やはり東方の青春ラブコメはまちがっている。   作:セブンアップ

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やがて、新生徒会が動き始める。

 

 四季先輩と風見先輩が生徒会を引退した事で、生徒会長と書記の席が空いた。外部の生徒が生徒会長を立候補をしない限り、俺達4人の誰かが生徒会長の座に着く事になる。

 

『四季様が生徒会長でなくなった以上、新しい生徒会長を立候補する人材を探すしかない。あたいは絶対向いてないし。なんなら生徒会長になったら尚の事サボるからね』

 

 これほど生徒会長に向いていない人材も中々居ないのだが、俺も概ね小野塚先輩と同じ意見である。俺が生徒会長になった日には、ものの数分でこの学園が荒れるだろう。

 

『あたいはあたいで、生徒会長と書記をやってくれそうな人間を当たってみる。あんた達も、もし生徒会に興味を持ちそうな知り合いが居たら、呼びかけて欲しい』

 

 当面の目的は、生徒会の新たな人材確保。庶務とは違い、生徒会長と書記は必要不可欠な役職だ。今度の演説までに、探し出さなければならない。

 

 で、生徒会に興味を持ちそうな俺の知り合いに声を掛けろって話なのだが。

 

「とりあえずお前は論外だな」

 

「祓って欲しいなら遠慮なく祓うけど?」

 

「いやお前、生徒会長とか向いてる向いてない以前にやらんだろ。こういうの」

 

「当たり前でしょ。なんで好き好んでそんな意味不明な仕事しなきゃならないのよ」

 

 ほらな。博麗なら確実にそう言うと思った。こんな巫女(笑)が生徒会長なんざやるわけがない。

 それに生徒会長は誰でもなれるわけじゃない。気概も大切だが、四季先輩のようにこの学校を背負う覚悟と責任、そして生徒会長に見合う能力の持ち主じゃないとダメなのだ。

 

「私が生徒会長になってもいいぜ?」

 

「あんたが生徒会長?正気?」

 

 そういう意味では霧雨もアウト。やる気はあると思うけど、能力的に考えて多分向いてない。まぁ至らない部分は俺達がなんとかすれば良い話なのだが。一応、候補に入れておこう。

 

「私も生徒会長をやりたい理由は無いわね。家庭科部の方もあるし」

 

 マーガトロイドも博麗同様、誘いを断る。

 断られるのは分かり切っていた事。生徒会長なんぞやりたい奴なんてそう居ないからな。俺だってやりたくねぇし。

 

 俺の知り合いでやってくれそうな人間が後残っているとしたら……。

 

「あいつしか居ないか」

 

 真面目で責任感のあり、そんでもって生徒会長をやってくれそうな人間。俺の周りで居るとしたら、あいつだけ。懸念が無い事も無いが。

 

 そして、放課後。

 

「…そんなわけで、お前を生徒会長に推薦したい。やってくれたら助かる。魂魄」

 

「わ、私が生徒会長…ですか?」

 

 俺が声を掛けたのは、魂魄である。彼女は部員が自分1人になっても続ける真面目な人間であり、周りが居なくなった事に対して自身を責めるほどの責任感があった。故に、生徒会長としての器として申し分ない。

 

「幽々子様の事もあるだろうし、部活と両立するのは難しいだろう。だから断ってくれても構わない」

 

「断ったら…どうするんですか?」

 

「他の人間を探すしかない。あるいは今の副会長が自動的に繰り上がるだけだ」

 

 今の生徒会で生徒会長になれる人間はそういない。小野塚先輩が1番の不安要素だし。

 

「勧誘しておいて断って構わないとかわけ分からんだろうが、考えて…」

 

「やります。やらせてください」

 

 俺の言葉を遮って、魂魄は誘いを受ける返答をした。

 

「いや、別にすぐ決めろなんて言わないから。勧誘されたなー程度で考えてくれたら良いから」

 

「嫌です。もう私は決めましたから」

 

 魂魄の意思は頑なだった。部活もあって幽々子様の事もある。その2つを懸念しており、断られても仕方ないと思っていた。なのに魂魄は考える素振りすら見せず決めた。

 

「…理由を聞いても良いか」

 

「前々から生徒会には興味はあったんです。ただ部活と幽々子様の事もありますから、正直迷ってはいたんです。…けど」

 

「うん?」

 

「八幡さんから頼られたんです。断る事など出来ません」

 

 そうはにかむ魂魄。こちらとしては受けてくれたら大助かりだが、自分の事を置いておく真似をさせているようで罪悪感が湧いてしまう。

 

