東方遊戯王〜満足決闘ケモナーと公式空気さん〜 作:満足タウン
決闘者の朝は早い。
決闘で満足する結果を出すためには決闘マッスルを鍛えなければならない。そのために早起きをして鍛錬するからだ。
いつものように朝日が顔を出す少し前に起き出そうと寝ぼけた眼を擦りながら体を起こす。
しかし、いつもとは違う違和感があった。
布団の中に何故か鬼龍を含めた人二人分の大きさの膨らみがあったからだ。
まだ覚醒していない脳では働かず、本能のままに布団を捲る。そこには――
「スゥ…スゥ…」
可愛らしい寝息を立てて鬼龍に覆い被さるように寝ていた藍が、いた。
その光景を目の当たりにした鬼龍の脳はすぐに覚醒を通り越して過剰稼働する。
朝起きたら藍が鬼龍の部屋で一緒に寝ていた。
『一緒に寝ていた』
その事を意識した瞬間に顔は沸騰したように赤くなり、冷静な判断を取るために深呼吸をする。
一回状況把握の為に部屋を確認しよう。
机の上には昨日デッキ調整するために出していたカードが散らばっており、その隣には形見のハーモニカが置いてある。
うん…どこからどう見ても自分の部屋だ。
決してケモ耳成分…ケモニウムが不足して八雲藍の部屋に忍び込んだ訳では無い。
すると何か?八雲藍が自身の部屋に入っていた?
一人で悶々と纏まらない考え事をしていると鬼龍の上で寝ていた件の狐少女が起き出してきた。
「ふぁ…ん?あれ?なんでこんな所に鬼龍さんが?」
「えっと…おはよう?」
まだ開けきらない瞼を擦り、寝ぼけながら聞いてくる藍にとりあえず挨拶をする。
「んー?まだ夢の中なんですかね…なら一緒に寝ましょう。」
「…はい?」
疑問に思ったのも束の間、抱き寄せられる鬼龍。
「うふふ、鬼龍さんだぁ。あったかぁい。」
「ちょおま…色々とアウトだから!待って落ち着いて!起きてくれぇ!」
昨日見た美しい八雲藍は何処へやら、ギャップがあり過ぎてキュンとなりながらも必死に理性を失わないように藻掻く。
しかし悲しいかな。そのまま藍は二度寝をしてしまい、動くに動けないのである。
「はぁ…これじゃあ紫や三沢になんて言われることやら…全く、駄目じゃ――」
鬼龍の言葉は続かず、空を切る。
「もうどこにも行かないでくださいね…」
寝言を言う藍の抱く腕に気持ち力が篭る。
鬼龍は考えるのをやめた。
朝起きたら藍が隣で寝ていた。そんなことを言っても信じてくれる人の方が少ないだろう。
そう結論付けた鬼龍は安心させるように頭を撫でてやる。
「んぅ…」
気持ちよさそうに夢の中へ旅立つ藍。
鬼龍は朝の鍛錬を諦め、二度寝することにした。
障子の隙間から覗く深淵の監視者約二名の視線に気づかずに。
▽
三沢大地は朝が苦手だ。
幻想郷に来てからというもの、度々寝坊することがある。
しかし今日は違った。
朝日が昇るそれ以前に起き出し、服装を整える。その顔には隠しきれない悪戯心が張り付いていた。
居間へ行き、先に待っていた紫に目配せをする。
――行けるか?
――ええ。いつでも。
そのやり取りは長年付き添った夫婦のようであった。
緊張する面持ちのまま忍び足でとある部屋の前まで歩く。
そして音を立てないように障子を少しだけ開け、覗き込む二人。
まず眼に飛び込んできたのは机の上だ。昨日紫から受け取ったグラスが二つあり、その横にはいつも首にぶら下げているハーモニカ。
また、デッキ調整した痕と見られる散乱したカードたち。
とどのつまり、鬼龍の部屋である。
なぜ二人が鬼龍の部屋を覗き見しているのかと言うと――
「「スゥ…」」
今までの一連の流れの後寝入った二人の姿があったからだ。
「見た?大地。」
「あぁ…見たよ。見ててこちらが恥ずかしくなるぐらいだったがな。全く…羨まゲフンゲフンけしからん!」
小声で話す二人はニマニマしながら観察をする。
「これじゃあ多分寝坊するだろうな。」
「間違いないわね。まぁ私がやったこととはいえ、少しの間藍には夢を見させてあげましょう?」
そして静かに退散する二人。
「あっ朝ご飯どうするの?」
「…俺が作るから紫はその辺で待っといてくれ。」
「あら、久々の大地の料理なの?楽しみね。」
「味に保証はせんぞ。」
▽
ご飯の炊けるいい匂いがする。
その匂いに釣られてゆっくりと目を開ける。
確か部屋で藍が寝ていて…
「ハッ!寝てる場合じゃねぇ!寝坊したやんけ!」
勢いよく上体を起こし、周りを確認した。
既に藍は起きたのか隣にはいなかった。しかし布団は微かに暖かった。
急いで寝癖のついた髪を梳かし、デッキを纏めて形見を首から下げる。
そして早足に居間へ向かう。
そこには――
「あら。おはよう寝坊助さん?」
「おう鬼龍、おはよう。」
綺麗なたんこぶを頭に付けた二人が出迎えた。
