とある佐天の裏技遊戯(ニューゲーム) 作:RB_Broader
さらに、
「
すると、目の前に生まれた『轟風の剣』がコインを巻き込む形で遠くまで伸びて行き──。
ゴバァッッ!!! ギュドドドンッッ!!!
ビルのほうに近づきつつあった
名付けて、『
「……何だァ? この眠たくなるような『そよ風』みてェなのは。雑魚は引っ込ンでろクソガキ」
しかし、
だが。
「──
いつの間にか、魔女の懐と黒蛇の胴体に纏わり付いていた
キュガゴガドガガッッッ────!!!!!!
耳を
イエラヒアの風の剣でコインを撃ち出す際、イェザレルのカードも紛れ込ませておいたのだ。
それも、最初に取り出した一枚のみならず、
つまり、形を成す前の、純粋な
それも
もしも、これが『
己は両手で耳を塞ぎ、体を反対側に向け伏せて蹲った状態で、固く目を瞑り口を大きく開ける。
こうしないと爆発の衝撃で目玉が飛び出してしまうと、戦争経験者の
爆発が収まった頃合いを見計らって、己は体を起こし、灼熱色に光る爆心地のほうを見る。
たとえ相手が
なぜなら、
その場合、たとえテレスティーナ本人の肉体が滅ぶレベルのダメージを与えたとしても、無限の再生能力により、たちどころに復活する可能性が高いのだ。
「ああは言ったが……殺しても殺し切れないとなれば、やはり、最後の鍵となるのは
思わず、そんな風に若干弱気な言葉を独り言つ。
おっと、いけない。己とした事が。弱気は禁物。
焼き殺すだけじゃ足りないなら……! やはり、
『
アイツが『十字教』の位相を使った力を振るうのであれば、己はセレマの力で凌駕すればいい。
だが、まずはアイツがここから蘇ってくるのかを確かめるとしよう。
もし消し炭にしても復活するようなら、その消し炭をさらに焼き尽くしたところで同じ事。
戦略上および戦術上全く無意味な術の無駄撃ちだけは絶対に避けたい。
爆発の熱が収まったところで、死体の有無を確認する。
……どうやら、キチンと
巨大な黒蛇は跡形もなくなっているが、魔女本人の焼死体だけが残っている。
しかし、妙だ。
死体からは
そして、爆心地の地中辺りから、
そのニオイの『枝』の一本が、己の足元へ向けて伸びてきている。
!!
反射的に飛び退くと、今まで己が立っていた地面に穴が空き、小さな黒蛇が飛び出してきた。
……コイツか!!
卑怯にも御坂さんの脚に噛み付いて毒を打ち込んだ蛇は!
ソイツからは生き物特有のニオイがせず、代わりに『青銅』のニオイがした。
おそらく、これが『
爆心地の『消し炭になった死体』も、小さな黒蛇か何かを集めて作った
「
挑発してみせると、己の足下から『強烈なAIM拡散力場のニオイ』がしたので、体を少し後ろにズラした上で、愛用の金属バット『ゲイ・ボルグ』の残骸であるグリップを両手に持ち、その先の部分を地面に向け、思いっ切り振り下ろしてやる。
すると──。
「オラ出てきてやッたぞクソガキィッ!! ブッ殺して──」
地面からその狂った顔を飛び出させた魔女の頭に、グリップの先のギザギザが、ザックリと突き刺さったのだ。
「~~ッッ!! あぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃあああーーーー!!!」
当然、魔女は刺された痛みで絶叫し、半狂乱となる。
己はギョッとして思わずグリップを手放しそうになるも、後の事を考え、放さないよう固く握りしめたまま、乱暴に引き抜いて、そのまま距離を取る。
こんな人間離れしたバケモノ相手に近接戦闘など、冗談ではない。
いくら魔術の知識がある魔術師と言っても、自分より体の大きい不死身ババア相手に接近戦など挑むつもりはない。
己はこれでも女子中学生の
というわけで、己は次の攻撃が来るのを予測し、ポケットから銅のケースを取り出す。
