ガンダムビルドダイバーズ REBOOT 作:キラメイオレンジ
男の趣味が悪いJC2人の対決です(笑)
『――君はこういうの向いてないよ』
「「キャアアアア~~~♡」」
「あ、あの2人共? そ、そろそろ動画再生するの止めない? あんまり何度も観返されると恥ずかしいんだけれども!」
出会った当初は戦争待ったなしというくらい険悪だったユナとミズキさんは現在、無駄にカッコを着けた俺の台詞部分を何度も再生して黄色い声をあげるという大変特殊な嗜好を共有することですっかり打ち解けていた。
正直、死ぬほど恥ずかしい。
カッコ良さなど皆無なもっさり巨漢の分際で無意識の内にカッコつけてる自分の姿を何度も再生させられた挙句キャーキャー言われるのは、自分の分を弁えた大人にとって半ば拷問に近い。
余りの羞恥プレイに『もしやこの2人、俺を悶えさせる為にわざと心にも思ってない称賛を送ってるのではないか?』と邪推してしまいそうになる。
「カッコイイです! 超カッコイイです!! 流石私のししょー♡」
「ですよね!? ですよね!? 私もうこの部分だけ100回近く再生しちゃってますよ! 昨晩何てこの声や他のダイチさんの声だけ編集した音声をリピートしながらベッドで…………あっ、いえ、なんでもないです」
えっ、ちょっ、ベッドで何!? ああやっぱ聞きたくない!!
何か聞いたらミズキさんとはもう、普通に会話できない気がして怖い!
「あ、あのミズキさん! よ、良かったらこの戦闘データ、私にもコピーをいただけませんか? その代わりに、私がししょーに初めて助けてもらった時の動画をお譲りしますから」
「なるほど、交換条件という事ですね? いいでしょう。データのやり取りはフレンド登録をした方がスムーズなのでまずはそこから。――不本意ですが」
「わ、分かりました。――不本意ですけど」
一方、そんな俺の苦悩を他所に、JCコンビはいつの間にやら連絡先の交換を済ませている(何故かお互い、渋々といった顔だが)。
まあ、過程はどうあれ2人が仲良くなってくれたなら良しとするか……。
「――ああ、データと言えばダイチさん。私の水着、どれが良いか決めていただけましたか?」
「えっ……」
「ムッ!」
――と、思ったらまた話を混ぜっ返してきた!
しかもミズキさんってば、いつの間にか俺の背後に回り込み――
フニョン
「さっ、システムウィンドを開いて選んでください♪」
背中に胸を押し当てながら水着フォトを開く様に促してくる!
「ホゥワ!」
肩甲骨の少し下あたりに伝わるふっくらとしながらボリューム満点の2つの感触が伝わり、思わず素っ頓狂な声を挙げてしまう!
五感フィードバック機能大先生は、今日も実に良い仕事をしてくれている……って、感謝してる場合か!!
「あ、あのミズキしゃん!? そ、その……少し距離が近くありませんか!?」
「ああ、いえ……どうせなら感触を確かめながら見た方がイメージし易いかと思って……何でしたら直接触られますか?」
「いやっ! 結構です!!」
本当に君は十代かと疑いたくなるような艶やかな笑みと声音で俺の心を激しく揺さぶるミズキさん。
お、落ち着け!
大変ご立派なボリュームと色香の持ち主だが、彼女は14歳だ。
大人として、健全な成人男性として、まかり間違っても興奮などしてはならない!
それにしても……今日1日だけで俺は一体どれだけ中学生の胸に触れてるんだ?
ニシカワさんに知られたら完っ全に、通報待ったなしだ!
と、とにかく今は一刻も早く水着を選んでこの状態から脱しなければ!
俺は健全な精神状態を取り戻す為、全力でミズキさんの水着フォトをガン見した。
「えーと、…………こ、これがいいんじゃない。かな?」
俺は6種類の水着の内、比較的布面積が広く、フリルが付いた水色のビキニを指差した。
私見ではあるが、これが1番エロくないというか『女の子らしい』デザインだと思ったからだ。
「これですか? ……成程、ダイチさんは単純な露出度ではなく、こういう子供っぽさに興奮を覚える性癖なんですね」
「ち、違うから!」
俺が選んだ水着を分析し、その上で性的な嗜好を考察するミズキさんにストップをかける。
なんてこった。結局何を選んでも変態扱いじゃねえか!
「フフ、そんなに取り乱さなくても気にしてませんよ私? ――寧ろ、こういう少女っぽい感じがお好みというのは個人的に僥倖ですから」
「何でそんな懐の深い態度で受け入れるの!? 何でロリコン認定されてるの俺??」
辛い! 変態という前提で受け入れられた上で慈悲の眼差しを向けられるのは、ニシカワさんが常日頃俺に向けるゴミを見る目とまた違った方向で辛い!!