「待て待て。そんな大袈裟に受け取らんで良い。部活に幽々子様に、その上生徒会なんてキツいだろ。勧誘しておいてなんだが」

 

「かも知れません。でも、私はやると決めました。そこはもう曲げません」

 

「魂魄……」

 

「何故そこまで、という面持ちですね」

 

 生徒会に興味があったとしても、そこまで頑なになる必要が無い。むしろ今よりもっと自分の負担が増えるなら、尚の事考えなければならない筈だ。

 

「私は貴方に救われました。その恩を返したい」

 

「…救ってないだろ、別に」

 

「救われましたよ、貴方の言葉に。八幡さんの言葉は今でも私の胸にありますから。貴方が掛けてくれた言葉が、私の支えになっているんです。その恩を返したいんです」

 

 彼女が言っているのは、おそらく27人もの部員が一気に幽霊部員になった件の事だろう。俺はあの時、ただ気休め程度でしか言葉を掛けていない。だから救うとか、そこまで重く捉えなくていい。

 

「幽々子様と八幡さんの為ならば、私はどのような事もしてみせます。それが私の使命です」

 

 真面目もここまで来ると、狂ってるのかと思ってしまう。気休め程度に掛けた言葉が、このような形で返ってくるとは思わなんだ。

 これは慕うとかそんなものじゃない。依存ではないが、明らかに慕う域を超えている。信仰とか崇拝とか、おそらくその類に近い。

 

「…死んでも文句言うなよ」

 

「覚悟の上です」

 

「…分かった。けど生徒会長になるには、票数を集めなきゃならん。その為に、自分がどんな人間か、どんな学校を目指しているのか、自分の目指す生徒会長の像を全校生徒に知らしめる必要がある」

 

「分かりました」

 

 生徒会選挙が始まるまで、当分はビラ配りなどの地道な作業を行っていくしかない。

 

「お前が生徒会長になれるよう、俺もそれなりに手伝う。どうせ生徒会選挙絡みで色々しなきゃならないからな」

 

「い、いえ!八幡さんは八幡さんの仕事に専念していただいて…」

 

「良いんだよ別に。今時無償で働いてくれる奴なんて居ないぞ。使えるもんは使っとけ」

 

 俺が彼女が生徒会長の器に近いと踏んで誘ったのだ。であるなら、俺がその責任は取らなければならない。魂魄が生徒会長になれるように尽力する事。それが俺が取らねばならない責任である。

 

「本当、優しいですね。八幡さんは」

 

「…そういうのはやめてくれ。俺がすべき事をしてるだけだ」

 

 人に優しくするのは、俺の為。誰かの為に誰かに優しくするなんて真似はしない。他が為に優しく出来るなんてのは、偽善で欺瞞でしかない。優しさの根底には、酷い下心があるのが人間の真理である。

 

「俺が優しいとかはどうでもいい。これから票数集めの為の作業をしなきゃならん。ビラを作るとかな。時間空いてるか?」

 

「部活は私1人ですので、最終下校時間まで空いてるに等しいですが…」

 

「部活を優先する理由が無いなら、しばらくはこっち優先で頼む。部活に出るなら出るで連絡して欲しい」

 

「分かりました。…とはいえ、どこで行いましょうか?」

 

「図書室とかで良いだろ」

 

 作業を行う為、俺達は図書室に。放課後に図書室に残ってる生徒はそこまで多くはなく、自由に席が取れた。

 

「とは言っても正直、ビラ配りの効果なんてあんまり高くない」

 

「というと?」

 

「街中でアンケート取ってる人たまに居るだろ?でも内容なんて見なくても自分に関わりないし、どうでも良いって思ってる。ビラ配りも一緒で、生徒達は次誰が生徒会長になるとかそこまで興味持ってないんだよ。だからビラをスルーする可能性が高い。単純接触効果は期待出来ない」

 

「なるほど……」

 

 これが女子より男子の割合が多い学校なら、魂魄目当てでビラを貰う生徒も居るだろう。だが残念な事に、9割が女子を占める学校で魂魄の存在は薄れてしまう。

 

「だからビラ配りはやらない。けど、ビラは作る」

 

「?どういう事ですか?」

 

「深く読み込まなくて良い。確実にビラに目を通して、魂魄妖夢が生徒会長をやるって事をみんなが分かるようにすりゃあ良い。ビラ配りなんかよりももっと手っ取り早くて、尚且つ簡単な方法がある。むしろ他所の学校じゃあり得る方法だ」