──と同時に、半狂乱となった魔女が暴走気味に能力を発動し、毒蛇の群れを撒き散らした。
「
己の
さらに、己の術式はまだこれで終わりではない。
術式により指定された『敵』は毒蛇の群れだけではなく、それらを撒き散らした魔女も含まれ、『死ぬまで噛み殺せ』が命令の範囲だからだ。
毒蛇が
「チッ……てめェッ! 調子乗ってンじゃねェーッ!!」
半狂乱から戻ったが、頭を刺された怒りが収まらない様子の魔女がブチ切れ気味に吼える。
と同時に、巨大な黒蛇が炎を纏った姿で現れ、水の巨大鮫達を、その炎で消し飛ばしてしまう。
……ッ。
火と水では相性最悪で、水のほうが優るとはいえ、やはり強い火力は水では消し切れないか。
こうなれば、速やかに
己はビルのそばにあるオープンカフェまで移動し、客達が慌てて避難した後なのか、テーブルの上に置きっぱなしの飲みかけのコーヒーが入った二つの紙コップのうち、一つを手に取る。
そして、もう一枚の銅のケースに入ったテレズマ・カードを取り出し──。
「
──
続けて、紙コップのコーヒーを魔女へ向けて掲げ、さらに別の
「──
すると、水の属性魔術により、紙コップからコーヒーが噴き出し、水の柵にブチ当たった後、『縦一文字』を描いてみせ──。
「──
コーヒーによって描かれた『
さらに、テーブルの上に残っているもう一つの紙コップを左手に持ち、右手でグリップの先のギザギザを使って『
続いて、手に持った
「──
九界の下層にして凍えし国『
己が前に立ち塞がりし不遜の輩へ冷たき眠りの罰を与えよ」
己の
……よし。
属性魔術とルーンの魔術の組み合わせは成功。
この分なら、
だがその前に、こいつを全力で叩き込む!!
どんな生命だろうと、極寒の中では生きられない。
それに、どれだけ焼いても復活してくるようなバケモノは、凍らせて固めてしまえばいい。
完全に消滅させるのは、動けなくした後にいくらでもできるのだから。
やがて、己の術式による命令を受けた氷の巨人は、巨体の高さを利用しつつ、その重量を乗せた六畳間をスッポリ飲み込む大きさの拳を振り下ろし、氷の柵に閉じ込められた魔女と巨大な黒蛇を柵もろとも叩き潰そうとする。
しかし。
ギュイィィィィィーン!!
氷の柵の中からグラインダーの研磨音に似た音が聞こえたと思ったら、氷の柵がたちまち細切れとなり、中から無数の小さな黒蛇が飛び出してきたのだ。
無数の黒蛇が
もう何でもアリだな、このバケモノ。
だが、もう遅い。
凍える巨人の巨大な拳は、そんな無数の黒蛇もろとも魔女を叩き潰し、再び氷漬けにする。
押し返して来ないように、左右の拳を交互に振り下ろし、何度でも
……が。周囲一帯の地面から『焼け焦げた溶岩』のニオイが立ち込める。
これは……マズい!!
己は慌てて後ろへ大きく下がり、この焼けるニオイの範囲外へと避難する。
と、地面が火口のように灼熱色に光り輝き、魔女のいた場所を中心に、火柱が上がる。
巻き込まれたテーブルが溶けて崩れるとともに『
火柱はすぐに、巨大な炎の蛇へと姿を変え、頭をもたげて己のほうに視線を向ける。
……ッ! 照準に入れられたか。
己はすぐ後ろにもう一つの
「──
すぐさま己に向かって降り注いできた炎の奔流を防ぐため、己の
「──
その直後、土の防壁が崩れ、己が隠れていた場所がテーブルもろとも炎の奔流に飲み込まれる。
が、その寸前の所で、己は高速移動により難を逃れていた。
そのまま地上を滑走し、路地裏を縫うように迂回しつつ、遠く離れた『農業ビル』へと向かう。
ここは第十七学区。
クローン食肉や野菜の人工栽培をする農業ビル、学園都市内で使用される工業製品の工場などが多く存在し、施設の大半が自動化されているため、他の学区と比べ人口が極端に少ない。
