幻獣娘が幻想入り   作:知恵の欠片

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バトルです。2:1で戦うので有利なはずだが…、霊夢にはなぜか嫌な予感がついて回っていた。


白い雪と黒い悪意

「さ、着いたわ。ここが玄武の沢よ」

 

私たちは目的地であった玄武の沢へと到着したのだが、あたり一面が真っ白だった。

 

永遠亭にいた時とは比べ物にならない量だった。

 

ここから推測できることは、雪を降らせた当事者がこの場にいるということである。

 

だが気がかりなことが一つある。それは…

 

「いくらレティと言ってもあいつは季節の力を増幅させるだけ。春にこんなに雪を降らせるはずがないはずなのよ…」

 

あの霊夢が違和感を覚えているということが私の中でも引っかかっている。

 

まぁ霊夢に会ってからまだ数日も経っていないのだが、魔理沙からも情報が入っていたのもあって、そして私が実際に会ってこうして一緒に行動してるために、少しずつ彼女の性格、勘を認めてきているのだと思う。

 

そこを捜索していると、私たちはいかにもな祠を見つけた。

 

サイトロは上空からしか見ることができないため、この中は捜索範囲外だったのだ。

 

「中に入ってみる?」

 

霊夢の問いかけに私は素直に答える。

 

「ええ、行きましょう」

 

中に入ると外の光が入らないせいか薄暗く、はっきりと奥が見えなかった。

 

だが、奥に進むと何かがそこにいることが分かった。

 

おそらく今回の黒幕、レティと思しき人物がそこに座っていたのだ。

 

「レティ、あんたの仕業ね!もう春よ!」

 

だが、レティはその呼びかけに応じようとしない。

 

「仕方ない、こうなったら弾幕勝負で…」

 

霊夢が構えをとると、レティはいきなり弾幕を撃ってきた。

 

「くっ、封魔陣!!」

 

霊夢の放つ封魔陣により、レティの弾幕を防ぐ。

 

弾がはじけるとともに、凍てつくような冷気が周囲の気温を一気に下げた。

 

「ティナ!早く応戦をして!」

 

私はすかさずファイアを唱え放つ。

 

だがレティの容赦ない弾幕により、炎弾は一気に鎮火してしまう。

 

何が今有効な手段なのか、私は考え直してみる。

 

サイレスはスペルを封じるのに有効だが、そもそもスペルを宣言していない。

 

バニシュは不意を突けるのだが、霊夢の結界の外に出なければ背後に回り込めないのでこれも不可。

 

ブリザド系の魔法は冷気を使っている敵に効果は望めない。

 

エアロもこの環境下ではブリザドとほぼ同じ効果しかないだろう。

 

今使えるのはおそらく……

 

「コンフュ!」

 

対象を混乱状態にするコンフュをレティに放つ。

 

するとレティは動きを一瞬止め、私たちのいない方向にたて続けに弾幕を放ち続けた。

 

敵に対して背中を向けるというまたとない好機に私たちは彼女に攻撃を仕掛けた。

 

「ファイア!」

 

「夢想封印!」

 

攻撃が直撃すると、レティは声を出すこともなく、倒れる。

 

その時、何かが外れるような音がした。

 

霊夢はその外れたものを見逃さず、何だろうかと拾い上げる。

 

薄暗さのため、私は人差し指に小さくファイアの火を灯し、二人で眺めた。

 

「なにこれ?輪っかみたいだけど、何かのアクセサリーかしら?」

 

それを見たとき、私には衝動が走った。

 

私がかつてつけていたものにそっくりであった。

 

「あやつりの輪……」

 

「え?何それ?」

 

「他人を意のままに操ることができる装置よ…、なんで幻想郷に…」

 

「まぁ、それなりに重要なものらしいわね。とりあえずこれは持って帰って、それよりこいつはどうすんの?」

 

霊夢はお祓い棒でレティを指し示した。

 

私はケアルをかけ、レティを起こそうとした。

 

「うぅ…ん……?ここは…?」

 

レティは目を覚ました。

 

「玄武の沢よ。あんたさっきのことを覚えている?」

 

霊夢が問いただすと、レティは言った。

 

「さっきのこと?そもそも今はもう冬なのかしら?今年の冬が終わってやっとゆっくりできると思ってたのに、もう起きなきゃなのかしら?」

 

どうやら彼女は私の時と同様何も覚えていないらしい。

 

「まだ春が始まったばかりよ、これからゆっくり寝なさい」

 

霊夢はバッサリ言った。

 

「とは言うものの……いつもとは違ってなんかぐったりするのよねぇ……普段もう少し早くに寝付いているのかもだけど、何か力を使い果たしたというか……」

 

おそらく力の暴走によって本来の力を出し切ってずっと疲れているのだろう。

 

私はそんな彼女にブリザラを唱える。

 

強力な冷気が彼女を襲った。…ように見えたが、冷気は彼女にすんなり吸収されていく。

 

「この感覚…、冬の感覚とは違うけど、少し力が戻ってきたわ…。あなたは人間のように見えるけど、私とおじような力を持っているのね…。名前はなんて言うの?」

 

「ティナです」

 

「そう、ティナね。雪女の私にはまだ遠いけど、いい技ね。また冬が来た時にお会いしましょう」

 

レティはそう言って微笑むと目を閉じ、そして粉雪が舞うようにその姿を消した。

 

レティが姿を消すと、私にもまた新しい魔法が覚醒したような感覚が戻ってきた。

 

だが、それと同時に、強烈な脱力感があった。

 

「なんだか魔力が尽きちゃったみたい…、ごめんなさい」

 

「いいわ、とりあえず永遠亭に戻るわよ。それからのことは後で考えましょう」

 

私は霊夢に抱きかかえられ、そしてそのまま眠りにつこうとした。

 

あやつりの輪を再び目にして不安と戸惑いがあったが、霊夢といたことが幸いしたのかもしれない。

 

今はただ、体を休めよう。

 

そう思いながら、私は体重と意識のすべてを霊夢に託したのだった。

 

ただ言えることは、

 

この些細な不安がもたらす恐怖の前奏だということを、その時はまだ知らなかったということである。

 




今回ティナが覚醒した魔法です。

ブリザガ……FFでおなじみのガ級の魔法です。「~ジャ」が出る前では最上級の魔法ですね。
フリーズ……FF7で出てきた魔法で、高威力に加えストップの付加効果がある魔法です。

あやつりの輪はティナのトラウマともいえるアイテムですが、ゲーム内でもなぜかずっと「たいせつなもの」の欄にあったような気がしたのでMP切れによる虚脱感+寒さ=眠気には勝る恐怖ではなかったと勝手に解釈しました。

さてさて、ティナさんは姫様の難題は解決できるのかどうか、次回をよろしくお願いします。
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