幻獣娘が幻想入り   作:知恵の欠片

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幻想郷に魔の手を伸べようとする男に警戒感を高めようとするものがいた……


悪夢の気配(後編)

私は大天狗様に報告した後、守屋神社に向かうため準備をしていた。

 

「文様……」

 

後ろから声がしたので振り向くと椛が立っていた。

 

「椛、大丈夫?」

 

「ええ、文様が助けてくださったおかげでなんとか」

 

「そう……、なら良かった」

 

私はそれを聞き、その場を後にしようとすると、椛が質問をしてきた。

 

「文様……、この後どうされるおつもりで?」

 

「守屋神社へ行き、神奈子様に今起こっていることを説明してくるわ」

 

「さっきの男のことですよね……、文様が大天狗様に報告されていた時に、守屋の神々と接触がありました」

 

「なんですって!?それで、どうなったの!?」

 

「私が見ていた時は一触触発の雰囲気でした……、今は戦闘が起きていてもおかしくはありません」

 

椛の能力である「千里先を見通す程度の能力」はこういう時にとても便利だ。

 

私は彼女に感謝を述べ出て行こうとすると、彼女は最後にこう言った。

 

「文様……、絶対無理はしないでください……」

 

「ええ、大丈夫、心配しないで」

 

きっと椛は私なら新聞のネタだから無理をしてでも、というのがわかっているのかもしれない。

 

彼女にもう一度笑顔を見せ、私はすぐさま守屋神社へと向かった。

 

 

 

 

(守屋神社では)

 

私と諏訪子は道化のような男との戦闘をしていた。

 

だがその男の攻撃は幻想郷の戦いのルールではない。

 

とても激しい攻撃が飛んでくるが、弾幕を潜り抜ける戦いをしてきた私たちにとって避けるのは造作もないことだった。

 

「ああ~ん?なんでボクチンの魔法が当たらないの~!?」

 

一発放ち私たちが避けるたびにおどけてみせる様は本物の道化のようだ。

 

その隙を見て私たちは弾幕攻撃を加える。

 

「御柱「メテオリックオンバシラ」!!」

 

「開宴「二拝二拍一拝」!!」

 

上空からの流星のように降り注ぐ御柱とレーザーによるコンビネーションでその男は集中砲火を受けた。

 

「イタイ、イターイ!!」

 

弾幕の轟音が鳴り響いた後、何とも間の抜けた声がした。

 

一瞬静まり返ったのち私は諏訪子のほうを見る。

 

「やりすぎたかな?」

 

「いや、構わない。何せ神々の力を手に入れて世界征服をする、と言っていた奴だ。それにあの黒い気配……、情けをかけるだけ無意味さ」

 

だが砂煙の中から男はふらつきながらも不敵な笑みを浮かべて出てきた。

 

「フフフ……見るがよい!ケアルガ!!」

 

「なんだと!?」

 

「傷がふさがって……!?」

 

男は間接をゴキゴキ鳴らしながら言った。

 

「さぁ、今度はもう少し本気を出すとしましょう!!」

 

 

 

 

(守屋神社近辺にて)

 

神社が目と鼻の先にある中、私は一人の人影を発見した。

 

緑色のロングヘアを持ち、霊夢とは対照的な青色の服を着た守屋神社の風祝こと東風谷早苗である。

 

どうやら彼女も神社での出来事に気付いているようで、飛行してそこに向かっていた。

 

「早苗さん!」

 

私の呼びかけに驚いて振り向くも、彼女は私を認識すると努めて冷静に話しかけてきた。

 

「文さん……。私と同じ方向に向かっているということは……」

 

「ええ、神社に敵襲のようです。敵は男1人です。守屋の神々が負けるとは思わないですが……」

 

「なんとか止めましょう!」

 

そう言っている間に私たちは神社にたどり着いた。

 

二柱の神と男が対峙していた。

 

「神奈子様、諏訪子様、ご無事ですか!?」

 

早苗が二柱に声をかける。

 

「ああ、大丈夫だ」

 

「だけどあいつは回復する技が使えるみたい、油断できないよ!」

 

「大丈夫です、こっちには文さんもいます。4対1なら問題ありません!」

 

二柱が早苗の発言により私に気付く。

 

私は浅くうなずき、そして攻撃のため構えた。

 

私たちがスペルカードをセットすると同時に、男は分が悪いと見てか、とても悔しがってこう言った。

 

「ちっくしょーーー!!!覚えてやがれ!!テレポ!!」

 

「「「「!!!」」」」

 

呪文を放った後その男はすっかり消えてしまった。

 

「どこかに隠れているのか?」

 

「いえ、姿どころか気配まで消えています……」

 

「一度退いたということでしょうか?」

 

事なきを得たところで私は話を切り出した。

 

「八坂様、洩矢様、お話したいことがございます……」

 

「さっきの男のことか?」

 

「左様でございます。我らが天狗も危うく被害に遭うところでした。ただ奴の狙いはこの神社。我らに関係がないといえども、我らもできることがあらば協力したいというのが、我らが大天狗の意向です」

 

協力する手段にはどんなものがあるかと二柱は考えた。

 

早苗は自分の意見を口に出した。

 

「天狗にお願いするとしたら、新聞を使って幻想郷に危機的状況を伝えるといったことでしょうか?」

 

だが二柱の意見はノーであった。

 

「奴の狙いが今現在はこの我々神々の力だとしたら、まだ幻想郷全体は大丈夫なはずだ。狙われるとすれば妖怪の山、この神社を中心としてな」

 

「それにここが狙われている状況でそれを言ってしまうと、私たちだけではどうしようもできないって言っているようなものだからねぇ」

 

「そうですか……」

 

早苗はしゅんと引き下がった。

 

私も疑問に思っていることを彼らに述べた。

 

「奴には瞬間移動する能力があります。それについてはどうお考えですか?」

 

「そうだとしても幻想郷には各地に猛者が揃っている。ほかの場所の自衛は各人に任せ、我々は我々の場所を守れば問題ない、そうだろう?」

 

「は……、それでは大天狗には我々の山に手を出すようなことがあらば、我らが協力し討伐すると伝えてもよろしいでしょうか?」

 

「あぁ、それで問題ない」

 

「わかりました、失礼します……」

 

私は守屋神社一同に一礼をし、その場を後にした。

 

私が天狗の里の戻る途中、自分がどうすべきか考える。

 

確かに天狗の集団としては一致団結して取り組むべきだと考える。

 

だが新聞記者としてはどうだろうか。

 

そんなことは考えるまでもない。

 

「待つよりも、自らの足で調査、結局はこれが私にはお似合いよね……、さて……、大天狗様に報告した後独自に動いてみますか……」

 

 

 

 

一方玄武の沢ではその男がいた。

 

先ほどの戦いでの消耗は激しく、体を横にしていた。

 

「フフフ……、これさえあればあいつらを一気に制圧できる、ヒャーッヒャッヒャッヒャッ!!」

 

怪しげに高らかに笑う彼の手にはあの禍々しき輪が握りしめられていたのだった。

 




私の作品では文と椛は仲がいい設定です。文と早苗は比較的面識があるイメージ、神奈子、諏訪子には敬語を使っています。
文は今後この男をマークし、守屋一家並びに妖怪の山にアラートを発信する情報屋になってもらいます。
次回はシャドウ編です。
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