プロローグ 終わりの始まり
ケフカを倒した今、世界から魔導の力が消え始めた。幻獣の力を宿す魔石もこの世界から消えていった。
「ついて来て!」
そして瓦礫の塔が崩れゆく中、私は仲間を導くべく言った。とにかく私が活路を見出さなければならない。私は自分の力を惜しみなく尽くし、空を飛んだ。幻獣と人間のハーフである私はきっとこの世界に残れない。それでも私の力を必要としてくれる仲間がいたから、彼らを守りたかったから私は飛ぶことができた。
「ティナの力がなくなっていく!」
後方で女性の声がする。きっとセリスの声であろう。私を心配するのがわかるくらいその声は耳に、そして心に響いた。私は後方を振り返る。私を見つめる仲間の姿が見えた。先ほどのセリスと同様に必死なまなざしでこちらを見ているのが分かった。しかし、彼女らの呼びかけに答える余力もなく、私は重力に従い落下してゆく……。
その時私には幻獣の父であるマディンの声が頭の中で蘇った。
「もし、人間として何か大切なものを感じ取ることができたのなら……人間として、この世界に…」
私は思った。人間として大切なことって何だろう。世界が崩壊へと進む世界の中で私は二人の若き夫婦を見た。お互いを愛し、お互いに悩み、そしてお互いに進んでいく姿を見た。他の仲間だってそう。互いを信じ、世界を救うべく仲間が私にもいた。そういう暖かい気持ち。すなわち「人を愛する心」である。
かつて洗脳され、感情を持たない殺戮兵器として育てられてきた私ではあるが、仲間がいてこそそれに気づくことができた。だからこそ思う。それを知った私はきっとこの世界に残れるはずだ。この世界に、彼らと住み、その気持ちを共有しあうのだ、と。
その瞬間であった。力も尽き果て、意識が保てるかどうかの瀬戸際でこんな声が私に響いた。
「貴女の力、お借りしてもよろしくて?」
今までに聞いたこともない女性の声である。私はその言葉、発言者の意図は読み取れなかったが、そのまま返事を返した。それに従えば何か助かりそうな予感がしたからである。
「では、こちらの世界へどうぞ」
空間が突如割れ、その中に私は吸い込まれていった。今まで落下していたが、そこに入ると重力の加速感が一気に無くなり、そして床のようなところへとゆっくりと突っ伏す形になった。もう落ちる心配はない。安心感のため、その瞬間を境に私は意識を手放したのだった。
そこから私の新しい旅の始まりが訪れるとも知れずに……。
知恵の欠片です。
以前投稿していた作品ですが、すっかりすっぽかしてしまいました。
なかなか忙しくて更新もままならないと思いますが、この作品は完結させていきたいのでコメントなどしていただけると幸いです。それでは。