ガンダムビルドダイバーズ REBOOT   作:キラメイオレンジ

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仁義なきヤベーJC同士の戦い、決着です。


第41話 ユナVSミズキ⑤

「……スゲェ。凄すぎるぞ2人とも……!」

 

目の前で繰り広げられるJCダイバー2人(共に美少女)の熱い死闘に、俺は思わず声に漏らすほど感動し、うち震えた。

 

片や、GBNを始めてまだ数か月の№1フォースの若手。

片や、今日でダイブ3回目で本格的な対人戦闘は実質初めての初心者。

 

程度の差こそあれ、共に等しく新人(ルーキー)に分類される同性同世代ダイバーによる模擬戦。

 

如何に才気豊かであろうと、まだ磨き切れていない原石同士のぶつかり合いならば、泥臭くも多くを学び合えるものになるだろうと思っていた俺の予想は良い意味で大きく外れた。

 

今、俺の前で繰り広げられているのは『新人同士』などというつまらない枠など消し飛ばす激闘。

 

光り輝く才能という名の宝飾で着飾った見目麗しい乙女たちによる美しき円舞(ワルツ)だ。

 

序盤は先制攻撃で主導権を握り、機体特性と巧みなプラフを駆使して戦いの流れを制したミズキさんに軍配が上がった。

 

しかし中盤、追い込まれながらも切札であるスーパートランザムを起動させ、相手が決着の一撃と思って見舞った一撃を、武器諸共粉々にするという離れ業を以て勝負の流れを力づくで奪いとったユナの攻勢が凄まじい。

 

両者共にまだまだ未熟で動きにムラや粗が見受けられるが、各々が持って生まれた才能を引き出した。まごうことなき名勝負と言えるだろう。

 

そして(師の欲目と思われるかもしれないが)、何よりも度肝を抜いたのはユナの操作技術の向上だ。

 

まだ3回目、それも10日ぶりのバトルだと言うのに、前回初めて使用した際は制御するのがやっとだったスーパートランザムを、今は完璧に制御しきっている。

 

否、使いこなしているどころか、ブレイジングエクシアの性能自体が想定以上のポテンシャルを発揮している様にすら感じられる。

 

本来なら数か月の練習と実戦を経てようやく辿り着く、完全な人機一体。

 

如何にユナが俺如き凡人の常識では測れない天才とは言え、この進化スピードは明らかに異常だ。

 

まるでGガンダム系列のMF(モビルファイター)や鉄血のオルフェンズにおける阿頼耶識システムを組み込んだかのその動きに、俺はふと、GPD時代に聞いた都市伝説じみた逸話を思い出した。

 

極めて高い完成度と卓越したセンスと意志力を持つファイターが同調したその時、人とガンプラは完全な同質化(アシムレイト)を果たし、驚異的な力を発揮する。

 

古くはGPD以前のプラフスキー粒子式のガンプラバトル時代に於いて、格闘系ガンプラ最強格の1人と目された【拳聖(けんせい)】の異名を持つカミキ・セカイやメイジン・カワグチなどが踏み込んだ領域。

 

当初はあまりにオカルトじみたその話に、規格外の実力を秘めたファイターの強さを何らかの理屈で納得したい者達が作ったデマだと結論付けられたらしい【アシムレイト理論】。

 

俺も信じていなかったが、正真正銘の初心者であるユナがこれだけの動きが出来る理由がそれこそ他には思い浮かばない。

 

だがもし、それが事実ならばら……ユナ、君は俺が思っていたよりずっととんでもない才能を――否、最早神からの“恩寵(おんちょう)”とすら呼べる力を持った女の子の様だ。

 

その才能を、俺なんぞが引き出せるかという不安を覚える一方で、君に益々夢中になってしまう自分がいるよ。

 

そして同時に、そんなユナの秘めた才能を引き出してくれたミズキさんもまた、正しく次代のGBNを牽引していく逸材と呼べるだろう。

 

――本当に素晴らしい若手を見出しましたねクジョウさん!

 

そんな彼女には感謝してもしきれない気持ちでいっぱいになるが、同時に俺という小物はミズキさんに対して、ささやかな嫉妬心も覚えてしまった。

 

何故なら、ユナがこれほどまでに心を爆発させ、『負けたくない』という気持ちを強く持って潜在能力を爆発できたのは、彼女という『同世代のライバル』の存在を強く意識したからだ。

 

(※)ダイチ(このバカ)は何故ユナがブチ切れたかまるで理解していません。

 

絶対に負けたくないと思えるライバルと出会い、ぶつかり、互いを磨き上げる。

 

これこそまさしく若者の特権。青春の輝きと呼べるものだ!

