やはり東方の青春ラブコメはまちがっている。 作:セブンアップ
時は経ち、火曜日。
俺達は学校の鞄とボストンバッグ、あるいはキャリーケースを持って学校に集合していた。今日から2泊3日の勉強合宿が始まる。目的地は神奈川県。シャトルバスでの移動である。
「中間テストが終わったっていうのに、勉強合宿なんて面倒よね…」
「そう言うなって!授業が終わったら自由時間なんだし、思いっきり楽しもうぜ!」
俺にとっては心臓に悪い勉強合宿の始まりだ。風呂はまだしも、女子3人と同じ部屋で寝泊まりするのだ。これで何も思わない方がおかしい。
「そろそろバスに乗り込んでください。この間決めた席順ですよ」
稗田先生の呼びかけに、俺達は応じてバスに乗り込んでいく。俺の隣は、何故かワクワクしている霧雨魔理沙。
「隣よろしくな、八幡!」
「…おう」
霧雨と二人きり……実際には二人きりではないが、二人で話すのはおそらく初めてかもしれない。いつもマーガトロイドや博麗がいるから、あまり二人で話したことがなかった。
ちなみに、通路を挟んだ隣の席がマーガトロイドと博麗である。
「それじゃあ発進しますよ。きちんとシートベルトを着用してくださいね」
そうして、シャトルバスが学校から出発していく。2時間かからない程度の旅が始まる。
スマホを取り出し、操作していると隣でゴソゴソと何かしている。
「何してんだ?」
「ん?お菓子だよお菓子。八幡も食うか?ついこの間、ポテチの新しい味が出たんだぜ!その名もきのこ味!」
ポテチのきのこ味って美味いのだろうか。まぁ世の中には、コーンポタージュ味やナポリタン味のアイスがあるから、どこかしらに需要はあるんだろうけど。
「いや、いいわ」
「そっか。まぁ欲しくなったら言えよ!」
しかし朝からポテチとはよくやるよ。とはいえ、霧雨って見た感じすっげぇ綺麗なんだよな。顔の肌とか結構綺麗。
「八幡、なんか面白い話してくれ!」
「お前無茶振りにもほどがあるだろそれ」
「だって折角隣になったのに何も話しないのは面白くないだろ?」
誰かに話すネタなんて持ち合わせていないっつの。あっても黒歴史ぐらいしかねぇしな。
「あ、じゃああれしようぜ!"愛してるゲーム"!」
「…ふぁ!?」
「「ぶっ!」」
霧雨の提案に、隣の二人が吹き出してしまう。俺なんて、変な声が出ちゃったんだけど。
「ふ、ふふふ……!い、いいじゃない、やりなさいよっ…!ふふふ…」
博麗バカ受けしてる。バカ受けしてるとこ悪いんだけど、俺多分今ので寿命が縮まったよ。
「霧雨、しりとりしよう。俺とお前でそのゲームはまずいものがある」
「しりとりより、こっちの方が絶対面白いって!」
「つべこべ言わずにやりなさい八幡」
「ちょっと隣の人黙って?」
どうするどうするどうしたらこの状況を回避出来る?考えろ俺。
「な、なぁ霧雨。そういうのって、カップル限定でやるもんだろ?」
「え、そうなのか?アリスとかとやったことあるけどな、私」
「そうね。もう二度とゴメンよ」
それを聞かされてやりたいとは思わないんだけど。
「いいじゃねーか!な?単純にゲームなんだし!」
「諦めなさい八幡。そして早くしなさい」
「ちょいちょい横からゲーム勧めてくるのなんなの?」
もはや逃げ切れる自信がない。本当、この学校に来たのが間違いじゃないかって思うわ。飲み会でもこういうノリがあるんだよな。くそくらえだこんなノリ。
「…はぁ。後から気持ち悪いとか言うなよ。死にたくなるから」
「言わねーよ!じゃあまず、ジャンケンで決めようぜ!」
先攻か後攻のジャンケンを行い、結果霧雨が先攻だそうだ。
「じゃあいくぜ…」
「お、おう…」
「八幡っ!愛してるぜ!」
霧雨は屈託のない笑顔で、俺に向かってそう行った。
落ち着け落ち着け落ち着けこれはゲームこれはゲーム勘違いするな比企谷八幡。
「…そうか」
なんとか耐え抜いた。封獣のスキンシップが女子への耐性が付いたのか、耐え抜くことが出来た。
「チッ、これぐらいじゃ動じないか……。じゃ次、八幡だな!」
最初の方だし、別にどストレートでいいだろ。
