私は目覚めると不思議な場所にいた。どこかの家のようであるが、見覚えはない。ただ所構わず物が乱雑に置かれていることから妙に生活感のある家であると思った。私がベッドの上で寝かされている状況を考えるとひとまず助かったのだと思った。
「よう、目が覚めたか?」
私は声の主のほうへと振り返る。金髪の女性が立っていた。
「セ…リス?」
「あ、そいつは誰だ?」
「あ、ごめんなさい…勘違いです…」
確かに金髪だからセリスと決めつけてしまったが、服装はレオタードではない白と黒の服。そしてなによりもセリスより幼い風貌であった。
「まあなんでもいいや、私は霧雨魔理沙、魔理沙って呼んでくれ」
そういって少女はにかっと笑顔を見せる。
「それで、お前の名前は?」
「ティナ・ブランフォードです」
「なるほど、ティナだな。で、どっから来たんだ?」
ん……どこから?瓦礫の塔の近辺にいたまでは覚えているので私はそれについて話してみたが……
「うむ、分からん」
と返されてしまったので、ケフカを倒しに世界を救う旅をしていたことを話してみると、
「日本語を話せ、ここは幻想郷だ」
と返されてしまった……。
私は日本ってなんだろうと思ったが、それ以上に聞きなれない言葉をつい口にした。
「げんそうきょう……?」
その言葉を聞いて魔理沙は何かに気付いたような表情をした。
「なるほど、やっぱりお前は外来人か」
魔理沙はいろいろなことを教えてくれた。この地には現代の世界(私の世界とは異なるみたいだが)から忘れ去られたものが流れ着くことがある。それはものであったり、人であったりすることがあるようである。しかも集まってくる人などは全くの関連性のない人らしい。
「幻想郷では争いはないの?」
私の問いに魔理沙は笑いながら、
「あるぜ。でも大きな問題は起きないがな」
そして最後に、だって私が解決するからな、と付け加えた。その時私は彼女のどこにそんな力があるのだろうかと考えた。そんな不思議な表情を浮かべていた私に魔理沙は尋ねかけた。
「今度はお前の話を聞かせてくれ」
私は自分にかかわること、自分の世界について話した。普通の人間と、魔導を使う幻獣とのハーフであること。世界を守る旅に出たこと。仲間がいたこと。
とにかくざっくりではあるが、彼女は真剣なまなざしで聞いてくれた。
「……と、こんなところなのだけど」
私が一通り話し切ったところで魔理沙は一言、
「お前魔法が使えるのか!?」
意外なところにツッコミがあって、やや戸惑ったが、彼女の眼は爛々と輝いていた。どうやら残念ながら、私の旅の過程よりも魔法のお話のほうが彼女にとっての一番の関心のある内容だったようである。
「何か一つすごいの見せてくれよ!」
彼女は私をせかすように言ってきたが、一つ大きな疑問が私にはあった。魔導の力が消えゆく世界にいた今の私に使える魔法はあるのだろうか?
そんなときであった。
「魔理沙さーん、いますかー?」
急な来訪者が来たため、私たちの魔法談義は一旦終了するのだが、この来訪者たちが今の私の状況を教えてくれるとはこの時点ではまだ想像できなかった。