ガンダムビルドダイバーズ REBOOT   作:キラメイオレンジ

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大変長らくお待たせいたしました。
現在、リアルでやる事が多く相変わらず亀更新が続きますがご容赦を!
GWが全然輝いていないのがちょっと悲しい(泣)


第55話 剣聖降臨

『やあ、君はさっきの……ダイチくんだよね? いきなりで悪いけど、オジさんも仲間に入れてくれないかな?』

 

青天(せいてん)霹靂(へきれき)』という(ことわざ)を体現する様な剣技を披露し現れたリアル武者タイプのガンプラーー【剣聖(けんせい)ガンダム】を駆り現れたツカハラさんは、あまりにも自然体で、それこそ公園で遊びに混ざりたがる子供の様な物言いで介入の遺志を示す。

 

徹底的に作り込まれたガンプラが醸し出す重厚なオーラと歴戦の猛者が放つ情報圧とそうした人柄のギャップが凄まじい……。

 

(ツカハラさん)は、たった一太刀の斬撃だけで、完全にこの場を支配してしまったのだ。

 

『~~~っ! ざけんな!!』

 

全ての視線が剣聖ガンダムに集まる中、いち早く動いたのはスローネツヴァイを駆るノハラだった。

 

GNバスターソードを振り上げて背後を取り、まだ戦況や各機体の戦力を理解していない内に仕留めようという魂胆なのだろう。実際、動きやタイミングは実に見事だった。

 

しかし――

 

七星天剣流(しちせいてんけんりゅう)回螺旋斬(かいらせんざん)”!

 

『……っ!!』

『うん。いい奇襲だ。殺気の解放が後0.5秒遅かったら斬られてたかも』

 

完璧に不意を突いた筈のノハラの動きを見切ったツカハラさんは、流れる様な動きで踵を返すと同時に回転斬撃を放ち、スローネツヴァイの主武装であるGNバスターソードを両断した。

 

通常、実体剣同士がぶつかり合えば、物を言うのはその強度と質量だ。

 

つまり本題ならその両面で勝る筈のバスターソードが刀を折るというのが順当な結果だ。

 

にも拘わらず、剣聖ガンダムが振るった日本刀はまるで豆腐の様に容易くバスターソードを斬り裂いて見せた。

 

圧倒的な作り込みによる完成度。そしてファイターとしての達人級の技量が合わさってはじめてできる神業だ。

 

これが、プラフスキー粒子型バトルシステム――ガンプラバトル黎明期を駆け抜けた猛者の実力……!

 

『いやぁ、GBNは凄いね? ミドルクラスというから、まだ経験の浅い子が中心なのかと思えば、こんな使い手がいるなんて。オジさんびっくりしたよ』

 

一方、そんな圧倒的な実力を示したツカハラさん当人は極めて自然――というか天然入った物言いで穏やかな笑みを浮かべる。ガンプラが見せる動きとのギャップが凄まじい。

 

「あー……いや、その辺は少し事情が入り組んでまして……」

 

『テメェこのロートル!! なんでこんな早く来やがった!? 足止めしてたケイラはどうした!!?』

 

現状をどう説明しようか悩む俺を押しのけ、怒りをたぎらせるノハラがツカハラさんに尋ねた。成程、予め幾らかの戦力をツカハラさんに対する斥候として派兵させていたのか。

 

『ケイラ……もしかするとソードカラミティの子かい?』

 

『ああそうだ! リアルタイプ武者に対抗する為に“実体兵器殺し”であるTF(トランスフェイス)装甲と大型剣を実装したアイツは、テメーにとって相性最悪だった筈だ! いくらアンタでも、この短時間で倒すなんて……』

 

ノハラの疑念は最もだ。

 

観た所ビーム兵装の類を装備していない剣聖ガンダムが物体の運動エネルギーを拡散する性質を持ったPS(フェイズシフト)装甲や、その発展型であるTF装甲を搭載した機体に勝つのは容易ではない。

 

無論、ビーム兵器なしでも攻略する術はいくつか存在するが、相性最悪なのは間違いない。

 

『うん。確かに彼はなかなかの使い手だったね。キミの言う通り、実体装備の運動エネルギーを拡散させるTF装甲には苦労したよ。――だから、“頑張った”』

 

『ああっ!?』

 

そんな疑念に対するツカハラさんの回答は、小学生みたいレベルのざっくりしたものだった。

 

『運動エネルギーが拡散されるなら、その上で尚装甲を斬り裂ける斬撃を放てば良い。単純な理屈さ』

 

……なんか。所謂1つの“チートハーレム主人公”みたいなでたらめな理屈を言い出したぞ?

