ガンダムビルドダイバーズ REBOOT 作:キラメイオレンジ
突如乱入してきた名前だけ美形なブサイク3兄弟の親玉と思しき少年ダイバーの駆るエピオンと交戦し、1分が経過し、粒子残量は2割を切り、いよいよもって大ピンチだ。
『フフ、やるじゃないか。この僕のガンプラ【エピオンルベール】とまともな格闘戦をしてこれだけ持つダイバーはそうはいないよ? 誇るべき事だ』
超上から目線の尊大な態度が鼻につくが、確かにこの少年ダイバー、デカい口を叩くだけの事はある。
頭部のディテールとカラーリングで見た目の印象こそ異なるが、射撃兵装を持たない分、桁外れのスピードとパワーを誇るエピオンの機体特性が良く引き伸ばされている。
本人が作ったかどうかまでは知らんが、少なくとも俺のゼロクアンタより基礎スペック=完成度が上なのは明白だ。
加えてあの少年ダイバー、まだ経験が浅く攻撃パターンこそ単調だが、とにかく反応速度がずば抜けて高い。
まるで阿頼耶識システムでも積んでいるのかと疑いたくなるレベルだ。
現状はトランザムによる出力とGPDで培った勝負勘で何とか持ち堪えているが、このまま決定打が与えられずに戦いが続けば粒子が底を尽き、俺の負けは決定的になるだろう。
更に決着を焦る俺のゼロクアンタに向け、エピオンとは別方向から高出力ビームが飛来してきた。
『俺にも加勢させてください! アルバートとリートリヒの仇め!』
『フ、余計な事を――』
エピオンルベールという強力な前衛が来てくれたことで増長したのか、ビルゴ3兄弟の生き残りが追い打ちとばかりに援護に入ったのだ。
マズい。
エピオンだけでも手いっぱいのこの状況での砲撃は流石に対処しきれない。
このままじゃ、やられる……!
・・・・・
私を助けてくれた白いガンプラは、その姿を時々
だけど、最後の1機を追い詰めた所で、新しい白と赤のガンプラが現れ、攻撃されています。
『うわぁ、こりゃ流石の先輩も1人じゃキツいかな?』
『どうするアッくん? 助けてあげる?』
『ん~微妙かな~? 先輩の性格考えると後でキレそうだしな~。あと今日、“何故か”機嫌悪かったし』
『そっか~。じゃあ今まで通りここから応援してまってよっか♪』
えぇ……。
通信で聞こえる私を保護してくれたお二人の軽い感じのやり取りに、私は思わず口をはさみたくなり、直後に反省した。
何もできないのは自分も同じなのに、助けてくれた人たちに文句を言う資格なんて私にはない。情けなくて、不甲斐ない……!
何かを成したいと強く願うなら、まず自分から動かなくちゃ何も始まらない。
去年亡くなったおじいちゃんの言葉を思い返し、私は自分のガンプラを動かす装循環を強く握った。
「あの、助けてくれて本当にありがとうございました。私、あの人に加勢しに戻ります」
『ええっ!? いやいやいやいや止めた方がいいっスよお嬢ちゃん! こう言ったらなんッスけど、君のナドレじゃやられに行くようなモンだよ!?』
『そうそう、トランザムだって使ったらスグバラバラになると思うよ?』
青い羽のガンプラと全身桃色のガンプラに乗った2人は心配して引きと止めようとしてくるが、私はそこでふと2人に尋ね返した。
「あの、“とらんざむ”って何ですか?」
『『そこから!?』』
聞き慣れない言葉について尋ねたら、思いのほか驚かれた。
どうやら私は、自分で自覚してる以上に“がんぷら”について無知みたいだ。
やっぱり今度、ちゃんと勉強しないとなぁ……。
お2人はその後、件の“とらんざむ”についてかいつまんで説明してくれた。
要約すると一部のガンプラにだけ使える特別なパワーアップで、私を助けてくれた“先輩さん”のガンプラが時折紅くなったのもその技の効果らしい。
そして、私の乗っているこのガンプラ――【ナドレ】にも使える技らしいのだけど……。
『トランザムシステムは強力なんッスけど、その分操縦の難しさが段違いに上がるんスよ。しかもガンプラに負担が尋常じゃない位かかるから、君の機体の作り込みじゃ使っても30秒も保たずにバラバラッスよ』
このゲーム大事な『ガンプラを作る力』と『ガンプラを巧く動かす力』。
その2つを技術が1人前以上になって始めて使いこなせるという。
だけど、私は――
「それだけあれば十分です……!!」
『あっ、ちょっ……!』
青い翼のガンプラに乗ってる人の制止を振り切り、私は戦場へ飛び込んだ。
そして使い慣れなかった銃と盾を投げ捨て、教わった通り特殊コマンドの所に記載されていた機能をオンにした。
「トランザム!!」
・・・・・
粒子残量が1割を切り、いよいよここまでかと諦めかけたその時、可愛らしくも勇ましい、少女の声が響いた。
声の方向に振り返ると、そこにはトランザムシステムを起動させ、その白いボディと赤い髪を燃え上がらせたガンダムナドレが、一切の装備を放棄した状態で突っ込んできた。
さながら、今まさに燃え尽きようとする流星の様に――――!