つまり、農業ビルもまた無人化されており、そこを巻き込んだところで
まあ、あのクソ
この戦いが終わった後に、気に病んで勝手に自殺でもされたら、己が困る。死にたくないし。
そして、己は野菜工場が入っている農業ビルまで辿り着いた。
……ここからが、本番だ。
己はまず、農業ビルの入口近くにある『定礎』と書かれたプレートに、仕掛けのためサインペンでルーンを書き足しておく。
そして、あの魔女に見付からないよう死角となる側の壁を登り、ビルの屋上まで辿り着く。
もちろん、両足には高速移動術式が掛けられているので、壁を滑るように移動したのだ。
屋上に着いたら、己は高速移動術式を乗せた飛び蹴りを鉄のドアに食らわせて蹴破り、建物の中へ侵入し、農業用の液体肥料を探す。
警備システムが作動しようが構うものか。今は全住民が避難してるのだから、誰も来やしない。
そして、肥料のニオイを探って見付けたポリタンクを何本か抱え、己は屋上へと引き返す。
屋上に戻った己は、液体肥料を撒く事で、広い屋上一面にルーンを使った文章を書き上げる。
その内容は『
ビルの入口近くの『定礎』プレートに書いたのも同じ内容だ。
ちなみに、ルーンをアルファベット式に繋げて読むと、『アユヌグブアンウ』と発音できる。
続いて、屋上の中心にコイン(御坂さんが落としたもの)を置き、金属バット『ゲイ・ボルグ』のグリップの先をその場所に突き立てる。
そして、ゲイ・ボルグのグリップ部分に刻まれた『
最後に、ゲイ・ボルグを
「
『
北欧神話における巨人スルトの剣と、光の神バルドルを殺したヤドリギ『ミスティルテイン』の伝承を混合した術式──それが『
己は
己は超巨大な炎剣を掲げたままの姿勢で、ビルの屋上から、魔女の居場所を探していた。
ってか……
これは、手を熱から守るための術式か霊装が欲しいな。改善の必要あり、か。
今後の
……と、見付けた。
地上からこっちを見上げてるな。
まあ、これだけ
さて!
向こうから火でも吹かれたら回避や防御が面倒なので、先手必勝!
リーチは……少し遠いから、ビルを半分くらい駆け下りてから、一気に振り下ろす!!
そう考え、己はビルの屋上から飛び降り、そのままビルの壁に沿って滑り降りた。
下からの風がきっつい!
ってか、セーラー服が捲くり上がりそう! スカートも捲れるゥ!!
全住民避難してくれてて助かった!!
いくら己でも、こんなあられもない姿を男の人に見られたら恥ずかしくて死にたくなるし!
……よし! 今!
チェストォォォォーーー!!!
ゴゴォォォォォォォォンッッッッッ!!!!!!
超巨大な炎剣を振り下ろし、地上にいる魔女を、そばにいる巨大な黒蛇もろとも叩き潰した。
さらに次の一撃のため、地面を大きく割っていた炎剣を振り戻す。
すると──。
ズガガガガゴゴンッッ!!!!
──大ダメージでグロッキーとなっていた魔女の体が巻き込まれる形で捲くり上げられ、追加でダメージが入り、オーバーキルとなる。
これまでとは全く違う手応えを感じる。
もしかして、今までの攻撃は全て、巧妙に躱されるか、防がれていた?
……『
それは、ごく限られた存在しかいない。預言者モーセ──そして、『
『
『青銅の蛇』によって神格を得た事で、
この意味は大きい。
この分だと、切り札の
己は高速移動術式を制御して減速しつつ、ビル壁から地上への軟着陸を果たし、激突を免れる。
そして、最後の
「超ッ……すごい……ガァァァーーーーーッッド!!」
ゴガッ!!! チュドォォォォーン!!!
突如、割って入った謎の男が、背中からカラフルな煙を爆発させながら、炎剣を受け止めた。
そしてさらに。
「ハイパーエキセントリックウルトラグレートギガエクストリーム……もっかいハイパー、すごいパーンチ!!!」
キュガッッッ!!!
