ガンダムビルドダイバーズ REBOOT   作:キラメイオレンジ

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長らくお待たせしました。ようやっと開会です。
最近リアルがかなり忙しく、当分亀更新になると思いますがご容赦を!



第50話 開会、極東オープン!

「すみません! 途中で知り合いに会って遅れました!」

 

「全然大丈夫よ~。ユナちゃんおひさ~♪」

 

「お久しぶりです!」

 

クロミネとの再会の後、俺とユナとリエさん。後、ついでに復活したアキラは待ち合わせに少し遅れつつマギーさんとの待ち合わせ場所で合流。

 

そこにはマギーさん(彼女)の外に、長い黒髪の女性ダイバーが居た。

 

「ダイ君とユナちゃんは初対面よね? 紹介するわ。この子は私が後見人をしているELダイバーの1人で【メイ】ちゃんって言うの。仲良くしてね♪」

 

「メイだ。よろしく頼む」

 

「ELダイバー?」

「それって……」

 

マギーさんに促される形で会釈をし、どこか硬い挨拶をするメイさん。

 

俺とユナはそんな彼女のどこか浮世離れした雰囲気と、何よりも初めてログインした時に遭遇した“自称”ELダイバーの姿を思い出し、身体を強張らせてしまった。

 

するとメイさんは、キリっとした表情少し崩して苦笑いをした。

 

「私の兄弟が迷惑をかけたと聞いた。代わりに詫びよう」

 

「あっ! いやそんな……俺達の方こそ失礼な態度をとってすみません! 別に全然、メイさんを警戒したとかじゃないんですけど、少し思い出しただけなんです! ――こちらこそ不快な思いをさせてごめんなさい。後、はじめまして、俺はダイチです」

 

「そ、そうですよ! 私もごめんなさい!! えっと、ユナです! よろしくお願いいたしますメイさん!」

 

無自覚の内に失礼な態度をとってしまったことを謝罪し、改めて自己紹介をする。

 

するとメイさんは『そうか』と最初に短く返し、『……よろしく』と応えた。

 

どうやら感情を表現するのが少し苦手な人のようだが、本質的には心の豊かな性格らしい。

 

どこか浮世離れしている。独特の雰囲気を持っているという点で見れば確かにあのルベルとかいう少年に通ずるものがあるのは確かだが、俺の中でどこか警戒の対象だったELダイバーに対する印象が少し変わった。

 

「メイさんも今日の大会に参加されるんですか?」

 

「いや、私は今日不参加だ。“あちら側”では丁度野菜の収穫期でな。今日も私以外の仲間達は畑仕事をしている」

 

「えっ、野菜の収穫? 畑仕事??」

 

牧歌的なワードに思わず首を傾げるが、そういう農作業を楽しむディメンションが存在して、メイさんはそういうのを楽しむ農家フォースのメンバー、という解釈でいいのだろうか?

 

後ろに控えるマギーさんは『ウフフ♪』と何か含みのある笑みを浮かべているのをみると、多分ちがうのだろうが……。

 

 

「おっ、いたいた。おーいマギーさーん! 久し振りだなー!」

「あっ、メイ姉もいる! 珍しい~~!」

 

と、マギーさんとの談笑をしている所へ、これまた人目を引きそうな2人組が現れた。

 

1人は俺と同じ様な体格の大柄な人狼(ワーワルフ)を彷彿させる男性ダイバー。

 

――うん。ファイターとしての直観だが、物凄く強いなこの人。

体幹バランスが……というかダイバールックの使い方がとてもサマになっている。

 

何気ない立ち振る舞いの中に、正しくこの世界にシンクロしている感覚派ダイバーの到達点みたいな美しさを感じる。

 

そしてもう1人は、ユナより少し小柄な10歳位の腕白そうな少女……いや、少年か?

好奇心旺盛な瞳や中性的な顔立ちの所為で“可愛い系美少年”と“ボーイッシュ少女”の微妙なラインに立っている様な見た目のダイバーだ。

 

「あら2人とも丁度良い所に来たわね♪ ダイ君ユナちゃん、こっちのモフモフな彼は虎武龍のトライファングの異名を持つタイガーウルフことタイガちゃんで、ちっちゃ可愛いのがELダイバーのリオちゃんことコジローちゃんね」

 

「えっ、虎武龍って確か、フォースランキング5位のあの!?」

 

「えっ、このモフモフおじさん、強いんですか?」

 

「モ.モフモフって……ていうかおじさんじゃねえから!」

 

