「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛…」
思わず口から呻き声のような声が出てしまう。今の"俺"はザギさんの力で巨大な姿になりノイズを見ていた。一気に身長が伸びたのが妙な感覚だ。
「この姿になるのは2度目なんだよね、あの時は殆ど意識がなかったけど…」
しかし今はちゃんと意識がある、事実上これが自分の初陣となる事になる。自分は着地と同時に踏みつけた芋虫に似た大型ノイズの頭を思いっきり踏み潰しノイズをボロボロの消し炭にした。
身体中の血液が沸騰しそうなほどに身体から熱を感じる。そして、感情が昂る。本能が戦え、殺せ、ヤツらを目の前から消し去れ、ノイズを引き裂けと叫んでいるように感じる。
『そうだ。戦え、それがお前の望みだったのだろう』
ザギさんが自分に喋る声が聞こえる……そんな事、言われるまでもない!!
「ガァァァァァァァアアアアアアア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!!」
口を大きく開きながら叫ぶと同時に俺は大型のノイズに飛びかかり、右腕で大型のノイズの頭を掴みそのまま地面に叩きつけ、左腕を手刀にして体に突き立てる、そのまま勢いに任せてノイズを真っ二つにした後、巨人のようなノイズに蹴りを叩き込みノイズを転倒させた。そのまま追い討ちを仕掛けようとするが、ふと下を見下ろすと小さなノイズがわらわらと集まってくる。だが俺は集まってきた近くの小型ノイズを多少、念入りに踏み潰しながら倒れてもがいている大型ノイズに飛び上がり膝蹴りを喰らわせ怯んだところを喉元に噛みつきそのまま食いちぎる。口の中で引きちぎったノイズの喉元が炭になったのでプッと吐き出す。
そして次のノイズを殺そうとしたらそのノイズが蒼い斬撃で真っ二つにされる。
「何だ、一体?」
斬撃の飛んできた方を振り向くと同時に俺の顔の横をヒュッと何かが通り過ぎた。直ぐに振り向くと1人の人間の少女が剣を使い次々にノイズを斬り捨てていた…しかしどういう理由か何故か歌を歌っていた。
だがその疑問を抜きにしてもその速さと強さを純粋に凄いと感じ、場違いだと思うが思わずとても戦い方が綺麗だと思った。
『感心している場合か?このままぼうっと、立ったままだったらお前の獲物が全て持っていかれるぞ』
ザギさんの声でハッと意識を戻し俺もノイズ殲滅を再開する。早すぎて少女の顔が見えないので誰かは知らないけど、今の所かは分からないが俺を攻撃する様子がないようだ。
そんな事を考えながら屈みながらノイズを子供が蟻を叩き潰していくように潰していく。俺に大型ノイズが近づいてきたのを感じたので迎え撃とうと振り向くと急に力が抜け、身体が重くなった。思わず前のめりに倒れてしまいそうになったので手を前に突き出して倒れないように体を支え四つん這いの形になる。胸の宝石がドクンドクンとなりながら赤く点滅している。
「力が…抜ける。ザギさんこれは……一体?」
ザギさんに質問をするとため息混じりの返答をしてきた。
『単純な話、これが今のお前の限界だ。はっきり言えば今のお前には覚悟が足らない、唯それだけの話だ』
「そんな事は、ありませんよ」
ザギさんの言葉を聞いて反論する。俺は戦う覚悟は出来ているつもりだ。それなのに覚悟が足りない?
