やはり東方の青春ラブコメはまちがっている。 作:セブンアップ
画面を見ているそこの読者達に問う。
午前11時あたりに起きてリビングに降りたら、何故か異端な髪色をした女子中学生達がいたのだが。さて、これは普通のことだろうか?
答えは聞かずとも分かる。否である。
「お、お邪魔してます」
緑色の長めな髪をサイドテールにまとめ、黄色いリボンをつけている子がおずおずと挨拶をする。
「小町、これは食べてもいいのかー?」
と、バカみたいな話し方で冷蔵庫の中の食材を指差す、赤色のリボンを短めの黄色の髪に着けた女の子。何食べようとしてんだよ。
「この人が小町のお兄さん?」
癖のあるピンク色のボブの女の子は、小町にそう尋ねる。
「な、なんだか少し怖い人に見えるけど…」
と、先程のサイドテールの子とは違う濃さをした緑色のショートカットの女の子はそう言った。もう言われ慣れているから八幡気にしない。
「あたいったら最強ね!」
何の脈絡もなく、この薄い水色の髪をした女の子は何か言い始めた。
緑二人に黄色一人、ピンク一人、水色一人。いつから比企谷家のリビングはこんなカラフルになり始めたんだ。
「あ、お兄ちゃん。おはよー」
「おう。挨拶を忘れないのはいいことだが、お兄ちゃんそれより前にこの鮮やかな色に染まったリビングについて説明聞きたい」
「?見ての通り、小町の友達だよ?」
我が妹が気が狂っている件について。
なんでそんな普通なの?特徴的でしかねぇよ。よくまぁ友達になれたなぁお前。
「は、初めまして!私、
はいいきなり意味分からん名前出た。なんだ大妖精て。そんな本名ありなのかよ。何、お前リンクの体力回復してるのん?
とはいえ、律儀に挨拶してくるあたり、嘘はついていないようだ。世の中にはミドルネームが付く人間もいるわけだから、彼女のような名前も存在してもおかしくはない……のか?
「僕はリグル・ナイトバグと言います!えっと、好きな虫は蛍です!」
聞いてもいないのに好きな虫を言ってくれてありがとう。にしても今時珍しく、僕っ娘キャラなのね。
ただ気になったのはやっぱり名前かな。ナイトバグって日本語に訳せば蛍になるわけですが。蛍を擬人化したとかそんなオチじゃないよね。
「私はミスティア・ローレライ。この世に存在する焼き鳥を撲滅するために、八目鰻を主体に色んなツマミを出してる。もし機会があれば、小町と一緒に食べに来てよ」
「お、おう…」
焼き鳥嫌いなのだろうか、この子は。まぁ世の中には鶏肉を食べることが出来ないって人もいるし、嫌いな人がいても仕方ない。
けど焼き鳥への憎悪凄いな。そんでその撲滅のために対抗する品が八目鰻かよ。
「お腹減ったのだー」
「後でみんなで食べに行こ、ルーミアちゃん」
初登場から癖の強そうな黄色の髪の女の子は、ルーミアという人物らしい。腹ペコキャラは幽々子様で間に合ってるんだけど。
「あんた、名前は?」
「え?あ、比企谷八幡だ」
「あたいはチルノ!最強と言えばあたい、あたいと言えば最強!よく覚えておきなさい!」
「え、お、おう」
最後の子が一番ヤベェやつなんだが。お兄ちゃん、小町の交友関係の口出しするわけじゃないが、友人は選んだ方がいいのではないのだろうか。
特に最後の二人。本当に友達で大丈夫なんか?こいつらに影響されて小町が今以上にポンコツになったらどうしよう。
「…つーか、何してんの?それ」
「ババ抜きよ!」
「宿題も終わって暇でしたので…小町ちゃんの家でババ抜きやろうってチルノちゃんが」
頭おかしいのかチルノ。
WiiとかSwitchなら家にあるぞ。女子中学生が休みの日に人ん家に集まってやることがババ抜きってなんなんだよ。
「お兄さんもやるかー?」
「やらねぇよ」
なんで女子中学生に混じってババ抜きしなきゃならねぇんだ。
中々癖の強い交友関係っぽく見えるとはいえ、小町の友人であるなら文句は言わない。まぁこれが男友達なら、迷わずレーザーポインター浴びせることになるだろうがな。はっはっは。
「あ、そうだ。小町達昼頃になったらご飯食べに行くから、お兄ちゃんも適当に済ませといて」