サラっととんでもない大物+ELダイバー2人というとんでもない面子をお気軽に紹介するマギーさんのコネクションに驚かされるが、そんな大物を前にモフモフおじさんとか言っちゃうユナも大概だな……。

 

そしてそんなユナを、リオさんというELダイバーはジーっと見つめる。

 

「ねえ、もしかしてキミがマギーさんが言ってたユナ? ……へぇ、ふーん。“桜色”は初めて見たな」

 

「えっ!? ど、どうして今日履いてるパンツの色分かるんですか⁉」

 

「「ブフォ!?」」

 

謎の発言をするリオさんに対し、公共の場でとんでもねえ事実を暴露をするユナ。

俺とタイガーウルフさんは同時に噴出してしまった。

 

「あー、違う違う。桜色っていうのはキミの“心の色”の事だから。僕はね、ダイバーの身体から出るオーラが見えるんだけど、強いダイバーや強くなりそうな人のオーラには色がついて見えるんだ」

 

「「心の色? オーラ?」」

 

GBNに於いては些かなじみの薄そうなスピリチュアルな単語(ワード)に俺とユナは揃って首を傾げる。するとマギーさんが説明をしてくれた。

 

「メイちゃん達ELダイバーは皆“ガンプラの声”が聞こえるんだけど、中にはコジちゃんみたいにそれ以外のものが見たり聞こえたりできるらしいのよ」

 

うーん、ガンプラの声にオーラかぁ。

 

先日、ユナにその素質が見られたアシムレイトもそうだが、どうにも俺はそういうオカルト的な話にピンとこないんだよなぁ。

 

別にマギーさんやリオさんが嘘を吐いているとは思わないけど、要するにダイバーやガンプラの持つ情報(ステータス)が本人達なりの独自の感覚で感知できるということなのだろうか?

 

俺の様な凡人には理解し難い話だ。

 

「うん! 僕はダイバーの強さ見えるんだ。だから分かるよ。ユナ、キミ滅茶苦茶素質あるよ! まだちょっと見え辛いけど、物凄く生命力に溢れた感じがする! いいなぁ~うん、凄くイイよ!! コタローの言う通り、キミや噂の剣聖と戦えるならミドルクラスも面白そう!」

 

「あの、えへへ、何かそう言われるとちょっと嬉しいかな? ――そうだ! ししょーのオーラはどんな色なんですか? 私にも見えるならししょーはもっとキラキラに見えるんじゃないですか!? 虹色のオーラじゃないですか!?」

 

そんな独自の感覚でユナの才能を感じ取ったリオさんの評価に喜びつつ、ユナは目をキラキラさせながら俺のオーラを尋ねる。

 

するとリオさんは『えっ、あの人?』と首を傾げ、ジーっと視線を向けた後に何とも言えない“残念なもの”を見る目を向けた。

 

「んー、一応“色付き”なんだけど、なんだかドヨーンとしてしょぼい感じ? 焼け焦げた炭みたいな色してる。 ……ぶっちゃけ弱そう」

 

「や、焼け焦げた炭……」

 

確かに若さと言う名の可能性と潜在能力に満ちたユナと比較すれば俺なんぞ可燃ごみどころか燃えカスかもしれんが……微妙に言葉を選んでオブラートに包もうとしているリオさんのリアクションが余計に哀しみを加速させる。

 

「炭……黒……闇属性! つまりししょーはクールでダークなオーラをまとったちょい悪さんってことですね! か、カッコイイ……! 流石私のししょー♡」

 

「えっ、そういう解釈!? 前向き通り返して曲解だと思うをユナ!!?」

 

あまりスピリチュアルな概念を信じていないが、微妙にショックではあった俺と対称的に、ユナは瞳をキラキラさせながらリオさんの評価を好意的に捉える。

 

――うん。ユナのこういう前向きなトコ、好きだなー。

 

「んー、こういう色は見たことないから何とも言えないけどさー。……ユナだっけ? ぶっちゃけそっちのししょーって呼んでる人、あんまり強くないと思うから、早めに別の人に乗り換えた方がいいと思うよ?」

 

そんなユナのウルトラポジティブ解釈に対し、現実的な評価を呈すると共にあろうことか俺達の師弟関係の解消を提案してきた。

 

――正直、ちょっとムカっとした。

 

確かに俺が非才の身であるのは事実だし、恐らくそう遠くない未来、ユナに追い抜かれししょーとしてのお役御免になるだろう。

 

或いはそうなった時、ユナ自身から不要と判断され距離を置かれる日がくるかもしれない(想像するだけで割と死にたくなるが)。

 

しかし、それは他人(ひと)にとやかく言われて決める事じゃない。

 

少なくとも俺は、ユナ自身が俺を拒絶するその時まで、彼女のししょーであり続けるつもりだし、それにふさわしい大人であろうと努力するつもりだ。

 

……まあ、今のリオさんの一言でユナが心変わりしたら、そんな決意も意味を失うのだが。

 

俺は恐れを抱きつつユナの方を見る。すると――。

 

ゴゴゴゴゴゴゴゴ――――!

