その後のドラゴンクエスト7   作:本城淳

10 / 11
ロトの章と交わります


ザジとカラーストーンと異世界の勇者

「うーん………長い船旅だったなぁ」

 

ザジがダーマを旅立ってから数週間。

ザジが選んだ地は世界の楽園と呼ばれる無人島、エスタード島………より少し北へと進んだウッドパルナ島だった。

世界の台所とも言えるリートルードや屈強な戦士が集まるラグラーズでも構わなかったのだが、今のザジは駆け出し戦士の一人旅だ。

ダーマの異変を乗り越えたのだってアルス達が共に戦ってくれたからであり、ザジ自身は大した戦績は挙げていない………と、本人は思っていた。

実際にはザジの活躍も小さくは無かったのだが、最終的にはダーマ奪還を果たしたのはアルス一行とフォズ大神官の即席パーティであり、決戦の時にはネリスを守りながら他の有志軍と共にフォズ達を送り出すべく陽動していた。

そういう事情もあって、自分の実力は大したものではないと自己評価をしているザジ。そんなザジが選んだ最初の修行の地として選んだのがウッドパルナだった。

ウッドパルナのカラーストーン採掘場に出没するモンスターは、スライムやナスビナーラ、リップス。強くても猫魔導など、駆け出し冒険者が単独で修行するには最適な場所だった。

ダーマ奪還の立役者といっても差し支えのないザジだが、その意識と心構えは『冒険者としても、戦士としても駆け出し』。

少々臆病だと思えなくもないが、修行者としては、むしろそのくらいの心構えで丁度いいかもしれない。

ザジがウッドパルナを訪れたのは、アルス達がハンクと共にマチルダを打ち破ってから数年後。

まだ封印の傷痕が残っていた時期であった。※1

冒険者の常識として村や町の権力者に挨拶をするザジ。

 

「ハハハ。村の英雄と持て囃されてはおりますが、私などは本当の英雄に比べれば、功績を掠め取っただけの凡人に過ぎませんよ」

 

村長に挨拶した際、たまたま居合わせたウッドパルナの英雄、ハンクは苦笑いを浮かべてこう語っていた。

今の時代では真実を語られるだろうが、時が経てばその真の英雄という存在の功績がどうなるかわからない。ハンクにとってはそれが歯痒くてしかたがない。

 

「真の英雄………ですか。ダーマ神殿を解放した英雄の事も、いずれは歴史に埋もれてカシム達の功績になってしまうのだろうか………」

 

ザジはアルス達のことを思い出す。

アルス達はダーマ神殿を解放した英雄として讃えられた。それこそ望めばダーマのそれなりの地位に迎えられてもおかしくなかった。

しかし、アルス達は多くは望まず、転職を終えた後は次の旅へと旅立つと言っていた。

ハンクの話を聞く限り、あのダーマの騒動もアルスの名が消えていってしまうのだろうか………と。

ウッドパルナのような小さな村ならいざ知らず、ザジはダーマ神殿ほどの大神殿なら、しっかりとアルス達の名を残してくれると信じたい。

しかし、ザジの想いは虚しく、遥か未来………アルス達の時代に残されている歴史には、フォズやカシムの事は残されているものの、アルス達の功績は旅の冒険者という程度にしか残されていなかった。

 

「あのダーマ神殿でもそのような事が………ところで、このウッドパルナにはどのようなご要件で?」

「修行の為に。僕はソロの駆け出し冒険者ですから………」

 

ザジが答えると、ハンクは目を細め、ザジの事を頭のてっぺんから爪先に至るまで、舐め回すように見る。

その視線に居心地の悪さを感じるザジだが、視線を逸らすことなくハンクを見返す。

 

「ザジ殿はそれなりの経験があるようにお見受けいたしますが……この辺りのモンスター程度ではもの足りないかと………」

 

ダーマの激闘はザジにとって大きな経験となっており、基礎の能力に至っては既にウッドパルナの英雄であるハンクを上回っていた。

それどころかマチルダを討ち取ったばかりの頃のアルス、キーファ、マリベルにハンクを加えた四人がかりが相手でも、今のザジならば余裕で倒せるだろう。

しかし、ダーマを解放した頃のザジは魔導士タイプ。今は前衛タイプの成り立て戦士だ。

しかも、真の英雄やフォズの実力を目の当たりにし、自分の力不足を自覚して自信を失っている。

 

