幻獣娘が幻想入り   作:知恵の欠片

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書いていく中で前々回の悪夢の気配の後半は次になってしまいました。

今回はアリス編クライマックスです。

現在使用可能魔法
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魔法使いの指南

日が完全に暮れて夜になった。

 

私が前回休憩後から洋服の縫い直しが終わったのはおよそ20体分だ。

 

だけどアリスのおかげで全作業工程の2分の1が終わろうとしていた。

 

私たちは食事を済ませまったり休んでいると、魔理沙が話を切り出した。

 

「なぁ、アリス。ティナともう一回戦ってみたらどうだ?」

 

「そう?午前中にティナの魔力も尽きてたんじゃないの?」

 

「それもそうだが、こういう時にこそ、土壇場の時にこそ、ティナは本領を発揮すると思うんだ」

 

魔力は今でも完全に回復はしていない。

 

大体7割ほどである。

 

だが確かに魔理沙の言うとおりだ。

 

私は今まで数多くの修羅場を潜り抜けて、その中で成長した。

 

まして、今はアリスのおかげもあっていいイメージが出来上がってきている。

 

このチャンスを使わない手はない。

 

「アリス、私からもお願いするわ」

 

私もアリスに向かって気持ちを伝えた。

 

「そう、なら今度は私と1VS1よ。さっき教えたこと、無駄にしないでね」

 

アリスはそう言うと一人足早に家を出ていく。

 

「あいつああ見えて実はすごく好戦的だからな」

 

魔理沙が私にそっと囁いた。

 

「そうなんだ、でも私もそれはあまり変わらないかもね」

 

元の世界に戻るためなら、借りれる力はいくらでも借りたいからだ。

 

「そうだな、ま、行こうぜ!」

 

私たちは外に出て戦いの準備をした。

 

私とアリスは向かい合う。

 

アリスの後ろにはわずかばかりの人形が待機をしていた。

 

「さっきよりだいぶ人形が少なくなったように見えるけど」

 

「そう思うわよね、だけど難易度はさっきよりもずっと、ずっと高いわよ……いくわ、蒼符「博愛のオルレアン人形」」

 

そのセリフと同時にアリスは宙に浮き、開幕の弾幕攻撃を打ち始めた。

 

だが弾幕を放ってくるのはアリスだけでなく、左右に高速展開する人形からも容赦なく放たれる。

 

ただ地上を走り躱すのにも限界がある。右に避けても左からといった対角からの攻撃になすすべもなく攻撃に被弾する。

 

「この程度かしら?そんなことじゃ私が教えたこと、試せないわよ?」

 

アリスの挑発に魔理沙が応える。

 

「お前もなかなか意地が悪いな、相当レベルを上げといて」

 

「自ら挑んできたもの、ならそれに見合えるように私は力を尽くすだけ」

 

「よく言うぜ、お前が本気を出すことなんて全くないくせに」

 

私はよろめきながら立ち上がり、まだ終わってないぞとばかりキッとアリスを睨み返す。

 

「まだまだ、ヘイスト!」

 

私に流れる時間を加速させ、素早さを高める魔法だ。

 

反射速度が高まったため弾幕に対し見切れるようになった。

 

そしてアリスと高速展開する人形に向かってスロウガを放つ。

 

ヘイストと真逆の効果を与え、かつ敵全体に発動するこの魔法は、アリスには効果はなかったが、人形の動きが鈍くなり、さらに弾幕を見切りやすくなった。

 

「なるほど……、速度を操る魔法ね。この子たちの攻撃くらいは見切れるようね」

 

アリスはふと微笑むと次のスペルカードをセットする。

 

「白符「白亜の露西亜人形」」

 

どこからともなく現れる人形が弾幕を放つ。

 

私は正面からの攻撃をたやすく躱す。

 

お礼とばかりにスロウガを放とうとしたが、すでに私に攻撃した人形は消えていた。

 

「ッ!?」

 

背後に被弾の痛みが走る。

 

どうやら人形は私の周辺に現れては消えるようだ。

 

第二波が飛んでくるが、ヘイストの効果を持ってしても、背後の攻撃は完全に躱しきることができない。

 

私は特訓で得たファイアストーム(ファイア+エアロ)を放つ。

 

上空まで上った炎弾は空気の弾丸にぶつかり広範囲に火の粉を降り注ぐ。

 

私の周りに現れる人形を迎撃することはできたが、だがこの方法には大きな欠点があった。

 

「くっ!」

 

そう、私の周りを狙って撃ったので、その円の中心部にいる私にも当然被害があるのだ。

 

「なるほど……、攻撃のセンスは悪くはないわ。あまり美しくはないけどね」

 

きっと今の私の自爆攻撃に近い行動を指しているのだろう。

 

だがアリスは次のスペルを繰り出した。

 

「これで最後よ!咒詛「首吊り蓬莱人形」」

 

最後の攻撃は真上から私に降り注ぐ攻撃だった。

 

「さて、この攻撃を見切り、かつ私に攻撃を当てられるかしら?」

 

球は私を追尾するもの、またそうでない2種類があり、うかつに動けば逆に被害が広がる。

 

実際すでにダメージの量は相当なものとなっている。

 

だけど、この土壇場でこそきっと力が得られるチャンスなのだ。

 

私は空中に向かってブリザラを放つ。

 

空中にできた氷の壁が一時的に弾幕を防ぐ。

 

その隙に私はファイアストームをアリスに向けて放つ。

 

だが、拡散した火の粉を彼女はたやすく躱していく。

 

「残念だけど、当てようと意図しない球なんて私には当たらないわ」

 

その言葉で私は大事なことを思い出した。

 

アリスは指先を器用に動かし大量の人形を操っていた。

 

彼女の人形はまるで自律してるかの如く。

 

だが、あそこまでいかなくとも私にもそれができるとしたら?