「えっと…とりあえずおはようございます?」
たんこぶのことについて聞くべきか悩んでいると三沢が爆弾を投下した。
「昨日は…お楽しみでしたね?」
すごくいい笑顔でニコニコする三沢。
隣では紫が笑いを堪えようとして扇で顔全体を隠すが、肩が小刻みに震えていた。
「うん…お前らとりあえず正座な?」
全てを察した鬼龍の顔はかの有名な氷結界の龍たちすらも尻込みする程の凍りついたような笑顔だったという。
▽
説教を小一時間程し、朝食を済ませた鬼龍たちは紫のスキマによって博麗神社に来ていた。
スキマでの移動の道中、紫と三沢はたんこぶを更に増やされたことについて文句を言っていたが無視を決め込んだ。自業自得なんだから是非もないよネ。
「ここが…博麗神社か。」
鬼龍の第一声がそれだった。
神社といえば何を思いつくだろうか。
普通なら参拝者が賑わう…とまではいかないにしろ人が少なからず居てもおかしくない。
しかしここはどこか閑古鳥が鳴いたのか人一人すらいなかった。
森の中にポツンと佇む神秘的な神社。
風情があると言えば聞こえは良いが、参拝者すら居ない廃れた神社、というのが第一印象であった。
「ここが本当に件の神社なのか?」
不安になりながらも聞く鬼龍。
「ああ…俺の知る限りではここがそう『だった』。」
答えたのは三沢。表情は暗い。
「霊夢がいた時はそうでもなかったんですよ。妖怪たちの溜まり場…とでも言うんですかね?相も変わらず参拝者はいなかったですけど。」
藍は巫女さんがいた時のことを思い出し、悲痛な面持ちで語る。
つまるところその博麗の巫女なる人物、博麗霊夢が人と妖怪のパワーバランスを保つとともに人と妖怪の絆を繋ぐ重要人物だったわけだ。
その博麗の巫女様がいなくなっては幻想郷においてのパワーバランスが崩れてしまった。
これでは手を取り合うどころか人によって妖怪の存在自体が拒絶され、幻想郷そのものが瓦解するのもそう遅くない。
そう考えた鬼龍は鳥肌が立ち、ゾッとした。
「…なんだか、虚しいな。」
「そのために霊夢と同じ立場である鬼龍遊樹、あなたに改めてお願いするわ。この幻想郷を、救ってください。」
八雲紫が真剣な面持ちで頭を下げる。藍と三沢もそれに倣い頭を下げる。
「よしてくれ。そういう堅苦しい事は苦手なんだ。状況は悪いが気楽に行こうぜ?肩張っても何も解決しないぜ。」
肩を竦めて頭をかく鬼龍。
「とりあえずこの神社を綺麗にするところから始めようぜ?埃被っちまって人が来る以前の問題だ。」
話題を切り替え、暗い話にケリをつけようとする鬼龍。
「そうだな…とりあえず掃除を――」
三沢の言葉は続かなかった。
否、遮られたと言っても差し支えないだろう。
なぜなら――
「貴方が博麗の巫女代行?ふぅん、男なのね。神主と言った方がしっくりくるわね。」
空から日傘を持った一人の少女が舞い降りてきたからだ。
桃色の服装が目を引き、所々に赤色のリボンが装飾されている。また帽子も同様である。
ワインのように透き通ったような深い赤色をした眼をしており、淡い青紫色の髪型が対照的であった。
何よりも特徴的なのはその背中にある一対の「翼」である。闇に吸い込まれそうな黒の翼をしており、どこか蝙蝠を想起させる。
見た目は幼いが気配を悟らせずここまで来れるということは相当の実力者なのだろう。
「あら?八雲紫に八雲藍じゃない。お久しぶりね。」
少女は静かに地上に降り立つ。まるで破滅の美神の降臨の如く美しい所作であった。
「レミリア自ら表舞台に出てくるなんて今日は槍でも降るのですかね?」
皮肉を込めて八雲藍は挨拶をするが軽くいなされる。
「今日はそこの神主に用があって来たのよ。…咲夜は例の件で捜索に加わっているから仕方なく私が来たのよ。」
何事も無かったかのように鬼龍に向き直り品定めするかのように見るレミリアと呼ばれる少女。
「とりあえず何か御用でしたらまた後日改めて頂けませんか?何せまだ来たばかりなのでまだここに慣れ――」
しかし、やはりと言うべきか、鬼龍の言葉は続かなかった。
気づいた時には少女に首根っこを捕まれ、空を舞っていたからだ。
「少しの間神主借りるわね。それではご機嫌よう。」
残された三人は唖然に取られて少しの間動けなかったが、三沢がハッとして叫ぶ。
「俺はずっといたァ!最初から居ない扱いするなぁぁぁぁ!」
空を舞う鬼龍は、いやツッコミ所そこじゃないだろ、助けてくれよ、とぼんやり考えながらクスクスと笑う少女に連れ去られるのであった。
後日、新聞にて少女に誘拐される博麗の巫女代行として一面を飾り、冷徹な笑みを浮かべた藍が発行者に殴り込みに行くのはまた別のお話。
▽
「なぁ…なんで俺の事を知ってたんだ?レミリア…だっけか。」
