でも出番はあまりないです…
時刻は夕暮れ時であった。
だが私たちは依然として博麗神社に着くことなく、迷いの森の中にいた。
それはなぜか。
「いやー、ティナって子ども好きだったとは知らなかったなぁ」
「私は前の世界では「ティナママ」って呼ばれてたのよ」
私は鼻高々に言った。
「まぁ褒めてないがな」
魔理沙は半分呆れたように突っ返す。
「まぁ、いいじゃない。それに私が新しい魔法使えるようになったんだから。それはあなたにとっても利益にはなるわよね?」
「ま、そうだな。まだまだ派手さは私に劣るがな」
新しい魔法を使えるようになったのは数分前のことだが、それまでの過程について振り返ってみよう。
(約7時間前)
ハンカチを濡らしに行った魔理沙が戻った。
その後チルノについて、驚くべきことがわかった。
まず彼女の体をあお向けに起こそうとしたときに気付く。
「っ!?だいぶ冷たい体だけど大丈夫!?」
私の同様に大妖精も驚いたようだが、すぐ落ち着いて私に教えてくれた。
「あ…チルノちゃんは氷の妖精なので冷たいのは当たり前なんですよ」
「あ、そうなんだ、ならいいわ」
そして魔理沙からハンカチを受け取り、額を撫でるともっと驚く。
額を拭くたびにタオルが固く凍っていくのがわかったのだった。
あまり意味のないことなのかもしれなかったので、しばらく様子を見守りながらさらに数十分待った。
「う……ん……」
どうやらようやく意識が戻ってきたようだ。
「チルノちゃん!よかった……」
大妖精が安堵の声を漏らす。
「あ…れ……?アタイは…どこ?ここは…誰?」
「チルノちゃん、それは逆よ!」
なるほど、どうやらこのチルノという子はよっぽど頭を強く打ったのだろうか。
もしかすると頭がちょっぴり残念な子なのではないかと思ってしまった。
だが、この状態でそんなボケ(素で言ってるだけかもだが)をしている余裕があるならもう会話できるまで回復してると思い、私は彼女と話をした。
簡単な自己紹介。
気を失っていた間のお話。
そして自分のした行動がどれほど危険で、どれだけ友人を心配させたか。
彼女は力なく、大妖精に向かって「ごめん」とつぶやいた。
魔理沙や大妖精曰く、チルノが素直に謝るところを見たことがないそうだ。
ある意味子どもを見る目というやつがかつての経験から、子どもを説得する技術が養われたのかもしれない。
だが私は子どもに対して説得する以外の切り札を持っていた。それは……
「もう反省もいっぱいしたよね?じゃあ、もう怒られたことは忘れて、思いっきりお姉さんたちとあそぼ?」
この時魔理沙が「まさか私も入ってるのか!?冗談だろ!?」とか言ってたが何も聞こえなかったことにして遊んだ結果、6時間ほどずーっと外にいたというわけである。
「いくら妖精ハンターといえども、子守りは疲れるんだぜ……」
まぁ魔理沙の感想に私も多少は、と思う。
当初の予定としては、遊ぶと称して魔理沙とチルノの弾幕勝負を見させてもらおうと思ったのだが、
「以前花見の席で遊んでやったけど、妖精相手じゃつまらんからパスな」
とそっけなく頓挫してしまったわけである。
私がやってもよかったのだが、魔理沙にさせるのはともかく、さっきまで介抱していた相手と戦うのもと思うと何となく気が引けたので、鬼ごっこにかくれんぼに、子どもが好きそうな遊びをとにかくし尽した。
「もし魔理沙がモブリズに来たら倒れちゃうかもね。仕事量はこの倍よ」
「いくら自称何でも屋でもそれはできない相談だぜ。」
魔理沙は両手を上にあげるポーズをとった。
また話をもとに戻そう。
戦いこそしなかったが、私はチルノのスペルカードを見せてもらうことに成功した。
どの技も強力な氷技であり、以前勝負した三妖精よりも回避しずらそうな弾幕を次々と繰り出していた。
大妖精はスペルカードはもっていなかったが、自然の力を多少なりとは扱えていた。
どうやらその対象者と関係を深めることでも関連した魔法を修得できるようである。
彼女らの能力から得られた魔法は、
氷を発生させるブリザド、その発展形であるブリザラ、そして風を操るエアロ。
そしてまだ試していないのだが、全く分からないフォーグという魔法も修得した。
試し打ちもしてみたが、特に何も起きないので、誰かを対象にしないと効果はなさそうである。
「魔理沙、試しにかかってみる?」
「遠慮しとくぜ」
以前スターに魔法をかけた部分を覚えていたのか、あっさり断られてしまった。
(うーん、どうしようか……?)