 

 俺と魂魄だけでビラ配りをしたって、それを受け取る人間なんてたかが知れている。むしろ俺の場合、怪しい宗教の誘いか何かと勘違いされて受け取ってくれないまである。俺マジ反逆のカリスマ過ぎてヤバい。

 

「とにかく、まずは内容だ。前々から生徒会長に興味があったって事は、何かしたい事があったって事だろ?」

 

 内申点狙いでは無いのは分かる。魂魄はそこまで打算的な人間じゃない。

 

「生徒会長になって、より良い学校にしていきたいのは勿論なんですけど。でも生徒会長はあくまでこの学校に良い影響を齎すだけだと私は思うんです。それはそれで良い事だと思うんですけど…」

 

「…他に何かあるのか?」

 

「学校に良い影響を与えるだけじゃない。この学校に在籍する生徒達の将来にも、良い影響を与えていきたい。…こんな願いは傲慢かも知れない。言ったからって出来るだなんて限らない。それでも私は、学校だけじゃなく、生徒に良い影響を与える生徒会長になりたいんです」

 

 彼女が吐いたその言葉。実現不可、世迷言だと言われても仕方のない内容かも知れない。それを自分で認めている。認めた上で、実現しようとしている。

 

「…お前凄ぇよ」

 

「まだ私は生徒会長になっていません。今のままでは絵空事でしかありませんから。実現する為には、まず生徒会長にならなければ」

 

「ここまで明確に自分のやりたい事があるんなら大丈夫だろ。演説内容に関しても、俺が横から口を挟む事も多分無いし。ビラに関しても、今言った事を省略した内容を記載すれば良い」

 

 やる事があるとすれば、後は応援演説をしてくれる人材だ。魂魄の事を知っている奴が望ましい。そういう人物がいるのなら、その人物に頼むとしよう。

 

「後は応援演説だ。魂魄の周りで、そういう事をしてくれそうな奴いるか?」

 

「え?私は八幡さんにお願いするつもりでしたけど…」

 

「…マ?」

 

 何それ聞いてない。俺が応援演説やるの?大丈夫?魂魄の評価一気に下がったりしない?

 

「最初から八幡さんにお願いするつもりでしたよ?…八幡さんは、嫌なんですか?」

 

「や、別に嫌とかじゃなくて。お前を良い感じに押し出してくれる人物なんているんじゃねぇのって思っただけだ」

 

 魂魄のクラスメイトがどんな奴か知らんけど、少なくとも他クラスかつ中々関わる事のない俺に頼むのは違うのではないか。

 

「私は…八幡さん。貴方が良いんです。貴方じゃなきゃ嫌なんです。貴方でなければ、ダメなんです」

 

 魂魄が訴えるその言葉と表情。まるでそれは、告白の言葉のようだった。ここまで言われて「嫌。無理」とは言えん。元を辿れば、俺が魂魄に生徒会長を勧めた。応援演説も、俺が取らねばならない責任のうちか。

 

「…分かった。応援演説と、ビラの方はやる。お前は生徒会選挙に向けて、演説内容を考えておいてくれ」

 

「はい!」

 

 動く理由を貰い、策も決まった。後は、実行するだけだ。

 

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 生徒会選挙当日。

 結局、魂魄以外生徒会長を狙う人物はいなかった。普通の生徒会選挙ならばどちらに票を入れるか、そして票数が多い方が生徒会長となる。

 だが今回、魂魄のみ生徒会長となった為、票の選択肢は生徒会長に"向いている"か"向いていない"かの2択。Yes or Noだ。

 

 もし向いてない方に票が多い場合、自動的に小野塚先輩が生徒会長に繰り上がる。

 

『頼むから良い感じの演説をしておくれよ〜。あたい生徒会長なんて嫌だからね』

 

 と、願っていた。確かに俺も生徒会長なんて真っ平ごめんだが。

 そして書記。風見先輩が抜けた穴を埋める後任が決まった。その人物はまた後ほど紹介しよう。

 

『それでは、応援演説の方よろしくお願いします』

 

 そろそろだ。

 ここで魂魄が生きるか死ぬか。魂魄の演説だけじゃない。俺の応援演説も掛かってる。拍手が送られる中、俺は舞台に上がり、そしてマイクに口元を寄せて、カンペを見ながら自己紹介を行う。

 

『魂魄妖夢の応援演説を担当する、現生徒会庶務の比企谷八幡です。よろしくお願いします』

 

