ガンダムビルドダイバーズ REBOOT 作:キラメイオレンジ
一応次回からは本編再開予定なのでご容赦を(汗)
シュウside
「で? ELダイバー、テメーは一体俺に何をさせたい?」
「ルベルだよ暴君。ま、呼びたくないなら別にいいけど」
この仮初めの世界でどれほど弱者を踏みにじり、地位や財産を得、女や酒でも満たされない日々を送っていた俺の前に姿を現した電子生命体に俺は問う。
「その前にまず、君のガンプラと話をさせて貰えないかな? キミが本当に組むに値する人間かどうかを確かめたい」
「提案しといて値踏みか? ――喧嘩を売りたいならもっとストレートに言え」
「ああ、気を悪くしたなら謝罪するよ。僕は何もガンプラの出来を確かめたい訳じゃないんだ。ただ、僕は基本、
「――――フン。ついてこい」
取引を持ちかけながらこちらの事など欠片も信用していない生意気なクソガキであったが、俺は敢えてその要望に従ってやった。
俺が“圧”をかけても身じろぎ1つしなかった胆力と、その瞳の奥に宿った世界に対する憎悪が少し気に入ったからだ。
俺は
「こいつが俺の【ガンダムヴァイオレント】だ」
「――へぇ、【ガンダムダブルエックス】の改修機なんだ。けど原型機最大の特徴である【ツインサテライトキャノン】はオミットされてるね? 代わりに搭載してるのは……実体剣? いや、複合装備かな?」
「御託はいい。聞きたいことがあるならさっさと話せ」
「ああ、すまない。――――フフ、なるほどね。
「ハン、ならこう答えてやる。――道具の分際で俺様に指図するんじゃねえ」
「ハハッ、本当に似た者同士……いや、文字通りの分身みたいだね? OK、合格だ。キミは僕が組むに値する男みたいだよ」
「気が済んだなら早く要件を言え、俺がテメェをぶち殺す前にな」
いい加減、このガキの気取った言い回しが鼻についてきた俺は急かした。
「そうだね。僕が君に求める役割は只1つ――有志連合に喧嘩を売ってくれないかな?」
「――――ほう」
先程まで募っていた苛立ちが、立ちどころに霧消した。
何を言うかと思えば、有志連合――この世界に於いて運営に次ぐ影響力を持つ奴らに喧嘩を売れ? なかなか楽しそうな依頼じゃねえか!
「ちょ、ちょっと待ってください
「るせえぞクソ眼鏡。俺が許可するまでバカみてえに黙ってろ」
湧き上がる昂揚に水を差すか
俺がやれと言えば合法非合法問わず何でもやるから重用しているが、何かにつけて俺の成すことに口を挟むのがコイツの面倒な所だ。
「で? 具体的に何時、何処で喧嘩を売ればいいんだ? フォーストーナメントで潰せってわけでもないんだろ?」
「お膳立てはこちらでするよ。
「……あのカス共がどうかしたのか?」
テメー1人じゃ何もする度胸も実力もねえ癖に、権威の下で吠えるカス犬集まりを思い出し、胸糞が悪くなった。
以前1度『貴方方の様な下品なフォースが上位に居るなどGBN全体の品位に関わる問題だ。即刻フォースの解散を要求する』なんて愉快な事を抜かしてきたアヴァロンの若造の事はよく覚えている。
次に顔を見たらあの凝り固まった自尊心諸共奴のガンプラをぐちゃぐちゃにする予定だった。
「実はアレ、僕がけしかけて作ったんだよ。リーダーを務めるアヴァロンの若手タクトくんを少しばかりそそのかしてね。――フフ、実に容易いゴミだったよ。少しばかり耳障りの良い事を囁いたら簡単に『自分は選ばれた人間だ』なんて勘違いしてさ。本当に愚かだよねぇ人間って?」
「ハン、つまりテメーからすりゃ俺もあのカス共も、目的を達成するための駒って訳か」
「否定はしないよ。――それで話を戻すけど、奴らには近い内、君たち【カタストロフ】に公の場で喧嘩を売らせようと思うんだ。『品位無きフォースはGBNに要らない!』って感じで。そして君には、彼らを始末した上でその事を口実に、アヴァロンを始めとした有志連合を糾弾して欲しい『この世界はお前たちの所有物じゃない』ってお題目でね?」