 

(離れないもん……ししょーは一生、私のししょーだもん……! 一生! 死ぬまで!! ううん、生まれ変わったって離さないもん!!!)

 

――うん。別の意味で恐ろしい状態になっていた。

 

事と次第によっては戦争も辞さないと覚悟を決めた国家元首の様な決意に満ちた視線をリオさんに向け、何やら空恐ろしい事を考えているのが伝わってくる!

 

何故だろう? 震えが止まらない……!

 

「ワアア、オーラ燃えまくりじゃん! いいねいいね! やっぱりキミ凄くいいよユナ!!」

 

一方、そんなギラギラしたユナの闘気を軽く受け流し『オラわくわくすっぞ!』的なノリで応じるリオさん。この娘も大概、頭のネジが外れてる系女子だな。――ていうか最近俺が出会う女の子は大概そうだけど……。

 

「コラ! このアホ弟子が!! 初対面の大人に生意気言ってんじゃねえぞ!」

 

「あいたっ! うぅ。痛いよコタローぉお~」

 

「コタロー言うな!」

 

“パコン!”と頭を小突く音が響く。

いつの間にかリオさんの背後に回ったタイガーウルフさんが、保護者としてリオさんにおしおきの一撃をかました。

 

ていうかコタローさんって言うのか本名……。

 

「えーと、ダイチだったか? ウチのアホが失礼な態度取って悪かったな。何しろまだ生後2か月な上ウチの門下生(バカ)共が甘やかすもんだから、礼儀っつーもんがまだ身についてなくてな」

 

「ああ、いや、気にしてませんから。……苦労されてるみたいですね?」

 

「ああ、そういうアンタも滲み出てるぜ? パワフルなガキんちょに振り回されてる大人特有のくたびれた気配がよ」

 

「…………」

「…………」

 

互いに“同じ苦労”を抱える者同士として何かを感じ取った俺とタイガーウルフさんは、その後しばらく見つめ合い、“ガシッ!”と固い握手を交わした。

 

「貴方とは初めて会った気がしません。改めてよろしくお願いしますタイガーウルフさん!」

「ああ、こちらこそだぜ! お前とは美味い酒が飲めそうだ!」

 

「ウッハ! GBNが誇る2大ケダモノロリコンが友情を結んだ☆ 歴史的瞬間ッスね!」

 

「「誰がケダモノロリコンだああああッ!!! テメェみてえな頭の軽いバカが面白半分にそういうこと抜かすから俺達は肩身の狭い思いをするんだろぉおがああああ!!」」

 

そして、俺達は友情の証として、無礼千万な暴言を抜かしたアキラ(アホ)を力を合わせてフルボッコにし、地面の汚ぇシミに変えてやった。

 

だから! 俺達は! 断じて! ロリコンじゃねええ!!!

 

 

その後、俺達(一応、復活したアキラも含め)はマギーさんの先導の元、開会式及び各試合映像を映し出すスタジアムへと移動。

 

満員の観客席からの視線を向けられながら、他の数百人の選手と共に整列していた。

 

そして最前列の先にある壇上ではSDガンダム【ガンダイバー】型のダイバールックをしたGM(ゲームマスター)が、開会の挨拶を始め、スケジュールやルールに関する説明をひと通り行っていた。

 

「――では最後に今回、我々運営側と共に本大会を企画したフォース・アヴァロンのリーダーでもあるクジョウ・キョウヤから開会の挨拶してもらう」

 

「「「「ワアアアアアアアアアア!!」」」」」

 

パチパチパチパチ!

 

そう言って壇上から下がったGMに代わり、1人の青年が壇上に上がった途端、観客席や俺達の居る選手席から惜しみない拍手と喝采の嵐が起きた。

 

この電子世界に於いて絶対的な実力と人柄を併せ持ち、ある種の神格化すらされているGBNのカリスマ――クジョウさんの人気はやはり別格というレベルだった。

 

(ししょーししょー、あの金髪の優しそうなお兄さんがチャンピオンさんなんですか?)

