ガンダムビルドダイバーズ REBOOT   作:キラメイオレンジ

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原作キャラ初登場。

ちゃんと再現できてるか不安(汗)


第6話 ELダイバー

 

「はぁ~単なる初心者狩りかと思ったらまさかELダイバー絡みの事件とか、何か大ごとになっちゃったッスね~」

「折角先輩さんを餌に摘発しようと思ったのに残念だったねぇアッくん?」

 

「オイ、ちょっと待てコラ」

 

少年ダイバーが去った後、『詳しい説明は戻ってからするッス』というアキラに従いメインゲートに戻った俺は、思わず本音を零した可愛い後輩の背中に蹴りを入れて問い質した。

 

「お前もしかして、最初から全部わかった上で俺をあのチュートリアルミッションにひっぱったのか? Sランクの自分がうろついてたら感づかれるから、GPD経験者でFランクの俺をけしかけて初心者狩りを捕まえて手柄にしようと思ってたのか!?」

 

「や、やだなー先輩、自分はただ、たまたまGBN始めようとした先輩にちょっとだけ刺激的なイベントをプレゼントしようと思っただけッスよ~」

 

「何が刺激的なイベントだタコ! 大体お前は昔から――!」

 

「あ、あの~」

 

俺がアキラの胸倉を掴んで問い詰めていると、桜色の髪をポニーテールにした少女ダイバーが控えめに声をかけてきた。

先程共に戦ったナドレのパイロットで名前は【ユナ】と言うらしい。

 

「ああ、ゴメンなユナさん。コイツぶっ飛ばすのは話聞いた後にしなきゃな。お兄さんうっかりしてたよ」

 

「あっ、いや! そもそもぶっ飛ばすのはやめましょう!? アキラさん、でしたっけ? その人だって悪気があったわけじゃないでしょうし……」

 

「そうそう! いや~ユナちゃんは若いのに物分かりいいッスね! 俺はただ、昔から正義感の強いダイチ先輩に力を貸してもらおうとしてただけで……」

 

「テメェはまたそうやって口から出まかせを! ていうか初対面の女の子に気安くちゃん付けするな! 失礼だろ!」

 

「あっ、いえそれは全然! ダイチさんも、さん付けなんかしないで呼び捨てにしてください! 年上の人にさん付けとか、逆に緊張しますから!」

 

「ああ、そう? じゃあ――ユナ?」

 

「ハイ♪ えへへ」

 

言われるがまま呼び捨てで名前を読んだら、ユナは満面の笑みを浮かべ、結ったポニテを犬のしっぽみたいに揺らした。

 

ヤベェ可愛い!

なんだこの気持ち……? 超ホッコリするんですけど!?

何かこう、子猫にすり寄られたみたいな、全身全霊で守りたくなる気持ちになる。

世の妹とか娘がいる男は皆こんな気持ちになるのか?

 

(ねぇねぇアッくん? 先輩さんってもしかしてロリコンなの~?)

(いや、学生時代はクール系な1つ上の先輩と付き合ってたから違う筈っスけど……辛い社会人生活で性癖が歪んだ可能性はなきにしもあらず……)

 

「お前ら、ヒソヒソ話はせめて聞こえない様に話せ? ていうか早く説明しろ」

 

在らぬ疑いを向けるバカップル共に釘を刺し、本題に軌道修正する。

 

するとアキラは辺りを見回しながら『ちょっと待ってくださいね? あっ、きたきた!』と言って1人のダイバーの元に駆け寄った。

 

「コッチッスよ【マギー】さ~ん!」

「ハ~イ、待たせたわねアッキー! リエちゃんもお久し振りね♪」

「あひさでーす♪」

 

現れたのは胸元を大きくはだけさせた服装と引き締まった身体が印象的な“お姉系”のダイバーだった。

 

「先輩、こちらは上位フォース【アダムの林檎】に所属するベテランダイバーのマギーさんッス。マギーさん、こちら俺の高校時代の先輩で今日初ダイブしたダイチさんッス。後、そっちにいる娘は初心者狩りに巻き込まれた同じく新人ダイバーのユナちゃんッス」

 

「あ、えっと、ダイチです」

 

「アラ~貴方が噂のダイチくん? アッキーからよく話は聞いてるわよ~! とってもいい先輩だったって♪」

 

「えっ? アキラが!? いやぁ、そんな……」

 

何だよアキラの奴、人をなめくさった態度ばっか目立つけどなんだかんだ俺の事慕ってるんだな……。

 

