上の階に行けばズシの“レン”とやらが分かるかもしれない。キルアも「もっと上のクラスに行けば同じような奴がいるかもしれないな……」と考える。ただしだ。
「それよかズシに聞いた方が早いんじゃない?」
「確かにズシ素直だし。あの子に聞いた方が早いよ」
ゴンとカオルの言葉にキルアは固まった後、そうだったなと言う感じに笑う。なので三人はズシの下へ行った。
「“レン”はヨンタイギョウの一つっす。ヨンタイギョウとはシンを高めシンを鍛える全ての格闘技に通じる基本っす!テンを知りゼツを覚えレンを経てハツに至る。要するにこれ全てネンの修行っす!!以上っす!!」
その説明にキルアは「わかんね――――よ!!!」とツッコむ。
「ズシ……何か説明する時は字や絵を使うと良いよ」
「? オス!」
カオルの言葉に疑問符を浮かべつつズシは答えた。
「ズシ!あなたいつから人に教えられる程物を修めたのかな?」
ウイングが現れた。確かにズシはまだまだ修行中の身。教えられるほどではない。
「ゴン君、キルア君、カオルさん、昔の訓辞に“物事とは中途半端に知ることで何も知らないより分からなくなる”とあります」
さすが師範代。言葉の重みが違う。その説明にカオルはわかった。
「”生兵法は大怪我の元”ですね」
「でもオレは今知りたいんだよね」
でもキルアは今知りたい。キルアからすればイルミの強さの秘訣が分かるかもしれないからだ。だから今教えられなくてもいつか突き止められるだろう。
「でもオレだって半端に知るよりキチンと理解したい……あんたがちゃんと教えてくれれば、オレも下手に我流で覚えようとはしないよ」
その説得に折れたのか「わかりました」と言ってくれた。
*
ウイングたちが泊っている宿についた三人。ウイングは三人に説明する。
「ネンとは。心を燃やす「燃」のこと。すなわち意志の強さ!四大行とは意志を強くする過程の修行。」
・「点」で心を一つに集中し、自己を見つめ目標を定める。
・「舌」でその想いを言葉にする。
・「錬」でその意志を高め
・「発」でそれを行動に移す。
「キルア君はズシの“負けない”という錬に気圧されたのです。」
ウイングが「点」から実践するとピン、と空気が張り詰めた。
「「舌」。これは頭で想っても口にしても結構です。」
悪意のない穏やかな顔でウイングはキルアへ言葉を放つ。
「君を殺す。」
3人を突如襲った殺気。ゴンはゾクと感じ、カオルは刀を構え、対象であるキルアは耐え兼ね跳んだ。
「……今のが「錬」です。錬(意志)が強ければ発(行動)に足る。」
ウイングから気が消えるとキルアは床へと降りた。
「君達もズシも今は心を鍛え育てる時期です。もし燃について学びたければ、今は点を極めることのみに励みなさい。点を修めれば相手の気概に圧されることもなくなりますよ」
説明を聞いた3人は天空闘技場へと夜道を歩く。キルアはウイングの説明が嘘だという事とズシとの試合の事をゴンとカオルに説明した。いくら倒しても起き上がって来るから最後に本気を出してしまったそうだ。
「え!?キルアの本気!?ズシ生きているよね!?」
キルアの本気は”死”を意味している。なのにズシはカオルの言う通り生きているのだ。
*
数日後、3人は200階に到着した。ただし200階は今までとは違う。3人をストーカー(電脳ネットで飛行機のチケットを手配した時、誰が何処へいつ行くのかが簡単に検索できる方法)してきたヒソカが説明した。彼は「このフロアに足を踏み入れるのは、まだ早い」と忠告する。
ヒソカは手のひらを3人に向けるとズゥンと空気が重くなり、金縛りにあったようにその場から動けなくなる。
(ウイングさんがやったやつ!ヒソカも体得してる!?)
「3人共、無理はやめなさい。」
現れたのはウイングだ。3人は200階に行くと知り、心配になって来たようだ。
「彼の念に対し、君達はあまりに無防備だ。極寒の地で全裸で凍えながらなぜ辛いのか分かっていないようなもの。これ以上心身に負担をかけると死にかねないよ」
ウイングの「本当の念について教えます。だからひとまずここから退散しましょう」の言葉を聞き、3人は渋々降りることになった。
***
ウイングは花瓶めがけてダーツの矢のように尖らせた花を刺してみせる。
「これを肉体にとどめる技術を纏といいます。これによって肉体は頑強となり常人よりはるかに若さを保てます。絶は字のごとくオーラを断つ技術。気配を消したり極度の疲労を癒す時などに効果があります。練は通常以上のオーラを生み出す技術。」
(呼吸と反復動作を組み合わせたらどうなるんだろう)
人を強くする全集中の呼吸と反復動作。それを組み合わせるとどうなるか気になるカオルだ。
「いろいろともったいつけて脅かしもしましたが、君達ならこの方法で確実に目覚めるでしょう。それだけの素質がある!資格も!君達の錬、見事でした」
こうしてウイングによる精孔のこじ開けが始まった。
***
その後、念を覚えた3人はギリギリ200階を登録できた。しかし翌日、ゴンはウイングに「2ヶ月は戦うことを我慢するように」と言われたのに試合に出たその結果、右腕、とう骨、尺骨完全骨折。上腕骨亀裂。肋骨3か所完全骨折、亀裂骨折が12か所の重傷となり、ウイングに当然叱られ
「今日から2ヶ月間一切の試合を禁じます!念の修行及び念について調べることも許しません!」
と課せられたのだ。