 

確かにPS装甲などはあくまで『物理攻撃無効』なのではなく『運動エネルギー拡散による衝撃の軽減』なので理にかなってはいると言えなくもないが、だからと言って容易に実践できる人間が果たしてこのGBN内に於いてどれだけ存在するか……。

 

“十数年ぶりにガンプラバトルの世界に舞い戻った伝説の剣聖”。

 

その参戦を知った者の中には『所詮は第一線を退いた老兵(ロートル)』『バトルシステムが洗練されていない古い世代の亡霊』などと評する者もいたみたいだが、果たしてそんな薄っぺらい知識と見解でその様な的外れな見解を述べた者達はどんな顔をしてこの戦いを見ているのか……。

 

閑話休題(それはさておき)

 

ツカハラさんというジョーカーの介入は、サブアカ同盟とそれに刃向かい俺達の戦況を一変させた。

 

『それでダイチくん、僕は具体的に誰を相手すればいいのかな?』

 

「えっ、俺の指示で動くんですか!?」

 

『うん。だってこの中じゃキミが1番そういう役周りに向いてそうに見えるよ? 僕は指揮とかする柄じゃないし、そっちの2人もまだちょっとそういうのは早いだろ? だから、キミの作戦に従う。(ゼータ)とアストレアの子も、それでいいね?』

 

『了解です。先程の借りは、ここで返させてもらいます!』

『俺もだ。取り敢えずアイツらを片付けるまでは、俺らの命、預けてやるよ!』

 

「2人共……分かりました」

 

会って間もない俺に命を預けてくれる彼らの心意気を受け止め、俺は当座の司令塔を引き受けた。負けられないという理由がまた強くなった。

 

俺はここまでの戦闘経験に基づき、残り4機となったサブアカ同盟の戦力を検証した。

 

スローネツヴァイ:サブアカ同盟の司令塔にして恐らく最強の実力者。ファングとバスターソードを損失。

 

グシオン:主武装のハンマーを失ったが重装甲とパワーは健在。胸に搭載されたバスターアンカーは要警戒。

 

レジェンドガンダム:ドラグーンを数基失っているが本体のダメージは軽微。

 

マスターガンダム:目に見えたダメージは見られない。

 

機体の状態だけ見ればレジェンドとマスターが良好だが、『倒し難さ』という面で観れば最も厄介なのはグシオンだろう。

 

そして、この状況下でノハラが選ぶ行動は……。

 

「――整った。皆よく聞いてくれ、作戦はこうだ」

 

彼我の戦力。各機体の損耗度、戦いを通して理解したサブアカ同盟の行動パターン。

 

それらを精査して導き出した作戦を3人に伝える。

 

「――以上です。正直、即席プランも甚だしいですけど、信じてくれますか?」

 

俺として考えうる限り最も勝率の高い作戦を練ったつもりだが、やはり即席チームであり数秒で考えた作戦なので不確定要素も多い。

 

特にまだ経験の浅いエイジ君とユリエさんには、我ながらかなり無茶を強いているという自覚はある。

 

『……へっ、上等! 考えようによっちゃ1番オイシイ役どころって奴じゃねえか!』

『私も異議はありません。必ず自分の役割を果たして見せます』

『勿論僕にも不満はないよ。それじゃあ、行こうか!』

 

だが、そんな俺の拙い作戦をツカハラさんたちは快く了承してくれた。

3人の潔い心映えに感謝をしつつ、俺は意識を、サブアカ同盟の4機に向けた。

 

「ありがとう皆。それじゃあ――ミッション開始だ!!」

 

号令をかけると共に、俺はゼロクアンタライザーと共に先陣を切り、ツカハラさん剣聖が後に続く。こちらの出方を窺っていたサブアカ同盟も迎撃に打って出る。先陣はマスターガンダムだ。

 

「頼みます!」

『ああ、任された!』

 

俺はミラージュステップは起動させてマスターの蹴りを回避し、後詰めのツカハラさんにその相手を任せる。

 

『ゲッ、剣聖……! ロイ!! 頼む!!』

『分かっている!』

 

一瞬で2機の僚機を斬り伏せた怪物と1対1(タイマン)など冗談ではない。

 

ある意味で当然の考えに至ったマスターガンダムの要請に沿い、レジェンドはドラグーンを射出して援護に回る。当然、ライフルと防御兵装を失った俺など歯牙にもかけない。

 

――狙い通りだ!

