大西洋連邦の示した最後通告が刻一刻と迫っていた時、1人の少年がオーブ首長国連邦代表執務室に呼び出されていた。
「失礼します。…ご無沙汰しております。叔父様」
「すまんなビャクヤ、こんな時に呼び出して」
「いえ…大丈夫です。」
「積もる話しも多々あるが、この状況だ。単刀直入にお前に頼みたい事がある」
「頼みたい事…ですか」
「そうだ…この地を、オーブ首長国連邦の地を護り続けて欲しい」
少年はその言葉の意味がわからなかった。
既にオーブ首長国連邦は大西洋連邦の最後通告を拒否することを決定し、防衛体制を整えていた。
「お言葉ですが、叔父様。既に迎撃体制は整えているのでしょう。当然私も戦線に加わりますが…」
「そうじゃない。お前にはこの戦いの後のオーブを護って欲しい。…残念ながら私の見立てではこのままいけば我々はこの地を護り抜く事が出来ない」
「それはどういうことですか」
『オーブの獅子』の異名を持つ叔父の弱気な発言に少年は驚いた。
「地球連合…いや今敵対する大西洋連邦は、例の『G』の情報を元についにMSの量産に成功した」
「本当ですか、それは」
「先のザフトとのパナマ攻防戦において連合のMSが投入されたと聞く。恐らく間違いないだろう。MSが投入されるとなればいくら性能では我々の『M1アストレイ』に分があるとはいえ数に圧倒される」
「…端から負けるとわかっていて、誇り高いオーブの軍人達を無駄死にさせにる為に戦地に送るのですか?」
「そんな顔をするな、勿論最善は尽くす。アークエンジェルの方々も力を貸してくれると言ってくれた。そう簡単には堕ちないであろう。しかしそれでも最悪の事態を想定して動かねばならない」
トントントン
ドアを叩く音、叔父は入室を許可した。すると2人の男女が立っていた。
「キサカ教官…」
「久しぶりだなビャクヤ、こちらはエリカ・シモンズ。アストレイシリーズの開発責任者だ」
「よろしく。ビャクヤ君」
「叔父様。どういうことですか、何故キサカ教官とアストレイの開発責任者が?」
「この任務はここにいる4人のみしか把握しない。極秘任務となる。いいかビャクヤ、今から説明する内容をしっかりと胸に刻み込め」
「叔父様…。」
4人は、とある格納庫へとやってきた。
「ビャクヤ。この任務の遂行の為に送るお前専用の剣だ」
格納庫の扉の先に1機の白いMSが立っていた。
「この機体は…アストレイですか?」
「いえ、機体名は『ゲッコウ』。ある機体を開発する為に開発された試作MSよ」
「『ゲッコウ』…」
「このMSの最大の特徴はこの機体専用の盾。ある装備を試験的に導入しているの、それ以外の装備は確かにアストレイと変わらないけどね」
「ある装備ですか?」
「えぇ。それはね…」
『ゲッコウ』の機体性能の説明をエリカから聞いた少年。一通り聞き終えると叔父は深々と頭を下げた。
「叔父様なにを…」
「この地と…娘の未来を頼んだ。」
「叔父様…わかりました。必ずや叔父様の期待に応えてみせます。」
「ビャクヤ…すまぬ。ありがとう」
こうして少年の孤高の戦いが始まった。