とある佐天の裏技遊戯(ニューゲーム) 作:RB_Broader
8月11日午前10時。
第七学区のとある中学2年T組に在籍する女子生徒・
「
「ああ……ゴメンね。それキャンセルしといて」
「……え?」
彼女の担当研究員である
そのついでに、能力を応用した『現実を伴った仮想現実』の『構築実験』を行うとの事。
その内容とは、架空の男子学生『
(……要は、変身能力を使った俳優か)
そう思った統理は、自分を担当する女性研究員の
結局、その日は男子の体操服と短パン姿で、完璧に『架空の少年』の姿に変身した状態で、色々な場面を撮影するのに終始し、作業が終わったのは夜遅くだったので、そのまま泊まりとなる。
次の日の朝、撮影が再開される。
能力の持続時間を上げる訓練を兼ね、少年の姿のままでシャワーを浴びたり寝起きした統理は、生まれて初めて『男子特有』の生理現象を身を以て体感し、自分が本当に男になったような気分となるのだった。
そして、今度は静止画だけではなく動画の撮影だったので、声も変える事となり、声変わりする直前のカスレ気味の少年のハスキーボイスに挑戦し、それに合わせて喋り方も男の子っぽくした。
ただ、台本を覚えるのとか、男の子に成り切った役作りに難航したため、演技指導を受ける事となり、ほんの数時間だけ、担当研究員の元を離れる事となる。
……それからは、見違えるように『少年』そのものとなり、まるで『割六少年』が本当にそこにいるかのようだった。……いや、それは紛れもなく、
撮影が一通り終わり、次の撮影の準備のため、『割六少年』は再び演技指導を受ける事となり、担当研究員の元から離れたきり、戻っては来なかった。
……そして担当研究員もどこかへ連れて行かれ、しばらくして戻ってきた彼女は、
さらに、撮影全般に関わったスタッフ達は監督含め全員、煙のようにどこかへ消えていた。
彼等の行方は未だに杳として知れない。
なお、撮影スタッフ十数名のほとんどはボランティアで参加した女子学生らしく、全員が常盤台の制服を着用し、皆一様に茶髪で(マスクを着けたり眼鏡やサングラスを掛けたり帽子を被るなど変装していたものの)顔も声も体格すらもそっくりだった。
もちろん、
そして、8月15日の朝7時。
『分紋羽割六』は尾道統理の姿と格好で、彼女が住む学生寮のマンションの近くにいた。
『彼』は、特別拘置所の看守から浴びせられた言葉の数々を思い返す。
『誘拐犯のお前が変身してた事が本人にバレたせいで、本人はそれを苦に
『お前の変態行為のせいで、何の罪もない女の子を一人死なせちまって、どんな気分だ?』
『この分だと裁判では誘拐・監禁止まりで、未成年なのを考慮すれば執行猶予も付くだろうから、割とすぐに
『お前、死んだ女生徒の親からも友達からも恨まれるし、同級生は皆お前を変態扱いするだろう。だったらもうお前、代わりに女生徒本人になっちまえよ。どうせ体は元には戻らないんだろ?』
『こっちの事は心配すんな。お前がアリバイ工作と、
恥辱と罪の意識で押し潰されそうになり、目からは涙が溢れそうになるが──
「ごめんなさい……尾道さん。『僕』のせいで。その代わり、これからのあなたの生活は『僕』が代わりに守ります」
──と呟いた後、涙を拭き取り、キッと前を向いて、梯子を使ってマンションの2階の廊下まで登って行くのだった。
そして、マンションの玄関から出て行った後、元いた場所へ戻り、梯子を片付け、そのまま近くに停められていたバンに乗り、その場から去って行った。
さらに時間が進み、8月15日の午後7時過ぎ。
「本当に……『僕』は、『僕』なんだろうか。『僕』は、一体……」
「どうせもうすぐ、お前はその体と同じ姿の女生徒になるんだろ? だったらもうお前が誰だっていいじゃねえか。そんな事、もう気にする必要無いだろ」
呟く『少年』に向け、そばにいる看守がヘラヘラしながら、無責任な言葉を浴びせる。
「……ああ、それと、お前が変身してる、その女生徒な。ここ数日誰とも会っていなかったから、能力開発の特別訓練のせいで忙しかったって事になってるし、『自殺』の件は他の女生徒の間違いだった事になってる。だから、お前がそいつに変身したって噂も無かった事になってるから、変身された被害者じゃなくなってるし、好奇の目で見られずに済むぞ」
気遣いのつもりか、そんな話をベラベラ聞かせてくるも、『少年』にとってはどうでも良い。
そして、どれだけ苛ついたとしても、看守に逆らったりすれば、もっと嫌な言葉が飛んできたりするなど、
『彼』は、ここでは『男子』学生として勾留されており、『女子』としての扱いを受けていないため、男性の看守が配置されている。