「霧雨、愛してるぜ」
「…危ねー。でも八幡、ちょっと棒読みだったな」
バレテーラ。とっととこんなクソゲー、早く終わらせたいんだけどな。
「どんどんいくぜ!」
すると、霧雨は俺の手を握ってくる。そして、少し頬を赤く染めながら上目遣いで。
「八幡……愛してる。ひねくれてるけど、それも含めて大好きだぜ」
「っ…!」
待て待て摩天楼。こいつあざと過ぎる。俺を照れさせるための策なんだろうが、それでも意識してしまう。
「…っぶね」
「今の怪しかったんじゃないの?」
「なわけないだろ。全然セーフだ」
お前がそう来るのなら、遠慮はしない。
最初から負けても良かったのだが、こいつに揶揄われるのはなんか癪に触る。
「霧雨、ずっと前から好きだった。雑だしバカだし、時々破天荒なこと言い出すけど」
「ち、ちょっと待て!それバカにしてるだろ!」
「まぁ聞け。…そんなところがあるが、俺はそれを含めて愛してる」
「え…?」
「お前はとても元気で明るく、そして努力家だ。誰に対しても明るく接してくれる。ひたむきに努力している。…短所もさっき挙げたけど、俺はそれでもお前のことが好きなんだ。その……お前がいるから、なんだか楽しく思うんだ」
「あ、あ……」
「だから……好きだ、霧雨」
俺は最後まで言い切った。途中から何言ってるか全く分からなくなってたけど。
さて、霧雨の反応は。
「…そんなこと言われたら、ずるいだろ…」
「え」
霧雨は顔を真っ赤にしていた。
「魔理沙顔真っ赤じゃない」
「ていうか、八幡もよくそんなこと言えるわね」
…そうだよなぁ!!反応見て改めて思ったけど、俺クソサムいこと言ってたよなぁ!!あぁ死にたい!!今すぐ帰りたい!!帰って布団の中でジタバタしたいよぉ!!
「…死にたい」
「八幡も時間差で真っ赤になってるわ」
「これじゃあ引き分けじゃない」
無駄に恥ずかしくなっただけかよ。もうやだ帰りたい。
「…私の負けだよ。八幡って、スケコマシなのか?」
「…だとしたら今頃ハーレムを築いているだろうな」
「どっちにしろ、そういうのはあんま他に言うなよな」
「お前が最初で最後だ。言わねぇよ」
こんな恥ずいことを、そんな周りに何回も言えるかっての。恥ずか死という未知の病名で死んでしまうからな。
「…そ、そっか」
「今のが一番あざといわね」
俺のどこにあざとい要素があるんだよ。大体俺のあざとい要素なんて需要ないだろ。
もう寝よう。寝て今のことを全部忘れたい。
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「八幡!起きろよ八幡!」
「…ん…?」
目を覚ますと、周りが何やら騒がしい。見てみると、後ろから順にバスから降りている。
「…着いたのか?」
「えぇ。どうせならそのまま永眠してくれて良かったけどね」
窓を見ると、明らかに山の中らしき光景が広がっている。そして反対側には、大きな旅館が見える。ここが、俺達が泊まる場所。
「でけぇ……」
「さぁ、早く降りてください」
俺達も急いでバスから降りる。降りた俺達は旅館の前で、稗田先生からの説明を受ける。
「今日からこの3日、この施設をお借りします。くれぐれも、施設の方々のご迷惑にならないようにしてください」
稗田先生がそう言うと、次は社会科の上白沢先生が次いで説明する。
「各担任から、部屋の鍵を渡す。番号が書いてあるから、その番号が書かれた部屋に向かって欲しい。基本的には他の部屋の移動も許可はしているが、あまり粗相の無いように。では、荷物を置いたら筆記用具と教材を持ってまたここに集まってくれ。解散」
上白沢先生の説明が終え、俺達は稗田先生から部屋の鍵を渡される。その際、俺は稗田先生にこう小さく囁かれた。
「いくら同室に女性が3人いるからと言って、無理矢理手を出したら分かっていますね?」
「う、うっす…」
「分かれば良いんです。では、どうぞ」
ちょっと声色が怖くてびびった。まぁ稗田先生が言ってることは正しいんだけどな。
ただ、俺が手を出す前に博麗にやられる絵が想像出来てしまうのだが。