「買いかぶりですよ。それに、魔導師としての経験はそれなりにありますが、今は転職したての見習い戦士です。過信は禁物ですよ」

「そうですか………いえ、冒険者ならばそのくらい慎重な方が丁度良いのかもしれませんね?」

 

そうニコリと返すハンク。

内心ではそんなはずはないと思うものの、強者達が集うダーマではザジレベルなのが当たり前の世界なのかもしれないと思い直すことにした。

 

(いやはや、世界は広いものだ………そうなると、この若者にはまず自信というものを付けさせる必要があるようだな………)

 

冒険者の実力ではザジに劣るハンクであるが、人生経験は豊富な彼は、ザジが抱える自信の無さと、それが原因である悩みがあることを見抜く。ザジに必要なのはまずは自信を付けることだと思ったハンク。ザジの実力ならば………

 

「そうですな。ならばこの村から東に進んだ先にあるカラーストーン採掘場などはいかがですかな?」

「カラーストーン採掘場?この村の特産物であるカラーストーンが採れる場所ですよね?」

「ええ。あそこならばここら一帯のモンスターよりは少々強いモンスターが出現します。とはいえ、少々程度ですから、あなたの実力では少々物足りないかも知れませんが………戦士の職を馴染ませるには少々物足りないくらいの相手が丁度良いかと思いまして………」

 

駆け出しの冒険者パーティーが腕試しに訪れる採掘場。ザジの実力ならば余程の事がない限り、ソロで入っても問題なく戻ってくることが可能だろう。

そう判断したハンクはザジに修行場所を紹介する。

 

「ありがとう。それでは早速、カラーストーン採掘場まで行ってみたいと思います」

 

そう言ってザジはハンクに礼を述べ、道具屋で旅支度を整えてから東へ向かい、歩き始めた。

彼を見送り、午前の仕事を終えたハンクは自宅へと戻り、息子のパトリックの為に食事の用意を始める。

 

「パトリックもそろそろ彼くらいの年齢になるか………マチルダの事も心の整理がついてきたようだし………そろそろ鍛えてやってもいい頃かな………。彼もそろそろカラーストーン採掘場に到着する頃か」

 

そんな独り言を言っていると、突然家の扉が勢いよく開けられる。中に飛び込んで来たのはカラーストーン採掘場の鉱夫だった。その慌てぶりは尋常ではなく、よく見るとあちこち傷だらけだ。

 

「ハンクさん!大変だ!」

「どうしたんだ?そんなに慌てて。何があったんだ?」

「カラーストーンが………カラーストーンがモンスターに変化した!あんな強いモンスター、見たことがない!このままじゃ!」

「な、なんだって!?」

(よりにもよってこんな時に!ザジ君が危ない!)

 

ハンクは慌てて銅の剣を手に取り、カラーストーン採掘場へ向けて走り始めた。

 

 

一方でカラーストーン採掘場では………

異様な光景がザジの目の前に広がっていた。

本来ならば青、赤、黄色の透明に輝くカラーストーンがあるはずの坑道。

しかし、ザジが目にしたのは………青、赤、黄色の岩に目と口が付いているモンスター達がゴロゴロと転がっていた。

 

「こ、このモンスターは………見たことがあるぞ………確か旅先でみたリートルードで………」

 

スマイルロック………

ネリスがまだ病魔に蝕まれる以前、リートルード地方で臨時パーティーを組んでいた頃に出会った魔物だ。体感ではアルス達と組んで戦えば何とか倒せるレベルのモンスター。今現在ソロ活動中のザジでは一度に何体ものスマイルロックを倒すことは難しい。

しかし、それ以上に絶望的な事がある。

スマイルロックと同型の魔物である青と赤の岩型モンスターだ。

ザジが知らないことだが、この2体のモンスターの名前は爆弾岩とメガザルロック………

スマイルロックの上位モンスターだ。

 

(このままではやられる!)

