幻獣娘が幻想入り   作:知恵の欠片

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久々に時間ができたので少し書いてみました。

幻想郷に差し込む黒い影の気配が……


悪夢の気配(前編)

射命丸文は椛を安全な場所に移動させた後、上空からその男の様子を監視していた。

 

人間の目では上空に何かいる程度にしか見えない距離だ。

 

その男はのらりくらりと守屋神社が目と鼻の先の場所まで行き、木々の影に潜伏した。

 

彼女はそれを見届けるとすぐにある場所へと向かった。

 

そこは妖怪の山奥にひっそりと天狗たちの集まる場所である。

 

別名天狗の里と呼ばれるのだが、入り口は人間はもちろんそうだが、ほかの妖怪さえ入ることが制限されるほど厳重な監視が行われている。

 

里に入ると真っ先に大天狗のもとへ報告をした。

 

「怪しい人間が一名、妖怪の山に入り、哨戒天狗の犬走椛が迎撃にあたりましたが、突破されました。かなりの攻撃の使い手で、私一人ではどうすることもできないと判断、報告に参りました」

 

「そうか、奴は今どこに向かっている?」

 

「守屋神社の方角へ進んでいます」

 

それを聞き一瞬大天狗は熟考したが、すぐ結論が出た。

 

「ふむ…、守屋神社であれば、我々には影響はない、だが…守屋の神に我々としても我々の面子を立てるために…わかるな?」

 

「はい、私はこれより守屋神社へ出向、状況を報告し、意向を伺って参ります」

 

「頼んだ」

 

 

その頃妖怪の山の山頂にある守屋神社にて、そこに祀られている二柱の神が幻想郷を眺め会話していた。

 

「私たちも幻想郷に来てだいぶ時間が経つが、どうだ、諏訪子?」

 

「今更そんな急にどうしたのさ?ここは悪くないと思うけど」

 

守屋神社の二柱である八坂神奈子と洩矢諏訪子が神社の屋根に腰を掛け、肩を並べて話していた。

 

「正直に言うと私はこの穏やかな時が好きだ。それはあっちの世界にいた時も感じていたことではあるが……」

 

「わかるよ、向こうの世界だって悪くはなかった。けど、残念ながら向こうは時が経つにつれて、私たちを必要としなくなった。時は無情にも流れていっただけ」

 

「その点こっちはいい意味で時の流れは止まっている……我々にとってはこの上ない好都合なくらいに……」

 

彼女らが見上げる空は澄み渡っていたが、それはいつまでも変わることのない様相を呈していた。

 

普段ならこのまま空を見ながら呆けていても何もないのだが、それでも諏訪子はいたずらっぽく神奈子に尋ねてみた。

 

「それにしても今日はだいぶ回りくどい言い方だね?もっとはっきり言わないと私にはわからないよ?」

 

神奈子もお前はもう気付いているだろうにと呟きながら言った。

 

「さっきから我々に話をしたいと持ち掛けているやつがすぐ後ろにいるからどうしようかと思ってな」

 

「まぁこの天気と違って全くと言っていいほどどす黒い、そんな気配がしてるからロクなことじゃないと思うけどね……」

 

この二柱は振り返って木々の茂みに向かって言った。

 

「用があるなら早くおいで」と……

 

 

 

(アリスの家にて)

 

私達はアリスの人形をすべて家の中へ運び、その服の修繕をしていた。

 

一年間子どもたちの母親代わりをしていた私だったが……

 

「ッ!?」

 

「おいおい、ティナ、これで何度目だ?指を指すのは……」

 

私は指を指すたびにケアルをかけ治してはいるが、すでにその手には両手の指以上の痕が残っている。

 

こうして服を縫う機会はほとんどなかった。

 

服を直すのは全部カトリーナがやっていたからだ。

 

私はアリスに助けを求めるため彼女のほうをちらっと見るが……

 

「だけどこれも特訓の一部なのよ」

 

彼女は笑みを浮かべこれしか言ってこない。

 

早一時間以上経過しているが、私はまだ2体目の服を縫い終わったばかりである。

 

「ふっ、ティナ、遅いな。私はもう3体目の服を縫い終わったばかりだぜ」

 

「あなたもティナと対して変わらないじゃない」

 

アリスが冷静なツッコミを入れる。

 

(アリスはどれくらい進んでいるんだろう……?)

 

私が1時間針と布を真剣に見ていたため周りはあまり気にならなかったがふと思い見てみると……

 

「あれ……アリスは縫ってないの?」

 

アリスのテーブルの上にはまだ手を付けていない人形が無数にあったからだ。

 

「ふふ、がんばってね」

 

「アリス……」

 

この満面の笑みはすなわちずべこべ言わずさっさとやれということなのだろう……

 

それからまた1時間経過し、私と魔理沙でなんとか10体もの服を直した。

 

「これでまだ全体の100分の1……」

 

私がへこんでいるとアリスが声をかけてきた。

 

「だいぶ頑張ったわね、お茶でもいかがかしら?」

 

「おっ、いいな。もらうぜ!」

 

「私も~……」

 

「ふふ、じゃあ二人とも待っていてね」

 

アリスが部屋を出ていくと私はテーブルの上に突っ伏した。

 

「お前大丈夫か?」

 

「だって、あまりの量で進んでる実感がわかないもの……」

 

「そっか、ところでアリスはさっき何をしていたと思う?」

 

「え、私たちを眺めてただけじゃない?」

 

魔理沙はふと笑みを浮かべ、

 

「本当にそう思うかい?じゃあ種明かしといこうか」

 

魔理沙に連れられて私は隣の部屋へと移動した。そうすると……

 

「あ……、人形が人形を直している!?」

 

人形がまるで流れ作業をしているかの如くスピーディーに仕事をこなしている。

 

「ちなみにこの人形だけどな、全部アリスが動かしているんだ。なんでも指にある魔法の糸を操作しているらしいがな」

 

「え!?」

 

「やっぱり魔法使いってのは賢くならなきゃいけない。それを鍛えるためには指先が器用でなくてはいけない。私も最初はティナみたいにすぐ飽きっぽかったけど、だいぶ集中してできるようになったんだぜ。そう考えれば魔法の特訓と何ら変わりはないからな」

 

「そっか……アリスはそれを伝えようとしていたのね……」

 

そう考えているとアリスが私たちを呼びに来た。

 

「あら、見つかってしまったのね、こっそり作業をしていたつもりだったのに」

 

「よく言うぜ、ティナが縫っている間あからさまに指を動かしていたくせに」

 

「ふふ、それはともかくとして、休憩後も頑張れるかしら、ティナ?」

 

私は迷わずこう答えた。

 

「もちろん、強くなるため頑張るわ!」

 

そしてちょっとばかり休憩をとり、私はもう一度意欲をみなぎらせ作業に取り掛かるのだった。

 




次話ではFF6になかったあの魔法が覚醒します。皆様のイメージと違ったらごめんなさい。

一方妖怪の山はどうなるでしょうか。
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