「何しているの?早く行きましょう」
「…そうだな」
俺達は部屋の鍵に書かれた番号の部屋へと向かった。旅館の中は、およそ勉強合宿で泊まっていいところなのかどうか分からないレベルの高級さである。
「着いたな」
俺は部屋の鍵を開ける。扉をゆっくり開くと、目の前に広がる光景は。
「うわでっけー!」
大きい和風の部屋に、外にある山や森がよく見える大きな窓。勉強合宿では絶対に勿体ないレベルの部屋。
「凄いわね…」
「小町に自慢してやろう」
俺は部屋の中の光景や、中から見える景色をスマホで撮っていく。
「そろそろ行きましょうか。また部屋は後でゆっくりしましょう」
俺達は今日必要な教材と筆記用具を鞄の中に入れて、一旦部屋から出て行った。集合場所まで向かう途中、彼女達と遭遇する。
「あ、皆さん!奇遇ですね!」
「出たわねブン屋」
「八幡さんっ!」
「こ、魂魄…」
射命丸と魂魄がセットで遭遇。魂魄の顔を見ると、あの日のことがフラッシュバックしてしまう。
「八幡、誰?こいつ」
「私、C組の魂魄妖夢と申します。八幡さんとは仲良くさせていただいてます」
魂魄は礼儀正しく挨拶する。
「私は博麗霊夢よ。こっちアリス。これ魔理沙」
「おい私をこれ扱いってどういうこった」
「うるさいわね」
とりあえず互いの自己紹介を済ませて、共に集合場所へと向かっていく。集合場所には、既に集まっている生徒が多くいた。
「F組は最初、私の授業ですね。全員揃っていますか?」
今から始まる授業は、我らが担任の稗田先生。つまり、国語の時間である。
国語の授業が終われば、時間的にとりあえず昼休みになる。その後は夕方までひたすら授業。勿論10分休憩を挟むが、終わるのは18時とかその辺りになるだろう。勉強合宿だけあって、結構濃厚なスケジュールだと言える。
「どうやら揃ったようです。では、行きましょうか」
勉強合宿、スタート。
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はい、授業終了。休み時間が挟まるとはいえ、なんだかいつもより倍疲れた気がする。
最後はいつも通り、稗田先生がホームルームで締める。
「1日目、お疲れ様でした。これからは自由時間ですが、節度を守って過ごしてください。夕食は、この旅館にあるブッフェ会場で様々な料理を振る舞ってくれますので、19時半までには会場に集まれるようにしてください。それまではお風呂に浸かるなり、部屋でゆっくり過ごすなりしてください」
ホームルームが終わり、俺達は一度部屋に戻ることにした。
「ここの旅館、確か露天風呂とかあるんだろ!?楽しみだなぁ〜!」
「そうね。滅多に来ることないし、ゆっくり浸かるとしましょうか」
「だからって風呂場で馬鹿騒ぎしないでよ。バカ晒すどころか恥晒すのもゴメンよ」
本当この3人、仲良いね。
「部屋の鍵は八幡が持っててくれるかしら?私達、八幡に比べて長風呂になりそうだから」
「ん、分かった」
「それじゃあ、また後でね」
「覗いたりしたら祓うわよ」
「そんな勇気ねぇよ」
彼女達3人は先に部屋を出て行った。
俺も準備して、大浴場に行くとするかな。ここの旅館は八雲紫校長と親交があって、この三日間はほとんど貸し切り状態らしい。
故に、俺一人が贅沢に露天風呂を堪能出来る。これも小町に自慢してやろう。
部屋には浴衣があるので、それを着て過ごしてもいいらしい。まぁ浴衣の着方なんて分からんから、学校の体操服で過ごすんだけど。
「…行くか」
着替えの体操服を持って、俺は大浴場へと向かった。到着した俺は制服を脱いで、大浴場の中に入る。
すると中は、豪華な大浴場。奥には露天風呂に続く扉もあり、大きなガラスが横に何枚も隔てており、外の景色が見えるようになっていた。
「…すっげ」
俺は最初に湯を身体に浴びて、ゆっくりと浸かっていく。その瞬間、一気に身体の疲れが取れるような錯覚を起こす。
「ああぁぁぁ……」
一人で大浴場貸し切りってのは、めちゃくちゃ良いものだ。柄ではないが、泳ぎたくなる気分も否めない。