 

直接は知らなくても、爆弾岩とメガザルロックがスマイルロック以上にヤバいモンスターだと直感的に理解したザジは死を意識し始める。

ジワジワと追い込まれ、しかもメガンテを唱える寸前になっている爆弾岩。

 

(もうダメだ………)

 

ザジが死を覚悟したとき………

 

「諦めないで!ギガブレイク!」

 

戦闘に乱入してきた1人の少年が、雷を纏った横薙ぎの斬撃を飛ばし、3色の爆発岩系モンスターを薙ぎ払う。

 

(凄い………あんな強いモンスターを一撃でまとめて倒すなんて…)

 

ザジが驚くのも無理はない。少年が放った特技のギガブレイクは、現在のアルス達が極めている勇者の必殺技であるギガスラッシュの上位特技であり、この世界には存在しない技だ。

自身の理解が追いつけないザジにしてみれば、ギガスラッシュもギガブレイクも変わりがないように思えるが、もしこの場にいたのがアルス達エデンの戦士達だったとしても腰を抜かしていたに違いない。

 

「ありがとう………でもまだ………」

 

ザジがお礼を言うも、3色岩モンスターはワラワラと坑道から現れる。

それに対し、乱入した少年………紫を基調とした服に肩まで伸びたサラサラ髪が特徴の、どこかアルスを思い起こされる彼が優しく微笑んで答える。

 

「安心して。僕達以外にも頼りになる仲間がいるから………」

「その通りだぜ、相棒!デュアルブレイカー!」

 

少年を相棒と呼んで叫び、青髪をツンツンと逆立てた男が鋭そうなブーメランを投げる。

どれだけ切れ味があるのか、まるでチーズを切り裂くように爆弾岩達が次々と真っ二つになって絶命。

 

「ちょっとカミュ!まだまだ敵はいるんだから油断するんじゃないわよ!」

「少しはガキンチョにも出番を譲らないとなぁ!」

「何が出番よ!無駄に魔力を使うだけじゃない!イオグランデ!」

 

カミュと呼ばれた男の後から出てきたのはザジも驚きを隠せない。

マリベルを彷彿させる気が強く、ガボよりも年下だと思われる金髪の少女………いや、幼女がザジが扱える爆発系呪文・イオの上位系の爆発系呪文を放ち、爆弾岩達を木っ端微塵に吹き飛ばしてしまう。

 

「お怪我は大丈夫ですか?ベホイム」

 

いつの間にか背後に立っていたのか、フォズを彷彿させるような柔らかい雰囲気を纏った女性がザジに治癒の呪文を唱える。

ベホイミよりも更に強い治癒力によって風前の灯だったザジの体力が一気に全快近くまで回復する。

 

(へホイム?ベホイミよりも強力な回復呪文なんて、僕が知る限りじゃベホマくらいしか………こんな呪文、僕は知らない!)

 

驚くザジに、スッ………と大きな手が差し出される。

 

「少年よ。立てるか?」

 

合計して8人の冒険者達の中でも、一際体格の良い、薄紫色の長髪を後ろに流している大男が片膝をついているザジに手を差し伸べる。

 

「すみません………ありがとうございます」

 

お礼を言い、その手を取って立ち上がるザジ。

 

(この人達、強い………おそらくはカシムやフォズ大神官………いや、アルスさん達以上に………)

「少年。臆せず立ち向かう気概は素晴らしい。しかし、時には不利を悟って撤退することも必要だ。逃げる事は、決して恥ではない。命を賭ける場を間違えないことだ」

「はい。肝に銘じておきます………」

 

ザジが感謝の気持ちを込めて頭を下げ、大男に対して再度礼を言うと、スマイルロックと同種のモンスター達がいた方向に目を向けると、戦闘は終わっていたようで、それぞれの武器をしまって戦闘態勢を解いていた。

 

「あの、危ないところを助けていただき、本当にありがとうございました」

 

ザジが礼を言い、手を差し出して握手を求めながら改めて救助者達をまじまじと見る。

 

(アルスさん達に何となく似ているけれど、アルスさん達以上に統一性がない集団だなぁ………)

 

何となくアルスに雰囲気が似ている黒髪サラサラヘアーの少年。

ブーメランを投げていた青髪をツンツンと立てている青年。

どことなくマリベルを彷彿させる金髪をお下げにしている幼女。

その幼女に似たフォズに似た雰囲気を持つオットリとした聖女然の少女。

旅芸人風の格好をしたオネエ口調の青年。

好々爺然としていながらもどことなく只者ではない雰囲気を纏っているプックリとした体格を老人。

黒髪をポニーテールに纏めた色気ある少女。

そして紫髪の長髪をオールバックに流した大男。

 