「俺のフォースだけで有志連合の連中全てに喧嘩を売れってか? ――まあ、悪くはねぇが、流石に1日持たず潰されるぞ?」
あの世界の番人面をした偽善者共と纏めて殺し合うのは中々に魅力的だ。
勝ち目のねえ戦いに身を投じるのも一興だろう。
しかしこの透かしたガキが、そんな一夜限りの祭りの為に動いているとは考えられん。
「フフ、そうはならないさ。何故なら
長い事頂点に居座り、GMとも繋がってるらしい有志連合の連中に対する不満を起爆させるって訳か。……確かになかなか愉快な茶番劇ではあるな。だが――
「まだ穴はあるな。所詮ヴァイス・ユニオンのカス共は末端に過ぎねえ。多少何かやらかそうが、あのクジョウ・キョウヤが会見でも開いて頭を下げりゃ結局大半の奴らはそれを受け入れ矛を収める。今更下っ端の不祥事1つで揺らぐほど、奴が積み上げた信頼を揺らぎはしねえ」
一時の世情によって起きた悪評も、それに踊らされる民衆の心も、その気になれば容易く掌握できる器を持っている。
あの下らなさも極まる茶番劇――【第二次有志連合戦】なんてのはその最たる例だ。
「クジョウ・キョウヤか――確かにあの男の面子を潰すのは容易じゃない。けど大丈夫だよ暴君。その為の仕込みも既に用意してある。あの偽善者共の王様の信頼を地に堕とす用意が、ね。とにかくキミは、来るべき時が来たら派手に暴れてくれれば良い」
そう言い残し、奴はカタストロフのフォースネストから姿を消した。
最後に見せたあの感情は……憎悪か?
「…………彼の計画に乗るんですか?」
しばらくして、ずっと黙っていた根暗眼鏡が尋ねてきた。
まったくこのカスは、何年俺の下僕をやっている? 察しの悪い野郎だ。
「乗ってやる義理はねえが、乗らねえ理由もねえ。騒乱、混沌、大いに結構だ。その果てにこの世界が壊れようが廃れようが、所詮は
「……あなたと言う人は、本当に最悪ですね」
「うるせぇよカス」
逆らうつもりなんざハナからねえ癖に、小言ばかり抜かす根暗眼鏡を侮蔑し、俺はログアウトした後、適当な女共を2~3人呼びつけ、貪った。
来るべき動乱を夢想して滾った心を鎮める為に――
・・・・・
「
しかし、それから約2週間後、再びこの月面の城に姿を現したELダイバーが告げたのは、計画の口火を切る為の道具――ヴァイス・ユニオンのガキ共がまとめて有志連合に捕縛されたという報せだった。
「――ああ、連中がまた初心者狩り狩りをしている最中、アヴァロン所属の構成員の1人が、心変わりしてクジョウ・キョウヤに密告したんだ。……まったく、あの“シングルドライブのクアンタ使い”め! 1度ならず2度も僕の計画を邪魔するなんて……!!」
「シングルドライブのクアンタ使い?」
計画中断の要因となったダイバーに対し憎々し気に呪詛を吐くELダイバー。
俺は直感的にその存在が気になり、詳細な情報を求めた。
「ああ、まだGBNを始めてひと月にも満たない無名のFランクだが、とにかく僕の邪魔ばかりする……! 確か名前は……ダイチだったかな? 吐き気がするような正義感を振りかざす、くだらない男だよ……」
「ダイチ……だと? おいガキ!! 今テメェ、ダイチって言ったか?」
その名を聞いた瞬間、俺の心臓は激しく高鳴った――!
「えっ、なんだい急に?」
「とっとと俺の質問に答えろ!!! 殺すぞ!!?」
「っ! ――――そうだよ。ダイチ。搭乗機は00クアンタをシングルドライブにした改修機。トランザムで奇妙な技を使う。図体のデカいダイバーだ」
吐き気を催す正義感? 奇妙なトランザムの使い手? デカい図体のダイバー?
そして、酔狂なデチューンを施した00クアンタに乗る、ダイチ?
間違いない……あの男だ!
