幻獣娘が幻想入り   作:知恵の欠片

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永遠亭編は一旦終了です。ティナも少しずつ魔法が戻ってきました。物語は竹林からスタートします。


特訓

霊夢の提案で永遠亭に行った私であったが、そこでの収穫はとても大きいものになった。

 

永琳からは「あらゆる薬を作る程度の能力」なのか、それとも医者なのかはわからないが、ポイゾナ、レイズ、アレイズが覚醒した。

 

輝夜からは「永遠と須臾を操る程度の能力」により、ヘイスト、ヘイスガ、スロウ、スロウガが覚醒した。

 

だが、残念ながら妹紅から得られた魔法はなかったようだ。

 

妹紅と輝夜の仲介役を果たしたわけではあるが、それは二人の仲直りであって、私を認めさせたわけではないからなのかもしれない。

 

その私はというと、今妹紅と一緒に竹林の出口へと向かっていた。

 

なんでも迷いの竹林だけに、ちゃんと道案内できる人がいないと抜け出せないからだ。

 

ましてやもう夕方。迷ったらその日中に出れるとは考えにくい。

 

私は妹紅の顔を見てみる。

 

特に表情を変えることもなく、彼女は歩みを進めていた。

 

「どうした?何か用か?」

 

「い、いえ、何もないです……」

 

私が口ごもると、妹紅は歩みを止めた。

 

「そういえば、慧音から聞いたよ。なんでも私に会いたい奴がいるってな」

 

「えっ、ってことはあなたが慧音さんの話していた人ですか?」

 

「ご名答」

 

私は少し嬉しくなった。

 

慧音の知り合いならば、うまく話が進むと考えたからだ。

 

それに輝夜との戦いぶりを見て、この人からは強い魔法が覚醒すると予想していた。

 

だが、事はいい方向には進まなかった。

 

妹紅は私をじっと見てきた。

 

「な…どうしましたか…?」

 

「お前は何で力が欲しいんだ?」

 

「そ、それは元の世界へ帰るためです」

 

妹紅は私のその答えを聞き頷いたが、それでも変わらず私をじっと見つめた。

 

まるで何か私の深い部分を見ようとしているようだった。

 

私は思わず固唾を呑みこんだ。

 

その長い沈黙が今まで感じたことない重圧を私に与えたからだ。

 

だが、しばらくして妹紅はぼそっと言った。

 

「―だは……な」

 

「え……?」

 

「いや、なんでもない。さあ行こう」

 

そう言うと妹紅はまた顔色を変えずにそのまま歩いて行った。

 

そのあと私がいろいろ声をかけてみたが、手ごたえのある返事は返ってこず、そのまま私たちは竹林を抜け出してしまった。

 

「じゃあな」

 

「ええ、またいずれ…」

 

短い会話だったが、それだけを残して妹紅は去ってしまった。

 

私は行くあてもないので、とりあえず博麗神社へと向かうことにした。

 

「きゃっ!?」

 

その時私は誰かとぶつかった。

 

「っ、大丈夫か?」

 

「え、ええ。なんとか…」

 

その男性は私の手を取り引き上げた

 

「すまない、慌ててたんだ。じゃあな」

 

「え、えぇ……」

 

彼はそういうとすぐさま走り去っていった。

 

彼はとても優しげな瞳をしていたが、あの走り方はどこかで見たことがあった。

 

だが、今の優先順位は彼のことを考えるよりも、霊夢たちに合流した方がいいと思い、私は博麗神社へと進み始めた。

 

その途中の出来事である。

 

魔法の森を経由して神社へ帰る予定だったのが、どこかから私を呼び止める声がした。

 

「おーい、ティナ!」

 

私はあたりを見回し、上空を見上げると、魔理沙ともう一人金髪の少女が箒に乗って飛んでいた。

 

二人は私の元へ降りてきた。

 

「よ、永遠亭に無事行ってきたようだな」

 

「うん、霊夢に置いていかれて少し焦ったけど…」

 

「まぁ、そうだろうと思ったぜ。さっき神社に戻ったら一人静かに茶をすすってたからな」

 

私がそこそこ追いつめられていた時にそんなリラックスしていたのかと思うと少し悲しくなる。

 

「それより、一人紹介したいんだ。自己紹介頼むよ」

 

魔理沙がそう言うと金髪の少女はこう言った。

 

「アリス・マーガトロイドよ。よろしく、ティナ」

 

「あ、はい、よろしくお願いします」

 

彼女の恭しい礼に合わせて私も首を垂れる。

 

「とりあえず、立ち話も何だし、アリスの家に行こうぜ。ここから近いしな」

 

歩き始め10分少々し、私たちはアリスの家にたどり着いた。

 

「ここで何をするの?」

 

私は魔理沙に聞くと、満面の笑みでこう言った。

 

「まぁ、いい時間だし食事といこうぜ」

 

中に入るとテーブルの上にはきれいな食器が並んでいる。

 

「今から盛り付けをするからそこの席にかけていてちょうだい」

 

アリスに言われ、私は席に着く。

 

どうやら私が来る前からこうなることが決まっていたようだった。

 

その時私は異様な光景を目にした。

 

「うわっ!これは何!?」

 

「ああ、上海たちのことね」

 

「アリスは魔法使いであり、人形を自由自在に操ることができるんだぜ」

 

そのかわいらしい人形たちは料理を次から次へと運んできた。

 

野菜にきのこをふんだんに使ったサラダ、スープ、それからドリアなど、おいしそうな料理が数多く並ぶ。

 

「洋風の食事だからパンがあれば一番よかったのだけれど」

 

「私はパンを13枚しか食べたことのない和食家だからな。ごはんを使ったものに代えてもらったんだぜ」

 

私たちはお互いのことを談笑しながら食事をした。

 

食事中にアリスの人形劇も見せてくれたので、幻想郷に来てから一番楽しい食事になったかもしれない。

 

食べ終わると、魔理沙は真剣な顔をしてこう言った。

 

「ティナ…お前に一つ言っておきたいことがあるんだ…」

 

「え、何?」

 

「それはな……お前弱すぎるんだよ……」

 

私は予想もしなかった言葉でちょっとショックを受けた。

 

「魔理沙、もう少しオブラートに包んで説明してあげたらどう?」

 

アリスが気を効かせてフォローを入れた。

 

「まぁ、きっと魔力に関してはきっと高いんだろうけどさ、幻想郷のスタイルにあってないんだよな」

 

「幻想郷のスタイル?」

 

「ああ、今までやってきたいわゆる弾幕ごっこってやつだぜ」

 

「ティナの魔法は、魔理沙から聞いただけだけど、威力がある代わりにほとんど単発らしいわね。だけど幻想郷では単発の魔法ほど役に立たないものはないのよ」

 

確かに思ってみれば、一番弱いとされる妖精でさえ美しい弾幕を張っていた。

 

そういう戦闘に慣れているここの住民はそれだけじゃ太刀打ちできなくなる。

 

「どういう風にすればいいのかしら……」

 

思い悩む私を見て魔理沙は言った。

 

「大丈夫だ、ティナ。そのためにここにお前を呼んだんだ。つまるところ、私とアリス、2人の魔法使いでな」

 

こうして私は幻想郷にあった戦い方を学ぶという長い夜を迎えることになったのだった。

 




物語中盤に出てきた男性はいずれ活躍してもらうつもりです。今までいろんなフラグを立ててました(あやつりの輪、妹紅との勝負フラグ、謎の男性)が、いずれも回収するつもりですので、今後どうなるか期待して待っていてくださいませ。
次章では、どのように強化されるのか、お楽しみに。
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