これは、体が女子でも中身はあくまで『少年』なので、女性看守だと『危険』と判断されたためでもあるのだが、『少年』が男性看守から『危険』を及ぼされる可能性を全く考慮していない。
いざとなれば、男の姿に
とは言え、女性職員の間では、『少年』に姿を見られると姿を真似されて下劣な行為をされるのではないかとの不安から、接触どころか視界に入る事すら嫌がる人が続出しているらしいが。
ふと、鉄格子のすぐ外にいる看守の
……と、脳裏になぜかトラウマ──逃亡中の潜伏先・第十学区『ストレンジ』にて、男達に監禁されている間、『乱暴』された時の記憶──が蘇り、体が震え、硬直してしまう。
だが、
『少年』は程無く、病死扱いとされ、特別拘置所から密かに出された後、『尾道統理』として、彼女が住んでいる学生寮へ『帰された』後、彼女本人として生きていく事となる。
暗い倉庫の中に、紫色のスーツを着た金髪のホストみたいな格好をした少年がいる。
彼の背中からは、全く似合わない純白の『天使の翼』が6枚生えている。
「──クソ野郎共の、クソ仕事の
そう吐き捨てる少年の目の前には、いくつもの赤黒い物体が
……よく見ると、それらは全て『人間の死体』で、原形を留めない程の血達磨と化している。
その中には、勾留されていた『割六少年』の近くでニヤケ面をしていた看守も含まれていた。
そこに、大人びたドレスを着た金髪の少女が現れ。
「ほんと、碌なもんじゃないわね。『女装』した犯罪者の少年に対し、看守ともあろう者が仕事を忘れて、
口では心底ゲンナリしたようなセリフを吐きつつ、その顔には自然な微笑みだけがあった。
まるで、これ以上の修羅場を日常としているとでも言わんばかりに。
「まだ最後のクソ仕上げが残っている。お前も見たいか?」
「……冗談。まったく。失礼するわ」
それから数時間後、特別拘置所から『少年の遺体』が運び出された。
その遺体から検出されたDNAは『男性』のものだったが、『傷一つ無い』体は天使の翼のように白い肌をした
8月16日午前10時頃。
警備員第73活動支部にいる黄泉川に激震が走る。
「……『死んだ』だって!?!? そんな馬鹿な!!」
『少年』との次の面会予約を入れるために電話を掛けた際、特別拘置所から『被疑者死亡』との回答があったのだ。
なお、『少年の亡骸』は特別拘置所から運び出され、第十二学区の火葬場で荼毘に付された後、既に
墓地を訪れた黄泉川と
そこには、『名も無き少女』の死に顔が映っていた。
「……??」
訝しがる黄泉川に対し、思っていた反応と違ったためか、やや首を傾げながら、牧師は告げる。
「
そして、目を瞑ったまま、胸の前で十字を切る仕草をするのだった。
(…………)
その間、黄泉川の頭の中では、様々な情報が目まぐるしく駆け巡っていた。
件の『少年』が埋葬された共同墓地を後にした黄泉川は、苦虫を噛み潰したような顔で──
「……
──と、苦渋に満ちた声を漏らす。
「??? 何がですか?」
しかし、鉄装には何の事かサッパリ分からない。
「……
「え?」
「あの少年が
「
「……
「…………!!」
黄泉川がそう告げた瞬間、鉄装にもその意味が分かったのか、顔面からサッと血の気が引く。
考えてみれば、件の少年が『誰に』変身したか、捜査資料には明記されていなかった。
ただ、本人の供述調書の中で『好きな女生徒』とだけ書かれていた部分のみ。
それがどこの誰なのかを暴き出したのは、直接会って見た顔と
さらに、少年(と女生徒)のプライバシー保護のため、彼の今の顔が分かる顔写真は資料に添付されていないので、確かめようもないのだ。
ただ一つだけ、全く別人の顔が本人の死に顔として写真に残されているため、それが変身された少女の顔だと言われてしまえば、否定材料が無い。
その上、尾道統理には『アリバイがある』ため、彼女と少年は別人だと『確定』してしまった。
たとえ黄泉川が『尾道統理が一人二役で少年を演じていた』と推理した所で、『少年が変身したのは別人でしょ。その“尾道”さんとやらは何か関係あるの?』と真顔で返されて終わりなのだ。
少年本人に聞けば分かるのだろうが、その『少年』自体を尾道統理が演じていた確証が消えた今となっては、たとえ彼女に問い質した所で、答えがイエスノーどちらであっても何の証拠にもならないだろう。最悪の場合、黄泉川が根拠の無い『妄想』を並べ立てて女生徒を中傷した事にもなりかねないため、事情聴取など以ての外で、もはや手詰まりなのだった。
そもそも『少年』が存在してたかしてなかったかに関わらず、既に
黄泉川には知りようの無い事だが、尾道統理は自身の立場を心得ているため、『自分と被疑者の少年は同一人物だ』などとは口が裂けても言わないだろう。
なぜならそれは、今の彼女がただ
もはや、この件について真相を究明する意義すら失われつつあった。