珍妙な技で、炎剣を弾き飛ばされた。
その男は、バンカラ風に着崩した白い学生服に白ハチマキ、海軍旗みたいなTシャツを着用している、漫画に出てきそうな男子学生だった。
「動けねえ奴を一方的に、武器なんか使って
……ん? 何いってんだコイツ。
「あ、アンタ、一体何なのよ! もう少しで決着するところだったのに、邪魔すんな!!」
「? ……決着ならもう付いてるだろ。終わった喧嘩は互いに恨みっこなしだ。続きがやりてえってんなら、また今度にすりゃいいじゃねえか」
「な……まだ終わってないっての! 今のうちに止め刺しとかないと、このまま見逃したらどうなるか分からないってのに! もう、そこどいて!」
「相手を一気呵成に殺っちまおうなんてのは、根性足りてねえ軟弱野郎の言い草だ。喧嘩ってのは拳と拳のぶつかり合いだ。気の済むまで何度でもやり合って、分かり合うのがイイんじゃねえか。それこそが、根性ってモンだ!」
うわ。話が全く噛み合ってない。メンドくせー。
「お前……目が真っ赤っ赤だなあ。寝不足か? おおかた夜更ししてゲームのやりすぎとか何とかで、そうなっちまったんだろう。全く、根性の何たるかが分かっとらん! 早寝早起き病知らず。元気があれば、根性も入る! この俺直々に、お前に一から根性ってモンを叩き込んでやる!」
……いや、これは
ホントにもう、どうすりゃいいのコレ。
「とは言え、俺は女子供を殴る趣味は無ぇ。だから、お前の攻撃を全部受け止めてやる!」
……え、何言ってんのコイツ。この能力者の街で、騎士道精神気取りかよ。
しかも己を女子供扱いとか、ナメてんのか。
「さあ、いつでもいいぞ! 根性見せてみろ!!」
そう言って、その男は腕組みしたまま、直立不動の姿勢で待ち構える。
つーか、根性根性うっさいのよ、アンタ。それしか言えないのか、この一つ覚えの根性馬鹿が。
そんな風に己が心の中で悪態をついていると、唐突に、根性男の体が硬直したように見えた。
よく見ると、右のアキレス腱の辺りに黒い毒蛇が噛み付いている。
!!!
「間抜けなヒーロー気取りのお坊ちゃんが、この私に背を向けて、クソガキ相手にのんびりナンパなんかしてンじゃねェッ!!」
ドガァッッ!! ……ギュドォォォン!!
直後、いつの間にか復活していた魔女の咆哮とともに巨大な黒蛇の尻尾が根性男を弾き飛ばし、その体を高速で、農業ビルへと突っ込ませたのだった。
ゴゴゴゴ……!
やばい。ビルがグラついてる!? 『破滅の枝』のルーンは……。
どうやら根性男が突き飛ばされた余波のせいで、農業ビルの根元辺りがポッキリ折れてしまい、『定礎』プレートのルーンと屋上のルーンとの繋がりが切れかかっているようだ。
これ以上の継続使用は無理か。
己は炎剣に見切りを付け、ビルの高さ程の炎の刀身を、魔女と巨大な黒蛇を巻き込む軌道で真横に薙ぎ払った勢いで、ビルを根元からぶった斬る。
今度は軌道が読まれていたのか、魔女は体を伏せて炎剣からギリギリ身を躱す。
巨大な黒蛇のほうは、どうせ再生できるから関係ないのか、避けもせずにマトモに斬られる。
そして、根元から切られた農業ビルは、魔女と己がいるこちらのほうに倒れ掛かってきたので、己は高速移動でその場から離脱するが、魔女のほうは足が遅いため、避けられない。
もちろんこれも読み通りだ。そうなるように斬ったのだから。(直後、『破滅の枝』は消えた)
……っと、いつの間にか黒蛇の長い触手が魔女の体から伸びてきて、己の足に絡みつこうとしていたので、身を翻して避ける。抜け目無いなあ。
逃げるのを諦めたのか、魔女は巨大な黒蛇を出現させ、身を守らせたままビルに押し潰される。
……はあ。
根性男の余計な邪魔が入ったせいで、
どうせ、あの
これくらいじゃ死なないだろうし、平気な顔して復活してくるに決まってる。
どっちにしろ、『死体』を確認するまで、いや、
神格を得た存在なら、肉体など
倒し切るには、神格ごと殺すか、力の根源となる『位相』をどうにかするしかあるまい。
結局、最後の切り札を出す羽目になるか。
しゃあない。
己が目覚めたのは、あの時──
結局、己の働きも空しく、羽根が一枚だけ残ってたせいで上条は大怪我したんだっけ。
己らしくもなく、ショックで目の前が真っ暗になったけど、あれ以来
さて。
感傷に浸ってる時じゃない。
そろそろ
次で決める……!!
