東方遊戯王〜満足決闘ケモナーと公式空気さん〜 作:満足タウン
ストック切れたのでナメクジ速度の更新になります。
温泉というものはいいものだ。
満月の夜にお猪口で飲む日本酒などがあれば更に格別である。
「いやぁ、冬の温泉に酒…なかなか乙なものですなぁ。」
そう言う三沢はお猪口を手に持ち、既に仄かに顔を赤くしていた。
「ところでさ…紫から聞いたけど博麗の巫女代行?だっけか。やるみたいだけど大丈夫なのか?ほれ、注ぐぞ。」
「あぁ…すまん。まぁ何とかなるんじゃないかな?なるようになるさ。」
注いでもらった酒をちびちびと飲みながら満月を見る。
…正直厳しいことになりそうではあるが自分が言い出したのだ。最後までやらねば男としての矜恃が許さない。
「まぁそう言うならいいんだがな。」
またお猪口を煽る三沢。
「三沢はこの幻想郷にいつ頃来たんだ?やけに紫と親しいじゃあないか。」
「大体、二年前ぐらいかな…俺は元の世界とは別の異世界…デュエルモンスターズの精霊界の調査をしてたんだがな。気がついたらここにいた。紫とは最初に出会った時からあんな感じだよ…」
世間話でもするかの如くサラッと驚く事を言う三沢。
「はぁ!?気がついたらって…元の世界に戻りたいとは思わないのか?」
呆気に取られて理由を聞くが、動揺を隠せなかった。
「俺は元の世界には戻ろうとは思わないな。元の世界は二番君…あー、遊城十代って言うんだがな…そいつに任せたんだ。」
昔を懐かしみ、遠い目をする三沢。
「デュエルモンスターズの精霊界って?」
「ああ!ほら、カードのモンスターがいるだろ?そいつらが実際に住んでいるところだな。」
鬼龍は驚きはしなかった。
既にこの幻想郷は自身にとって異世界なのだ。そんなこともあるのだろう…
「カードの精霊ねぇ…俺にもいるんかねぇ。」
今までに使ってきたデッキの数々を思い出す。
先程使ったサイバーデッキに留まらず様々なデッキを使いこなす鬼龍には特定のデッキに固執することはない。
なんであろうと使えるものは使う、どんなに弱くてもカードが存在する以上使わなければ損だと考えていたからだ。
「鬼龍って色んなデッキを使うんじゃないか?だとしたらそれぞれのデッキのエースが精霊として憑いているんじゃないか?まぁそんなことになったらヤバい数になりそうだがな!ハハハ!」
愉快そうに笑い酒を煽る三沢。
「気楽なもんだなぁ。まぁ精霊ってのを一回は見てみたいってのはあるがな。」
鬼龍自身精霊というものをあまり理解していない。だからこそ自分の眼で見なければ分からないものなのだ。
「…もしかして、三沢には精霊がいるのか?」
まさか…な?
そんなことは露知らずの三沢。事も無げに言う。
「お?いるぞ精霊。」
理解するのに、数分掛かった。
精霊が実際に、いる?
「…その精霊はここにいるのか?」
飛び出そうな思いをを必死に抑えながら聞く。
「二人いるんだが…一人は結構な人見知りでな…デッキからあまり出てこねぇんだ。」
「…もう一人は?」
期待を胸に膨らませながら恐る恐る聞く鬼龍。
「もう一人は…あいつは結構能天気な性格だからなぁ…多分この辺を散歩がてらどこかにいるんじゃないのか?」
鬼龍は平静を保っていたが内心穏やかではなかった。
――もしかしたらあいつは精霊の可能性があった?
――またあいつに会えるのか?