「結局……誰も救えなかったじゃん」
誰からも手を差し伸べられず、ただ救われないまま死んでしまった『
8月16日早朝──第七学区の中南部を東西に大きく横切る多摩川の河川敷にて。
根性にウルサイ事で定評のある第七位が住む学生寮の一室から、部屋の主が起きる前にこっそり抜け出して来た『女』は、サイフォンで川の水を使って紅茶を淹れていた。
(……この国の紅茶はとても飲めたものじゃないから、緑茶や麦茶、烏龍茶ばかり飲んでたけど、そろそろ紅茶の味も恋しくなってきたからな。『魔術』を使って一発で出す事もできるが、やはり手間を掛けて淹れた
そう心の中で独り言を呟きつつ、『魔術師の女』は、川から汲んだ生水を濾過器と蒸留器に通しながら、少しずつサイフォンに注ぎ続ける事で、お湯の温度が高くなり過ぎないよう調節する。
紅茶を淹れる際のお湯の温度は低いほうが甘味や旨味が強く出やすく、高過ぎると渋味や苦味が強く出る上に香りが飛んでしまうためだ。
そして、サイフォンから出来上がった紅茶を年季の入った
角砂糖(グラニュー糖)を投入するのも忘れない。
スプーンで掻き混ぜた後、口を付ける前に湯気とともに上がってくる香りを楽しむ。
「う~ん……やはり、茶葉は中国の
恍惚とした表情を浮かべながら一人呟く『魔術師』だが、日本人女性の外見と女学生の格好とは裏腹に、朝っぱらから河川敷でアウトドア用品を広げた状態で
そのうち、東の空が白み始め、多摩川の川面に黄金色の煌めきが広がり始める。
「ふふ……これぞ『黄金の夜明け』か。この眺めはテムズ川に匹敵するかもな。やはり学園都市は
綺麗な夜明けの空に目を奪われつつ
「……そこで行われている事は
その……『片足の無い少女』に視線を向けたまま、不愉快そうに吐き捨てるのだった。
アウトドア用品を片付けた『魔術師』は、川縁でうつ伏せに横たわっている少女へ近付き、息があるかを耳を澄ませて確かめる。
ただし、服が水で濡れるのが嫌なのか、顔を近付けたりはせず、指を鼻や口に近付けてみたり、背中に手を当てたりするだけに留める。
恐らく人命救助などやった事が無く、覚える気も無いのだろう。
少女からは呼吸も心臓の音も感じられなかったので、川で溺れて水を飲んだと判断し、うつ伏せのまま水を吐き出させるため、『魔術師』は少女の背中を靴で乱暴に踏み付けた。
すると、少女の口から血が混じった水が出てきて、心臓の鼓動と呼吸が蘇り、体が動き始める。
どうやら乱暴に扱ったせいで肋骨かどこかが折れて出血したのだろう。
そして、出血のショックからか、全身が痙攣を起こし始めた。
「……ん? 間違ったかな?」
それを見下ろす『魔術師』は悪びれる様子も無く、至って暢気なものである。
目の前の死にかけの少女が自分の乱暴な処置のせいで、さらに余計な怪我をしても、元から瀕死だったし構いやしない、別に自分のせいじゃないと平気で考え、心が痛まないのだろう。
「が……あ……み、みさ……か……」
少女が白目を剥いたまま、うわごとを呟き始めたので。
ボカッ!!
血も涙も無い『魔術師』は、少女の顔面を思いっ切り蹴り上げる事で、気絶させてしまう。
そして、沈黙した少女の血塗れの顔を覗き込み。
「おや、鼻が潰れてるな。顎を蹴ったつもりだったんだが、少し狙いが外れたか」
と、これまた外道なセリフを吐いた後。
「まあ命があるだけマシってとこだが、余計な痛みや怪我があると『
続けて少しだけ『甘い』セリフを吐き、懐から『蜂蜜が染み込んだ鞭』を取り出し、『魔術』を行使し始める。
すると、少女の姿が見る見るうちに『魔術師』の姿──つまり、
同時に、怪我もまるで最初から無かったかのように完全に消え、鼻も片足も元通りとなった。
ただ、その直後、
その『危険な兆候』に気付いた『魔術師』は眉を顰めながら。
「……おや、どうやら『材料』が大幅に不足したせいで、帳尻合わせのため筋肉や骨などから養分が抜かれたか。この分だと骨もスカスカで碌に歩く事すらままならんだろう。……微調整するか」
と、呟いた後、『魔術』の方向性を少しだけ変えた事で、少女の体の
最終的に、少女の姿は津手弁護士をそのまま子供の頃に戻したようなものへと落ち着いた。
(……私の今のこの姿は
ちなみに、
ただし、体重は身長に見合った女性の平均値なので、決して太っているわけではない。
警備員の調査記録には載っていないが、高校までバスケをやっていたので背が伸びた。
(学園都市では能力者に敵わないため、女子バスケ部ではレギュラーになれず挫折)
「さて。では、
そう呟きながら、『魔術師』はその華奢な女の手を、小さな子供となった少女の頭に当てる。
そして程無く、騒然とした表情となり、全身に冷や汗を掻いた状態で、手を離した。
