東京レイヴンズ~another story~ 作:十六夜陸斗
圭は祓魔局から寮に帰ってくると、雪奈の質問攻めにあった。
圭は祓魔局であった事を雪奈には話さなかった。宮地にもこの事を話すなと言われていたし、何より雪奈をこの事には巻き込みたくなかったからだ。
だが、圭は親父やお袋には話した。この二人は陰陽庁の人間だし、宮地の許可もとったからだ。
祓魔局での出来事を親父に話すと
「前々から用意していた、お前の護法式を渡す」
と、言われた。正直どんな式神なのかは楽しみだと思う圭だった。
それから一週間たち、今日は陰陽塾の入学式だ。
雪奈と一緒に陰陽塾に向かって歩いていると、圭は大きな欠伸をした。
「どうしたの圭君?」
雪奈が心配そうに俺の顔を覗き込んできた。
「いやな、昨夜はいろいろあって……」
「もしかして圭君、楽しみで眠れなかったとか」
「いや、そんな生優しいものじゃない」
そう、まさに昨夜は戦争だった。
-------昨夜
圭は明日は陰陽塾の入学式だからと思って早く寝ようと思い、夕食を食べ終わってすぐに部屋に帰ってみると
「お帰りなさいませ、圭様」
ものすごい美人の人が 圭の部屋にいた。
圭はパニックになった。
「お、お前は誰だ?」
「はい。今日から圭様の護法となりました、『恋(れん)』と申します。不束ものですが、どうぞよろしくお願いします」
そう言って恋はお辞儀をした。
「そうか、お前が親父が言っていた護法式か。
よし、俺は龍崎圭だ。恋!こちらこそよろしく」
「はい。圭様」
こうして二人は自己紹介を終えた。
圭はそこでふと思った事を恋に聞いてみた。
「なぁ、恋。お前って霊狐なのか?」
「はい。そうですわ」
「ふーん。じゃあ特技は?」
「隠形が得意で、他にもいくつかの呪術が使えます」
「それは凄いなあ。あっ、そうだ。俺明日入学式だから早く寝ようと思ってたんだ。悪いな恋。俺はもう寝るわ」
「はい。わかりました」
恋は了承したと思いきや、圭のベットに入った。
「あのー、恋?俺寝るって言ったんだけど」
「はい。だから圭様と添い寝するのです」
恋はとんでもない事を言ってきた。
「はい!?いや、一人で寝れるから」
「それはなりません。常に主の側にいるのが護法の役目です」
「じゃあ、主の命令だ。一人で寝させろ!!」
恋も主の命令と聞いて諦めたのか、ベットから降りた。
「では、今日はこれで我慢します。おやすみなさいませ、圭様」
そう言って、圭の頬にキスをした。
「!?!?!?」
圭はびっくりして変な声が出てしまった。
「うふふふ。圭様は初なのですね。それでは」
そう言うと恋の姿は消えていた。
きっと隠形をしたのだろう。
圭はキスのせいで、ほとんど眠れなかった。
-------現在
昨夜の事を雪奈に話した。そうすると何故か雪奈が不機嫌になった。
「圭君のバカ!鼻の下伸ばしちゃって」
「別に伸ばしてねぇし!なんでそんな不機嫌なんだよ」
「ふん。別に」
圭は何故雪奈が不機嫌なのかがわからなかった。
「………鈍感」
雪奈は圭には聞こえない声の大きさで呟いた。
そうこうしてる内に陰陽塾についた。
入学式は講堂で行われるらしいので二人は講堂に移動した。
入学式が終わり新入生は自分達のクラスに移動し始めていた。
「雪奈はどこのクラス?」
「圭君と一緒のクラスだよ」
雪奈の機嫌は良くなっていたので圭はホッとしていた。
「じゃあ、一緒に行こうぜ」
そう言って二人はクラスに移動していった。
クラスに入るともう結構人数がそろっていた。
だが、誰一人話そうとせず、重い空気が漂っていた。
席は黒板に貼られていた。圭は一番前の右端で、雪奈はその後ろだった。
そうして圭と雪奈は席についた。そうしてすぐに教室のドアが開かれ、教師らしき人が入ってきた。
「なんや、この重い空気。僕はこういうの苦手やのに」
この関西弁で話す男は杖を持っていて右足は義足だった。
「とりあえず、自己紹介しますか。僕は大友陣。このクラスの担任です。みんなよろしゅう」
大友が自己紹介してもクラスはシーンとしていた。
「なんやこのクラスは!?まぁいいや。これから君達はここで3年間陰陽師になるため勉強に励んでもらいます。一年目は座学が多くてつまらんけど、頑張りいや。ほな、以上!自己紹介は各自でやっときいや。明日から授業だから、忘れ物しないように」
そう言って大友は教室から出ていった。
クラス全体はポカーンとしてしまった。
「圭君、なんかあの人胡散臭くない?」
「まぁな、だがあの大友って野郎、結構なてだれだぞ」
「えっ!?圭君、そんな事わかったの?」
「なんとなくなんだけどな」
「ふーん。そうなんだ」
と二人で会話をしていると、雪奈の席の隣の人から声をかけられた。
「私、倉橋京子っていうの。よろしくね、龍崎君、早乙女さん」
「ああ、よろしく、倉橋さん。でもどうして俺の名前を?」
圭は疑問に思った事を聞いた。
「圭君バカじゃないの?黒板に名前が書いてあるでしょ!」
確かにそうだった。圭は顔から火が出そうなくらい真っ赤になった。
「よろしくね、倉橋さん。私の事は雪奈って呼んでいいよ」
「俺も圭でいいぞ」
「そう?じゃあ、私も京子でいいわ」
こうして圭達が互いに自己紹介をしていると、圭の隣の席からも声をかけられた。
「あのー。僕百枝天馬って言います。よろしくお願いします。龍崎君、早乙女さん、倉橋さん」
凄い気弱な感じで話してきた。
「おう、よろしく天馬。圭でいいぞ」
「よろしくね天馬君。雪奈でいいよ」
「よろしく。天馬でいいかしら?私も京子でいいわ」
「うん。でも、女子を下の名前で呼ぶのは恥ずかしいから、名字で呼ばせてもらうよ」
そう言って天馬は人なつっこい笑顔を浮かべた。
「じゃあ、自己紹介もすんだし帰ろうか。二人は寮?」
雪奈が切り出してきた。
「ううん。私は家から通ってるの」
「僕も」
京子と天馬は申し訳なさそうに言った。
「そうなんだ。じゃあ、途中まで帰ろ!」
雪奈は明るい笑顔で言った。圭は雪奈はこういうところが良いよなと思った。
「よし!帰るか……」
圭はそう言った瞬間、ある人物が視界に入った。
あの席の人は………土御門夏目
「!?」
圭は突然すぎて驚いてしまった。
土御門夏目は長い黒髪にきりっとした顔立ちだった。
雪奈は圭の表情を見て心配したのか声をかけてきた。
「圭君、大丈夫?」
圭は雪奈の声で我にかえった。
「ああ。大丈夫だ。行こう」
そうして、圭達は帰路についた。
圭は帰ってる途中、さっき見た土御門夏目の事を思いだしていた。
なぜ、あいつはあんなに悲しそうなオーラが漂っていたのだろう。
と、圭は疑問に思いながら寮に帰っていった。
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