕飯は期待しててくださいね! 何かリクエストはありますか?」
「えっ、ああ……じゃあ、冷やしゃぶで」
買い物デート……いや、一緒におでかけが余程嬉しかったのか。上機嫌且つ当たり前の様に夕飯を用意する心積もりのユナからのリクエスト要求に、俺はパッと思いついたメニューを応える。
本音を言えば殆ど毎日3食作ってもらうのは気が引けるのだが、ここで『今日はいいよ』などと言えばユナはきっと哀しそうな顔をする。
何よりも笑顔が魅力的なこの子にそんな顔だけは極力させたくない。
「冷やしゃぶですね? 分かりました! 楽しみにしててくださいね♪」
「ああ、じゃあいってきます」
「いってらっしゃ~~い♡」
満面の笑顔で手を振る彼女に見送られ、俺は職場へと向かう。
今日は月曜の遅番で朝から晩まで忙しい。
世の中の大半のサラリーマンにとって最も憂鬱になる時だ。
しかし今、俺の心には爽やかな活力に満ち溢れている。
可愛い愛弟子と朝ご飯を食べ、可愛い愛弟子の作った弁当を手に出勤し、仕事帰りには可愛い愛弟子が夕飯を作って待ってくれる。
敢えて言わせてもらおう。――――人生って楽しいわ!!!
【ダイチの現状】
・24歳。社会人6年目。
・フォース副隊長のミナとは『隙あらば命を奪われかねない悪魔とその契約者』みたいな関係を築いており、ルイことルインハルトからは隙あらばケツを触られて薔薇道に引きずり込まれそうになり、無自覚だがユナからもその“人生”を狙われている。――このフォースのメンバーは(それぞれベクトルは違うが)隊長を狙ってばかりであり、色々終わっている。
・最近、ユナに米を炊かせている生活に対して違和感を持たなくなってきている。但し、お泊りだけは絶対にさせない様にしている。合い鍵を渡したユナが何時部屋に来るか分からない為、ゆっくりエロ本やエロ動画などが見れず、微妙に欲求不満気味なのが悩みの種。
・ぶっちゃけ最近、日増しに女性的になっていくユナを意識しているが、当人は頑なにその事実を否定している。本人としてはそうしたエロい気持ちのない兄妹の様な関係を望んでいる。