「……ふふふ。こいつは中々にイカレてるな、アレイスター。
一拍置いて、『魔術師』の表情には不敵さが戻り、意味深なセリフを吐く。
「…………。では、ここらで一先ず退散するか」
続いて、少しだけ押し黙った後、そう呟きながら、懐から一本の黒い木の棒を取り出し、少女の上へと放り投げる。
すると、黒い木の棒はバラバラに分かれた後、薄い板のように広がり、それらが組み合わさって一つの『黒い
「……よし、体のサイズは
そして、『魔術師』は『ポケベル』のような機械を目にも止まらぬ速さで操作し、『仲間』へと『信号』を送る。
30秒程経ってから、黒い匣を開けると、さっきまで中に入っていたはずの少女は忽然とどこかへ消え、代わりに一枚の紙切れが中から出てきたのだった。
そこには、こう書かれていた。
『
それを一読した後、『魔術師』はその紙切れの裏に何かを書き込み、それを黒い匣に密封し。
──そのまた直後、黒い匣の中身が別の紙切れへと
『
と、先程までここにいた少女の事についての質問文が、そこには書かれていたので。
『
と、冗談とも付かない内容の返事を、紙の裏側に書き込み、再び黒い匣に密封する。
すると、一拍置いた後、匣の中身が別の紙切れへと変わる。そこには──
『
──と、書かれていた。
しかし、その内容を見た『魔術師』は何ら思う所無く、淡々と返事を書くのだった。
『
そう、事も無げに。
『多摩川河川敷にて、
『了解。直ちに回収に向かってください。と、ミサカ10031号は返信します』
『回収が困難な場合は、無力化してください。その際、生死は問いません。と、ミサカ10039号は付け加えます』
『9982号からのネット接続は途絶えている模様。意識不明と思われるので無力化せずとも回収は可能です。と、ミサカ10032号は追加報告します』
『では任せます。と、ミサカ10039号は返答します』
『……どうかしましたか? と、ミサカ10030号は状況確認を行います』
『9982号の近くに第三者を発見。回収を一旦中止し、物陰から注視します。と、ミサカ10032号は再度報告します』
『…………情報が拡散する惧れがあるため、その一般人を保護した後、
『
『了解です。あなたの判断に任せます。と、ミサカ10077号は引き下がります』
『同意です。と、ミサカ10031号も了承します』
『……!?!?』
『どうしましたか? と、ミサカ10031号は、10032号へ問いかけます』
『9982号が……ミサカとは似ても似つかない子供の姿に変わりました。あの第三者の“能力”によるものでしょうか。と、ミサカ10032号は、目の前で繰り広げられる不測の事態を映像とともに緊急報告します』
『!!! ……直ちに回収してください。と、ミサカ10046号は緊急要請します』
『どうやら、こちらに気付かれてしまったようです。あの第三者は既に“迎撃態勢”に入っており、付け入る隙がありません。と、ミサカ10032号は最大級の警戒を続けながら状況報告します』
『……ッ! どうやら、9982号の身柄はどこかへ隠されたようです。と、ミサカ10032号は任務失敗の報告をします』
『…………この事は、一旦
クロトン女学院中等部2年(日本の中学1年に相当)生徒・シャン=ナコット=コンクロノミネ。
彼女は原石であり、限定条件付きの
能力名は『
密閉されて中が完全に見えない容器を、全く同じ色や形・サイズのものを複数個用意し、その中の一つを手元に置き、それ以外を別の場所に置いた条件下で、手元の容器の中身の存在確率を操作する事により、いくつかのパターンで空間移動を実現する。
手元の容器が空で、それ以外の容器のいずれか一つに内容物Aが入っている場合:
手元の容器に内容物Aを引き寄せる。(アポート能力と同じ)
手元の容器が空で、それ以外の容器のいくつかにそれぞれ内容物A~Zが入っている場合:
手元の容器に内容物A~Zのうちいずれか一つを無作為に引き寄せる。
手元の容器に内容物Aが、それ以外の容器のいずれか一つに内容物Bが入っている場合:
内容物Aと内容物Bとが入れ替わる。(アポートとアスポートを併用した位置交換)
手元の容器に内容物Aが、それ以外の容器のいくつかにそれぞれ内容物B~Zが入っている場合:
内容物Aが、内容物B~Zのうちいずれか一つと無作為に入れ替わる。
この場合の『内容物』とは、容器の内部空間(そこに含まれる物体や空気)全てを指す。
容器の色・形状・サイズが同一か、また内容物の有無の判定基準は能力者本人の主観による。
また、容器内部の容積が能力者本人の肉体の体積を超える場合、能力が発動する保証は無い。
そして、たとえ複数の容器が全宇宙規模でバラバラに散らばったとしても、その中の一個が手元にあれば、距離に関わらず発動可能。
