幻獣娘が幻想入り   作:知恵の欠片

4 / 27
魔法が使えないと思っていた矢先にケアルが発動。逆転の機運。



反撃と覚醒

「な、なんでなんで!?傷がなくなるなんて!?」

 

サニーがあわてて私を指さしながらしゃべる。

 

姿を現しているあたりよっぽど動揺しているのであろう。

 

だがスターの姿は見えなかったが、ほかのメンバーも同じような表情をしていた。

 

私はあの時を思い出す。

 

ロックとエドガーと一緒に魔導アーマーと戦ったあのシーンを。

 

(二人とも戦闘中にも関わらず驚いてたっけ。)

 

今思えばふと笑いがこみあげてくる。

 

そしてもう一つ思い出す。

 

その時に使ったもう一つの魔法があることを。

 

私は目の前のまだ驚いたままのサニーにめがけてその魔法を放つ。

 

「ファイア!!」

 

私の手から放たれる炎弾が彼女を襲う。

 

「えっ、あっ、うわぁ!?」

 

そのまま彼女に直撃し、わめきながら他の妖精に助けを求める。

 

これで確信することができた。

 

(どうやら私が自我をもって旅を始めた時の魔法は使えるようだ…)

 

そう考えている間にルナがあわてて近くにやってきた。

 

何とかサニーの服の火を払おうとするかと思いきや、

 

「サニー、今助け…あっ」

 

ルナはサニーの服の燃えている部分に覆いかぶさるように豪快に転んだ。

 

「ばっ、ルナのバカ!もっと燃え広がってるじゃないの!」

 

サニーがあわててルナに罵声を浴びせる。

 

私はとりあえず二人に追撃をかけようともう一度ファイアを放とうとしたが、

 

「「ご、ごめんなさい、降参します!!」」

 

こうして私の幻想郷に来ての最初の戦いはあっけなく終わった。

 

 

 

 

「さて、戦いご苦労さん。いいもの見せてもらったぜ!」

 

魔理沙が上機嫌で私に話しかけてくる。

 

「参考になる魔法はあった?」

 

「ああ、回復魔法ってやつはすごいな!今度私にも教えてくれよ!」

 

その時スターが現れた。

 

「何とかあの二人の火は消せました。せっかくなのであとであの二人にも使ってあげてください」

 

二人が降参した後スターもあっさり投降したのだった。

 

理由は痛い目を見たくないからだそうだ。

 

「それにしても、最初世界を救ったヒロインが雑魚レベルの妖精も倒せないくらいかと思って焦ったぜ」

 

「魔理沙さん、せめてオブラートに包んでくださいよ……」

 

「ああ、悪い悪い。でもほんとのことなんだぜ」

 

かつては究極の魔法「アルテマ」も使えるくらいだったが、私の初期魔法しか使えず苦戦した。

 

だが戦闘が終わった後妙な昂揚感が私を満たしていた。

 

「それにしても何か嬉しそうだな、ティナ」

 

そんな様子に気づき魔理沙が私に声をかける。

 

「ええ、何か強くなったような気分がして」

 

「ほほう、具体的にどんな感じだ?」

 

「ううんと、使える魔法が増えてるような気がするの」

 

「なんだ、ずいぶんとあいまいだな。」

 

魔理沙は若干疑いの目で私を見てくる。

 

私は何か新しい魔法を出そうと戦っていた相手の特徴を思い出す。

 

そういえばサニーは姿を消していたような気がする……

 

(姿を消す魔法……)

 

私はそれをイメージしながら呪文を唱える。

 

「バニシュ!!」

 

詠唱と同時に私の姿は一瞬にして消えた。

 

「おぉ、ティナが透明になった!」

 

「すごいわ、サニーみたい!」

 

二人ともびっくりしているようだ。

 

でもこれで分かったことがある。

 

戦った相手にちなんだ能力が魔法として私の力になるみたいであった。

 

「どうやら戦ったことで相手の技が私の魔法として出るみたい。今はサニーをイメージして使ってみたのだけれど、スターやルナはどんな技を使うことができるのかしら?」

 

私の問いにスターは、

 

「私は生き物の動きを捕捉することができるわ。そしてルナは周りの音を消すことができるわ」

 

なるほど、前者はともかくとして、後者の魔法はイメージできる気がした。

 

「じゃあスター、あなたにかけてみるわね」

 

「ええっ!?危ない魔法とか嫌ですよ!?」

 

「大丈夫、痛くない魔法だから、「サイレス」!」

 

スターの制止を無視して魔法を放つ。

 

「なんだぁ、効果はあったのかー?」

 

魔理沙が気の抜けたような声を出す。

 

「ええ、試しにスター、何か話してみて」

 

「――――――――、――――――――!?」

 

スターは一生懸命口を動かしてみるが、全く声が出なかった。

 

「これは沈黙魔法「サイレス」。かけた相手は魔法を唱えることができなくなるの」

 

「なるほど、これスペルカード宣言もできなくなるから恐ろしい魔法だなぁ」

 

笑う私たちを尻目にスターはいいから早く治してと言わんばかり口を動かす。

 

その後何とか服の火を鎮火させた二人が合流する。

 

「あの、魔理沙さん、ティナさんってもう帰られましたか?」

 

「いや、まだここにいるぜ」

 

魔理沙は私のほうを指し示すが、二人はきょとんとしている。

 

私も彼女らの表情にどうすればいいかわからず唖然としていた。

 

「なぁ、ティナ。まさかとは言わんが、姿を消したままなのを忘れてないか?」

 

「あっ……」

 

すっかりバニシュで透明になっていることを忘れていたため、自分にケアルをかけ(魔法攻撃を受けるとバニシュは解除されるので)ようやく姿を現した。

 

「あぁ、よかった。これでさっきの回復魔法で治してもらえるよ!」

 

「サニーは日差し浴びてれば回復するからいいじゃない、私が先よ!」

 

「まぁまぁ、ちゃんと二人を回復させることができるから大丈夫よ」

 

こうして二人の火傷の傷も消え、何とか一件落着したのだった。

 

 

 

 

 

ん……何か忘れているような……?

 

 

 

 

 

その後、スターが私に筆談で訴えてきた。

 

(私はいつになれば話せるのですか?)

 

あっ……

 

えーと…

 

………………

 

「一晩寝れば治るんじゃないかな、うん」

 

「――――――――!?」

 

うん、めでたしでしめよう、というかしめさせてください。

 

 

 

(その20分後くらいには回復しました。)




哀れスター。

ティナの魔法は初期状態に戻っていますが、幻想郷の住人と戦闘などすることによって少しずつ覚醒していくようになっています。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。