あれからちょっと月日が経ち現在4月、響と未来は無事にリディアンに入学したと2人から連絡が届いた。
電話で未来によると響が授業初日から木に登った猫を助け遅刻し、そして自分の教科書を別のクラスの子に貸して担任の先生に大目玉食らったと中々波瀾万丈な初日だったそうだ。
2人は同じ部屋で寮生活をするらしく仲良しで何よりだと思う。
自分は相変わらずふらわーでバイトしつつ人生を過ごしている。
自分や他の人達も、いつも同じだ。特に変化もない、そんな日常だ。
けど今自分は変わった場所におり、そこを延々と歩き続けていた。
ここは……何処かの森かな?
深い暗闇が続く森だ。
だけど不思議な事にその何も見えないはずの暗闇の中で自分の目ははっきりと周りが見えていた。
「またここにきたんだ…何回目だっけ?」
実際の所、これは夢だ。いつも寝た後よく見るのだ、そうして永遠と歩いているのかなと思っていたら最終的にいつもの遺跡に辿り着いた。
「また着いた、だけどここの遺跡なんなんだろう?というか壊れているし」
壊れた遺跡を歩いていく。途中石棺に似た石像を通り過ぎてしばらくすると突然後ろが赤く輝き振り返るとあたり一帯が燃えていた。
そしてその炎の中にで黒い巨人が叫びを上げている。
そして黒い巨人が自分に気づき、近づいてくる。そして自分に手をのばしてき、そして………。
ピリリピリリ
目覚ましの音がする。布団の中で少しもそもそした後布団から身を乗り出し目覚ましを止める。
あくびが出てくる。二度寝しようかなと思い布団に戻るが1分後、2分後かにやはり起きようと考え意識を覚醒させようと布団の中で背を伸ばす。そして布団の温もりを名残惜しみながら抜け出す。
「……眠い」
…………………とりあえず顔洗おう。
「今日はふらわーのバイト休みなんだよね。どーおーしよーかなー」
簡単な朝飯を食べた後、間延びした声を出しながらゴロンと横になる。
テレビを見ようにもテレビはない。新聞を見ようと思っても、特に新聞はとってない。
改めて家の中を見渡す。今更ながら本当に殺風景な部屋だと思う。この部屋は台所と部屋が一体になっており風呂はない。ちなみにトイレは共有。
せいぜいこの部屋にある装飾品といえば、ゴミ捨て場から拾ってきたちゃぶ台と窓の下に置いてあるラジオ、それから本が何冊か置いてあるくらいだ。
「別にラジオ何がやってるってわけでもないし……そうだ、散歩行こうかな。確かお茶が安いってチラシに載ってたし、買い物ついでに散歩に行くかな」
よっこいしょと立ち上がり鍵を拾い上げ散歩兼買い物に行く事にした。
「ねえ聞いた、ここから結構近くにでたわしいわよ」
「本当、怖いわねえ。此処に出ないといいんだけど」
「大丈夫よ、"ノイズ"に出会う確率は通り魔に出会うより低いらしいから。ニュースでやってたわ」
歩いていると近所のおばちゃん達の世間話が耳に入ってきた。
ノイズが出たのか、しかも近くに。
ノイズ、話によればかなりの昔から何処からともなく出現し人間を殺戮する正体不明の怪物。
ノイズに触れられた人間は消し炭となり遺体も原型が残らない。
理不尽な事にノイズには兵器が通用せず、倒す事ができない。どうも通り抜けてしまうらしい、無敵に見える、だがしかし時間が経つとノイズは自然に炭となり消滅するとの事だ。
ノイズに対する対抗手段といえば一般的にはノイズが消滅するまでシェルターに隠れて過ごすしかないだけだ。
自衛隊が対応しているが素人目に見えても自衛隊が戦っているのは撃退の為ではなく、一般の人達から遠ざける為の時間稼ぎ、悪くいえば肉壁という名のオトリなのだろう。
……逃げるしか対抗する手段がない。はっきり言ってそれしかないのが悔しい。
ノイズのニュースは以前からちらちらと出ていたが、民家の近くに熊が出てきたくらいの感覚だった。だが最近、ノイズの名が一気に有名になったのはあの2年前、ツヴァイウィングのライブ襲撃だろう。
あの事件で数多くの観客が死にツヴァイウィングの片方天羽 奏が犠牲になるなどしばらく連日トップのニュースになる程だった。
「自分がノイズを倒せる…殺せる力を持っていればいいのに……」
出来もしれないことが口から出てしまう。
自分はノイズが嫌いだ、出来ることならノイズに死ぬことの恐怖を思いっきり与えて殺したい。お前たちがどんな感情を持っているのか知らないが「死ぬことの恐怖を覚えながら死ね!」と言ってやりたい。
だけどそれができないのが現状だ。このまま出来もしないことを考えて妄想の中だけでしかノイズを殺すことができないだろう。
「本当、嫌になるよ。理不尽で」
ふと気がつくと辺りが暗くなり始めていた。あれからお茶を買った後適当にフラフラしていたらいつの間にかかなりの時間が立っていた。時間が経つの早いね。
帰ろうかなと思い立ち上がり、商店街の方に歩いていく。そしてなんだかいつもと雰囲気が違うのに気づいた。辺りに人っ子1人いなくなっていた。そして、消し炭が大量に落ちており風に舞っている。
「消し炭?…もしかして」
まさかノイズがと頭に浮かんだ瞬間街にノイズ出現の警報が鳴り始めた。
こんな街中に現れるなんて!どうする?落ち着いて、とりあえず近くのシェルターに避難しよう。確か近くにシェルターが「えっ?ひょっとして真くん!」この声は。
「響!どうして此処に、というかその子どうしたの?」
響が自分の後ろからまだ小さな女の子の手を引っ張りながらこっちに走ってくるのが見えた。
「親と逸れたみたいで…というかどうして真くんが…」
「いや、自分の事はどうでもいいとして…」
言葉が終わるか終わらないか、その瞬間何かの鳴き声が聞こえてきた。自分と響がそちらの方に振り向くと、その目線の先に蛙に似た人の大きさ並みの生き物が何匹も、ノイズがいた。女の子が悲鳴をあげるのが聞こえた。
「こっちだ、確かこっちの方向にシェルターがあった。響着いてきて!」
「うん、分かった!さあっ、おいで!!」
自分と響、女の子が走り出し、その何十秒後かにノイズが動き出した。
短いかもしれないですがご了承ください。