 

現状サブアカ同盟で最も損傷が少なく、必然的に戦力の要となる彼らがこちら側の最大戦力となるツカハラさんと戦う。これは双方が想定した事態である。

 

問題は、残る戦力をどの様に振り分けるか。俺の受け持つ相手は――グシオンだ!

 

「ゼロクアンタライザー、悪魔を討滅する!」

『死にぞこないが! そんなちゃちな刀でグシオンの装甲が斬れるかよぁ!!』

 

柄と槌を切り離されたハンマーに代わり、(なた)型装備のグシオンチョッパーとサブマシンガンを装備したグシオンが、スラスターを吹かす。

 

メイン武装であるハンマーを失い、ここまでの戦いで目立った活躍こそしていないが、俺の見立てではコイツが1番“倒し難い”のだ。

 

丸みを帯びた分厚い重装甲は大概の実体兵器による衝撃・斬撃をものともせず、ナノラミネートアーマーによりビームも弾かれてしまう。

 

原典作品である【鉄血のオルフェンズ】に於いては、太刀の特性を活かした【ガンダムバルバトス】により装甲の隙間を衝かれてパイロットが死亡したが、逆に捉えれば作中に於いてもその装甲は破壊されずある意味で“無敵”を貫いた。

 

そして、阿頼耶識システムなどという便利な物を搭載せず、それに比肩する反応速度も精密機動も出来ない俺には、原典と同じ攻略は難しい。

 

だが、それでも……重装甲を突き破る強力な装備も、都合の良いシステムがなかったとしても、戦い方はある。

 

「ゼロクアンタライザー、悪魔を討滅する!!」

 

ライザーウィングのスラスターからGN粒子を放出し、迫るグシオンの突撃を躱す。

 

 

・・・・・

 

 

ノハラside

 

 

リアル武者の斬撃で斬り裂かれ、半分になった刀身を確かめながら、剣聖(化物)の戯言を聞いて苛立った。

 

『運動エネルギーが拡散されるなら、その上で尚装甲を斬り裂ける斬撃を放てば良い。単純な理屈さ』

 

化物が……!!

 

純粋なガンプラの完成度と技量だけでPS装甲で両断? ふざけやがって! 

これだからあの世代の連中――プラフスキー粒子世代はムカつくんだよ……!

ゲーム上の設定という概念を作り込みだけで容易く超越しやがる。

事も無げにやってのけているのが不愉快でたまらない。

 

――いや、落ち着け。ここでキレても何の得にもならねえ。

 

とにかく目障りなダイチ(ゴリラ)を仕留めきれずに剣聖が合流したのは想定する中で最悪な状況だ。しかも老兵(ロートル)と侮っていた剣聖は予想を遥かに超える怪物と来ている。

 

対してこっちで残っている戦力は俺自身も含めて4機。

どいつも腕は悪くねえが、ゴリラと剣聖を同時に相手して勝てるとは到底思えねえ。

 

……こりゃあ、ボチボチ潮時って奴だな。

 

こっちの計画を台無しにしたクソ野郎2人を八つ裂きにしてやりてぇ気持ちはあるが、勝てもしない奴に挑んで返り討ちなんて冗談じぇねえ。

 

勝ちのねぇ戦いに、価値はねぇ。

 

だからこの場は、この同胞(バカ共)を囮にして離脱し、制限時間まで身を隠しポイントとビルドコインを獲る。

 

クソ雑魚のミルドランカーを狩れねえのは口惜しいが、この上で儲けまでなしなんざ冗談じゃねえからな。

 

『――ミッション開始だ!!』

 

作戦の段取りを整えたゴリラがシングルドライブのクアンタで突っ込み、後に剣聖のガンダムが続く。俺は捨て駒にする事を決めた連中が迎撃についたタイミングで、俺はスローネツヴァイを飛翔させその場から離脱した。

 

――悪いな同士諸君! 健闘を祈るぜ!

 

まんまと逃げ仰せる事に成功し、思わず笑みが零れる。

そうだ。何を剥きになる必要があった? 結局生き延びた奴が勝ちなんだ!

 

つまり俺は、この戦いの勝者――

 

『まさかあの状況で1人尻尾撒いて逃げるなんて……させられるわけねえだろ!』

 

「っ!!」

 

安寧を勝ち取ったと思った矢先、後方から飛来した粒子ビームが肩を掠めた。

 

踵を返すとそこには、さっき介入してきたミドルクラスのガキ共が駆るZとアストレアが居やがった……!

