何とか異変は解決するものの…根本的に解決できていないもの、輝夜の難題に立ち向かったティナのお話です。
春に雪が降るという異変までとはいかなかったが、事態の解決と輝夜の難題を解きにいった私たちであったが、なんとか事態を収束することができた。
こっちの世界にあるはずがないあやつりの輪がなぜそこにあったのかは疑問ではあったが、なんとか雪を降らす状態は収まった。
だが、残念ながら輝夜の難題、「レティを連れて帰る」ということは達成できなかった。
それゆえ、私の目が覚めてからは修羅場だった。
私は気が付くと輝夜の御前へと連れていかれ、そして正座させられていた。
あまりに気まずい感じだったので永琳に助けを求めようとアイコンタクトをとってはみるものの、気の毒なような、そんな苦笑を浮かべているだけだった。
輝夜は顔こそ笑っているものの、何か黒いものが見えるような、そんな感じだった。
そして霊夢はというと、私を永遠亭に置いてさっさと帰ってしまったらしい。
ことのあらましは霊夢から永琳へとおおよそは伝わっているらしいが、なぜか永琳は援護射撃をしてくれないのだ。
つまるところ、これは完全な手詰まりなわけである。
……戦うよりも辛い状態なわけです。
私が固唾を呑んで輝夜が何を言うか待ち構えていると、私の様子を見かねた永琳が発言した。
「今まで気が遠くなるくらいの時を過ごしてきたけど、輝夜の要求に答えられた人はいないわ」
私はこの微妙な空気を打破すべく何か会話を拾おうとした。
「気が遠くなるくらいってどのくらいですか?」
「私たちは死ねない体を持っているから、どのくらいかはご想像にお任せするわ。だけど同じ季節を何千、何万、何億と見てるとやっぱり新鮮味にかけるのよ。だから今回はあなたに退屈しのぎと言うとあなたに申し訳ないのだけど、それでもものに対する新鮮味な感覚が欲しかったの。そうよね、輝夜?」
「そうね、いつも同じことばかりでつまらないもの。時が来れば自然と花が咲き、暑くなり、葉が色づき始め、そしてすべてを白く染め上げる季節になる……だから普段にない変化を待っているの。ある意味異変を求めているようなものだけどね」
「……」
「まぁあなたが私の求めている珍しいものを持ってこれないことは十分わかったわ。もう下がりなさい」
「さぁ、行くわよ」
永琳に私は連れ出そうとした。
私もこの修羅場から一刻も早く逃げ出したかったが、なぜか妙に反論したくなった。
そこで永琳を制止させ、輝夜に向かっていった。
「私はきっとあなたたちのように長くは生きることはできませんが、これだけははっきり言えます。どんなに数えきれない日々を過ごしたとしても、すべてのことにおいて同じ日はないはずです」
私は自分の実体験も交えながら話した。
いろいろな出会い、別れがあり、だけど結果として自分のプラスになってきた経験を。
だが輝夜は私の発言をすべて聞き入れたうえで反論した。
「…下らないわ。あなたの薄っぺらな人生観を並べられたところで私の積み重ねてきた経験には月とすっぽんほどの差があるのよ。どんなに同じでないと思ったとしても、太陽が昇り沈む、雨が降り、止む。花が咲き、散る……結局何が始まり何が起きるかはわかりきってしまっているのよ!それでもあなたは変わりないというのかしら!?」
輝夜の先ほどにない剣幕で、私も彼女の発言が恐ろしいほどに伝わってきた。
「私はある人物と殺し合いをするのが日課なの。永久に死ぬことのない二人が必死になって死闘を演じるのよ。激しく命がぶつかり合う。それが、命が一番輝く時じゃないかしら?」
だが、輝夜のその一言が私に言ってはならない言葉となってしまった。
「変化がないなら、どんな小さな変化であろうと見つけようと努力すればいいじゃない!ありふれた無意味から意味を見出すこと、それってものが風流じゃないの!?それと…、ここの世界では弾幕ごっこで物事を決めるようだけど、制限なくただ相手を殺そうとするだけだったらただの破壊者よ!」
私は最後にケフカみたいにね、と呟いた。
永琳は私の様子を見て顔色を別に変えはしなかったものの、真剣なまなざしで聞いてくれた。
だが輝夜はわなわなと震え、こう激昂した。
「黙って聞いていれば、小娘ごときに説教をされるなんてね……、許さないわ。小娘ごときに私の境遇なんて知る由もないってことをその華奢な体に刻み込んでやるわ!」
輝夜は突如戦闘態勢をとると、弾幕を繰り広げた。
突然の輝夜の攻撃に私はどうしようもできず立ち尽くした。
(防御魔法なんてまだ思いだせていない……、躱すにしてもどっちに……!?いや、防御態勢をとるしか……)
だが弾のスピード、威力を見る限り今までの敵と比べ物にならない。
私は半ば大ダメージを覚悟しつつ攻撃を防ごうと身構えた。
「楽しそうなことしてるじゃん。私も混ぜなよ」
突如として別人の声が響いた。
私を包んだのは弾幕による痛みではなく、その人物による優しくも熱い炎の壁だった。
髪は美しい銀髪で、赤をベースにした服を着たとても美しい女性がそこにいたのだった。
「お嬢ちゃん。けがはないかい?」
「あっ、はい…」
「そうか、ならよかった」
「あの…あなたは一体…?」
彼女は一瞬困ったような眼をしたが、再び落ち着いてこう言った。
「私か?私は藤原妹紅。ただのしがない焼き鳥屋さ」
もこたんINしたお!!
今回はだいぶ真面目な感じにしました。
永遠を生きることと瞬間を生きること、どうしても輝夜たちを使うと回避せざるを得ないネタになりますね。
次章では妹紅の活躍に期待しててください。