「了解」
今日も昼飯は外食か。
まぁ一人で外食するのも悪くない。ここ最近ずっと誰かと飯食ってたし。
俺は洗面台に行って顔を洗い、歯を磨く。一通り済ませば、外出用の適当な私服に着替える。スマホ、財布などの最低限必要な物をポケットに入れて、我が家を出て行く。
とはいえ。
「昼飯にしてはまだ早いか…」
まだ12時にすらなっていない。早めに昼飯食べて帰っても、あの様子だとまだいるだろうし、どのみちどこかで時間を潰す必要がある。
こうなることが分かっていたら、もっと綿密な計画を立てていたんだが。
「あっ!八幡!」
「ん?」
後ろから大きな声で俺の名前が呼ばれる。聞き覚えのある声であり、後ろを振り返ってその人物を目視しようとすると。
「ぐぇっ」
自身の身体に勢いのある衝撃が伝わる。その上、胸あたりには何やら柔らかいものがむにゅむにゅと当たるのも分かる。
「ちょ、お前っ…」
「八幡っ、八幡っ」
勢いよく抱きついてきた人物は離れる素振りを見せず、逆にこれでもかと力を強める。その度に、彼女のメロンが押し付けられる。
「お空!八幡困ってるだろ、早く離れな!」
「やだ!」
お空、即ち霊烏路は俺から離れようとしない。
俺的には早く離れて欲しいです。さっきからむにゅむにゅ当たって気が気じゃないのよ。理性がゴリッゴリに削られる。
「れ、霊烏路、少し離れてくれ。マジで。色々危ねぇから。な?」
「ほら、八幡もこう言ってる。八幡に迷惑をかけたいのかい?」
「…それはやだ」
霊烏路は渋々、俺から離れた。とはいえ、霊烏路はあからさまに不機嫌になり、頬を膨らませている。
「悪いね、八幡」
「や、別に…」
別に霊烏路の柔らかいものが名残惜しいとかそんなこと思ってないんだからねっ!
「にしても奇遇だね。これからどこかに行くのかい?」
「そういうわけじゃねぇよ。時間潰しのために適当に外に出てきただけだ」
「ってことは、今暇かい?」
「まぁ、そうなるが…」
「なら、あたい達の家に来ないか?」
「火焔猫達の…家?」
「あぁ。以前言ったろ?お空のお礼がしたいから、いつか地霊殿に来てってさ」
そういえばなんか言ってた気がする。最近色々忙し過ぎて忘れていた。
ただ、時間潰しのために外に出たとはいえ、地霊殿とやらに赴くのもなんだか億劫ではある。
「八幡、地霊殿に来るのっ?」
「別にいい」と断ろうと考えたが、この霊烏路のキラキラした視線が痛い。断った時の霊烏路の表情が目に浮かぶ。
「…まぁ、いいけど」
「やったーっ!」
「決まりだね。じゃ早速、行くとしようか。今から帰るところだったからね」
この様子じゃ、すぐに帰れなさそうだ。
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「でけぇよ」
彼女達の家の、地霊殿とやらに俺は案内された。
敷地の広さや建物の豪華さで言えば、紅魔館や白玉楼とほぼ同じレベル。俺の周りの人って、なんでこうもでかい館でシェアハウスみたいなことしてるんだろうか。
「そういえば八幡、昼ご飯は食べたかい?」
「いや、まだだ。どっかで適当に食べるつもりだったからな」
「じゃあついでに食べていっておくれよ。今日はあたいが担当だし、腕には自信があるんだ」
「そうか。ならありがたく頂くわ」
なんだかんだで昼飯時になったし、腹が減っている。昼飯を出してくれるのはありがたい。
「じゃあ入ろうか」
火焔猫が先導し、地霊殿の中に入っていく。
「うっわぁ…。なんじゃこれ」
中に入ると、その煌びやかな内装に感嘆の声が上がる。
黒に赤色、または紫色の市松模様に彩られた床。ステンドグラスの天窓。紅一色の紅魔館とはまた違った内装である。
「とりあえず、さとり様と顔を合わせておこう。さとり様も、お礼がしたいって言っていたからね」
最初の目的は、さとり様とやらと顔合わせである。
今まで大きい館の主と出会ってきたが、運命を見ることが出来ると言う
二度あることは三度あると言う名台詞があるが、また癖のある人間だったりするのだろうか。
「着いたよ。ここがさとり様の部屋だ」
