「さぁ行くぜ!「魔符」スターダストレヴァリエ」
ハードモードの特訓は魔理沙のスペル宣言とともに始まった。
輝かしい星々が私の周りを展開する。
(これが魔理沙の魔法なのね…)
美しいと思ったのもつかの間、煌びやかな星々があたり一斉に拡散する。
この攻撃を避けるのも大変手間がいるのだが、アリスはすでに上海人形を突撃させる準備が完了していた。
「行って!上海!」
次々と飛んでくる上海に向かって攻撃魔法を放つが、一つ一つしか落とすことができないため、なかなか苦しい立場を逆転するにも難しい状態である。
その時かすかに腕に痛みが走る。魔理沙の攻撃が被弾したようだった。
やはり二つの攻撃が重なっている以上、片方に集中すれば片方がおざなりになるのはよくわかる。
だが、よく考えてみよう。
2つの攻撃はかわすのは難しい。
それならば、私も二つの魔法を応用し、組み合させればなんとかなるかもしれない。
私がこの特訓でファイアとブリザドを中心に使っていた。
この二つはさすがに掛け合わせても無意味なことは間違いない。
だが、私にはもう一つ使える攻撃魔法があった。
一か八か、私はファイアをあえて敵をめがけず上空へと放つ。
「なんだ、血迷ったのか?」
「チャンスよ、かかって!」
上海たち、そして無数の星々が私へと降り注ごうとしたとき、私はもう一つの魔法を放った。
「エアロ!!」
私の上空にあった炎弾はエアロによって無数の火の子となり炎の雨を降らせた。
私へと飛んでくる星々、上海人形を次々と炎が呑み込んでいく。
「なっ、なんだと!?」
魔理沙が驚きの声を上げる。
どうやら全く想像してなかったに違いない。
私はこれで確信した。
(二つの魔法の組み合わせで弾幕攻撃にも応用ができる…!)
「まだまだ私たちの攻撃がそれで見切れたと思ったら間違いだぜ!」
「ええ、行くわ!」
二人ともまだ構えを解いていない、第二幕の火蓋が落とされた。
そこから昼過ぎまで私たちの特訓は続いたのだった…。
最後の上海人形を打ち落とした瞬間、私の魔力も完全に底をついた。
もう立っているのもやっとなほどで、私は膝から崩れ落ちた。
そんな私に魔理沙は歩み寄って来て、
「よくやったな、ティナ」
疲労困憊の私に手を差し伸べてくれた。
魔理沙もだいぶスペルを連発したせいかだいぶ疲れた表情をしていた。
「ありがとう、魔理沙。おかげで幻想郷でもうまく戦えそうな気がするわ」
「まだ甘いぜ、あんな弾幕で倒せるのはまだごくわずかさ。だからアリスはともかく、私に土をつけるのはまだまだ先のことだぜ」
「別に私の話は出さなくてもいいのよ、あなたも爆弾の餌食になりたいの?」
「それだけは御免こうむるんだぜ」
二人のやり取りを見てると冗談で言いあっているのはわかるが、アリスのかわいらしい顔に似合わずさらっと恐ろしいことを言っているのを見て、少し恐怖を覚えた。
そうだ、と魔理沙が提案してきた。
「お前はスペルカードがなくても魔法は使えるが、宣言するときの名前があったほうがかっこいいんじゃないか?」
「名前か……」
「ああ。今日実際に戦ってみてファイア系+エアロ系、ブリザド系+エアロ系がお前の中ではメインの弾幕になりそうだからな。なぁアリス、なんかいい名前ないか?」
「そうね…、ファイア+エアロは例えば、ファイアストームとか、ブリザド+エアロでフリージングダストとかはどうかしら?」
その提案に魔理沙が疑問を投げた。
「まだ今日見た限りじゃ、「炎の嵐」どころか火の粉が付いてるそよ風レベルだぜ。名前負けもいいところだ」
「無論今日のままだったらそうね。だけどティナには「フリーズ」のような強力な魔力を込めることができる魔法もある…。だから名前負けどころかそれを上回る威力にはなるはずよ。その魔法を会得するため努力していけばいいのよ」
なるほどなぁ、と魔理沙は呟いた。
「で、まぁ結局のところティナはどんな名前にしたいんだ?」
「う~ん、正直アリスの決めたのでいいわ。」
「あら、命名権もらってよかったの?」
「ええ、シンプルなほうがわかりやすくていいし、ましてや技の名前だけで威力が変わるなんてこともないからね」
私は冷静に分析してみた。
「ふーん、私は力強い名前のほうが技にも影響しそうだけどなぁ」
「え、まだ魔理沙出せる技があるの?」
「ああ、まだ十八番があるんだぜ!私のとっておきだ!」
「その力強い名前ってのは?」
「まだ秘密d―」「マスタースパークよね」
「お前…人が秘密にしようと思ってたのになんで言っちゃうんだよ…」
「そう言いながらも魔理沙も割とシンプルだと思うんだけど…」
私のツッコミにも魔理沙はまぁいいじゃないかと答えた。
そんなこんなで私の技の名前が確定した。
私もこのやりとりでだいぶ体力も戻ってきたので立ち上がろうとすると、魔理沙がこう言った。
「まぁ、とりあえずここからが本当の特訓なんだけどな」
「え、ここからが?」
「そうだ、まずはこのあたりを眺めてみろ」
魔理沙は先ほどまで私たちが戦っていたあたりを指さした。
「私がさっきまで打ち落としていた上海人形が散乱しているわね……」
「そう…数にして約1000体近くというところかしら」
アリスは表情を変えずに述べた。
「片づけるのは大変そうですね……」
私も特訓するのに夢中で、後のことを考えず唖然としてしまった。
だが魔理沙がチッチッチッ、何かを言わんとしたいがごとく付け加える
「片づけるだけじゃないんだぜ、実はその人形全部アリスのお手製なんだ」
魔理沙は上海人形の残骸を私に投げつけた。
私はそれを受け取りよく見てみると、私の攻撃でぼろぼろになりながらも、とても丁寧な刺繍が施されていることがわかる。
そこで少し私には嫌な予感がよぎった。
「まさか……」
「そう、そのまさかだぜ」
「ええ、今からこの子たちを全部縫い直すわよ」
「そ、そんなぁ……」
あまりの絶望感に私はその場でへたり込んでしまった。
「ほらほら、早くしないと日が暮れちゃうからさっさと終わらせるぜ」
魔理沙が私をぐいぐい引っ張ろうとしたその時。
(ぐぅぅぅぅぅ……)
静寂な森の中で鳴り響くお腹の音。
私の腕を引っ張る魔理沙の手が止まった。いや、固まったとでも言うべきだろうか。
私は恐る恐る顔を上げると、魔理沙が真っ赤になって固まっていた。
「ふふっ……」
隣にいたアリスが先にこらえきれず笑い始めた。
「な、なんだよ。もう昼過ぎなんだぜ!人間は腹が減る時間なんだよ!」
「はいはい、わかったから先にお昼にでもしましょうか」
一瞬静まった森の中で再び私たちの賑やかな声が広がったのだった。
魔法の組み合わせのネーミングは正直よくわからなかったので適当な英語を当てて作りました。
ですが、召喚獣の技でいい横文字の言葉(サンダーストーム、トライディザスター)などあったら原作に近づけられるので使っていきたいです。
それと次回でアリスとの特訓は終了します。幻想郷の割と全土に行く予定ですが、読者様からもアイディアをいただければと思います。(ティナとこのキャラだとどうなる!?的な感想、疑問など歓迎です)