第七学区の病院にて。
白い修道服の少女インデックスは、
「この歌の内容……
インデックスは何だかとても怒っていた。
アケミ達に叩き込まれた『神話』の中身がいいとこ取り過ぎて、神への敬意を感じられないのが気に食わないらしい。
どうやら佐天や初春の予想とは裏腹に、幻想御手使用者の『悪夢』に差し込まれた神話の内容は『青銅の蛇』だけでは無かった模様。
この分だと洗脳を解くのに手間取りそうだと、初春は思った。
崩壊したビルの瓦礫に巨大な黒蛇ごと押し潰されたと思われた
その間、己は一旦距離を取るとともに、別の無人工場のビルを探すも、『
瓦礫を押し退け、炎を吐いて燃やし尽くした巨大な黒蛇は『脱皮』によって、
──まさか、アステカ神話の創造神『
あるいは、古代インドの聖典の一つ『リグ・ヴェーダ』に伝わる巨大な蛇の怪物『ヴリトラ』?
または、ゾロアスター教の悪神アンラ・マンユに創造された有翼の龍蛇『アジ・ダハーカ』?
『
……最新鋭兵器とはいえ、神格相手に通用するとは思えないが。
とりあえず標的にされると面倒なので、己は自動制御の無人工場のパイプが張り巡らされている細い路地にでも隠れる事にする。
第七学区の病院。アケミ達の病室にて。
幻想御手使用者の『悪夢』に差し込まれた内容が、神話の
「……で、どうするんですの?」
話の中身をほとんど理解できずとも、横道に逸れそうなのを察した白井が、インデックスさんが愚痴モードに入る前に、先回りして話の本筋の続きを促す。
「でもこれだけゴチャゴチャくっつけたら、どれが本命か分からないんだよ。だから、色々ある中からどれか一つでも『神格』を貶める事ができたら、その『世界』は
白井に促される形で、話を本筋寄りに戻したインデックスは、解決の糸口を仄めかし始める。
つまりは『
「神格を貶めると、弱くなるんですか?」
それに反応した初春が、キーワードを摘み上げて、先を促すように質問する。
「
その質問でさらにスイッチが入ったのか、インデックスは饒舌に喋りまくるも、白井には全く意味が分からず、初春も少々置いてきぼりを喰らいそうになる。
「えーと……で、どうやって強調するんですか?」
ここで初春が根本的な疑問を発すると……。
「まかせて。シロウトの歌に
どうやら、インデックスには秘策があるようだった。
…………。
心臓の鼓動が早く、息が荒い。
先程からずっと動きっぱなしな上に、ビルの高さ程の炎剣まで振るったせいで、両手が軽い火傷で熱を持ってヒリヒリする。
己が『魔力』を生成する際、新陳代謝も活発化する事で常人離れした再生力を発揮する訳だが、どうやらエネルギー消費がハンパ無い上に、『魔術の副作用』で知らず知らずのうちに体の血管があちこち切れては再生するの繰り返しになっているらしい。
体の奥底から『もういやだ』という
という訳で、そろそろ限界が近い。
まあ、仕方がないか。
己は遍く中心点に存在するけれど、佐天涙子の心の中、その
でも、己は信じている。
いつかは
あるいは能力に目覚めるか?