ただし、能力者自身を空間移動させるのは原理的に不可能。
(能力者本人の目に見えない密閉空間が対象なので、本人は対象となり得ない)
なお、学園都市製の空間移動能力者とは原理が根本的に異なり、11次元演算を必要としない。
むしろ、中身の存在確率を操る『確率操作能力』と呼ぶほうが、より正確かも知れない。
イギリス・ロンドンのクロトン・エメラルド女子寮の一室。
時刻は英国夏時間の8月15日22時30分過ぎ(日本時間で8月16日6時30分過ぎ)。
シャンは今日一日、同級生ファティマに付きっきりで看病(スキンシップ)していた。
そして(激しい運動で)いい加減疲れたので、一旦部屋へ戻りシャワーを浴びて寝る所だった。
そのタイミングで、『ポケベル』が鳴ったのだ。
どう見ても、今どきの女学生には不釣り合い過ぎる、レトロなアイテムだった。
時代遅れのアナログ脳な『旧友』からの贈り物であり、連絡を取り合うのに利用している。
能力による物や手紙などの受け渡しをするための合図として。
なお、イギリスでも日本でも既にポケベルの通信サービスは終了しているので、旧友の手により通信方式はモバイル回線にタダ乗りしたものへと(不正に)改造されている。
なら、スマホでいいじゃないかと思うのが普通だが、どうやら最新技術は肌に合わないらしく、そういうものは頑なに拒否されている。
(本当の理由は『学園都市からの盗聴対策』。GPSによる位置情報取得をされないためでもある。また、ポケベルの通信内容そのものに意味は無く、通信があった事自体が能力使用の合図となる。情報のやり取りは能力を使った転送で行う)
「……こんな時間に、一体何の用だろう……って、向こうはもう朝だっけか」
慌てて部屋の隅にある『黒い匣』を取り出し、中にメッセージを書いたメモ用紙を入れる。
そして、黒い匣に両手を添えて、能力を発動する。
一瞬後、匣の中身が『ズッシリ』したような重量感のある感触に変わる。
「……一体何入れたんだ? 中身が結構ギュウギュウみたいだけど。……って、重っ!!」
そして、恐る恐る蓋を開けると。
「…………。」
「……『謎の胎児』の次は、見ず知らずの子供かよっ!!」
そう、匣の中には、体を丸め、手足を曲げた状態で蹲っている
「ここは託児所でも孤児院でもねぇぞ。それに、
あまりの超展開に、狼狽えまくったシャンの口から、思わず『地』の言葉遣いが出てしまう。
そして、顔を真っ赤にして訳の分からない戯言を一通り喚いた後、危うく自分だけの世界に入り掛けていた所でようやく我に返る。
さらに、喚き疲れたのか、ハァハァと肩で息をした後、落ち着きを取り戻すため深呼吸する。
「とりあえず、このガキどうしよう。寮に迷い込んだ迷子って事にするか、それとも正直に話して所長に預かって貰うか。……って、まずは服着せないと。全裸は流石にマズイというか、俺があらぬ誤解を受けてしまうしな」
もし事情を知らない人がこの場面だけを見たら、
と言うか、たとえ女の子の部屋の中でも、子供が全裸で箱詰めになっている時点で手遅れか。
その頃、クロトン・エメラルド研究所のビンフェイス所長は、酔っ払って不貞寝していた。
……と言うのも。
夜の20時過ぎになって、執務室のパソコンにメールの着信があるのに気付き、開いてみた所。
『Fw : 学園都市からの留学生・
──などと表題に書かれた『読むのが面倒臭い』内容がビッチリと書き連ねられていた。
なぜそんな夜遅くにもなってから、こんなメールが届いたのか。
それは、クロトン女学院の事務局の連絡ミスによるものだった。
今回、学園都市からクロトン女学院へ届いたメールは2通。
佐天の特別カリキュラムに関するものと、新たな学生自治組織立ち上げのための外部顧問として学園都市から風紀委員を派遣するというものだ。
これらは8月15日15時過ぎに既に届いていたが、丁度その時間、事務局員は午後のティータイムのため全員出掛けており、メールチェックする者は誰一人としていなかった。
事務局員が戻ってきたのは18時近くなってからで、その時既に、エメラルド研究所のほうは夕食の時間で職員は全員持ち場を離れていたため、事務局からの転送メールを見たのは夕食から戻って来た19時以降になる。(しかも職員のほとんどは定時帰りで、残っているのはごく一部のみ)
風紀委員を招聘するかどうかについての件は、クロトン女学院本体が関わる話なので、理事長の意向や自治組織の意見をすぐに聞く事ができ、回答も比較的早かった。
(と言っても、学園都市側が回答を確認したのは、時差のせいでさらに6時間も後となるが)
所長が自分の執務室へ戻った時刻は、多忙のせいで20時過ぎまでズレ込む。
