幻獣娘が幻想入り   作:知恵の欠片

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永遠亭に向かう予定のティナ。だがその前に久々に懐が潤った霊夢が買い物に行きたいと言いだし、彼女たちは人里へ向かった。


寺子屋の先生

博麗神社に泊まった翌日のことである。

 

霊夢が先に買い物をしておきたいということから、私たちは魔法の森を経由して、人里に来ていた。

 

「悪いわね、すぐに永遠亭に行きたいだろうに」

 

「いえいえ、方向性でもこっちの方に来ればいいということがわかりましたので大丈夫ですよ」

 

魔理沙は人里に行くことが決定された瞬間、ほかの場所に用事があると言ってどこかに行ってしまった。

 

ゆえに霊夢と二人でおでかけとなった。

 

食事の材料、お菓子の食べ歩き、ウィンドーショッピングなどして英気を養った。

 

特に、お菓子では、緑茶こそ苦かったが、和菓子と呼ばれるこの羊羹などはとてもおいしかった。

 

ドマにも似たような商品があったような気がしたので、もし無事世界に戻ることができたらカイエンに詳しく聞いてみることにしよう。

 

そんなことを考えながら歩いていると、一際賑やかな民家があった。

 

子どもが中にたくさんいるようである。

 

「霊夢、ここはなんていう場所?」

 

「ここ?寺子屋だけど?」

 

中を眺めてみると、一人の女性が複数の子どもを相手に知恵を授けているようであった。

 

「そういえば、ティナは子どもの扱いが得意なんだってね。もし興味があるなら寄ってみるといいわ。私は先に帰るけど」

 

「あ、ごめんなさい。じゃあしばらくここにいるわ。後で戻るわね」

 

そういえばと思い出すが、私は子守りをしたり一緒に遊んだりしたことはあるけど、このように何かを、特に勉学を教え込むことはしたことがなかった。

 

できたら何か教えてもらいたいなと思いつつ、寺子屋の前で待った。

 

30分後、子どもが騒ぎながら出てくる。

 

どうやら授業が終わったようだ。

 

さっきの女性も出てきた。

 

「また明日な!」

 

「はーい、先生、さようならー!」

 

子どもを見送ると、女性は私に微笑みかけてきた。

 

「そこのお方、私に何か用か?」

 

「はい、いろいろお話をお聞きしたくて」

 

そうすると女性は苦笑いを浮かべながら、

 

「さすがにあんなに授業中に見てくるのだから、興味がないわけないよな」

 

「あっ、ご、ごめんなさい」

 

「いや、いいんだ。興味を持ってくれたのなら歓迎するよ。私は上白沢慧音。ここで先生をやっているんだ」

 

「私はティナ・ブランフォードと言います。外の世界からやってきました」

 

「ふむ…外の世界か。それは私も興味があるな…。ぜひお聞きしたい」

 

私は慧音に招かれて寺子屋の一室に入る。

 

畳の香りがとても心地よい。

 

「で、ティナは何を私に聞きたいんだい?」

 

「どうやって子どもたちに教えてるんですか?」

 

私がその質問をすると、一瞬驚いたような顔をしたが、そのあと笑いながら言った。

 

「私が勉強したことを少し形を変えて教えているだけさ。特に変わったことをしているわけじゃないしな」

 

だけど、私には思うところがあった。

 

「私、小さいときに何も教わることもなく、機械のように育てられてしまったので……。だからちゃんとした教えてくれる人がいるっていう環境を見たらいいなぁって思ったんです」

 

「そうか…、前の世界では大変な目に遭っていたのだろうな…」

 

私が多くを語らずとも慧音はあえてそれ以上聞かず、同情してくれた。

 

「まぁそんなところなんですけど、慧音さんは私に何を聞きたいんですか?」

 

「私か…、お前の世界には幻想郷にないものはあるのかと」

 

「私の世界は魔法の力がありました」

 

「ほう、魔法か」

 

「はい、それで幻想郷に来た私は、魔法の力を取り戻すためいろいろな場所に赴いているのです」

 

「その魔法とはどんなものだ?」

 

慧音の問いかけに私は人差し指を突き出し、小さな火を灯した。

 

ファイアの応用技である。

 

慧音はその火を見て、

 

「ほう、あいつみたいだな」

 

と漏らした。

 

「あいつ?火を出せるお知り合いがいるんですか?」

 

「まぁな、あいつはもっとお前みたいに穏やかな口調ではないがな」

 

「なるほど、いずれお会いしてみたいです。もしかするとそれで力がまた戻るかもしれないので」

 

「なるほど、力を持つものとかかわればそれが力になるということだな」

 

「そういうことです。なのでどうやったら会えますか?」

 

「この人里の先の竹林…永遠亭の方向だ」

 

永遠亭と聞いて私は今日そこへ行くことを思い出した。

 

「あっ、私これからそこに行かなきゃだったんです。連れを待たせているのでここで失礼します!」

 

「ああ、また遊びに来てくれ。歓迎するぞ」

 

私は慧音に深々とお辞儀をし、寺子屋を後にする。

 

 

 

(5分後)

 

寺子屋のもとへ一人の女性がやってきた。

 

髪は長く雪のように白い。

 

美しく見えるのだがどこともなく苦労の影が見えていた。

 

その女性は慧音と目が合うと、それまで固かった表情を緩めた。

 

「やぁ、お邪魔するよ」

 

「なんだ、妹紅か。よく来たな」

 

藤原妹紅――死ぬことも老いることもない蓬莱人――は上がってきてそのままどっこいしょと腰を下ろした。

 

会話といい、行動といい、よっぽど慧音と親密なようである。

 

「今日は久々に私のほうに軍配が上がったよ。永琳も今日の限りは輝夜の負けでいいって話をしてたくらいだからな」

 

「なんだ、今日も殺し合いか。死なないやつの発想は相変わらずよくわからんな」

 

「まぁ、お互いただの退屈しのぎくらいにしか思っていないだろうがな」

 

妹紅と輝夜は因縁の仲であるが、二人とも共通して死ぬことがない。

 

彼女らにとってみれば殺し合いという物騒なこともただのお互いの暇つぶしでしかないのだ。

 

そんな物騒なことは置いといて、と慧音は先ほどのことを思い出す。

 

「実はさっきお前に会いたいっていう人がいてだな」

 

「なんだ?輝夜の新しい追手か?」

 

「いやいや、そんな物騒なやつではないが、でもいずれお前に会って、魔法の力を取り戻したいってさ。それは戦ってかもしれないし、そうでないかもしれないがな」

 

「力が欲しい……か、」

 

妹紅はその言葉を口に出し、自分の手のひらを見つめた。

 

「たとえ私に勝って力を手に入れようが、負けて手に入れられなかろうが、きっとその子にとって私の弾幕はトラウマになるだろうさ……」

 

ちょうど外の天気は太陽に雲が差し掛かってきた。まるで、ティナのこれからを暗示するかのように……。

 




妹紅との戦闘フラグが立ちました。

とは言ったものの、現段階の魔法はファイア、ケアル、ブリザド、ブリザラ、エアロ、フォーグ、バニシュ、サイレス、サイトロと、全然魔法はそろってませんので、EX級相手はもう少し先のお話になりそうです。

なお、感想のコメントの返信でもちらっと話しましたが、バニシュ+デス(状態異常魔法等)のコンボは極力使わないようにしたいと思いますが…読者様からも何か要望があればいくらかは解禁したいと思います。よろしくお願いします。
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