「『ちょっと褒めるか泣き付けば何でもしてくれるとっても都合のいい先輩』ってね?」

 

「ア~~キ~~ラ~~く~~ん?」

 

「ギャアアアアアアア! マギーさんのお茶目さん!!」

 

俺はあふれる怒りを力に変え、ダイバー姿でスーパーモードに開眼。

シャイニングフィンガーを決めてアホの身体を持ち上げる。

 

「いくら腕が信頼できるからってなにも知らせずに人をダシに使うからよ! 少しは反省なさい! 全くもう……本当にこの子ったら」

 

成程。どうやらこのマギーさん、俺がガンプラから離れている間、アキラ(このバカ)に苦労させられたみたいだ。

 

正直、親近感が沸く。

 

「あ、あの、私はユナです!」

 

「アラ、こっちの娘はとってもチャーミングね♪ GBNは初めて? 貴方みたいな女の子が1人で初ダイブって結構珍しいわね?」

 

「ええと、遠方にいる友達と一緒に始める予定だったんですけど、ちょっと都合が悪くなっちゃったみたいで……」

 

「そうだったの……改めてごめんなさいね? 折角の初ダイブで変な事に巻き込んじゃって。そっちのユナちゃんも、GBN、嫌いになっちゃった?」

 

「い、いえ! 寧ろ凄くワクワクしました! トランザムを使ったダイチさんの戦いが凄くて! 私もあんな風にガンプラ動かしてみたいって思いました!!」

 

そんなマギーさんの心配に対し、ユナは瞳を輝かせて答えた。

そのキラキラした眼差しが正直こそばゆ嬉しい……!

 

「フフ、なら良かったわ。――それじゃあ改めて本題に入りましょうか」

 

 

・・・・・

 

 

マギーさんに案内され俺達は彼……いや、彼女? が所属するフォースの拠点【フォースネスト】の一室に案内された。

 

「さて、改めて2人に説明するとなるとELダイバーについて話さないといけないかしら? 2人とも、ニュースとかで見聞きした事はあるかしら?」

 

「える、だいばー??」

 

「確か、2,3年位前にこのGBNで存在が確認された世界初の電子生命体の事でしたっけ? 当時は結構騒ぎになりましたよね」

 

頭から『?』マークを大量生産するユナ(可愛い)に対し、俺は若干説明口調に答えた。

 

「そう。“ある子”曰くこの世界の『大好き』が集まって生まれた生命(いのち)ってね。最初に“確認された”ELダイバー【サラちゃん】をはじめ、続々とこの世界で生まれた彼らの数は今では100人に迫ろうとしてて皆、運営や発見したダイバーの保護下で生活してるわ。因みに私も1人【メイちゃん】って子の後見人をしてるわ」

 

今一つピンとこないユナは置いて、マギーさんは自前のフォトを映し出しながら説明する。

 

映し出されたのは仲間達に囲まれて楽しそうに笑うサラという娘を始めとした少年少女。

 

傍から見ると人間のダイバールックと差はないが、電子生命体という誕生経緯からか、表情が豊かな子が多い印象を受ける。後、やや女の子が多い。

 

俺は少々心苦しいが、核心に迫った質問をマギーさんに向けた。

 

「そのELダイバーが、過去に何らかの不正に関わった記録はありますか?」

 

「……貴方、意外と容赦ないのね。けど少なくとも私の知る限りそんな話は起きてないわ。ELダイバー(あの子)たちは確かに皆、感受性が豊かで個性的ではあるけど本質的にGBNの世界を愛し、私たち人間のダイバーとも良好な関係を築いているわ。最初に言ったでしょ? 彼らは世界の感情――ガンプラやこの世界に溢れる愛が形になった存在だって」

 

「世界に溢れているのは愛だけじゃない。闘争心が転化した嫉妬や憎しみ、劣等感――そういう感情が目的の為に他者を傷つける“悪意”。そういう負の感情がELダイバーに影響を与える可能性は十二分に考えられるんじゃないですか?」

 

俺は矛を交えたエピオンを操る少年=ELダイバー? が見せた激情を思い返し、俺はマギーさんに思ったことをぶつけた。

 

少なくともあの少年が俺達にぶつけた感情には、確かな怒りがあったと、俺には確信があった。

 

マギーさんは、真剣な眼差しで俺を向けた後、溜息を零して首肯した。

 

「……その通りね。愛があれば憎しみもある。喜びがあれば怒りや悲しみだって存在する。それは人なら当たり前の事だし、あの子達を“人と同じ心を持っている”と言いながらマイナスな面から目を背けるのは、幻想の押し付け。それは分かってはいるのよ……」