そして、既に体はクタクタ、もうさっさと仕事を上がって寝る準備に入ろうかと言うタイミングで、クソ面倒臭いメールが届いていたのだ。
これはもう飲まずにはいられないと言う事で、ヤケ酒を
「……特別カリキュラムだぁ? ここは『原石』の集いし場所、伝統あるエメラルド研究所だぞ。誰かに手取り足取り教えて貰わにゃテメェの能力の鍛え方すら分からん『人工物』が来る場所じゃねんだよ。カリキュラムはテメェで用意するもんだし、各自のペースとやり方で自由に伸ばすのが
と、こんな感じでクダを巻いていたとか。
夜遅く自室に全裸の子供が箱詰めされて送り付けられるという不条理展開に見舞われた猫目少女シャンは、とりあえず所長に報告するため、一人で所長室を尋ねるも、中ではビールを飲んで酔い潰れた所長がグースカ
そこでやむを得ず、翌朝まで自室で匿う事とする。
なお、彼女の部屋は鍵無しの二人部屋だが、ルームメイトはいない。
募集中なのだが、
それはさておき、預ける先が見付からない場合、この子供が当面の間はルームメイトと言う事になるのだろう。
同い年以上がストライクゾーンな彼女としては、ちっとも嬉しく無いのだが。
このまま全裸で箱詰め状態だと色々とマズイ上に風邪を引いてしまうだろうから、とりあえず、服を着せる事とする。予備のブラウスがあるので、それを羽織らせてからベッドに寝かせる。
「はぁ……何でこんな事に……」
子供の隣に添い寝する形でベッドに横たわった彼女は、溜息を吐く。
(思えば、
そして、『昔』を思い出していた。
行間
その少年は、生まれた時からこの世界を憎んでいた。
なぜなら、どうやらこの世界は彼の事を好きではないらしいから。
いつも汚い格好の乱暴な父親からは、よく『投げられて』いた。
そのせいで、何度も死ぬような目に遭い、母親からは何度も必死で庇ってもらった。
だが、その母親は父親から何度も
家には鏡があったが、見る度に何だかイライラするので、あまり見なくなった。
なぜなら、彼の顎は少しだけ片側に曲がっていたから。
それは生まれつきだと思っていたが、ふと母親が漏らした話によれば、そうではないらしい。
まだ物心つく前、幼い彼はグズった事で父親の逆鱗に触れ、天井に向けてぶん投げられたせいで顎を強く打ち付け、その怪我が原因で顎の骨が左右非対称となり、さらに頭の形も歪となった。
そんな暴力的な父親は、低賃金労働者だったが、周りからは蔑まれていたようだ。
喧嘩にはからっきし弱く、酒に酔っては誰かと口論となり、取っ組み合いの喧嘩になるのだが、毎回ボコボコにされて帰ってくる。
そして、鬱憤を晴らすかのように、母親と子供にキツく当たるのだった。
何より、彼も父親も母親も、『余所者』だった。
余所者とは、他所の土地からやって来た人々を指すらしい。
そして、先祖代々、昔からこの土地に住んでいる人々からは嫌われているようだった。
貧乏なので新聞もテレビも無い家では、どこかから拾った中古のラジオだけが情報源だった。
ラジオでは『母国語』の放送がよく流れていたが、外で聞こえる言葉とは違っていた。
彼は家の中でしか通じない『秘密の暗号』めいた母国語より、外で聞こえる言葉のほうが便利に思えたので、街の電気屋のショーウィンドウに展示してあるテレビをよく見に行き、そこの画面に映っている人達の会話を聞いて、言葉を覚えた。
家に帰って、父親の前で覚えた言葉を話したら、なぜか怒らせてしまい、思いっ切り殴られた。
とても痛くて怖くて、もう二度と父親の機嫌を損ねまいと思った半面、頭の片隅ではほんの少しだけ父親に対する優越感のようなものを覚えた。
……もうこんな所にいられるか。
そんな考えが頭の中にチラつき始めた頃、彼の周囲では、無くなった物が別の場所で見付かると言うような奇妙な出来事が頻発するようになる。
貧乏のせいでお菓子も満足に買えない家庭だったので、少年にとってはビスケットの詰め合わせが入った缶が憧れだった。
中身が空でも、缶から漂ってくる甘いお菓子の残り香を嗅ぐだけで幸せな気分になれた。
ある日、プレップスクール(イギリスの私立小学校に相当)に通っている裕福な家庭の子供が、ピクニックに来た公園で食べ終わったビスケットの丸い缶をフリスビーの要領で遠くへ投げた後、それを偶々拾った浮浪者の(とても親切な)おじさんが、中に食べ物か金目の物でも入ってないかと思い、開けてみてガッカリした後、帰り道で少年と会い、捨てるついでにお土産代わりにそれを少年にくれたのだ。
少年はビスケットの詰め合わせが入っていた空き缶の中に充満する甘い匂いを堪能した後、それを後生大事にするため、父親に見付からない場所へと隠しておいた。
それから毎日、少年はビスケットの缶の匂いを嗅ぎ続けるも、すぐに匂いは無くなり、無味乾燥な金属臭しかしなくなったため、そのうち蓋を開ける事をしなくなり、中身が沢山詰まってるのを夢想するようになる。