火焔猫が扉を2回軽く叩き、中にいるであろうさとり様を呼ぶ。
「さとり様、お客様を連れてきました」
「…どうぞ。入れてあげなさい」
さとり様の許可を得て、火焔猫は扉を開ける。開けた先に見えるのは、やや癖のある薄紫色のボブの少女が、机に向かって何かを行なっているところであった。
手を止めて、顔を上げた。半開きの瞳が、俺に視線を向ける。
「貴方が、比企谷八幡ですね?」
「…どうも」
「お燐、お空。貴女達は下がりなさい。彼と話があるから」
「はい。では、失礼します」
「八幡、また後でねー」
二人は退出し、俺とさとり様だけになった。
「ではまず、自己紹介といきましょう。私は
「ども。比企谷八幡です」
「存じています。勉強合宿で貴方がお空を助けてくれたこと、主として感謝を贈ります。…ありがとうございます」
さとり様、いや、古明地さんは頭を下げて感謝の言葉を送る。
確かに大事にならなくて良かったが、何も俺を招く必要がないのではないか。霊烏路からも感謝は受け取って、それで終わりだ。
「…いえ。お空のミスとはいえ、貴方がいなければ、お空は今こうして元気に過ごせていなかった。彼女の主としても、感謝を伝えたいんです」
「そうで……」
…いや、ちょっと待って。ナチュラルに流したけど、俺今何も喋ってないぞ。今回ばっかりは独り言なんてしていない。
今の古明地さんの言葉、どう考えても俺が思い浮かべた言葉の内容に返した内容だった。
「…貴方の疑問は正しいことです。何故、貴方の考えたことが分かるのか。それは…」
古明地さんが一息つき、そして。
「私が人の心が読めてしまうからです」
彼女はそう答えた。
「信じられないのも無理はありません。信じてくれとも言いません。何を言ってるんだって程度に聞き流して…」
「……別に疑うところないんですけど。驚きはしましたけど、辻褄が合いましたし」
「……はい?」
並の人間ならば、きっと彼女を小馬鹿にしていただろう。厨二病と揶揄っていたのだろう。
しかし、こういう異能を持つ人間を、俺は知っている。運命を見透かすレミリアお嬢様と出会わなければ、きっと信じ切ることが出来なかったかも知れない。
それに、俺の考えたことに対して返答してる時点で、そういうことが出来る人なのではないかと、もしかしたら程度に考えていた。
「…驚いた。私の力を、地霊殿の住人以外の人が信じるなんて…」
どうやら俺の思考を読み取り、何故驚かないのか、その理由を悟ったようだ。
「信じるっていうか、疑うところがないってだけで。今までの経験から鑑みただけです」
「そうですか……それにしても、私以外にも似たような人がいらっしゃるんですね」
まぁ初っ端からとんでもない人だったけどな。誘拐するし隷属させようとするし。挙げ句の果てには生粋のサディストだし。
「貴方は、その者に対して嫌悪感を抱かないのですか?」
「…いやまぁだいぶ特殊な人ではありますけど、別にそこまで嫌うほど何かあるわけじゃないし。第一、その人曰く、俺の運命が見えないとかどうとか言ってたんで」
それに運命を見られようが、別に気にしないし、あまり興味もない。人の行く末なんて、自分ですら分かり得ないのだから。
過去に俺はレミリアお嬢様にこう言った。偶然も運命も宿命も信じないと。今でもそれは変わらない。
「…変わっていますね、貴方。そんなよく分からない異能を持つ者を前にしたら、気味悪くするはずなのに」
「かも知れないですね。でも別にそれがあったからって、俺に何かあるわけじゃない。運命を見られようが心を読まれようが、俺に何もないならそれでいい。気味悪くする必要も、嫌う必要もないんですよ」
「私を…私の異能を、拒絶しないのですか…?心が読まれるんですよ?」
「確かに心を読まれるのは嫌かもしれない。でもそれが意図的じゃなく、偶然なら仕方ないでしょ。古明地さんに悪意がないなら、古明地さんを責める理由にはならない」
「あ……」
「流石に俺も人間なんで、心読まれて何もないってことはありません。でも、その異能をいつか許容出来るかも知れない。…多分、知らんけど」