 

――けどね? ELダイバー(あの子)達は本当に純粋でいい子たちなのよ。

 

現実を見据えながら俺の意見を肯定しつつ、感情面で割り切れていないのだろう。

 

それは俺が『情報として知っているだけの部外者』で、彼(彼女?)が『ELダイバーと深く関わりのある人間』だから来る捉え方の違いなのだろう。

 

正直、自分でも感じの悪い事を言っている自覚はある。言っていて心苦しい。

 

それでも、関わってしまった以上は、キッチリ対処しなければならないのが、大人というものだ。

 

「こんなこと、初ダイブした人達に言うのもどうかと思うのだけどね? ツカサちゃん――運営の手伝いをしている知り合いの話だと、運営側にはELダイバーの存在を快く思っていない人たちがいるらしいのよ。そういう人達がもし今回の不正行為に関わってると知れば……」

 

成程、マギーさんはこの事がELダイバーの立場を危うくすることを危惧している訳か。

 

確かに、今回の事件はそういう人間にとってこれ以上にないスキャンダル(付け入る隙)になる。

 

「……すみません。事情も知らずズケズケと不躾なこと言って」

 

「いいのよ。私1人じゃ理解できても整理をつけるのにもっと時間がかかったと思うし、大事になった後じゃ、それこそ取り返しがつかない事態になってしまうものね。ありがとうダイちゃん」

 

立場的に辛い筈なのに、問題を持ち込んで苦言まで吐いた俺に笑顔を向けてくれるマギーさん。――大人だ。ここまで人間が出来てる人と言うのは中々お目にかかれない。

 

俺はシステムウィンドを開き、先のミッションや少年ダイバーとの会話ログをマギーさんに転送しようとする。だが……。

 

「アレ? おいアキラ、俺のミッションログ、あのエピオンのとこだけ消えてるぞ!?」

 

ミッションログを開いて再生しても、ビルゴ3兄弟の戦闘データまでしか見られず、彼が関わった場面は不自然にカットされていた。

 

「はっ? 先輩ちょっと見せてもらっていいっスか!? ……マジだこれ」

 

アキラが俺のウィンドゥを確認し、自分のデータも覗いてみたが、やはりそちらも同様らしい。ユナやリエさんなどあの場にいた全員が同様の内容だった。

 

「やられたわね……。どうやら犯人の子、自分が介入する際に事前にミッションレコードを改竄する細工をしていたみたいね。勝っても負けても、自分の存在が表に出ない様に」

 

「データの改竄? そんな事簡単にできるんですか?」

 

「勿論簡単じゃないわ。いくらこれがチュートリアルミッションに偽装した【クリエイトミッション】でも、ミッションレコードとかアカウントログみたいなシステムの根幹に関わる部分を操作するなんて真似。一流レベルのハッカーじゃなきゃ不可能よ。勿論、ただELダイバーというだけで出来る芸当でもないわ」

 

「マギーさん。ひょっとして今回の件、予想以上にヤバい奴が関わってるんじゃないッスかね? 3年前に起きた【ブレイクデカール事件】に近い匂いがするッスよ……」

 

アキラが非常に珍しく低い声で警鐘を鳴らす。

このバカがここまでシリアスのなるという事は成程、確かに危険なにおいがする。

 

 

 




原作に登場するELダイバーは基本的に良い子達ばかりですが、作者は心の濁った汚い大人なので『人の想いが形になった存在なら、負の感情で生まれたELダイバーが居てもおかしくないのでは? 寧ろいるのが必然』という腐った発想で今回のネタを思いつきました。


【ビルゴ3兄弟】
少年ELダイバーの指示の元、チュートリアルミッションに偽装したクリエイトミッションで網にかかった初心者を誘い込み、NPC機の振りをしてフリーバトルをけしかけポイントを搾取していた初心者狩り3人組
全員が濃ゆい顔をした典型的な悪役ダイバールックだが、名前がそれぞれシュミット、アルバート、リートリヒと無駄に美形。そして声も無駄にイケボ。
登場するビルゴはNPC機風に塗装しているだけで原型と同様の性能。練度の高い連携と堅実な操作技術を誇り、ダイチの見立てでは初心者狩りなどしなくても普通に強いと思わせる腕前。因みに彼ら3人はエピオンルベールが退却する少し前、どさくさに紛れてバトルアウトしており、少年ELダイバーの細工でアカウントが特定されない様に細工されたが戦闘レコードだけは残った(クリエイトミッションの成否にかかわる部分の為)。
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