 

『ダイチさんが言ってました『あなたみたいなタイプは形勢が傾けば必ず仲間を囮にして逃げるだろう』って。だから私とエイジさんは、あなたの同行を注視していました。手負い相手に2対1ですが、この期に及んで卑怯なんて言いませんよね?』

 

ダイチだと!?

あのクソゴリラ、どこまで人を不愉快にさせりゃ気が済むんだ!?

 

湧き上がる殺意に気を取られた所為で、次の瞬間に距離を詰めてビームサーベルで斬りかかるアストレレアの攻撃への反応が遅れた。

 

クソ! この俺がこんなミドルランカーの攻撃に当たりかけるなんて……!

 

『逃がしゃしねぇぞ卑怯者! ミドルランカーの意地、見せてやる!!』

 

「喚いてろクソガキ!!」

 

生意気そうなZのガキに言い返し、左腕のGNハンドガンを放つ。

確かにこちとら主武装が潰され粒子も底を尽きかけているが、それでもこの程度の連中にやられはしねえぞ!

 





VSサブアカ同盟編もいよいよ佳境です。
まあぶっちゃけ、ダイチらが頑張らなくてもツカハラおじさんがハッスルすれば事足りるんですが、そんな無双もつまらないのでこんな感じにしました。

名も無きミドルランカーの意地、お楽しみに!


【剣聖ガンダム】
・伝説の剣豪ダイバー、ツカハラ・カイデンが製作・使用するリアルタイプ武者のガンプラ。

RG(リアルグレード)の【RX-78 ガンダム】をベースに武者頑駄無作品【新SD戦国伝 天星七人衆】に於ける主人公・武者頑駄無零壱(ゼロワン)の師匠である【剣聖頑駄無】をイメージした甲冑と外套(マント)を纏った“リアルタイプ武者”のガンプラ。

・主武装は腰に携えた“対MSスケール”を想定した日本刀【金剛剣(こんごうけん)】と背中に携えた“対MA・大型スケール”を想定した野太刀【轟刀・星響(ひしひびき)】の2本の刀剣“のみ”。刀身および外套・甲冑にはビームコーティング処理が施されており、生半可なビームはものともしない(無論、同じ個所に受け続ければコーティングは剥がれる)。

・本機のコンセプトは極めてシンプル。それは『ツカハラが全力で刀を振るえるガンプラ』である。例えば、仮に同じ刀を使うアストレイレッドフレーム(相応の完成度)などを使った場合、余りにも凄まじい斬撃にフレームが耐え切れず若しくは刀身が消滅するなどの不具合が起きてしまう。その為、本気は内部フレームが再現されたRGを更に緻密に作り込み、2本の刀も実際の日本刀を徹底研究しメタリックカラー塗料などて作り込んだ業物(ツカハラは納得ができる物を作り上げるまで20本の試作品を作った)。頑健さと柔軟さを破綻しないギリギリの分水嶺で作り込み、あらゆる実体・ビームを斬り裂く“なんでも斬れる刀”で敵を滅する。ただそれだけのガンプラである。

・設計にあたり、ガンダムよりフレーム面で優秀なマーク2やレッドフレーム、若しくは鉄血のガンダムフレームを採用することも検討したが、原典の再現度を高める為に敢えてガンダムにした。

・逆に言うとこのガンプラは『ビームコーティングをした甲冑を纏い刀を装備しただけのファーストガンダム』であり、駆動性と防御力以外のステータスは特別高い訳ではない。特に、機動性に関しては甲冑の影響から高い完成度を以てしても原型機に劣る。また、頭部バルカンを含め銃火器の類を一切持たない為、攻撃手段は斬撃一択。

・仮にツカハラ以外がこのガンプラを使った場合、バランスの悪い重装甲と脆弱な機動力と攻撃手段に四苦八苦し、まともなバトルは困難。但し、操るガンプラを自壊させる程の技量を持つツカハラが使い手になった場合、『実体剣によるPS(フェイズシフト)装甲殺し』という(ことわり)すら超越した一太刀を放つ事すら可能となる。

・攻撃手段は前述の通り2本の刀だが、原典の剣聖頑駄無が操る【七星天剣流】の技を“ツカハラ自身の技量で”再現した多彩な剣技を戦闘の主軸とする。というか実は剣聖の異名を持つ彼は『剣術以外の戦闘が出来ない』というポンコツなのでこの戦い方しかできない。
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