思考の海に沈んでいく鬼龍を三沢は不思議そうに見ていた。
「…なにか心当たりがあるのか?」
その言葉に現実に引き戻される。
「…っ!すまん…もしかしたらあるかもしれないと思ってな。」
「ふぅん…興味深いな。デュエル中冷徹ながらも正確なプレイングをする奴が精霊に固執するとはな…その話聞いてもいいか?」
「…少し長くなるぞ。」
「気にするな。酒の肴にちょうどいい。」
三沢はこれみよがしに酒の入った瓢箪を見せ、その整った顔でニカッと笑った。
「どこから話したもんか…あれは――」
―――今から数年前のどこにでもあるような山の中腹にて
山に籠っていた鬼龍は食料を調達するために散策をしていた所、驚くことに一匹の狐を見つけた。
その時鬼龍は自身の眼がおかしくなったのかと頬を抓ったが痛かったので現実だと思い知らされる。
しかし、だ。目の前の光景はとてもでは無いが現実離れしていた。自身の眼を疑うのも無理はないだろう。
なぜなら金色の毛並みが特徴的であり、尻尾の数が九本ある狐――俗に言う『九尾』と言われる伝説上の生き物――が自身の寝床として使っている洞穴の近くで罠に引っかかっていたからだ。
憐れな狐がまるでそんな顔でこっち見ないでと言わんばかりに涙目になっていた。
とりあえず罠を外し手当をする鬼龍。
しかし狐は足を上手く動かせず立ち往生してしまう。
そんな様子を見た鬼龍は怪我が治るまで看病することにしたのだった。
最初は伝説上の生き物であり、大妖怪としての矜恃が許さないのか――川で釣って焼いただけの簡素なものではあるが――魚を受け取ろうともせず不貞腐れて寝ていたのであった。
しかし一ヶ月もすれば仲が良くなる一人と一匹。
そこは流石と言える程の鬼龍の手腕であった。
しかし別れは突然やってくる。
怪我が完治してさらに一ヶ月程経ったある日、いつものように一匹と一人分の魚を釣ってきた鬼龍は寝床の洞穴へ帰ってきた。
しかしそこにはかの狐はおらず、代わりに一枚のカードが置いてあった。
そのカードを手に急いで山の中を探す鬼龍。
しかし陽の光が霞む頃合いになっても影も形もなかった。
まるで狐につままれるとはこのことを言うのだろうか。
そして残されたカードを見る鬼龍。
そこに書かれていたものは――
「――それがこの『九尾の狐』って訳よ」
温泉から上がってデッキから一枚のカードを取り出し、みんなに見せるように食卓の上に置く鬼龍。
ちなみに藍はここにはいない。
料理の支度でもしているのだろう。
「ほう…それでもしかしたらカードの精霊になっているかもしれないと考えたわけか。」
三沢は腕を組んでうんうんと唸っている。
「だけどな普通の『九尾の狐』のカードだと赤い毛並みなんだよな。だからもしかしたら精霊として呼び出せるなら…ってね。」
本来『九尾の狐』のイラストは赤い毛並みが特徴的である獰猛な狐が描かれている。
しかし鬼龍の持つ『九尾の狐』は金色の毛並みをしており、慈愛に満ちた表情をして座っているものだった。
「結論から言うと決闘者が自ら精霊を呼び出すのは無理だな。例外はあれど精霊ってのはどれも気まぐれだからな。」
三沢はキッパリと鬼龍の望みを断ち切る。
「そうか…なにか手掛かりがあると思ったんだがな…」
残念そうに顔を俯かせる鬼龍。
「でも案外そういうのって近くにいるものよ?あなたが気づいていないだけでね。」
紫はこの話を愉快そうに聞いて、気になる事を言う。
「そういうもんなのかねぇ…」
「はいはい、料理が出来ましたよ。昔話に花を咲かせるのもいいですがご飯はしっかりと食べてくださいね?」
そう言い、料理の乗ったお盆を持ってくる藍。
心無しか少し悲しそうな表情に見えたのは気の所為だろうか。
紫の言葉の意味をすぐに理解することを鬼龍はまだ知らない…
▽
本当に面白いやつが来たなと、三沢は思う。
