幻獣娘が幻想入り   作:知恵の欠片

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博麗神社に向かう途中、彼女らは予想もしない相手と遭遇する。

そこからまた運命の歯車は回っていく……


慈愛の心

時は数分前に遡る。

 

「チルノちゃーん、待ってー!」

 

「待てと言われて誰が待つかー!」

 

魔法の森にて妖精2匹が鬼ごっこをしていた。

 

彼女らの名前はチルノと大妖精。

 

この二人は仲が良く、いつも無邪気に遊んでいる。

 

普段住んでいる場所は霧の湖であるが、ひとたび遊び始めると魔法の森の奥深くまで来ることがあるのだ。

 

太陽がいつも同じところから昇り、同じ所へと沈む。

 

それと同じように彼女らも遊ぶ。

 

ただ、今日ばかりはそうではないことを後に知るのであった。

 

 

 

時同じくして、

 

「それにしてもここの森って相当深いわよね……、迷わないの?」

 

「もちろん、私は通いなれているからな」

 

魔理沙の家から博麗神社へと向かう私たち。

 

魔理沙の箒に乗せてもらえば割とあっさり着くのだが、あえて一歩一歩自分の歩みで散策することにした。

 

「そういえば魔理沙はなんでこんな森の奥に住んでいるの?」

 

「私か?なんでだと思う?」

 

この辺りは魔法の森という名前だけあって魔法の練習にもってこいだからかと思いそれを口にする。

 

「まぁなかなかいい線行ってるんじゃないか?」

 

「なかなかってことは他にも何かあるの?」

 

「それはな…」

 

魔理沙は口ごもった後、強調してこう言った。

 

「内・緒・だ・ZE☆」

 

なんか一瞬イラッとするような口調のような気がしたが、魔理沙は私の感情を特に気にすることもなく、

 

「Secret makes a woman woman.(秘密が女性を女性らしくする。)なんだぜ」

 

と付け加えた。

 

私よりも年下のくせにと思いつつも、確かに魔理沙のややミステリアスな部分というのはある意味魅力の一種なのかもしれない。

 

私には持ちえない力なのかもと思いつつも、彼女のその点には感心してしまった。

 

その瞬間であった。

 

「うわぁ!?」

 

「きゃっ!」

 

私の死角から突如ぶつかってきたものがあった。

 

何も身構えてなかったので5,6mは吹っ飛ばされたのだが、ちょうど森の茂みがクッションとなったためかすり傷だけで済んだ。

 

「おい、ティナ!大丈夫か!?」

 

魔理沙があわてて私を起こす。

 

「え…えぇ……。それより当たってきた方は…?」

 

私たちが当たってきたそれを確認すると、青い服を着た少女が地面に突っ伏していた。

 

地面との衝撃で体は生々しい傷が無数にでき、頭を打ったのか完全に意識は飛んでいるようだった。

 

「あぁ、チルノか」

 

「チルノ?」

 

「あぁ、こいつの名前な。きっと遊びまわって――」

 

「チルノちゃん!」

 

魔理沙の会話は突如現れた緑髪の妖精によって遮られる。

 

「チルノちゃん、しっかり!」

 

彼女はチルノを揺り動かそうとする。

 

その光景を見て私はかつての出来事を思い出した。

 

 

 

 

世界が崩壊してからのことであった。

 

私はモブリズという村にたどり着いた。

 

そこにはケフカによる裁きの光によって親を失った孤児がたくさんいた。

 

だから子どもたちの力だけで村を支えていかねばならなかった。

 

その様子を常に私は傍で見てきて、彼らを支えてきたのだ。

 

この時、この場合には……

 

その答えが今自然と口に出た。

 

「落ち着いて、揺らさないようにゆっくり寝かせて」

 

私はチルノの錯乱した友人に向かって声をかけた。

 

彼女もはっとして私の声に従う。

 

「そう、いい子ね。大丈夫、あなたの友人はきっと元気になるわ」

 

そして魔理沙に向かって、

 

「魔理沙、水源は近くにあるかしら?」

 

「ああ、知ってるが」

 

「このハンカチを濡らしてきてもらえないかしら」

 

魔理沙は箒に乗り、ハンカチを濡らしに全速力で水源へと向かっていった。

 

私はまだ落ち着いていないように見える少女に話しかける。

 

「私はティナ。あなたの名前は?」

 

「わ、私は大妖精です……」

 

「そう、大妖精ね、あなたたちは何をしていたのかしら?」

 

「私たちは鬼ごっこをしていたのですが…、チルノちゃんがわき見して飛行したからこんなことに……」

 

私はふっと微笑んで、

 

「そっか、遊んでるときは楽しいからつい注意する気持ちもなくなっちゃうよね。でもチルノちゃんも危ないし、近くにいる人も危ないこともあるから、今度からわき見をしないで飛べるって約束できるかな?」

 

諭すように私は声をかけると、

 

「うん、チルノちゃんにそうするようしっかり言います!」

 

彼女は涙目になりながらも約束してくれた。

 

その様子を見て私はいたずらっぽくこう加えた。

 

「じゃぁ、約束してくれたご褒美にお姉さんが、チルノちゃんが早く治るようおまじないをかけてあげる!」

 

私はそっとチルノにケアルを放つ。

 

もちろん、気を失っている人にケアルをかけても大したことは起きない。

 

だが外傷が消えて見えることは大妖精の不安を払拭するには最良の手段であった。

 

私は彼女に優しく微笑みながら、

 

「ね、お姉さんのおまじない、すごいでしょ?」

 

彼女の驚きと感動に混じった顔を見て、かつての子どもたちの表情を思い出す。

 

そして思う。

 

モブリズの彼らに、また必ず会いたい、と。

 




ティナの優しいところを存分にかけてればと思います。

ちょっと説教臭い部分もありますが、大人が子を諭す部分を想像してもらえればと思います。

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