許容出来るものであるなら問題ない。現に、火焔猫も霊烏路も古明地さんに対して嫌な顔何一つしていなかった。心を読まれているにも関わらず、だ。
人の心の大きさによるだろうけど、心を読める異能が生まれ持ったものであるなら、古明地さんを責める理由にならない。至極簡単な話だ。
「…本当、変わった人ですね。今まで出会ってきた中で、そんな風に言う人はいませんでしたよ」
「いや、別に…」
すると、扉の向こうからドタドタと走る音が聞こえてくる。その足音は近づき、そして勢いよく扉が開かれる。
「さとり様、八幡っ!もうそろそろお昼ご飯出来るよーっ!」
「…だそうです。私達も行きましょう」
「八幡っ、今日のお昼ご飯はオムライスだよ!」
「ほーん…」
古明地さんと霊烏路に連れて行かれた。テーブルクロスが掛けられたロングテーブルの上には、出来立て熱々のオムライスが乗せられている。
「…形は綺麗だな」
「だろ?どうだい、あたいの料理の腕は」
やっぱこういう立ち位置の人間は、得てして料理得意なところあるよな。十六夜然り、魂魄然り。
「むぅ、私も作ったんだよ?」
「そうなのか。因みに聞くけど、どの辺を?」
「ケチャップ」
「だろうな」
しかもそれを作ったと換算するのかよ。
普通、オムライスに掛けるケチャップって、大体満遍なく掛けたりするか、一部に溜めたりするかのどちらかだ。
なのにこいつと来たら、ケチャップの掛け方が返り血浴びたみたいになってんだけど。なんでこんな殺人現場の跡みたいになってんだよ。赤いから余計に怖ぇよ。
「…なんか、もう凄ぇな」
「でしょっ?えへへ」
…まぁでも本人が作ったって言ってるし作ったことにしよう、うん。ケチャップを掛けることはオムライスを作るということと同義である。
「さとり様。こいし様のは…」
「またどこかに行ってしまったのね…。仕方ないし、先に4人で食べておきましょう。いつ帰ってくるか分からないし」
「八幡の隣は私が座る!」
「どこでもいいだろ別に」
そんなわけで、こいし様とやらを抜きにした4人での昼食が始まった。
「いただきます」
スプーンでオムライスの玉子を裂き、中の味が付いた米と一緒に頂く。
「…美味ぇな」
「そう言ってくれると嬉しいな」
「ケチャップは?ケチャップも美味しいでしょ?」
「え?あ、うん。普通に美味い」
何故ケチャップを掛けただけで作りました感を出せるのか未だに分からん。
黙々とオムライスを食べていると。
「あ、ケチャップ付いてる」
「どこにっ……」
俺は霊烏路にそう指摘を受けたので、どこに付いてるのかと尋ねようとした。その瞬間、口周りに生暖かい感触が。
「お、お空…」
「貴女、今、何を……?」
俺はその事実を受け入れ切れずにいた。
霊烏路は、俺の口周りに付いていたケチャップを取ったのだ。指であったりティッシュであったりするなら、俺もここまで硬直しなかった。
今こいつ、自分の舌で…。
「?ケチャップ取っただけだよ?」
「ち、ちがっ…。お、お前、今、舌でっ…!」
「うん。だってケチャップ付いてたもん」
「…そうじゃないの。貴女、今彼にキス同然のことをしたのよ」
「キス?私チューなんてしてないですよ?八幡の口周りを舐めただけですよ?」
「そのことを言ってるのよ…」
犬にペロペロされるのとは訳が違う。
霊烏路の表情が何も変わっていないが、まさかこいつ、羞恥心というものがないのか。だから平然と今のようなことが出来るのか。
「八幡、大丈夫かい?」
俺は息を大きく吸って、吐く。そうすることで、とりあえず落ち着きを取り戻す。
「…だ、大丈夫だ…」
とはいえ、未だ心臓がバクバクしてる。キスではないが、女子に舌でペロってされる日が来るとは思わなかった。
「…でも、なんだろ」
「へ?」
「八幡に付いてたケチャップ取った時、なんだか気持ち良かった」
「ぶっ!」
ダメだ。こいつ核兵器でも装備してんのか。さっきから核兵器並みの破壊力を持った行動と言動してるんだけど。
「八幡、もう一回舐めていい?」
「ば、ばっかお前、そ、そんなこといいわけ、ないだろ!」
「えぇー!」