 

周囲で『チャンプー!』『キョウヤ様―♡』などと歓声が起きる中、数少ない彼の顔を知らないユナは、俺の服の裾を掴み小声で訪ねる。

 

(ああ、そうだよ。このGBNで1番強い人だ)

(そうですか。……あの人が、私がいつか倒さなきゃいけないチャンプ……敵……)

 

――ゴゴゴゴゴゴ

 

(……開会式の最中に闘気を放つの止めなさい)

 

ミズキさんとの一戦以来、『チャンプになる!』という目標の下、やたらと気合を入れる様になったユナであるが、如何せんアクセルベタ踏み状態というか、意気込みが尋常じゃない。

 

……一体、何がこの()をここまで駆り立てるのだろう?

 

何かもう、執念じみた意志すら感じられて、正直ちょっと怖い。

 

全く根拠のない話だが、俺の中の第六感が『ユナがチャンプになったら取り返しがつかない事になるぞ!』と警鐘を鳴らしている。……ような気がする。

 

一方、そんな俺の意味不明な危機感を他所に、クジョウさんは滞りなく開会のスピーチを行っていた。その堂の入った喋り方は流石、場慣れしたものを感じさせる。

 

『――さて、皆の日々の活躍もあり、近年では益々の隆盛を極めるGBNではあるが、最近少し“良くない流れ”が散見されている。皆にとっても記憶に新しい“ヴァイス・ユニオン解体事件”。――我々のフォースのメンバーもその騒動の中軸に名を連ねており、忸怩たる思いだ。この場を借りてお詫びしたい』

 

刹那、それまで黄色い歓声に包まれていた会場内が、熱が引いた様に鎮まっていく。

 

静寂の中に『確かに……』『アイツらには迷惑したよな……』という非難めいた囁きが聞こえた。それでもクジョウさんは、謝意を示しながらもあくまで毅然とした態度を貫きながら、演説を続けた。

 

『確かに、GBNという世界の根幹は戦いにあり、武勇に秀でたダイバーやフォースが敬意の対象とされるのは必然なのだろう。――だが、忘れないで欲しい。敬意と権威は別の物であるという事を。例えどれほどランクが高かろうと、困難なミッションをクリアし、武勲を挙げたフォースだろうと、そこには何ら特権など存在しない事を。全てのダイバーは、等しく平等だという事を!』

 

勤めて冷静に振舞おうとしながら、最後の最後で秘めた熱の一端を漏らしながら、自身の想いを説くクジョウさん。そんな彼の主張は客観的に捉えれば当たり前のことなのだが、だあらこそ、難しいものでもある。

 

強き者、優れた者、結果を残した者の意見を貴び、それを持たぬ者の言葉や意思を軽んじてしまう。それはある意味で、人の本能的な行動と言えるものだ。

 

何時だって人は心の安定を求め、その拠り所として絶対なる“強者”を求め、その先導を受けたい。道しるべとなる存在を欲している。

 

そして大多数のダイバーにとって、クジョウさんこそがまさにそうなのだ。

 

優れた者でも道を間違える事はある。

 

そんな当たり前のことを人は中々、真の意味で理解できないのだ。

 

『――大会と関係ない話を長々とすまない。諸君の健闘を期待する!』

 

会場内に広まった張り詰めた空気の緩和の為に締めの言葉を残し、クジョウさんは壇上から降りる。

 

これは俺の勝手な憶測なのだが、恐らくクジョウさん自身、この場でこういった問題提起みたいな演説をするつもりはなかったのだろう。

 

だが、こうした多くのダイバーの耳目が集まるある種の絶好の機会に於いて、どうしても自分自身の想いを伝えたかったのだろう。

 

――或いは、思わずそうせずにいられないほど、彼の心には余裕がないのかもしれない。

 

全てのダイバーは平等であり、特別な“選ばれた者”など1人もいない。

 

それは傲慢な選民思想に傾倒しつつある上位ランカーや元・有志連合メンバーに対する警鐘。若しくは自分を卑下するミドルランカーに対する激励であると同時に、“持つ者”であるが故に抱える苦悩の吐露なのではないか?

 

――少なくとも俺は、そう思わずにはいられなかった……。




現実世界に於いてもゲーム等遊びの世界に於いても、優秀さ=権威と考え違いをしてしまう事ってあるものです。

それを自覚し、履き違えないようにするのは、意外と難しい(汗)
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