紫が連れてくる外来人は自分を含めて面白いやつだが例にも漏れず彼も面白い人間だった。
名を鬼龍遊樹。本人曰く唯の決闘者だそうだ。
藍が作ってくれた料理に舌鼓を打つ彼を横目に酒を煽る。
山に齢18歳で修行するということ自体が「唯の」決闘者では無いことの証明なのだ。
また決闘している際には冷酷とも言える手腕かつ、最善の引きをする決闘者なのだ。
まさに「遊城十代」のような…
ひょっとして決闘者には「普通の」決闘者は居ないのだろうか。
そこまで考えて三沢は思考を止める。
元の世界にも「普通の」決闘者などいなかったのだから…
思考の海から脱し、目を移すと紫と鬼龍がくだらないことで喧嘩を始めていた。
「だから!天麩羅には塩だろ!」
「いえ、天つゆこそが至高の一品よ!」
それを止めようか悩んでいた藍が少し複雑な顔をしてこちらを見た。
…あぁなるほど。どっちに付けばいいのか分からないのかい。
そうして重い腰を上げて仲裁に入ろうとする三沢。
これから彼はどんな面白い事を見せてくれるのだろうか。
「唯の」決闘者はそんな想いを他所に喧嘩を続ける。
幻想郷は常識に囚われてはいけないのだから。
ちなみに余談ではあるが三沢は天つゆ派である。
▽
藍の料理を食べ終わった四人は居間にて今後の予定について話し合っていた。
ちなみに紫と鬼龍は頭の上にたんこぶを作り、正座をさせられていた。
「ということで…明日の朝に博麗神社に移動することでいいか?」
取り仕切るのは紫ではなく三沢。
先程のたんこぶの原因を作ったのも彼である。
「まぁそれが無難でしょうね。ですよね?紫様、鬼龍さん。」
三沢の言葉に一も二もなく頷き、紫に話を振る藍。
その顔には怒るを通り越して呆れているのが読み取れる。
「そうね…とりあえず正座を崩してもいいかしら?限界なのだけど…」
「俺もそろそろキツいんだが…」
引き攣る顔で答える鬼龍と紫。
天麩羅に合う調味料で喧嘩をしていたことにより三沢によって鉄拳制裁され、今に至る。
「全く…くだらないことで喧嘩するんじゃない。…楽な姿勢でいいぞ。」
やれやれとため息をつく三沢。
それに対して藍も苦笑している。
「あ”あ”ぁ…痺れたぁ…」
鬼龍は足を擦りながらこの男だけは怒らせてはなるまい、と心の中で固く誓ったのだった。
「終わる前に能力の説明だけさせてちょうだい。」
紫が隙間をゴソゴソしながらコタツへ滑り込む。
「能力?なんだそれ?あ、煎餅貰うぞ。」
鬼龍も痺れた足をコタツの中へ引きずり込み、煎餅をヒョイと取る。
「今目の前で使ってるこの隙間のことよ。この幻想郷では人や妖怪に関わらず何かしらの能力を持っているのよ…私だったら『境界を操る程度の能力』のようなね…あったあった。」
説明をしながら何やら怪しい儀式でも始めるのか手のひらサイズの水晶玉を取り出す紫。
「ふぅん…三沢だったら『空気になる程度の能力』的な?」
冗談めかして鬼龍は煎餅を齧る。
しかしネタにされた三沢はツッコミを入れるまでもなくプルプルと震えていた。
そこで鬼龍は考え込む。
あれ?この反応ってつまるところ――
「…図星?」
「うるせぇ!まさか能力まで空気とかふざけてやがる!俺は空気でもエアーマンでもねぇ!」
「ハイハイ…とりあえず空気さんは置いといてとりあえずこの水晶玉に手をかざしてくれないかしら?」
三沢の悲痛にも似た叫びは紫によって華麗にスルーされる。
三沢は「どうせ俺は空気ですよ…」といじけてしまったがとりあえず空気だけに空気を読んでスルーすることにする。
「手をかざすだけでいいのか?」
「ええ。それで貴方の能力が分かるわ。」
半信半疑になりながらも手をかざす鬼龍。
かざした瞬間水晶玉に何かが映し出される。
それは自身がどこからともなく現れた闇によって覆われ隠されるものだった。
「こんなんで分かるのか?」
「大体分かったわ。暫定的だけど貴方の能力は『隠す程度の能力』ね。」