 

『このドロボーにゃんこぉおおおおお!!』

『肉食オオカミわんこぉおおおおおお!!』

 

……うん。何だか互いに向けられる闘志が“殺意”と呼べる域にある気がするが、きっと2人とも、熱くなってるだけだよね? 試合が終われば爽やかに握手する……よね?

 

――何故だろう? こんなにも熱く胸躍るバトルを見ているにも関わらず、先程から悪寒がして体の震えが止まらないのは? 春も近いと言うのに、俺は風邪でも引いたのだろうか??

 

 

・・・・・

 

 

ミズキside

 

「ハアアアアッ!」

 

トランザムシステムを発動させると同時に秘めた能力(とおぞましい本性)を解放したユナさんのエクシアに向け、私は破損したハルバードを槍に見立て、突きを放つ。

 

『わっ、危ないです……ねっ!』

 

パキン!

 

が、真っ赤に燃え上がるエクシアの改造機はドラグーンゼロ渾身の一撃をあっさりと見切って躱し、ついでとばかりに裏拳を放って槍の穂先を側面から叩き折った。

 

「人のメインウェポンをスナック菓子感覚で壊さないでください!!」

『だったらもっと頑丈に作ってください!!』

 

あらゆる意味で非常識な芸当を連続してやってのけるユナさん(化け物)に、思わず毒を吐くも、非常識な理屈で一蹴されてしまった。

 

彼女の野生動物じみた反応速度(恐らく、性欲も野生動物レベルなのだろう。ダイチさん逃げて!)も驚異的だが、同じ位デタラメなのは使用するガンプラの性能だ。

 

確かブレイジングエクシア、でしたか?

 

エクシアRⅡをベースに徒手空拳仕様に特化させた機体というのは理解していましたが、トランザムを発動した際の性能増加具合が、明らかに通常の太陽炉搭載機のそれを凌駕している。軽く見積もっても4倍、否、5倍近い上昇率だろう。

 

パワーもスピードも、恐らく装甲強度も明らかに私のドラグーンを凌駕している。

 

ユナさん自身のセンスも加味し、悔しいけど今の私の技量では正面から戦って勝てる相手ではない。――そう、正面からでは、だ。

 

私はバーニア―を吹かして後方へと飛びつつ、マシンキャノンを掃射して牽制。

 

更にダメ押しとばかりに胸部アーマーでもあるの【マルスブーメラン】を外し、投げつけた。

 

「ハアッ!」

 

『そんな玩具、今更効きませんよ!』

 

腕を交差させてマシンキャノンの弾丸を防ぎつつ、飛来したブーメランを正拳突きで容易く粉砕するブレイジングエクシア(ユナさん)

 

高速回転して迫るブーメランを避けるでもなく拳で砕くデタラメぶりには心底辟易とするが、お陰で一先ず、距離はとれた。

 

私はこの一瞬の隙を逃さず、ドラグーンガンダムゼロをバードモードへと変形させ、空高くへと飛翔した。

 

『変形するんですかそのガンプラ!? けど逃がしません!』

 

ガンダム作品への知識が乏しく、ウイングゼロの変形機構すら知らなかったらしいユナさんはブレイジングエクシアを飛翔させ追いかけてくる。

 

変形により飛行速度こそ飛躍的に上昇させたが、それでも今のブレイジングエクシアは振り切れない。

 

私は闘技場内という限られたフィールド内を必死に飛び回り、動きを止める為に両腕からGNサブマシンガンを放つブレイジングエクシアから逃げ回る。

 

トランザムにより攻撃力の跳ね上がった圧縮粒子光弾は、数発でも命中すれば墜落必至。

 

しかし後もう少し、このまま逃げ続ければ……勝機は一気に、私に転がり込む!

 

生き延び続ければいずれ必ず訪れる好機を信じ、私は必死に逃げ回った。

 

そう、これは敗北を先延ばしにする無為な逃走ではない。

 

はるか先に待つ勝利を掴むための飛翔なのだ!