「ウフフ、ともあれ選んでくれてありがとうございました。あっ、折角ですしどうでしょう? これから一緒にミッションでも――」
「ムキーッ! いつまでししょーに抱き着いてるんですか! いい加減離れてください!」
苦悩をする俺を他所に何か提案をしかけたミズキさんだったが、直後に割って入ったユナの介入によりその言葉が遮られる。
ていうかアレ? ユナってばまたご機嫌斜め状態に戻ってない?
「アラアラ、またヤキモチですか? 本当にお子様ですね」
「わ、私はただ、弟子としてししょーにふしだらな真似をしないでくださいって言ってるんです! 大体さっきっから何ですか! ちょっと人よりおっぱいが大きいからってこれ見よがしに水着見せたり押し当てたりして、実はちょっとエッチなししょーをゆーわくして! ふしだらです! エッチです!!」
顔を真っ赤にしてミズキさんを俺から引きはがしたユナは、そのまま彼女の行動を糾弾。
いや、別に誘惑されてたわけじゃないから。というか、ユナの中で俺が“ちょっとエッチ”と認識されていたのが地味にショックだ。
一方、そんなユナの非難をミズキさんは涼しい顔で受け流す。
「私は別に誘惑なんてしませんよ? ただ、日頃“子守り”でお疲れのダイチさんを少しでも癒せればと思っただけですよ」
「子守りって何ですか子守りって!? 確かに私は、まだまだ未熟者ですけど、ししょーとは真面目に師弟関係結んでるんです! 遊びじゃなくて真剣なお付き合いをしてるんです!! 今日だってこれから、私と“2人っきり”で、模擬戦する予定なんですから!!」
「あっ、いやちょっとユナ? 言ってることは概ね間違ってないけどその『真剣なお付き合い』って言うのは誤解を招くから……」
「誤解ってなんですかししょー!? 私は何もおかしなことを言ってません! だから何回でも言います! ししょーと私は真剣に付き合ってます!!」
「何でそこだけ強調する!? やめて! この往来でそんなこと大声で叫ばないで! 俺の世間体をこれ以上堕とさないで!」
ただでさえ人目を惹く美少女2人が喧嘩して注目される中、そんな誤解を招く台詞を言われた日には『ロリコングがまた別のJC引っかけてる。しかも痴話喧嘩中』という悪評が広まってしまう!
「さっ、そうと決まればさっさとバトルエリアに行きましょうししょー♡ 2人だけで!」
そういってユナは俺の背後に回って背中を押し、移動を促す。
するとミズキさんは――
「模擬戦ですか? 面白そうですね。良かったら私も加わっていいですか?」
「「――――えっ?」」
・・・・・
ユーロエリア・コロッセオ
「わぁあああ♡ キレーな風景ですねししょー! 何だか魔法とか出てくる世界見たいです♪」
「ああ、そうだな」
俺とユナは現在、ユーロエリアに到着後、コロッセオには直接降りずに石畳の街並みを歩き散策していた。
「エヘヘ、何だか2人でヨーロッパ旅行に来たみたいですねししょー♪」
「ハハッ、ダイブするだけで海外旅行楽しめるって考えるとお得だな?」
「ですね♡ ――――――こんな素敵な場所を、カオリお姉ちゃんと2人で楽しんだんですよね? 私がいない時に」
風光明媚な景色を楽しみ、ご機嫌になっていった筈のユナが、突然昏い目をして俺の腕を掴み手に力を込める。痛い痛い痛い痛い! そして胸を押し当てるの止めろ! 苦痛と幸せの二重奏!
「きゅ、急に怖いオーラ出すのやめなさい! 大体、ニシカワさんとは基本ずっと模擬戦ばっかだったから、こうして観光したのは俺も初めてだから!」
「…………そうなんですか♡」
怖ぇええええええ!
夏の日差しみたいに目をギラつかせたかと思えば、春の陽だまりみたいな笑顔に切り替える俺の弟子、超おっかねぇえええええ!!