レミリアと呼ばれた少女の腕力スゴイナー幻想郷では常識に囚われたらイケナインダナーとぼんやり考えていた鬼龍はふと疑問に思ったことを口にする。
「あら?新聞読まなかったのかしら。貴方のこと一面になってたわよ?」
そもそも幻想郷に新聞なんてものがあること自体が初耳である。
まだ上手く頭が回転しないうちに疑問をどんどん口にする。
「君は何者なんだ?どこへ俺を連れていくつもりだ?そもそも何が目的だ?」
しかし対するレミリアは不敵な笑みを絶やさず、鬼龍を引っ張っていく。
「そうね…一つなら答えられるわね。他の質問は着いてから答えるわ。私の根城である紅魔館へ行くのよ。まだ名乗ってなかったわね。私はその紅魔館の主、レミリア・スカーレットよ。ほら、あの湖の岸にある洋館、あれがそうよ。」
レミリアに促され、そちらを見ると霧で覆われる血で塗られたかのように錯覚させるほどの深紅の洋館はまるで魔王の帰りを待つかの如く静かに、しかし力強く佇んでいた。
「ようこそ、紅魔館へ。」
その悪戯顔には外見と重なり、かなり幼く見えた。
▽
レミリアに案内され応接間へ案内された鬼龍。
道中、中国風の武道着を着こなす門番が主様の帰還にも関わらず立ったまま寝ていたが、肝心の主様が何も言わないのでスルーした。
レミリア曰く、
「やる時はやるのよ…いつもあんな感じだけどね。」
と、哀愁漂う表情で語る姿が印象的だった。
幼い見た目に反して悟るような表情に鬼龍は、苦労してるんだな…と生暖かい眼で眺めていた。
「さて、ここに来てもらった目的を話す前にティータイムにしましょう。咲夜…は居ないんだったわね。少し待ってて頂けるかしら?」
そう言い、部屋を出ていくレミリア。
しかし待っている間暇なのでデッキからカードを出し、『九尾の狐』を眺めること五分。
「待たせたわね。ケーキと紅茶を持ってきたわよ…あら?貴方決闘者だったのね。それなら実力次第だけど八雲紫が次期神主に選ぶだけのことはあるわね。」
鬼龍のカードを見てイタズラを思いついた子供のようにニヤニヤしてこちらに近づいてくるレミリア。
「な、なんだよ…」
その小柄な体からは想像も出来ない気迫に押され、鬼龍は動けなかった。
鬼龍の座っている場所まで辿り着くと不意に鬼龍の持つカード『九尾の狐』をかっさらっていく。
「あ、おい待て!そのカードは…」
突然の事で対応が遅れた鬼龍は取り返そうと動くが、機敏な動きで躱すレミリアからとうとう取り返すことは叶わなかった。
「ふぅん…『九尾の狐』ね。絵柄は違うけどそこまでレアなカードでは無いわね。」
「…何が望みだ。」
何事も無かったかのように席に座るレミリアに倣い席に座る。しかし内心は穏やかではなかった。
それもそのはず、そのカードはレアリティこそ低いが鬼龍にとって命の次に大事なものなのだから。
「まぁこれから話す事をしてくれれば返してあげない事もないわ。」
そう言い、優雅に紅茶を飲むレミリア。
「分かったよ。んで…紅魔館の主様は俺に何をさせようと言うのかね?」
両手を上げ、降参のポーズを取る鬼龍。
こういう相手には要求を飲んで満足してもらう他ない。
…なかなか面倒なことになりそうだ。
「簡単よ…私の妹…フランドール・スカーレットの遊び相手になって欲しいのよ。このケーキ美味しいわね。また咲夜、腕を上げたわね。」
ケーキを食べ、恍惚な表情で言う。
その口元にはクリームがついており、先程のカリスマの威厳は欠片もない。ケーキを楽しむ彼女は見た目相応の少女にしか見えなくなってしまう鬼龍。
「…それだけか?」
些か拍子抜けである。
正直に言うと無理難題を吹っかけてくるのではないのか…そう感じていたのである。
遊び相手になる、そんな簡単なことならば…と安堵しとりあえず頂いたケーキと紅茶を楽しむことにしたのである。
その束の間の安堵も直ぐに消え去る事になるとは露知らず…
やべぇ…全然デュエルしてねぇや…()
蟹頭さんから「おい、デュエルしろよ」とか言われそう…
次の話!次の話ではデュエルしますので!お待ちください!()
唐突ですが一応取ります。三沢大地にウォータードラゴン関係のオリカを追加しても良いか否か
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いいぞもっとやれ
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原作基準で…
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そんなことより主人公は?
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イラスト描け