『あの黒いのは私が引き受けます!! 先輩さんは目の前のガンプラに集中してください!』
「何で戻ってきたんだ君は! 今すぐトランザムを解除して下がれ!!」
『イヤですっ!!』
特攻隊じみた猛スピードで迫るナドレからの通信に、俺は思わず強い口調で叱りつけてしまったが、少女はそんな俺に対し一歩も臆さず、指示を拒んだ。
『助けてくれた人を見殺しにして守ってもらうだけの女の子になんてなりたくありません! 勝てなくても、何にも出来なくても、自分にできる精一杯をやりたいんです!』
素直で優しい女の子という第一印象だった少女の印象が随分と変わった。
そこにいるのは初心者狩りの獲物にされたいたいけな少女などではなく、胸に秘めた勇ましさと熱い正義感を発露した、
で、あるならば、俺のかける言葉は1つしかない。
「あの黒いガンプラは接近戦に弱い。懐に飛び込んだら、ありったけの力を込めてぶん殴ってやれ!」
『ハイッ!!!』
手短な助言を送って通信を切り、俺はエピオンルベールに向かい、最後の攻撃に打って出た。
「おおおおおっ!!」
俺は猛スピードでエピオンに接近しつつ、両手に持っていたビームサーベルの出力を調整してビームダガーにし、僅かに時間差をつけて投擲した。
『2人揃って破れかぶれの特攻かい? 実に愚かな……』
接近する期待から投げられた2本のビームダガーを事も無げに回避したエピオンが嘲笑と共に剣を振り上げる。
が、そこには発振されている筈の光刃が消えており、斬撃が空を切った。
何故なら、ビームソードにエネルギーを供給する為のケーブルが切断されているからだ。
『バカな……! まさか先程の投擲、これを狙って……!?』
そう、少年ダイバーが察した通り、全ては尊大な彼の性格を読んだ上での事だ。
優れた操縦技術を持つ彼ならば躱すのも容易なダガーを敢えてソードで叩き落す。
そして振り下ろした右腕と胸部の間に出来た右脇の空間に2本目を投げた事で空振りを装いつつ、狙い通りエネルギー供給ケーブルを切断したのだ。
あんまり大人舐めなよ?
少年!
「おおおおおおおおおおおおっ!!! GNフィストォオオオオオ!!!」
そして俺は、動揺して硬直したエピオンルベールに向かい突撃。
両腕のGNガントレットを展開を展開し、GNフィールドで覆った右拳を叩き込む!
防御もままならなかったエピオンルベールは派手に吹き飛び、はるか後方にあった岩山に叩きつけられる。
同時にゼロクアンタの残存エネルギーも完全に枯渇し、機体は浮遊しているのがやっとの状態だ。
全く、とんだデビュー戦だな……。
【本作に於ける太陽炉搭載機について】
※あくまで個人の考察に基づいた本作独自設定です。
・(本作の)GBN内に於いては、太陽炉搭載機は機体内部エネルギーが全てGN粒子に変換されており『攻撃及び防御エネルギー、及び機体推進剤が統一されている』という特徴がある。
・システムの公平性を保つ為、青白い光を放つ【純正太陽炉】は一定時間毎にエネルギーが自動回復する一方、赤若しくは橙の光を放つ【疑似太陽炉】は純正に比べ高出力という設定(あくまで同じ完成度の場合)。
・原作に於いては規格外の性能を発揮した【ツインドライブシステム】に関してもゲーム内補正でブレイヴ指揮官機の様な【ダブルドライブ】と同程度の設定。
・機体に複数のドライブを搭載した【ダブルドライブ機】や【トリプルドライブ機】はその分出力が倍加するが、エネルギー消費ペースも等倍なので活動時間はシングル機と同程度。
また、強引に太陽炉を増設しただけの雑な改造では起動してスグに壊れる。
・GNコンデンサーは増設することで出力こそ上がらないがエネルギーが増大し、攻撃やフィールド展開に使える粒子が増えるが、安易な増設は機体重量の増加を招く。
→ダイチはこの設定に着目し、元々ツイン(実質ダブル)ドライブに対応した大容量コンデンサー搭載の00クアンタをシングルにすることで、機体重量を上げず(寧ろドライブ1個分軽量化)、大量の粒子を使えるようにした(当然出力は落ちたが)。
・最大の切札である【TRANS-AMシステム】は劇中同様に一定時間機体スペックを3倍に強化できるが機体内粒子を大量に消費する。操縦難易度も著しく上がる。ガンプラの完成度が低いと自壊するなどデメリットも多く、ビルダーとしてもファイターとしても1人前になって始めて使用できる。
・総じて太陽炉搭載機は『極めれば強い玄人向きの機体』という認識。