 

そうして飛び回ること数分。体感時間では数時間経ったと錯覚する様な疲弊をしながら、待ち望んだ好機は訪れた。

 

『あっ! げ、限界時間が……!』

 

追跡するブレイジングエクシアの粒子残量が底を着いたのだ。

 

「勝ちを急いでサブマシンガンを無駄撃ちしたのは愚策でしたね? 私の勝ちです!」

 

待ち望んだ瞬間の到来に私は笑みを浮かべ、ドラグーンガンダムゼロを“第3の姿”へと変形させる。

 

バードモード時に180度回転させた腰をMS形態の状態に戻し、両脚を前かがみの姿勢へ可動。

 

両脚とシールドの側面に備え付けた竜の脚型パーツを展開し、シールドの裏面に収納していたシェンロンガンダムのドラゴンハング型のパーツを展開させる。

 

これこそが、ドラグーンガンダムゼロの奥の手――【ドラゴンモード】だ!

 

『鳥から竜に変形!?』

 

「ユナさん、これはプラモウォーズという漫画で悪役が言った台詞なのですが『必殺技とは“必ず殺す技”』なんですよ。――エネルギー残量には気を付けてくださいね! ドラゴントルネードファイヤー!!!」

 

機体の全エネルギーを竜の口に圧縮したビームを機体性能が低下したブレイジングエクシアに放つ。

 

相手側のエネルギー切れを誘発し、力尽きた所でこちらの最大火力を放つ。

 

先述の通り、これはプラモウォーズ劇中に於いて主人公の“(つくる) 勇斗(ゆうと)”を初めての敗北に追い込んだ敵キャラ“小角(おずの)”が使った戦法の応用だ。

 

キャラクターとしては陰険で卑劣で気色の悪いナルシストで大嫌いだったが、その戦術観と格言だけは、心に響いた。

 

才なき者がある者に挑むには、その位の小細工がなければジャイアントキリングなどありえない。弱者の知恵という奴だ。

 

 

・・・・・

 

 

「2人共ナイスファイト! 本当に素晴らしい試合だったと思うぞ!!」

 

「……………………はい。ありがとーございますししょー」

「お褒めにあずかり光栄ですダイチさん。よろしければ講評をいただいてもよろしいですか?」

 

素晴らしい戦いを見せてくれたユナとミヅキさんに、俺は心から称賛と拍手を贈る。

 

結果的に負けてしまったユナは俯いて落ち込んでいるが、対称的に勝者であるミズキさんは更なる向上心を示し、俺に意見を求める。素晴らしい心構えだ。

 

「そうだね。終盤のエネルギー切れを狙う戦術も勿論素晴らしかったけど、個人的に特に感動したのは序盤にブレイジングエクシアのサブマシンガンを敢えて正面から受けてユナにプレッシャーを与えた所だね。ガンプラファイターって奴は往々にして機体のギミックは戦闘技術の向上に目が行きがちでああいうブラフを使う人間は少ないから、そういうテクニックはどんどん磨いていくべきだと思う。――ただ反面、まだまだ地力は未熟だから、基礎的な技術の向上も怠らないようにな?」

 

「成程。すごく勉強になります」

 

忌憚がないと言えば聞こえはいいが、他所様のフォースメンバーにあれこれ意見を言う失礼を働きながら(すみませんクジョウさん!)、俺に対し尊敬の眼差しを向けてくれるミズキさん。

 

本当に年長者への敬意を忘れない良い子だ。

何だか視線が若干熱っぽい気がしないでもないが、それは向学心故だろう。

 

「――あのダイチさん、唐突な申し出なんですけど、よろしければ、アヴァロンに入りませんか? ……勿論、ユナさんも一緒で構いませんし、あくまでDランク昇格後の話ですが」

 

「えっ?」

「っ!」

 

そんなミズキさんからの、思いがけない提案。無言で俯いていたユナも思わず顔を上げた。

 

アヴァロンに、俺達が?

 

GBNプレイヤーであれば誰もがその名を知っている最強フォースに、才気溢れるユナはともかく、俺みたいな才能も年齢も中途半端なFランクダイバーが??