A. 自分にかけない(数行下をご覧ください)
B. 自分にかける (ギャグありのオチになります。苦手な方はご遠慮ください。Aの物語より下にあります)
Aを選択した場合
(さすがに知らない魔法を自分にかけるのもちょっと恐ろしいよね。)
とにかく使える魔法も増えたことだし、私は魔理沙とともに博麗神社へと再び向かい始めた。
「ま、とにかく急ごうぜ」
太陽はまさに今、沈みかけていた……
(END)
Bを選択した場合
そっけなく返されたので、やむなく自分にかけてみる。
…………
……………………
…………………………………………
…………………………………………あれ、私は何をしたんだっけ……?
そもそも何かしただろうか……?
何も……思い出せない……
そのまま私は考えることを放棄したのだった……
(魔理沙視点)
あ、ありのままについて話すぜ。
さっきまでティナが語り部をしてくれていたんだが、急にティナが何も話さなくなったんだ。
…頭がどうにかなりそうだった…催眠術だとかイカサマだとかそんなチャチなもんじゃ断じてねぇ…もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ……
…えー、ゴホン、ネタはともかく、
ティナはそもそも何も考えているような表情をしていない。
軽く肩を叩いたり、名前を読んだりすれば多少の頷きはあるから何とか生きているってことだけはわかるのだが……
とにかく整理してみよう。
原因はきっと新しく覚醒した魔法にあるはずである。
ティナの魔法は戦ったり仲良くなった相手がきっかけとなって使えるようになるんだったな。
さっきの魔法はゆえに、チルノ、大妖精に関連する魔法である。
チルノ…氷…おバカ…
ん……おバカ……?
…………
あっ……(察し)
これを読んでいる皆、分かっていただけただろうか?
どうやらティナは⑨になってしまったようである。
さてはて……、困ったものだ。
これでは主人公が廃人のまま物語が終わってしまうぜ。
おっと、こんなところになぜか「とんかち」があるぞ?
そう、な・ぜ・か・偶然にである。
そういえば昔の機械だったかは叩けば直ると河童が言ってたような気がするな……。
私はティナの方を一瞥し、己の右手に持った禍々しい凶器(?)を高々と振り上げ……
(ゴッ!!)
すごく鈍い音を立ててティナが崩れ落ちる。
あくまで治療である。
そう、治療なんだ。
なのに何だろう。
冷汗が止まらねえ……
いや、使い方は間違ってないはず……
私は恐る恐るティナに声をかける。
ティナ…?
ティナ……?
……………………
…………………………………………
うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……………………
(その後無事回復して、何事もなかったように博麗神社に向かうのはまた別のお話である。)
(END)
Bを読んでしまった方へ
ネタバレ含みますのでしばらく下へとお進みください。
真面目な文を書くつもりがネタを含むギャグになってしまって大変申し訳ありませんでした…
というのも、
フォーグ(忘却魔法)を治療するアイテムが「とんかち」なのです。
…殴って治せってことですよね?
そんなテレビじゃあるまいし、ましてや昭和時代にしか通用しないと思ってました。(FF2時代)
しかし、時は平成を迎え、FF13でまたフォーグが復活しました。
そこでの回復アイテムも…まさかの「とんかち」……
きっと、この文を読んでくださった方は良い方揃いだと思われますので、物忘れをしてしまった方にはくれぐれも物理的な治療はしないでください。お願いします。駄文失礼しました。