負ける。そう本能が、身体が感じていた。撃ち合っている俺の光波熱線(ライトニング・ザギ)がノアの光波熱線に徐々に押されて俺に向かってくる。
この数十年で用意周到に計画筈なのにだ。計画自体は驚く程順調だった、奴の…ノアの光を奪い俺の身体を復活させ奴を永遠に葬りさる筈だった。
だがしかし、消し去った筈のノアは孤門一輝に光を宿し再び俺の前に現れた。孤門一輝はさっさと始末すればよかったか?まあ別にいいだろう奴の光で復活した身体で奴を始末すればノアにとって最高の皮肉になるだろう。そう思い細く笑んだ俺はノアを完全に始末する、そのつもりだった。
だが実際どうだ?奴を責めるが決めきれない。俺の方がノアより強い筈だ?ノアの力は完全ではない筈だ?何故決めきれないのだ?責めきれないのにイライラする、さっさと貴様は消え去れ!超重力光線(グラビティ・ザギ)を撃ち込み奴がバリアで防ぐ、するとどうしたことだ?奴は光に包まれていき姿が変わっていった。
この光はなんだ?まさか人間どもがノアに力を与えているのか!?馬鹿な!!さっきまで奴らは俺やビーストども達への恐怖に支配されていたのだ、それなのに何故希望を持ち始めたのだ?…ふざけるな、ふざけるな!道具の分際で!そして俺の前にノアが…完全な姿を現した。まさか俺が貴様の光を奪い逆に闇に変換し復活を果たしたのと同じように貴様も人間希望の光を取り込み復活を果たしたというのか!?
忌々しい…道具の分際で!だが落ち着いて考えればこれはいい機会だ。奴が完全な力を取り戻したのは想定外だったがノアを倒すことで俺が唯一絶対の存在になるチャンスが最強の存在に進化する時がやってきたのだと。俺は雄叫びを上げて奴に戦いを挑んだ。
だが現状はどうだ、互角だった筈なのに奴との実力差はまるで蟻と象だたったの拳一発で宇宙まで殴り飛ばされる始末だ。何故?奴との能力の差はなかった筈だ、確かに俺と互角だったはずなのに。
そして、徐々に押していた奴の光波熱線が俺の熱線を打ち負かし一気に俺に向かってくる、殺られると思ったのと同時に熱線が俺に直撃した。
「ヴアアアアアアアアァァァァァァ!!」
体が消滅していく、奴の熱線を受けた場所から焦げ臭い臭いがする。おのれ…俺の野望が…こんな形で…。
その日、暗黒破壊神ダークザギはノアによって焼き尽くされた。彼が敗北した理由は単純ウルトラマンと人間の絆を侮った、ただそれだけのことだった。
わかりきった話だ、常に誰かを利用し続け独りよがりな考えを持った者が絆をつないできた者に勝てるわけがないからだ。ウルトラマンは大勢を助けそして助けてもらった人はウルトラマンを助けようとしてくれる、だがザギは他人利用し続け奪い尽くすだけだった、そんなザギを助けようとする者など1人もいなかった唯それだけの話だった。
だがしかしその不死身ともいえる暗黒の魂は完全に滅びていなかった。彼の魂は時間を、そして無限にあるマルチバースをいくつも飛び越え彼のいた地球とは別の地球に辿り着いた。
そして彼は唐突に彼は目覚めた。
「………ここは……何処だ?俺は…一体何処に……何が?………そうだ、俺は……」
目が覚めた俺は地面に無様に転がっていた。
何があった?何故俺はここにいる?俺は記憶が混乱していたが徐々に記憶が蘇ってきた。…そうだ…俺は、ノアに…負けたのだ。ノアに、負けた………………ふざけるな、ふざけるな!!
「ノォォオオオオオオオァァァァアアアアアアアアアアアアッッ!!」
絶叫を叫び地面を叩こうとする、だが地面に叩きつけた筈なのだが俺の腕は地面に叩きつけた筈の感覚がなかった。違和感を感じ俺の手を見ると本来あるはずの手がなかった。いや、俺の体が存在していなかった。正確には今の俺の体と言っていいのかわからんが今の俺の体は黒いガスがヒトガタの形になっていた。例えるなら幽霊に似た姿だ。
何という無様な姿だと苛立ちながら立ち上がるがその瞬間に体がボロボロと僅かに崩れた。
「体が崩壊しているか…。今の状態ではもって数分と言った所か、いや…もっと早いか」
右腕に当たる部分がボロボロと崩れた。まさかここまでの状態にされるとは、いや今は消滅する前に誰かの体を乗っ取って体を維持しなければ。
そう思い当たりを見回すが近くに人間がいない、ギリっと歯軋りをする。…今の俺には歯は存在しないがな。
笑えない。そう思っていると足が崩れた、俺の体も倒れる。…終わりか?こんな所で。
「グウウ、死ぬだと…ふざけるな!まだ終わってたまるか。俺はザギだ、ダークザギだ!!まだ終わらん、ノアを倒し唯一絶対になるまでは!!俺はこんな所で死ぬ気は…」
叫んでいるといきなり視界が半分になった。どうやら今度は顔の部分が半分崩れたようだ。
足掻こうと芋虫のように蠢くがもはや現状、どうにもならないと悟った。どうやらここで死ぬようだ。いやどこか別の宇宙でまた蘇るかもしれないな。冷静に考えれば済むことだった。
やむ終えないがまた次の機会にかけるとすか。
「はあ…今日の夕飯はどうしようかな、無駄遣い出来ないし…コンビニでおにぎり1個で我慢するしかないかなぁ」
声が聞こえた。声がした方向に顔を向けると俺の方に近づいてくるやつがいた。
あれは…どうやら人間のガキのようだな、まだ20にもなっていないようだがまあいい、このまま消滅する前にアイツの体を乗っ取り体を休めじっくりと時間はかかるが回復するとしよう。
そう考えると俺はガキの方に近づいていきそして…。
「近くにコンビニは…えっ何?」
ガキが俺の存在に気づいたのと同時に俺はガキに飛びかかるとガキは避けようと思わず後ろによろめき転倒した。
俺はそのまま倒れたガキの中に入り込んでいった。
「グッ!アヴゥゥガ!?…カハ!」
ザギが入り込んだ少年は体を苦しそうにうごめきながら声にならない悲鳴をしばらくあげていたが次第に動かなくなった。
そしてしばらく経った後上半身を起こすと周りを少し見渡し、首を傾げた後立ち上がった。
そして、少年は何事もなかったかのように夜の闇の中を歩いて行くのだった。