 

アリスの攻撃を躱しながらも、私の頭の回転スピードは上がってくる。

 

「っ!?」

 

だが、一発避けきれず足に被弾、そのまま倒れこんだところへ自分を追尾してくる球が次々襲った。

 

アリスは攻撃を止めた。

 

「ティナ……、ここまでなのか?」

 

魔理沙の不安げな声も聞こえる。

 

「まだ……、まだいける、今の痛みで一つ閃いたわ」

 

私はそう言ってゆっくり立ち上がる。

 

もう足を動かせる体力は残っていない。

 

ただ魔法で押し切るだけ。

 

それを念頭に置き、新しい魔法を詠唱した。

 

アリスのように1つの魔法を複数発射する魔法だ。

 

「ダブル!!」

 

そしてアリスにブリザラを放つ。

 

大きな氷の塊が2つ彼女に襲い掛かる。

 

だがそれは楽々躱される。

 

「ただ球が2発分飛んできただけでさっきと変わらないわ」

 

だが私はその隙にファイアストームを放つ。

 

「しつこいわ」

 

同じく躱されてしまう。

 

だがもう一つ、私は魔法を放った。

 

「トリプル!」

 

すると拡散していた火の粉が3倍の体積となりアリスの背面から襲い掛かる。

 

「な!でも!」

 

アリスは上に避けれないとわかると急降下し着地した。

 

火の粉はただでさえ小さいものを3等分したので、地上にはほとんど降り注がない。

 

「意外といい戦術だけどまだまだといったところね」

 

そう彼女は言った。

 

が、次の瞬間彼女の表情は凍り付く。

 

「ティナのやつ……、まだいい表情してんな」

 

魔理沙が固唾を呑み呟く。

 

そう、私はまだ微塵にも諦めは無く、もう魔法も詠唱済みだったのだ。

 

最後の最後、とっておきを放つ。

 

「フリーズ、トリプル!」

 

アリスを中心にちょうど三点、三角形の角から中心に向かうかのごとく、極寒の氷柱が彼女に迫る。

 

「っ、魔操「リターンイナニメトネス」!!」

 

三方から迫る氷柱を回避不能と見るや彼女は爆弾仕込の人形を投げつける。

 

だが、あまりにも冷たく大きい氷柱は溶けることなく、彼女を貫いた。

 

だけど、視界がどんどんぼやけてくると、そのまま私は膝から崩れ落ちた。

 

魔理沙が何か叫んでいるようだが、何も理解できず、私は深い闇へと落ちていった。

 

 

 

 

「いやー、いい勝負だったぜ、アリス」

 

「ええ……」

 

「途中まで相当余裕ぶってた割には、かなり冷や冷やするもんだったな、氷だけに」

 

「ええ、悔しいけどまんまとはめられたわ。地上におびき寄せるための罠だったとはね」

 

そう、ティナの最後の魔法は私を貫くはずだった。

 

だが、憔悴していた彼女にはもう魔力は残っておらず、私のわずか数センチ先で氷柱は消失した。

 

私の服には霜が降りていて、ドライアイスのような冷たさを放っていた。

 

(認めたくはないけど、完敗かしらね。でも最終的に彼女は私の伝えたいことを実行してみせた……、私でも役に立てたのならなによりだわ)

 

「魔理沙、ティナを運んでもらえる?私が触れるとティナに風邪引かせそうだから」

 

「しゃーねーな、というかお前もはよ風呂に入れ!風邪引くぞ」

 

「そのつもりだけど、魔法使いだから大丈夫よ、きっと」

 

「喘息持ちの魔法使いもいるくらいなんだから我慢するな」

 

「ええ、そうね、じゃあ魔理沙、あとはよろしく」

 

負けはしたものの、服はとても冷たくても、何か心から温まるような気がする。

 

私はその不思議な心地よい昂揚感に浸りながら、暖かい風呂に浸かったのだった。

 




新たに出た魔法「ダブル」「トリプル」について。

初出はFF8の魔法で、効果は同じ魔法を2回、3回連続で放つことができる。

FF8の魔法の概念はFF6のそれとは異なりますので、ここの小説では独自設定でその魔法を2,3分割して放つことができる、という設定にしました。

(アリスから得たヒントもありトリッキーに動かせるようにしたかったのが第一です)

MPの消費量はティナの気分次第だと思ってください。(アリスを地上に誘い込んだファイアストームは1発分を2等分しさらに3等分、フリーズは三発分一気に)

そのうちFF6のアイテム「ソウル・オブ・サマサ」を出し、連続魔とは違う性質で出したかったための設定です。ご了承ください。

次のお話はティナ編以外を進めていきます。
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