『この中に甘いお菓子が沢山詰まってる
そんな考えに取り憑かれた少年は、もしかしたらと思い、恐る恐る缶の蓋を開けてみる。
──すると、中には沢山のビスケットが詰まっていたのだった。
奇妙な出来事はしばらく続いた。
屋根裏に隠したビスケット缶は、どれだけ食べても、後から後から中身が湧いて出てきて、毎回開ける度に満杯になっていた。
そんな事が数ヶ月続いた後、少年が街頭のテレビを見ていると、奇妙な特集が放送されていた。
『超常現象? 都市伝説? ビスケットをつまみ食いする妖精が出没』
画面に映ったビスケット缶は、少年がいつも美味しく頂いているものと同じ製品のものだった。
その時は特に気にする事も無く、少年は相も変わらず屋根裏に隠したビスケット缶から少しずつ中身を頂戴し続けていた。
家が貧乏な上、ただでさえ低賃金な父親が家にお金を入れず、働いた金は全て酒とギャンブルで消えてしまうため、食べ物も碌に食べられない少年は空腹をしのぐため、コッソリつまみ食いするしか無かったのだ。
(母親も働いていたが、それで得た収入もほとんどを父親にふんだくられていた)
そんなある日、家族の中で一人だけ血色良好な上に、ほんのり甘い匂いを纏わせる少年を不審に思った母親が、屋根裏からビスケット缶を見付けてしまう。
少年は盗んだお菓子を隠して独り占めしていると疑われ、苦労している母親にこっぴどく叱られるが、分かっている限りの本当の事を話した結果、父親に内緒にする代わりにビスケットの分け前を要求されるようになる。
それでも
──さらに数ヶ月が経ったある日の事。
妙に肌艶が良くなった母親を不審に思った父親が、母親の浮気を疑った(金持ちの愛人になったおかげで羽振りが良くなったと思われた)事で修羅場へと発展し、屋根裏に隠れて寝ていた少年が物音に気付いた時には、酒瓶で殴られた母親は、頭から血を流した状態で台所に斃れ伏しており、既に事切れていた。
近所の人の通報で駆け付けてきた警察は、その日のうちに逃亡中の父親を発見し即発砲。
……父親は射殺された。
両親がいなくなり天涯孤独となった少年は、住んでいる家を追い出され路頭に迷う事となる。
貧乏なので貸家住まいの上、家賃すらも払わずに滞納し続けていたらしい。
(それでも母親が必死で働いて、少しは納めていたとの事)
路上生活者となった少年は、両親と住む家を一夜にして失った悲しみに暮れながらも、コッソリ持ち出したビスケット缶の中身を頼りに、何とか生き延びていた。
それがある日、ストリートチルドレンのリーダー格の少年に大事な缶を奪い取られてしまう。
中身を喰い散らかされた上、空き缶をボコボコに踏み潰されたため、二度とビスケットが食べられなくなった少年は生きる気力を失い、そのまま冷たい路上で野垂れ死ぬのを待つのみとなる。
そして──今にも息絶えそうな少年の前に、一人の『少女』が現れた。
場にそぐわない程小綺麗なブランド物の子供服を身に纏った少女は、裕福な家に生まれたお嬢様らしく、『シャン=ナコット=コンクロノミネ』と名乗る。
金髪に緑の瞳を持ち、見た目は7~8歳くらいだが、その雰囲気は
少女の手には『蜂蜜が染み込んだ鞭』が握られ、それが少年へ向けて振るわれた直後──
──少年の視界が揺らぎ、そのまま意識を闇の底へと落とすのだった。
私、
獅子座の第3デカンの昼の天使『
「ん……もうすぐ夕食の時間か。ヴァーニーに見られると色々面倒だし、さっさと片付けるか」
そして、儀式の後片付けを始めた矢先、部屋のドアがノックされ、私の心臓が飛び上がる。
昨日より少し早いな。ビックリした。
「……はぁーい! ちょっとお待ちをー」
と、返事をした後、慌てて大急ぎでテレズマカードが入ったケースをリュックに仕舞ってから、ドアを開ける。
すると予想通り、ヴァーニーが立っていた。
「夕食までには時間があるけど、ちょっと寄って欲しい所があるから」
そう告げられ、彼女の後を付いて行くと、女子寮の管理人室だった。
ヴァーニーが受付の窓口みたいな所で、管理人らしき女の人と二言三言話した後、女の人が一旦奥に引っ込んで、小さな箱を持って来た。
「開けてみてごらん」
と、女の人から言われ、私は恐る恐る箱を開ける。
すると、そこには『銀製の蛇が象られたアクセサリー』が入っていた。
それは、私の個人識別情報が記録された学生証のようなものらしい。
表面は銀でできているが、中身は先端技術の塊で、防水は勿論の事、防弾、耐熱、耐冷、耐雷、耐酸、耐アルカリ、耐塩、耐電磁波、その他諸々の防護措置が施され、『異能』が関わる攻撃すら跳ね除ける優れ物との事。
でも、流石に『魔術』までは防げないよね……?
