魔理沙がドアを開けると、そこには3人の小さな少女たちがいた。3人は共通して背中に羽が生えていた。どうやら妖精のようである。妖精というとどうもいい思い出がない。私はカイエンの弱みに付け込んだ3匹の妖精を思い出した。だが、私の予想を全く裏切ろうとしていることは彼女らの笑顔を見れば明らかであった。
「よう、お前ら。何か用か?」
「いやぁ、せっかくなので魔理沙さんにご挨拶をと!」
赤い服を着た妖精が魔理沙に話しかけた。
「ほほう、妖精のくせにご苦労なこった」
魔理沙は彼女の様子を見て大層喜んでいるようだった。
(別に暇だったから遊びにきただけなのだけどね……)
(まぁサニーに何かうまいことを言わせておけば、自然と楽しいことになるしね)
後ろの二人が何やらこそこそ話しているようだが、魔理沙に言ったら機嫌を損ねるかもしれないのでとりあえず私は彼女らのやり取りを眺めていた。
「そういえば、そこの人は見かけたことがないけど誰?」
白い服の女の子が私を指さしながら魔理沙に聞いた。
「ああ、こいつはティナって言ってだな……」
と言った瞬間魔理沙は何かを考えるような表情をして私と彼女らを眺めた。そして急に思いついたようにこう言った。
「よし、お前ら、せっかくだからティナと戦ってみろよ!」
そしてなぜか私は突然の三人の来訪者と戦うことになった。魔理沙の家から出た私だが、どうやら自然に包まれている土地であるということがわかった。時折木漏れ日が刺すものの、鬱蒼とした森林があたり一面を覆っていた。私が辺りに見入っているのをお構いなしに魔理沙は話を進める。
「ルールは簡単。相手が降参させたほうが勝ちな。もちろん、魔法を使って反撃してもいいぜ」
なるほど、魔理沙はやっぱり私の魔法を見たかったのか。とはいっても一つ疑問があった。私のいた世界からは魔導の力が消えていき、最終的に私がその世界から消えた。ではその私は魔法が使えるのだろうか?だがその疑問は来訪者たちの自己紹介によって遮られる。
「初めまして、私は日の光の妖精、サニーミルク」
「私は月の妖精、ルナチャイルド」
「そして私は星の光の妖精、スターサファイアよ」
「あ、私はティナ・ブランフォードと言います」
三人に合わせて私も名乗った。
「では行くわ!月符「ルナティックレイン」!」
ルナが口火を切ってスペルを発動する。すると私の周りに大量の光弾があふれ出てきた。
「いっけー!」
彼女の号令とともに光弾は私の周りに降り注ぐ。
「っ、リフレク」
効果はあるかわからないが、魔法を反射する魔法「リフレク」を放ってみる。しかし光の防御壁は展開されず、光弾は私の体をかすめ通っていく。
(魔法が使えない!?)
私はあわてて体を翻し次の弾を避けていく。何とか土まみれになりながらもかわすことができた。
(地上戦だと回避は苦しい、せめて私が飛ぶことができれば……)
そう考えてみたものの、そのためにはトランスを使わなければならなかった。しかし、魔法さえ打てない今、トランスは使えない。もう一発見てから状況を考えようと、私は彼女らのいた方向を見た。すると、ルナが空を飛んでいることに気付く。彼女は微笑みながら、
「たかが妖精3匹と思ってると、痛い目に合うよ」
と言った。そういえばと私は思う。他の二匹はどこに行ったのだろう?そう思って振り返ってみると、茂みの深くから光弾が私めがけて飛んできた。私はあわてて回避する。スペル宣言がなかったため回避は楽であった。
(正面にルナ、遠いけど後方に一人、ではもう一人はどこに?)
「今だ、陽光「サンシャインブラスト」!」
突如私の死角から飛んでくる光弾に躱しきれず被弾する。
「っ!くっ……」
痛みと弾の熱さで顔をゆがめてしまった。
「ふっふっふ、これが三月精のコンビネーションよ!」
どこからともなく現れたサニーが自信たっぷりに述べる。
「ほら、サニー。威張ってないでさっさと隠れなさい!」
ルナに窘められてサニーは別に大丈夫だもんと言いながら姿を消していく。
「消え…た……!?」
その私たちの戦いの様子を見ながら魔理沙は一人呟く。
「ルナが囮になり、スターがティナから見えない遠距離攻撃で注意をそぎ、サニーが不意を突いて攻撃か……ティナは早くこの作戦に気がつかないと苦しいな……」
魔理沙の思惑通り、私は相当苦戦を強いられた。策を見抜けなかったのもあるが、一番の要因としては、反撃する手段がなかったことである。
(短剣を使うにもリーチは届かない。魔法に至ってはきっと使えないだろう…)
それから5分、彼女らの攻撃で体もボロボロになった。私は最後の手段だと思い、ダメ元で呪文を口にした。
「うーん、世界を救う旅をしていたというから期待してみたんだが……こりゃ期待外れか?」
魔理沙を含め誰もが私の敗北であると悟った瞬間、突如私の体を包み込むような光が発生した。
「こ、これは……!?」
魔理沙が固唾を呑んで見守る。光が消え去ると同時に彼らは驚いた表情をした。私の体から傷が消えていたのである。回復魔法「ケアル」である。この魔法が使えたことにより、彼女に他に使える魔法の可能性が自然と思い浮かんだのだった。