「ししょー、極東オープンが終わったらゆっくり観光しましょうね♪ ――2人で」
「そ、そうだね……。あっ、そろそろ“時間”だから、
「……はい」
どうにも心理状態がピーキーな弟子の心理状態に気を遣いつつ、俺達は“待ち合わせ”をした闘技場へと足を向ける。
・・・・・
時間は1時間前。
ミズキさんから模擬戦参加を提案された直後に遡る。
「どーして私とししょーの修行に、貴方がしゃしゃり込んでる来るんですか!?」
「どうして、と言われても別に他意はありませんよ? ただ、私も丁度新調したガンプラの試運転がしたいと思って手頃なミッションを探していたというのもありますし、ユナさんからしても、実力に差があるダイチさんとだけじゃなくてある程度力量が近い相手と戦うのは良い経験になると思いますよ?」
「確かに……」
「ししょー!?」
ミズキさんの提案を聞いて一理あると首肯する俺に対し、ユナは不満げな声を挙げる。
するとミズキさんはフッ、氷属性の笑みを零しながらユナに言った。
「別に嫌でしたら断っていただいて結構ですよ? ただ単に『ししょーさんと一緒にいる為の口実』の為に模擬戦をしたいなら、確かに私はお邪魔ですものね? ――ただ、本気で強くなりたいのでしたら、色々な相手を戦うのは有益だと思いますよ?」
「ムッ! ……分かりました。いいですよ! ししょーとの
子ども扱いされることに憤っていたユナは、そこを巧みに刺激するミズキさんの煽りに乗って彼女の参戦を受諾した。
うーむ、ユナが単純なのもあるだろうがミズキさんの会話術にも中々恐ろしいものを感じる。対人戦だと、こういう口頭術って結構有力なスキルなんだよな……。
「決まりですね。それじゃあ私は少し所用を済ませてから合流しますから、お2人は先に闘技場に向けっていてください。――そうですね。14時頃に待ち合わせしましょう」
・・・・・
といったやりとりの後、少しユーロエリアを散歩して時間を潰し現在13時50分。
俺とユナはミズキさんと待ち合わせした闘技場で彼女の到着を待ちつつ、ガンプラを展開した。
「わああああああ♡ やっぱりカッコイイですよね新しいゼロクアンタ♡」
実体化させたゼロクアンタライザーを見上げると、ユナは瞳を輝かせて称賛してくれる。
正直、嬉しい。
「ハハッ、ありがとう。けど格納庫でも散々みたじゃないか?」
「格納庫で見る時とこういう青空の下で観るのとではまたおもむきが違うんですよ~! エヘヘ♪ 早く模擬戦して戦う姿を間近で見たいです♪」
「ああ、とにかく今日は時間が許す限り
「……そうですね。“お邪魔虫”は早めにやっつけないと」
あっ、またギアが変わった。
俺との模擬戦を楽しみと言って憚らない人懐っこい天使モードから、自らの前に立ちふさがる障害を排除しようと闘志を燃やす戦士モード。
……まぁ、こういう闘争心はファイターに必要不可欠なものではあるから良い、のかな?
何だか凄ぇ、私怨を感じるが……。
と、ユナの精神状態を案じていると程なく、闘技場にジェット音が響いた。
見上げるとそこには、【新機動戦記ガンダム
ん? けどあのパーツ構成……まさか!
『お待たせしましたダイチさん、ユナさん。ダイバー・ミズキ――【ドラグーンガンダムゼロ】、到着しました』
やはりそうだ。
改めて機体名を聞いた俺は、ミズキさんのガンプラを見て度肝を抜いた。
ドラグーンガンダムゼロ。
TV版のウィングゼロをベースにBB戦士【マルスドラグーン】の武器やパーツをミキシングしたそのガンプラは、嘗てガンプラバトルがまだ『夢の技術』とされていた1990年代に今はなき漫画雑誌【コミックボンボン】で連載されたガンプラバトル漫画【プラモウォーズ】に登場したガンプラだ!
【ガンプラ豆知識:プラモウォーズ】
近年、ビルドシリーズがアニメ化されて人気を博したが、『ガンプラを動かし戦わせる』というガンプラファンの夢を形にした漫画作品は、古くから存在する。
最も有名なのは1980年代に人気を博した【プラモ狂四郎】であるが、Gガンダム~ガンダムX等の【アナザーガンダム】が誕生した時代に連載されたプラモウォーズもまた、メディアミックスこそされなかったが人気を博した。
ストーリーはガンプラを愛する主人公の少年【
作中に登場するガンプラは所謂“旧キット”と呼ばれる現在の基準から見れば些か見劣りする(但し500円からとリーズナブル)なガンプラにBB戦士のパーツを加えるなどシンプルなミキシングが中心(終盤にはフルスクラッチのオリジナル機体が登場)で、小学生の読者でも再現しやすい機体が多かったのも特徴。
因みにまだ20代の作者は連載時存在を知らなかったのですが、ダイチのモデルになった職場の先輩(30代半ば)からその存在を教えてもらい、全巻借りて読破しました。
ミニ四駆やビーダマン、ヨーヨーなどの所謂ホビーバトル漫画(これらはボンボンのライバル雑誌ですが)って、今見ても結構面白いんだなと感動しました。
ビルドシリーズの2次創作を書かれている方は機会があれば読んでみてもいいかと思います。オススメです。