鬼龍は首を捻る。
「なんかパッとしない抽象的な能力だな…」
紫の『境界を操る程度の能力』に比べればやれることは少ない。精々物を隠す程度が関の山だろう…そう鬼龍は考えた。
しかし――
「物は考えようって言うわよ?例えばそこの悲しみに暮れる空気さんと同じようなことができるじゃない。…そう、『存在感を』隠すとかね?」
それを聞き同時にハッとする二人。
――一応言っておくが、同じ考えに至った訳ではないことを供述しておく。
「それって――」
鬼龍の言葉は続かなかった。
「おいこら鬼龍!俺の存在意義まで無くすとはどういう了見だ!?」
存在意義を現在進行形で奪われている三沢が悲痛な面持ちで吠える。
「知らねぇよ!大体能力的にしょうがねぇだろ!」
「そんなことは知らん!俺の管轄外だ!こうなったら俺と決闘だ!鬼龍を決闘で拘束せよぉ!」
「まるで意味がわからんぞ!?」
「いいから俺と決闘しろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
三沢の切な叫びは虚空へと木霊していく。
紫と藍は生暖かい目で見守っていた。
それはまるで我が子を思う母親のような…
余談ではあるがこの後三沢と鬼龍が決闘し、三沢は先行ワンタ-ンスリ-キルゥされるのであった。
▽
三沢を先行ワンタ-ンスリ-キルゥして満足した鬼龍は部屋の縁側で月を眺めながら一人で座っていた。
「全く…嫌になっちまうよ。こういうのは嫌いじゃないけど。なぁじいさん。」
誰にでもなく独り言のように言う鬼龍。
その手にはシェーカーに入った「カミカゼ」とグラスが二つ。紫に無理を言ってスキマで取り寄せて貰ったものだ。
首から下げていた形見のハーモニカ型ペンダントを外し、座っている横に置く。
蓋を開けられたペンダントには右目に掛かるようにほぼ一直線にマーカーを付けた長身長髪の男がまるで西部劇に出てくるような町を背景に、『三人』の少年少女と肩を並べながら少し気難しい顔をする写真があった。
「…じいさんいつも言ってたよな。自分が満足できる目的を探せって…」
そう言いながらペンダントの前に置かれたグラスに「カミカゼ」を注ぐ。
「変なところに来ちまったけどさ…俺は満足できる目的ってのを見つけられそうだぜ。」
フッと笑い、今はもう何も言わぬ鬼龍に満足を教えられた男の写真を見る。
「この幻想郷に…俺たちの満足の未来に…乾杯。」
カツンと無機質な音が響き、満月に誘われるように虚空へ消える。
いつも気難しい顔を崩さなかった写真が少し笑った、そんな気がした。
▽
草木も眠る丑三つ時。
怪しげに画策する男女二人が話していた。
「紫…首尾は?」
「上々よ…明日の朝が楽しみね。」
「明日は早起きせにゃならんな…どうなる事やら。」
「カミカゼ」
発祥地はアメリカであると言われ、その味の切れの鋭さから太平洋戦争における日本海軍の神風特攻隊を彷彿とさせたからであると言われている。また、米軍占領時代に日本の横須賀基地で作られたものが初めてとする説もある。
幻想郷においてはそもそもカクテル自体が希少であり、物珍しいことから人里にはBARが一件しかない。
酒言葉は「あなたを救う」
唐突ですが一応取ります。三沢大地にウォータードラゴン関係のオリカを追加しても良いか否か
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いいぞもっとやれ
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原作基準で…
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そんなことより主人公は?
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イラスト描け