己がそんな風に思索に
六枚羽は魔女を有翼の蛇ごと、銃弾の雨で
その上、魔女が
「あっひゃひゃひゃひゃひゃ!!! あ~スッとしたぜェー。……そうだ。いい事考えた」
「まずは学園都市二十三学区を一個ずつブッ壊したら、次は東京二十三区を一個ずつブッ壊そう。そしたら、残りの道府県46個を一個ずつブッ壊して、今度は世界の国々を一国ずつ滅ぼすってのも面白そうだなァ」
「そして最後は、この世界を滅ぼし、新たな世界で『神』となる」
「神ならぬ身にて、天上の意思に辿り着くもの──すなわち
「それを
自分を神に等しい存在──レベル6になったと思い、狂ったように高笑いする魔女。
もはや、誰にも太刀打ちできないように見える。
このままだと、第十七学区は火の海となり、やがて佐天達が住む第七学区を始めとし、学園都市全てが灰燼に帰すだろう。
やはり、あの神格は『ホルスの
己はふと眩しさを感じ、空を見上げると、魔女がいる場所の真上に太陽が上がっていた。
……いや。あれは『太陽』ではない。
本物の太陽は既に西の方へ大分傾いている。
魔女の頭上にあるのは、有翼の蛇の体が発光した姿──火球の形をした高エネルギー体だった。
己は高速移動術式を使い、魔女の目の前まで一気に躍り出る。
「あン? ガキが今さら何の用だ? さっきの馬鹿デカい剣はどうした? もう出せねェのかァ? ……だったらてめェはもうお呼びじゃねェンだよ。そこで干乾びて寝てろ、ブァ~~~カ!」
自分はもう無敵だと思っているのか、魔女が大上段から嘲りたっぷりに罵ってくる。
だが、そんな下らないものに構っている余裕など、もう無い。
今この時こそが、切り札を使う最後のチャンスなのだから。
「
そして、
──が、この時点で既に、
そして、高度な複合属性魔術の制御を失った事で、両足に纏わりついていた青と黄色の光の螺旋が消え、高速移動術式が強制解除された結果、
太陽となって光り輝く有翼の蛇の前に、極彩色の正四面体の魚卵の塊のような体を持ち、真紅の双眸を閃かせるハディトが対峙していた。
「──sc再yuij会aeur」
ハディトは最後に、私に向かって何かを言ったように聞こえた。
そして、ハディトは雷光の如き速度で有翼の太陽の蛇と激突し──閃光となった。
解説1:
ハディト化した佐天が使用した術式一覧:
*イエラヒア(双子座第2デカンの夜の天使)の風の剣を使った疑似レールガン:
テレズマ像は『御坂美琴似の豪風を纏った天使』(本作第2話に登場)
射出物は御坂美琴が残した数枚のコインと、イェザレルのカード3枚
*──からの、イェザレルのカード3枚のテレズマを爆発させるコンボ
*ミズラエル(蠍座第3デカンの夜の天使)の水の魚による噛みつき攻撃
*アリエル(蟹座第1デカンの夜の天使)の水の柵による閉じ込め
*寒にして湿(水属性魔術)で氷(Isaz)のルーンを刻む→アリエルの水の柵を凍らせるコンボ
*霧氷の巨人(フリームスルス)の召喚術式:
寒にして湿、続けて寒にして乾(水と地の複合属性魔術)+氷の巨人(Isaz Þurisaz)
*寒にして乾(地の属性魔術)による土の盾の防御術式
*水と風の高速移動術式:
寒にして湿、続けて温にして湿(水と風の複合属性魔術)+騎馬(Raiđō)
*破滅の枝(レーヴァテイン)の起動術式:
温にして乾、続けて寒にして乾(火と地の複合属性魔術)+神殺しの魔法の杖(ayngbalu)
*ハディトの召喚術式:
イェザレル(獅子座第1デカンの昼の天使)の火の蛇+ハディトの術式
解説2:
20メートルは、5階建てのオフィスビルと同じ高さで、7階建ての集合住宅より若干低い。
巨人は人間と比べ自重による負荷が大きい分、手足の比率も大きくなるため、身長20メートルを超える霧氷の巨人の拳の面積は団地の六畳間の340×255平方センチメートルよりも広くなる。
それだけの大きさの拳が突然上から振ってきたら、並の人間の反射神経で逃れるのは不可能。
また、農業ビルは10階建てで、高さ50メートル(1階あたり5メートル)となる。
『
ちなみに、超電磁砲に登場する
解説3:
『魔術を使って太陽を得た松明(Sōwilō Gebō Kēnaz Ansuz Laguz Ūruz)』のルーンが刻まれた西洋剣の形状をした霊装。
全てを焼き尽くすという神話の内容を再現し、それを振るう事で起こされる炎は、本来燃えないはずのもの(コンクリートのような不燃物を始め、水や暴風、魔術の炎に至るまで)をも可燃物として燃焼させ、燃え滓すらも残さない。
言うまでもないが、佐天が使った術式とは方向性が全く異なる。