三月精と戦いが終わった後、魔理沙やサニーたちと食事をし、そして床に着く。
とても激しい一日が過ぎ去ったのだ。
いきなり知らない土地に来て、知らない人と戦った。
疲労はだいぶたまってたが、私はすぐ眠りに落ちず、もう一つの魔法を試していた。
「ここには湖…そして近い場所に紅い館…」
おそらくスターの能力からなのか、あたり一帯の土地を眺める魔法「サイトロ」が使えるようになっていた。
自分のいた世界にはなかった魔法ではあるが、自分は寝転がったまんまでもあたりを散策した気分になれて便利だ。
だがその直後私の見たことのない建物を見ることになった。
「この赤い門のようなもの、そして石畳が建物まで続いているこの建物は何だろう?」
興味本位で行ってみたくなる。
こういう風に新しい場所に来て楽しんでいる反面、違う自分もいた。
どうやったら元の世界へ帰れるのだろうか。
普通に考えたらとても不安でたまらないはずだ。
一緒に旅をした仲間。
破滅する世界の中、新しい命を授かった夫婦。
そして私を慕ってくれていた子どもたち。
私は彼らと一緒にいてとても楽しかった。
今私がいなくなっていてどうなっているだろうか。
私のように寂しがっているのだろうか。
おそらくその答えは真だ。
今までの旅の中でも別れはたくさんあった。
みんなはっきりとは言わなかったけれども、誰もが心に何かしら抱えていた。
でも、私の知っている彼らは強い人間なのだ。
もし大切な人がいなくなったとしても誰かがその役割を果たすのだ。
それを考えると私がいなくなった後みんなはどうしているだろうか。
きっと寂しいと思っている一方で、みんな私がいなくともうまくやっていくのだ。
そう考えると、
辛くて、
辛くて、
流れる涙をどうしようにもなかったのだった。
気が付くと朝を迎えていた。
枕はぐっしょり濡れたままだ。
寝床を借りているのに申し訳ないなと思いつつ私は体を起こし、何事もなかったかのように部屋を移動する。
「おはよう、ぐっすり眠れたかい?」
まるで太陽のようなきれいな金髪の魔理沙がにっと笑って声をかけてくれた。
「ええ、おかげさまでね」
「それはなによりだぜ。今日の朝食はとっておきのだぜ!」
もうすでにテーブルの上には食事準備ができていた。
ライスにフライドエッグ、味噌のスープ、それから野菜のピクルスのようなものであった。
(魔理沙に言わせればごはん、目玉焼き、味噌汁、それから漬物という日本食の定番なんだぜ、らしい。)
カイエンのところのドマの食事と結構似ていた。
そのため安心感を得られたのだった。
そしてお腹も満ちたことで私は一つの質問を魔理沙にぶつけ。
「あの…、大きな赤い門があって石畳のある建物ってなんていうの?」
「ああ、それはきっと神社だぜ。でもお前の世界になさそうなもん、どうやって知ったんだ?」
「ええ、昨日新しい魔法でこのあたりのことを見ていたら偶然知ったのよ」
「なるほど、そんな便利な魔法もあったもんなんだな」
もっとも私の魔法はそんな地味じゃなくて豪快なやつだけどな、と付け加えにっと笑う。
「そういえば魔理沙はどういう魔法を使うの?」
私の問いかけに魔理沙は上機嫌になりながら、
「私のとっておきの魔法はとっておきの時にしか使わないんだぜ!」
私の魔法は見せたのにという返しも無視して魔理沙は話を続ける。
「とりあえずだ、今日はその神社に行ってみようぜ。っていうのもな、そこには異変の専門家がいるんだよ」
「異変?専門家?」
「ああ、本来ティナは違う世界にいたはずなのに、なぜかこの世界にいる。そしてこの世界に来たってことは当然元の世界に帰る手段もあるってことさ」
元の世界に……帰る…?
その言葉が私の頭の中で強く鳴り響いた。
昨日寝るまでの間走馬灯のように脳内に映し出された光景が頭の中を蘇る。
何より、元の世界に帰れる。
その言葉を他の人が言ってくれたため少しは現実味を帯びたため希望が持てたのかもしれない。
「――――――――、っていうことでだな、おーい、聞いているかー?」
「っ!?あ、あぁ、ごめんなさい、とりあえずさっそく行きましょう!」
「ったく都合のいいところしか聞いてないな。まぁいいや、片付けしたら行こうぜ!」
こうして私は自分の世界へ戻るべく、可能性を求めて神社へと向かうのであった。
ただ、その方法は決して楽ではないということをのちに知ることになったのだった。
サイトロはFF4の魔法です。FF6以外の魔法も出す予定であります。