統一性のない彼らではあるが、その連携の練度の高さは一朝一夕でのものでは無いだろう。アルス、マリベル、ガボ達など足元にも及ばない。

何よりも実力そのものがアルス達や自分などとは天と地の差が開いている。

 

「大丈夫だったかい?助ける事が出来て良かった………」

 

サラサラヘアーの少年が代表してザジの手を握り返しくる。

 

(アルスさん達に似たこの人が代表者か………何となくそんな気がしていたけど………)

 

アルスと別れてからそれほど時間が経った訳では無いが、優しく、されども力強さを感じる彼の雰囲気に懐かしさを感じるザジ。不意にフッ………と笑ってしまう。

 

「僕に何か?」

 

少年は笑ったザジに怪訝な表情を向ける。

 

「いえ。つい先日まで行動を共にしていた、アナタによく似た雰囲気の方をふと思い出してしまって………」

「僕に似ている?………もしかしたらこの世界の勇者の関係者かな?」

「は?」

「いや、ごめん。何でもないよ。僕はイレブン。ユグノア王国の………」

 

イレブンは慌てて取り繕うとするが………

 

「ユグノア王国?聞いたことない国だなぁ………」

「えっ!えっと………その………」

「オッホン!」

 

余計に慌て始めるイレブン。その醜態を見ていられなくなったのか、隣に立っていた幼女がわざとらしい咳払いをして注目を集める。

 

「はいはい!あたしはベロニカ!ユグノアはここから遠い遠い………ほんとぉぉぉに遠い所にある誰も知らない小国よ。細かい事は気にしないの!」

 

ベロニカと名乗った幼女は両腰に手を当てて強引に話の腰をおると、今度はイレブンに対してビシィ!指をむける。

 

「アンタもイチイチ慌てない!本当に頼りにならないんだから!もっとしっかりしてよね!」

(まるでマリベルだな………)

 

その光景は本当にアルスとマリベルのやり取りに似ている。

もっとも、デレ成分を多分に含まれているマリベルの言葉の言葉と比べると、ベロニカとイレブンのやり取りはまるでダメな弟を叱る姉のような雰囲気だが。

 

「ご、ごめん………」

 

苦笑いしながらタジタジになっているイレブン。

するとイレブンを庇うように間に入る聖女然の少女。

 

「まぁまぁお姉様。あまりイレブン様を責められては可哀想ですわ?」

 

聖女がベロニカに声をかける。

 

(え?ベロニカの方がお姉様?どう見てもベロニカの方が妹だよな?)

 

至極真っ当な疑問を抱き、頭を混乱させるザジ。

しかし、混乱していても事態は進む。聖女がイレブンをかばう姿を見てベロニカは不機嫌そうに口を尖らせ、そっぽを向いてしまう。

 

「ほんっとにセーニャはコイツに甘いんだから………はいはい、もう勝手にしないさい!」

 

ヘソを曲げてしまったベロニカにクスクスと笑うセーニャ。

 

(マリベルにはセーニャのようなストッパーがいなかったからなぁ、いつかそんな奴が現れてくれると良いんだけど………)

 

その後、それぞれが自己紹介を始める。

ツンツン髪の少年が盗賊カミュ。芸人オネェ男は旅芸人のシルビア。魔法使い、僧侶、武闘家の技を多芸な老人はロウ。妙な色気のある少女はマルティナ。大男は騎士、クレイグ。

カミュが言うには現在、カラーストーン採掘場にはとんでもない異変が起きており、迂闊に入るのは危険な状態らしい。

ましてや修行の腕試しなどもっての外だと忠告された。

 

(確かにあのモンスター達、ダーマに現れたモンスター達よりも強かった………彼等の言う事に従った方が良いかもね………)

 

命を落としてしまえばプライドも何も意味がない。

弱い自分はイレブン達に言われた通り、素直に撤退した方が賢明な判断だといえるだろう。

 

「忠告をありがとう。ここは素直に引き揚げるよ」

「ええ。しばらくしたならば、元に戻ると思う。では気を付けて退いてほしい。それじゃあさようなら。ザジ」

 