いや、試してみて壊したりでもしたら取り返しが付かないから、やらないけど。
まあそれはさておき、とうとうあたしにも『クロトン・エメラルド研究所の一員』としての証が与えられた……つまり、『原石』として認められたって事なんだぁー! やったー!!
……とは言え、具体的に『どんな能力』が宿っているのかが、全く分かってないんだけどね。
あはは。
まあそのうち分かるでしょ。多分。
私は夕食後も寝るまでの時間が空いていたので、夏休みの宿題でもやろうかと思ったが、それは学園都市の学生寮に置いたままだったのを思い出し、敢え無く断念する。
全く……学園都市って、こういう細かい配慮が欠けてるんだよなあ。
もし宿題が有効なままだったら、来学期初日に文句言ってやるんだから。
『宿題置いてきたままこっち(イギリス)に連れて来られたので、できませんでした』って。
仕方無いので、『
テレズマカードの残り枚数:
イェザレル3枚、ヴェフエル3枚、ハリエル2枚、ハハシア4枚。(全て『火の蛇』の術式)
ってか、そろそろカードの空きが無くなってきたな。
カードを印刷できるプリンターは学園都市に置いてきたから、ここでは使えないし。
トランプのカードでも代用できるけど、ここって購買部とか無いみたいだし、『お嬢様タウン』(クロトン女学院前の通り)まで出向くか、ロンドンの街まで買い出しに行くしかないか。
……ロンドンと言えば、イギリス清教の本拠地があるんだっけ。
あそこに行けば、タロットとか必要な物が揃えられるのかな?
……いや、流石に学園都市の生徒が
そもそも、
警察まで『チャカ』だの『ドス』だの買いに来る『ヤ』の付く人はいないだろう。
そして次の日(8月16日)の朝9時。
朝食を終えた私はヴァーニーに連れられ、彼女がいつも使っていると言う『作業場』を訪れる。
そこには、様々な絵画が描かれたキャンバスが並べられ、学校の美術室と同じ雰囲気だった。
「これから、あなたの『能力』について、
そして、私はヴァーニーに促されるまま、イーゼルの向こうに置かれた椅子に座らされる。
「あの……」
私は手を挙げ。
「何?」
と聞かれたので。
「……
そう告げた私に、ヴァーニーは。
「はぁ……」
と、深く溜息を吐き。
「そういうのは前もって済ませておきなさい。……いいわ、早く行ってらっしゃい」
呆れた様子で、そう答えるのだった。
それから私は、何時間も椅子に座りっぱなしのまま
しかし、そんな私の想定とは裏腹に、キャンバスに描かれたのは私の肖像画ではなく、不可思議な『暗号』が散りばめられた『寓意画』だったのだが、被写体である私がそれを知るのは、数時間に亘る作業が終わった後だった。
ヴァーニーの『原石』としての能力──『
作業中は『神
……『自動書記』みたいなものか。本来の意味でも、『あの修道女』に似てると言う意味でも。
なので、この段階では私の頭の中から読み取ったものが暗号化されたままなので、『寓意画』を解読する作業が別途必要となる。
それは
そう言えば、一昨日の夜、ファティマさんが倒れたんだっけな。
まさか……彼女が解読するんだろうか。
……まあ、大丈夫でしょ。
『魔術の知識』なんて、たとえ読み取れたとしても、『魔術』の存在を信じていない科学の街の学生にはチンプンカンプンだろうから。
解説1:
祁門紅茶(
中国安徽省祁門県で生産される紅茶。中国十大銘茶の一つ。
インドの『ダージリン』、スリランカの『ウヴァ』とともに世界三大銘茶の一つに数えられる。
本来は果物の香りや糖蜜の香りを漂わせるが、粗悪品が出回った結果、スモーキーな香りというイメージが付いた。しかも、スモーキーな香りは欧米人好みのため、このイメージが広まった。
解説2:
猫目少女シャンについて。
元々裕福な家庭に生まれたお嬢様育ちで、癖が少ない長めの金髪と緑の瞳を持つ少女だったが、7~8歳頃を境に、突然『人が変わったように』行動がガサツとなり、言葉遣いも荒くなる。
その後、クロトン女学院に入学する。
入学後すぐに『原石』の素質を見抜かれ、クロトン・エメラルド寮に振り分けられる。
それを機に、長かった髪をバッサリ短くし、男の子みたいな振る舞いが目立つようになる。
(同じ寮の女子生徒にちょっかいを出すようになり、『シャッガイ』と渾名を付けられる)
能力が強くなるに従い、癖の少なかった金髪は猫耳のような寝癖が付いたくすんだ金髪となり、目付きも徐々に猫目に変わる。