少し浸かると、一旦湯船から出ていく。次に目指したのは、この旅館の売りである露天風呂だ。扉を開けると、外の空気が温まった身体を冷やしていく。
「おぉ……」
感嘆の声を出す俺は、再びゆっくりと風呂に浸かる。外で風呂に浸かっているせいか、これもこれで疲れが取れていく気がしていく。
「やっぱすっげーな露天風呂!」
「そうね。骨身に沁みるわ」
霧雨やマーガトロイドの話し声が聞こえて来る。ということは、竹垣の向こうには女子達がいるということになる。なんだかちょっとイケない妄想が浮かんできそうで怖い。
「さっさと出よう…」
俺は湯船から上がり、大浴場の中へと戻って行った。髪と身体を洗い、すぐに大浴場からも出る。
「ふぅ…」
置いてあるバスタオルで全身をくまなく拭き始める。身体が拭き終えると、体操服に着替える。後は、まだ濡れている髪をドライヤーで乾かして終了。
しかしどう抗っても、アホ毛だけはぴょこんと立つ。今までこのアホ毛が倒れることはなく、いつまでも立つという謎の現象が起きている。比企谷家の最大の謎かも知れないな。
俺は先に部屋に戻り、スマホをいじりながら彼女達を待っていた。しばらくスマホをいじっていると、扉からノック音が聞こえる。
扉の鍵を開けると、廊下からいつもとは違う彼女達が立っていた。浴衣姿で、博麗と霧雨に至ってはいつも結んでいる部分を解いており、ただただ長い髪が下ろされているだけであった。
「何見てるのよ。祓うわよこの妖怪」
「…理不尽だろ」
彼女達は部屋の中に入り、早速寛ぎ始めた。
なんでだろう。風呂上がりの女子ってなんでちょっとエロいんだろう。しかも浴衣姿だから余計に色気が。
「いやぁ〜、いい湯だったなぁー!夜飯食べたらもう一回行こうぜ!」
「面倒だから却下。あんたどんだけ気に入ったのよ」
「魔理沙の言うことも、分からないわけではないわ。あんな豪華なところ、生きててそう何回も行くことが出来る場所じゃないわ」
一体一泊いくらするんだろうか。1万2万じゃあ済まないような設備の良さだし。
「そろそろ行く?」
「行こう行こう!私腹減った〜!」
俺達は部屋を出て、ブッフェ会場へと向かった。会場に到着すると、白い布地を被せたテーブル席が多数用意されている。その周りに、様々な料理が揃えられている。
「これまた広いなぁ〜」
「あそこ、空いているようだから座りましょう」
俺達は空いている席に座って、先生達の指示を待つ。
「ここ、いいですか?」
「またうるさいのが来たわね…」
「こんばんは、八幡さん」
俺達に声をかけたのは、射命丸と魂魄である。今日はよく縁があるなこいつらと。
「いいぜいいぜ!やっぱみんなで食べた方がいいだろ!」
「…だそうよ。座るならさっさと座れば」
「じゃあ遠慮なく!」
俺の隣に空いていた二つの席に、射命丸と魂魄が座る。しばらく彼女達と話していると、会場に先生達が入ってくる。マイクを持った上白沢先生が、周りに静かにするように促す。
「待たせたな。それでは、1日目の夜を楽しんで欲しい。時間は21時までだ。では各自、自由に料理を取りに行くといい」
こうして、俺達の1日目の夕食が始まった。
いい旅館に泊まれて、あんないい風呂に入れて、こんな夕食を味わうことが出来る勉強合宿は、きっとこの学校ぐらいだろう。この時だけは、この学校に入って良かったと心底思う。
「八幡さん?行かないんですか?」
「…あぁ。行くよ」
トレーの上に大皿を置き、その上に様々な料理を乗せていく。そして飲料は、オレンジジュース。コーヒーが無かったので、やむなくオレンジにした。
自分のテーブル席に戻ると、霧雨や博麗達が先に食べていた。
「飯食べたらさ、後でお前らも部屋に来いよ!」
「おっ、いいんですか?」
「あぁ!いいだろ?」
「そこのブン屋が何もしなければいいけどね」
「反対よ。妖夢はいいけど、そこのは鬱陶しいだけじゃない」
「まぁまぁ霊夢さーん。そんなこと言わずに〜」
「鬱陶しいわね」
なんか部屋に二人が来ることになった。
ちょっとこれ大丈夫?部屋に6人いてそのうち5人が女子って大丈夫?