そんな俺を見てザギさんがため息混じらの声を出した。
『お前はそう思っていようが心の奥底では戦いを恐れているのを感じるぞ、その為に本来なら弱体化しているとはいえこの程度の数のノイズどもなどさっさと皆殺しにできた筈だ』
恐怖しているとザギさんの言葉を受けてそんな事はないと言いたい。だがふとあの時の事を思い出す。沢山の人がいたライブ会場で爆発が起きそこから大量の…『大きい奴が攻撃してくるぞ、さっさと避けるなら受けるなりしろ』。
ザギさんの言葉を受けハッと上を見るとそこそこ大きい飛行型ノイズ5体が体を槍状に回転させながら振って来ていた。
俺は急に重くなった身体で横に向かって飛び跳ね、俺は、ちょっと無様な形で地面に転がる形になる。飛行型ノイズは俺のいた場所の地面にぶつかる。その衝撃で地面が抉られ土と石が飛び散る。
「ヴア゛ア゛!!」
声を上げて降ってきた飛行型に足を振り粉砕し、身体を膝立ちにし周囲を見回すとノイズがいなくなっていおり、俺の目の前にさっきの少女が近づいてきた。その顔を見て俺は驚いた。
「風鳴…翼」
目の前に有名なトップアーティストが目の前で妙な格好をして剣を持ち俺を見上げている。彼女の目を見ると俺への警戒が凄い。下手をしたら俺を真っ二つにぶった斬るという雰囲気だ。だが俺に攻撃をしてこないのを見るとまだ安全な状況なのではないかと思う。
すると目の前の風鳴翼に向かって誰かが走ってくる。
「翼さーん」
この聴き慣れた声を見てその誰かを見ると、俺の知っている知人、響が走ってくる。
「響!?どうしてここに!?」
驚いたがふとそういえばあの時、工場で響が凄まじい身体能力でノイズから変な格好で逃げ回っていたのを思い出す。風鳴翼もよく見ると似たような格好をしていた。ひょっとしなくても何か関係があるのに違いない。
『奴らの纏っている装備、かなり科学的な技術が使われているようだな。俺の経験上ああいうテクノロジーを使っているからには何か大きな組織に所属している可能性がある』
「組織?自衛隊とかでしょうか?」
『さあな、だがこのまま捕まるのも面倒だここは退散する方がいいだろう(こいつらが纏っている装備、地球の技術で作られているようだが一部で来訪者どもとは違う別の奴らの技術が取り入れてあるようだ。俺もせいぜいこの地球にいたのは数年やそこらだがノイズを倒せる兵器は存在しない筈だが現に目の前に存在している。おそらくなんらかの理由で機密にしているのだろうな。この地球にTLTがあるかは知らんがなんらかのそこそこ大きな組織が動いているに違いないな。不確定な要素が多く今俺は満足に力が使える訳ではない、ここはまだこのガキどもが所属している組織に関わるのはリスクが高い)』
「そうですね、響の事は気になりますけど…俺の身体、すっごく怠いです」
『では退散するとするか、ひとまずお前の家まで飛ぶぞ』
ザギがそう言うと目の前がぼやけて真っ黒になってくる。胸の宝石から鳴り響く音を聞きながら俺の意識は無くなっていくのだった。
特異災害対策機動部二課side
「…消えた」
ポツリと誰か呟く、黒い巨人が徐々に透明なり最終的に消えるのを見ていた弦十郎とスタッフたち。
「黒い巨人はどこに行った?索敵はどうなっている?」
「えっ?あっ、周囲に生命反応はなし。現場にいる生命反応は翼ちゃん、響ちゃんだけ。さっきの黒い巨人は…不明」
了子がモニターを見て弦十郎に答える。突然現れた黒い巨人に対応しようとスタッフたちが慌ただしく動く。
「翼、響君怪我はないか?」
「こちらは問題ありません、司令」
「は、はい私も大丈夫です」
弦十郎がホッと一安心をする。突然戦闘中に未知の存在が出現しノイズを蹂躙したのだ、現場では何が起こるか予測はつかないと自分の中で心得て、その予測のつかない何かに備えられるようにいつでも自分達が現場の人間をサポートすることを第一にしてはいたが今回は流石に唐突すぎた。
「よし、直ちに帰還しろ。二人ともメディカルチェックは今回は念入りに行うようにしろ」
二人に声をかけ、二人から了解の返信が返ってき通信が一旦切られるのを確認するとオペレーターの一人友里あおいが口を開いた。
「しかしあれはなんだったんでしょうか?新種のノイズというわけではなさそうですし」
弦十郎が椅子に座り腕を組み、あおい答える。
「アレがノイズに攻撃を加えたようにノイズがアレに攻撃を仕掛けていた。少なくともノイズの敵には違いない。だが…」
「私たちの味方…とも限らないわね』
了子が言葉の続ける。モニターの黒い巨人を見た弦十郎は恐らく再びこの黒い巨人が再び現れる可能性があると考えていた。そして今後の対応策を考えるのだった。
特異災害対策機動部二課sideout
更新が遅くなってしまいました。なんというかショックなことが起きて少しどころかかなりどん底まで気分が落ち込んでしまいましたが今はなんとか持ち直しました。
言い訳がましいですね、ごめんなさい。気分をちょっとでも上げようとちょっと急ピッチで更新したのでかなり荒削りかもしれないです。