 

全く以て考えもしなかった。まさしく青天の霹靂の様な誘いだ。しかし――

 

「誘ってくれてありがとう。……けどごめん。俺とユナは少ししたら合流するユナの友達と3人で新しいフォースを作るって決めてるんだ。だから、アヴァロンには入れない」

 

確かな魅力を感じつつ、俺は丁重にお断りさせてもらった。本当にごめん。

 

「も、勿論、そのユナさんのご友人も一緒で構いません! ダイチさんみたいな経験も実力もある人が、そんな少数で新しいフォースを立ち上げるなんて勿体ないですよ! その……ユナさんだって、才能がありますし……」

 

俺なんぞの力を惜しんで引き留めようとしくれるミズキさん。正直評価してくれるのは嬉しいし、クジョウさんと肩を並べて戦えたらこれ以上にないほど光栄だと思う。けれど……。

 

「誘ってくれたのは本当に嬉しいよ。けど俺はやっぱり1から――ユナと一緒に1歩ずつ進んでいきたいと思う。確かに上位フォースに入れてもらうよりずっと遠回りだと思うけどさ、そもそもゲームって奴はそういう面倒事を楽しむものでもあるだろう? 俺はユナと一緒に、楽しい事だけじゃなくそういうたくさんの面倒事も一緒に経験したいんだ」

 

「ししょー……」

 

「…………ハァ。ダイチさんって、昔から苦労の割に報われない人生送ってませんか? 正直、出世できないタイプだと思います」

 

「ハハハ、よく分かったね? 察しの通り安月給の肉体労働サラリーマンだよ。ミズキさんも将来付き合うなら、こんな甲斐性なし選ばない様に気をつけろよ?」

 

「いえ、私人生の伴侶には容姿や年収より人柄を優先するので。なんでしたら、私が養うのもやぶさかではありません。――殿方はやはり、(やさ)しくて、器の大きな方に限ります」

 

「あ、そうなんだ……」

 

自虐半分の冗談で言ったら割とマジで返されてしまった……。

しかし随分献身的というか、しっかりしてはいるがちょっと心配な恋愛観だな?

悪い男に引っ掛からないといいが……。

 

「ダイチさんのお気持ちは分かりました。残念ですけれど、お気持ちが変わったら、いつでも連絡くださいね? ――――後、今度改めて2人きりでお会いしたいです。GBNでも、リアルでも……」

 

「えっ……?」

 

「ちょっとミズキさん!」

 

艶めかしい口調で俺の耳元に甘く囁くミズキさんだったが、直後にユナが発した怒声で最後まで聞き逃してしまった。

 

ガルルルル……と犬の様に唸るユナを見てミズキさんは『フフ』と艶やかに微笑んだ後、ユナの耳元で何か囁いた。

 

(今日の所はここで引いてあげます。『先に見つけた方』の顔を立ててね? けれど、貴方がまだダイチさんから弟子としか見られてない内は、こちらもどんどん、仕掛けさせてもらいますよ?)

 

(し、ししょーは絶対に渡しません……!)

 

(ええ、渡してくれなくて結構ですよ? ――――奪ってみせますから)

 

「ムキーッ!!」

「あっ、こらユナ! 負けたからってリアルファイトしようとするのは止めなさい!!」

 

何やら小声でやり取りした後、最終的にキレてミズキさんに襲い掛かろうとするユナを羽交い絞めにして制止する。

 

そんな俺達を見てミズキさんは微笑みながら、ドラグーンガンダムゼロに乗って飛び去って行った。

 




思いの外長くなってしまいましたが仁義なき乙女の戦いの決着です。
ポテンシャル的にはユナに軍配があがりますが、今回は豊富な知識と、センスの差を理解しながら活路を見出すミズキが勝ちました。
勝負を決めるのは、必ずしも操縦センスやガンプラの出来だけではないという事ですね。


【ドラグーンガンダムゼロ】②
・今回は可変形態について紹介。

バードモード:原型機ウイングゼロの機能をそのまま利用した飛行形態。ツインバスターライフルをオミットしている為、ウイングバルカンくらいしか対応火器が存在せず火力不足だが3形態の内、最も機動性は高い。

ドラゴンモード:本機オリジナルの第3の形態にして切札。バードモードから下半身を180度回転させ、中越し姿勢にして側面の竜の後脚を展開。シールド内部の前脚とシェンロンガンダムのドラゴンハング型の頭部を展開する事によって変形が完了する。
全形態中最大のパワーを発揮し、爪による格闘戦も可能ではあるが、その真価は竜の口から放たれる必殺技(あくまで最大火力の一撃という意味で、GBNのシステム上の必殺技ではない)【ドラゴントルネードファイヤー】。
強力な反面エネルギーの消費も高い為、使いどころを見誤ると自滅を招く。
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