(何でしばらくしたら元に戻るとわかるんだ?)とツッコミたい気持ちもあったが、仮にも命の恩人に対してイチイチ細かいツッコミを入れるのも野暮だろう。

ザジは気が付かなかったフリをして爽やかにイレブン達と別れ、出口へと足を向ける。

 

ー1時間後ー

 

幸運にも出口までモンスターに襲われる事もなく、採掘場から脱出することが出来たザジ。

 

「ふぅ、もう安全かな………一時は本当に危なかった………」

 

無事に生還できた事に安堵の息をつくザジ。

 

「サジくぅぅぅん!」

 

すると、慌てた様子のハンクが駆け付けて来る。

 

「ザジ君!良かった!」

「ハンクさん………」

「君が出発してからしばらく経った後に採掘場に異変があったと聞きましてな………居ても立ってもいられなくて駆け付けて来たんです。無事でよかった………」

 

昔の英雄パルナやマチルダの悲しい歴史を繰り返させない信念を持つハンクは、ウッドパルナから短くない距離を全速力で走って来たのか、ゼェゼェと息も絶え絶えになりながらザジに迫る。

 

「危ないところでしたが、ユグノア………という国から来た冒険者パーティーに救われて………」

 

ザジが言うと、ハンクは首を傾げる。

 

「はて?今日、採掘場に入ったという者は鉱員以外ではザジ君だけだったはずだが………」

「は?」

 

ハンクは採掘場の入口より少し手前にある仮眠所兼作業所の小屋に常駐している鉱夫から情報を得ていた。

その情報ではザジが入坑して以降は誰も採掘場には入っていない。

ではイレブン達は何処から………?

 

「もしやその冒険者と名乗る者は、ウッドパルナを暗闇にした魔物の軍勢の後詰めか何かなのでは……」

 

ハンクの言葉にザジは首を横に振る。

 

「それは無いと思います。彼らの目は………ダーマを解放してくれた英雄達と、同じ目をしていましたから………希望に輝く、勇気の瞳を………」

 

人に化けた魔物では………ネリスに化けたマンイーターや、ダーマの大神官になりすましていたアントリアではアルスに似た瞳を作り出すことは出来ない。

人に希望へ導くあの目を出すことなど………

 

「ダーマを解放した英雄と同じ目………ですか。あなたがそう思うのであるならば、そうなのでしょうな………」

 

ハンクは島の南西にある森の方角に目を向ける。

 

「………あれから何年経った事やら………ウッドパルナの真の英雄も帰ることができたのでしょうか。彼らは何処から来て何処へ消えてしまったのか………」

(思えばハンクさんの言う真の英雄のように、俺はアルスさん達の事を何も知らなかったな………彼らも何処から来て、何処へ帰ろうとしていたのか………)

 

ザジはハンクと同じように、ダーマの方角へ目を向ける。

ここからでは遥か遠いダーマ大陸を見ることができない。

見えるのは無人島と言われているエスタード島が辛うじて見えるくらいだ。

 

「勇者………か………」

 

ザジはイレブンがボソッと漏らした単語を呟く。

 

(アルスさん達こそ、この世界の勇者そのものかもしれないな………)

 

ザジもハンクは知らない。

ウッドパルナを救った真の英雄とダーマを解放した英雄………そのどちらもが後に魔王から世界を救う勇者アルスの事だったと。

彼らが知ることはない。

何処から現れたか分からない勇者アルスとその仲間達が、今自分達がボンヤリと見えているエスタード島の遥か未来からやって来たことなど。

こうして、後に伝わるカラーストーン採掘場の小さな小さな伝説が幕を閉じた………。

 

 

続く………かも?




※1
時代考証
ドラクエ11における『エデンの記憶』関連の事件の内、カラーストーン関連の物語は2つ。
内、2つ目の事件ではライラと結婚後のキーファが登場している&緑色のカラーストーンが登場しているので、マチルダの事件からそれほど経過していないという本作オリジナル設定をしてみました。
また、11勢が異様に強いのは作者がメインストーリーを終わらせてからヨッチ村攻略を始めた体験から………という事で、過ぎ去り時を求め、ニズゼルファを倒した後の勇者一行がカラーストーン採掘場に現れたという設定にしています。



  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。