「?どうしたんですか、八幡さん」
「なんでもねぇよ」
これから起こるだろう面倒ごとに、俺は頭を悩ましながら食事を行う。そんなことを彼女達は梅雨知らず、この食事を楽しんでいた。
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食事も終えて、俺達は部屋に戻った。ただし、射命丸と魂魄を連れて、だが。部屋に戻ったら、いつの間にか布団が敷かれていた。霧雨は部屋に入った途端、自分の布団にダイブする。
「いてっ」
「そりゃベッドじゃないんですから。ダイブしたら痛いに決まってますよ」
今夜と明日の夜、俺は彼女達と共に寝る。なんか言い方が凄いエロいけど、あながち間違いじゃない。
「そういえば、八幡さんもこの部屋なんですね」
「そうそう。何かやらしいことされないか心配よ」
「しねぇよアホ」
んなことしたら一発で檻の中だろうよ。
「…手出しちゃダメですからね」
「だから出さんって」
魂魄疑いすぎだろ。もうちょっと俺を信用して?これでもちゃんと常識あるから。
「今から何する?一応、トランプとかUNOとかあるぜ」
「遊ぶ気満々じゃない貴女」
「じゃあこれはどうですか?"愛してる…」
「よし霧雨、UNO出せ。やるぞ」
「そ、そうだな!やっぱ遊ぶっつったらカードゲームだよな!」
霧雨は慌てながらUNOを取り出す。博麗とマーガトロイドはクスクス笑い、射命丸と魂魄はなんのことだか分からずにいた。
「何かあったんですか?あの二人」
「いや、何も……ふふふ…」
またあんなゲームしたらアイデンティティクライシスを起こしかねない。それにこんなところで愛してるゲームしたら、間違いなく射命丸がネタにするに決まってる。
「ほらみんなもやろうぜ!なっ?」
「…仕方ないわね」
「私、UNOってやったことないんですが…」
「マジですか?」
就寝時間前まで、この部屋で彼女達と過ごした。UNO、トランプなどなど、彼女達は遊び、騒いだのだ。就寝時間前になると、魂魄と射命丸は自分の部屋に戻り、俺達は部屋の電気を消して、自分の布団に入った。
「…すっげー楽しかったな」
「私はとっとと寝たかったんだけどね」
「お前もなんだかんだ楽しんでただろ」
「永遠に寝たいならさっさと言いなさい」
就寝時間になっても、まだ起きている俺達。修学旅行じゃあ、俺以外のみんなが楽しく話してたなぁ。なんだか涙が。
「…私さ、このメンバーが好きだ。霊夢がいて、アリスがいて、ついでに八幡もいて」
「八幡ナチュラルについで扱いされたわね」
「無様ね」
みんな俺に対してもう少し優しく接してくれてもいい気がするんだけど。慈愛の心がないのかこいつら。
「…でも、そうね。個性的過ぎるメンバーだけれど、私はこの空間が一番落ち着くわ」
「一人だけ妖怪並みの個性的なやつがいるけどね」
すぐ俺を妖怪妖怪言うのやめない?
「でも霊夢ってさ、八幡と話してる時が一番楽しそうな表情してるよな。八幡の話になると、なんか妙にテンションが上がったり」
「喧嘩売ってんなら言い値で買ってやるわよ、魔理沙」
どうせあれだろ。俺をいじめるのが楽しいってやつだろ。博麗って結構ドSなところがあると思うんだよな。
「八幡はどうだ?私達と一緒にいてさ」
マーガトロイドの言う通り、このメンバーは個性的である。霧雨は猪突猛進のバカ娘だし、博麗は俺に対しておよそ人間のように扱わないし。マーガトロイドが一番まとも説。
…だが。こんなよく分からんメンバーも一緒にいれば。
「悪くない、と思う」
「…そっか」
人間同士の関係なんて、いつかは途切れる糸のようなものだ。一生繋ぎ止めることの出来る関係なんてありはしない。
だが、俺は。
もう少し、こんな関係が続いてもいいのではないかと、柄にもないことを思ってしまった。