ゆっくりではありますがまた更新していきます。
舞台はFF6の本編クライマックスからスタートします。
FF6のネタバレありますので注意してください。
「すべて終わったな…」
ケフカを倒した後瓦礫の塔が崩れゆくなか、仲間たちの影が遠くに行くのを見送る。
そう、すべて終わった今、自分の役割も終わったのだ。
自分は目の前にいる犬に視線を移す。
「行け!インターセプター!…元気でな」
犬は飼い主を見つめ、すべてを悟ったように俺を見つめ、そして離れていった。
過去の自責の念から逃げ続けてきたが、もう恐れるものはなくなった。
今こそ決断を下すべきだと悟ったのだった。
「ビリー……」
かつての親友の姿が思い浮かぶ。
「暖かく迎えてくれよ……」
それからどれほどの時が経っただろうか。
深い深いところに沈んでいくような感覚が心地よく感じる。
死の恐怖なんて微塵も感じるようなこともないくらい……。
だがその心地よさも束の間、急速に体が、頭が覚醒へと向かった。
「ん…ここは?」
見たこともない川岸に自分だけが一人たたずんでいた。
あたりの風景はとても寂しげで、自分がどこから来たのかも推測しがたい。
挙句の果てに名前さえも憶えていない。
俺は自分の持ち物を確認して記憶の手がかりを探る。
「ダガーに指輪……?」
まったくもって関連のなさそうなものしか持っていない。
いや、記憶があったころには重要なものだったのかもしれない。
(待てよ…俺はどんな顔をしているんだ…?)
なので川に近づき、水面に自分の顔を映す。
だが結局その行為で自分自身が何者かを知るすべになることはなかった。
行き詰まった次の瞬間、新たな敵が自分を襲うこととなった。
(ぐぅぅぅぅぅぅ)
「……」
突如ながら、ひどい空腹に見舞われた。
何か食べ物らしきものを探すが、この寂しげな場所には機械のスクラップのような無機質なものばかりが転がっていて、とても食べるようなものなんてなかった。
「なんだい、空腹でお困りかね?」
突然背後から声がしたので驚いて振り返ると、先ほどまで誰もいなかった場所から女性が現れた。
大きな鎌を持つ姿からは死神を連想させた。
俺は天を仰ぎ大きくため息をつく。
その死神は訝しげに俺に質問をした。
「なぜそんなに残念がる?」
「いや、死神に空腹がどうとかで心配されるとは思わなくてな」
そう言うと、余計その死神はあっけらかんとしてこう言った。
「ははっ、あんたもなかなか慣れてるもんだ。やっぱり映姫様の目に留まるだけのもんはあるな」
「映姫?誰だ?」
「あー、いや、こっちの話だ。それとあたしゃあんたをあっちの世界に送るためじゃなく、幻想郷に送り届けに来たのさ。なんでも、「幻想郷に迷い込んだ少女を元の世界に連れ帰しなさい。それが今の貴方にできる善行よ」とのことだ」
「その少女って誰だ?」
「さぁ、私にはさっぱり見当もつかないねぇ」
俺は再び大きなため息をついた。
「ま、でも結局は自分で探すしかないんだ。あたいの仕事はここまで、後は頑張んな。それとあたいは小野塚小町ってんだ。あんたが無念にも約束を果たせなかったらまた迎えにきてやるから安心しなよ」
「約束も何もしてないし、ましてや俺は……」
(俺は何をしに来たんだ?)
そうすると小町はふっと微笑みながらこう言った。
「結局特にすることもないなら、善行を積めばいいのさ、旅人さん」
結局小町にそそのかされて俺は前へと歩みを進めた。
ただ一つ――自分が誰なのかという疑問――を解決するためだけに。
「さて、行っちまったね」
自分の舟に戻った小町が呟きながら舟に腰を掛ける。
「あんな感じだととても世界を救ったように見えないな。だけど映姫様が目をつけたお方であるのは間違いないな。まぁあたいにゃあいつが頑張るのを見届けることしかできないんだがねぇ」
小町はゆっくり目を閉じる。
瞼の裏で彼が幻想郷を守る姿がはっきりと映し出された。
なぜ彼は幻想郷に来たばかりなのに守ろうとするのか。
なんのために彼は戦っているのか。
だがそんなことはごく一部を除き知りうるものはいない。
(あたいにも想像はできないが、そんなことを想像させる人間がいたってのはあたいにとって珍しくもある。まぁまたいつか会えるだろう)
そうして小町自身も深い深い場所へと落ちていった。
なおこの後いつものように説教が待っていたのは言うまでもないお話なのだった。
このお方の正体は誰だ(棒)
次回からティナとこの男の話が適当に混ざり合いながら進めていく予定です。
あまり多く出すと焦点を当てたいキャラが薄くなってしまうので、絞って書いていくつもりですが、「このキャラが見たい」など要望があったらまたコメントお願いします。