戻ってきやがった! ガンプラバトルの世界に! この俺の元に……!!
昔と変わらねえクソみたいな正義感をふりかざして、クソみたいな改修をした太陽炉搭載機に乗って――俺の敵として、戻ってきやがった……!!!
「フ、フフフ――――フハハハハハハハハ!! おい、礼を言うぜELダイバー! テメエのお陰でずっと待ちわびていた奴と逢えた!! 計画頓挫の件は水に流してやる! それからこれからもテメェの遊びにつきやってやる!! もっとこの世界を乱せ!! 滅茶苦茶にしろ!! そうすればきっと……あの身の程知らずのクソ偽善者はでしゃばってくる!! 最高だ……最高だぜアカギィイイイイ!! お前が俺の前で立ち塞がってくれるなら、俺は他に何もいらねええええええ!!」
胸の奥底から湧き上がる歓喜の感情!
全身の血が、沸騰しそうなほど湧き上がる感覚!
未だ人生の中で人を愛した経験などないが、もしこの沸き立つ感情がそうだと言うなら、俺はある意味、奴に恋い焦がれているのかもしれない! ――身の毛もよだつ話だがな!
「根暗眼鏡、命令だ。このガキが話したクアンタ使いの情報を3日以内に調べ上げろ。GBN内での行動の仔細から、リアルの情報に至るまで」
「リ、リアルの情報もですか? さ、さすがに3日は……」
「俺は“やれ”って言ったんだ。できねえならテメーはもういらねえ」
「っ! ……分かりましたよ」
あからさまに不満そうな顔で睨んでくるが知ったことじゃねえ。
俺のフォースにいる奴の条件は俺にとって使える道具であるか否か、それだけだ。
――なあ、オイ。テメーもそう思うだろうヴァイオレント?
――もう退屈なんて言わせねえ。つまらねえなんて言わせねえぞ!
【シュウ/クロミネ・シュウジ】
・世界ランク6位のフォース【カタストロフ】の支配者として君臨する【月の
・クジョウ・キョウヤにも引けを取らない実力を持ち、ガンプラの制作技術・操作技術に於いても世界レベルの実力を誇るが、ガンプラに対する愛情も、自分以外のファイターに対する敬意も持ち合わせない暴力性の化身。
・バトルを楽しむ理由は『魂の化身であるガンプラを破壊することで、合法的に他人を踏みにじりたい』という歪んだ願望の為に他ならない。
・その横暴さは身内とも言えるフォースメンバーに対しても例外ではなく、メンバー達の名前すら覚えず【根暗眼鏡】や【赤髪】など適当に付けた呼称で呼びつけ、『できません』を認めない。『役に立たない』『抱くのに飽きた』などの理由で多くのメンバーをクビにしたこともある。
・嘗ては全国大会を2連覇した凄腕のGPDプレイヤーであり、【月宮の暴君】としてその名を知ら占めた。当時から横暴さは現代と何ら変わらず、部員は学年問わず下僕として扱っていた。尚、3年生の最後の大会では直前に暴力事件を起こしており、大会を欠場。
・先述の暴力事件の後は学校を退学し、名門である実家のクロミネ家とも絶縁。しかし持ち前の才覚により株と違法カジノで設けた金で数店のバーを開店。現在では経営は雇った者に任せ、オーナーとして毎月振り込まれる大金で悠々自適に生活している。
・性格は最悪だが、恐ろしいまでの美貌とカリスマ性を有しており、昔から女性に困らない。これまで数多くの女性と関係を持ったが本人曰く『人生で1度も人を愛したことがない』らしく、あくまで性欲を満たすだけの道具としか見ていない。
・あまりにも秀でた才能を持ちすぎた為、真っ当な人間が育む情愛の精神を理解できずに育ち、『他人と違う』という疎外感を、他人を踏みにじる事で誤魔化してきた。
・そんな折、GPDを通じて出会った何もかもが自分と正反対でありながら、その内に宿る孤独を感じ取ったダイチに強い執着を抱き、彼との死力を尽くした戦いを渇望している。
・仲間や従順な下僕よりも『自分に面と向かって立ち向かってくる敵』を好ましく感じ、好意の対象になった相手の事は『気に入らねえ奴』と称するのが口癖。