「えぇー!」じゃねぇボケが。んなことされたらさっきの胸当てより理性が削られるっつの。思春期男子を殺すつもりかお前は。
「お空。あまり客人に迷惑をかけるのはやめなさい」
「…はーい」
古明地さんの一言で、霊烏路の暴走は止まった。依然、俺の精神状態は不安定である。この数分で霊烏路にどれだけ心が掻き乱されたか。
小町だけじゃない。俺の周りにも、異端な人間関係があったと、改めて感じさせられた。
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「八幡っ、何して遊ぶ?」
食後、俺は霊烏路の部屋に連れ込まれてしまった。古明地さんは受験勉強と言って部屋に戻り、火焔猫は食器を洗っている。残って暇を持て余した霊烏路は俺を引っ張り、部屋に連れ込んだということだ。
「何って、別になんでも……」
「じゃああれやろ!王様ゲーム!」
「二人じゃ出来ねぇだろうが。つかやりたくねぇよ」
「じゃあツイスターゲーム!」
「男女で絶対やっちゃダメなやつだろ」
「んー……じゃあ野球拳?」
「もっと危ねぇよ。下手すりゃ18禁だろ」
なんでさっきからピンポイントで危なっかしいゲームを言ってくるんだよ。
「Switchとか、そういうのにしようか。そのゲームは俺達には早すぎる」
「じゃあスマブラやろう!スマブラ!」
やっとまともな案が出てきたよ。スマブラって単語だけでこんなに安堵する日が来るとは思わなかった。
そこから1時間半程度、スマブラで遊んでいた。
「楽しかったねー!」
「…まぁ、暇は潰せたな」
つーか霊烏路のやつ、サムスとロックマン使った瞬間異様に強くなるのなんなの?他のキャラクターじゃレベル3みたいに弱かったってのに。
「なんだか眠たくなってきちゃった…」
「自由だなお前…」
霊烏路は大きく欠伸をしてそう呟く。そして徐に、彼女は俺の膝に頭を乗せて身体を横に倒した。
「…な、何をしてるの?お前」
「八幡」
「な、なんだ」
「好き。だーいすき。えへへっ」
霊烏路はそう微笑んで、眠りについた。
「…本っ当、なんなのこいつ…!」
核兵器搭載の鳥頭。見た目は大人、頭脳は子どもに当てはまるやつだと言うのに。こいつの行動と言動に一々動揺してしまう。
勘違いするなって言う方が無理だろ、こんなん。
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時刻は夕方の5時半。夕食も食べていかないかという誘いを受けたが、最近家で食べることがなかったので、断った。
「…じゃ、お邪魔しました」
「またいらして下さい。歓迎はしますので」
「明日学校でね、八幡」
「八幡、ばいばい!」
こうして俺は、地霊殿を後にした。
適当に時間を潰すどころか、ガッツリと時間を潰した。さっさと帰って風呂でも入ろうと思いながら、俺は来た道を辿って歩く。
その時。
「お兄さん」
「うぉっ!」
目の前から突然、ひょこっと少女が現れた。薄く緑がかった癖のある灰色のセミロングに緑の瞳。鴉羽色の帽子に、薄い黄色のリボンをつけている少女。
俺がボーっとしてたわけではなく、突然現れた。しかも、気配を感じなかった。
こちらをニコニコしながら見つめる少女。なんだこいつ。
「お兄さん、地霊殿に遊びに来てたの?」
「あ、あぁ……。ていうか、何お前」
「私?私は
そういや、火焔猫がこいし様って言っていたが、こいしってこいつのことだったのか。雰囲気的には、姉とは真逆みたいだが。
「お兄さんの名前は?」
「比企谷八幡だ」
「比企谷八幡……じゃあ八幡だね」
「もう好きに呼べ」
八幡呼びももう慣れた。逆に今となっては、比企谷と呼ばれることに少し違和感がある。
「じゃあね八幡。また地霊殿においでよ。今度は一緒に遊ぼうね」
「…また気が向いたらな」
彼女は終始笑みを浮かべながら、そう言い残して地霊殿へと帰って行った。
「…帰るか」
夜は小町もいるって言ってたし、久しぶりに小町の手料理を食べることが出来る。
そんな夕食を少し楽しみにしながら、俺は我が家へ帰って行った。