 掴みなんてのは関係ない。俺が思う、魂魄妖夢をこの皆々様に語るだけだ。

 

『まずこの学校で、魂魄妖夢という存在を知らないものはいないでしょう。この間の、担任から配られた紙を見れば、少なくとも名前に見覚えはある筈です』

 

 ビラ配りを行うより手っ取り早く簡単なのは、教師にホームルーム中に紙を配らせる事。そうすれば各々が確実に魂魄妖夢という存在を認識する。「生徒会長を希望してるんだ」程度でも認識されるのと、全く知らないのでは話が変わってくるからな。

 

『彼女とはクラスも違うし、合同の授業で関わるわけでもない。親友でも無ければ恋人でも無い。なんでそんな人間を推薦するのか。それは、彼女の人一倍努力している姿が、人として尊敬に値する部分だと思ったから』

 

 演説はまだ始まったばかり。俺を知っている人間からすれば、この内容はお利口さんの様な模範的内容だと馬鹿に出来るだろう。小町がこんなん聞いたら、多分その場でリバースするまである。

 

『魂魄は剣道部です。しかし、今の剣道部は魂魄1人しかいない。何故なら、他の部員は魂魄が入って数週間で辞めた。理由は、魂魄が居るとつまらないから』

 

 魂魄と出会ったあの日。1人で竹刀の素振りをしていた彼女の姿は、明確に覚えている。

 

『強さ故に孤立していた彼女は、直向きに努力し続けていた。例え独りになったとしても、目の前の目標の為、大切な人の為に努力していた』

 

 自分から孤立するのと、他者から孤立を強いられるのでは、同じ孤独でも意味が違う。魂魄は明らかに後者である。

 

『彼女の努力は上っ面のものじゃない。馬鹿真面目に、ひたすら努力を重ねる事が出来る。独りになったとしても、毅然としたその姿で立ち続ける』

 

 魂魄の応援演説は終盤に差し掛かった。

 

『生徒会長に何故立候補するのかは、この後彼女が自身の口から言葉にするでしょう。ですが、彼女が口にした言葉は、世迷言では無いと錯覚してしまう。実現可能だと思ってしまう。そう思わせる努力を、彼女は積み重ねて来た。四季映姫前生徒会長に劣らない、生徒会長としての器。彼女が生徒会長になれば、きっと彼女は自身が掲げる望みの為に、この学校の生徒の為に、全力で努力する。努力の権化である魂魄妖夢だからこそ、生徒会長に相応しいと思った。故に、彼女を生徒会長に推薦したいです』

 

 「以上で応援演説を終了します」と締めの挨拶を終えて、俺はカンペを持って舞台から姿を消した。舞台裏で待機している魂魄に、俺は声を掛ける。

 

「…後はお前次第だ。頑張れ」

 

 余計な応援も、具体的なアドバイスも要らない。ただ一言、俺はそう声を掛けた。

 

『続きまして、魂魄妖夢さんによる立候補演説です』

 

 魂魄は俺の声掛けに対し何の反応示さず、壇上に立つ。

 

『1年C組の魂魄妖夢です』

 

 俺は壇上の彼女に目をやる。魂魄は椅子に着席している全校生徒に視線を向けて、言葉を並べていく。

 

『私が生徒会長に立候補した理由。それはこの学校を……いえ、この学校に在籍する皆様に対して、良い影響を齎したいと思ったからです』

 

 魂魄の理由に、少なからず動揺と喧騒が生まれる。

 

『先程の彼が申し上げた通り、私は独りで努力しました。手前味噌ではありますが、私は他の誰よりも努力した自信があります。…ですが努力の結果、人が離れてしまった。努力を積み重ねる事に、疑問を抱きました。自分の努力は、努力という行為は間違っているのではないか、と』

 

 魂魄が持ち出した、剣道部の27人が幽霊部員と化した相談。その時溢した、彼女の言葉。

 

『ですが、ある人にこう声を掛けて下さいました。努力は間違っていない。人それぞれ努力の形は違うけれど、努力が悪い事にはならない。いつかそれが自分のためになる、と』

 

 それ俺のセリフ。めちゃ恥ずかしいんだけど。ていうかよく覚えてたなその言葉。俺ですらちょっと忘れかけてたんだけど。顔があっついあっつい。

 

『その言葉に、私は心が救われました。自分の努力は誇れるものだと、自分の努力は間違ってなかったのだと思えたから。その方から認められた私の努力、それをこの学校に、ひいては皆々様に対して使っていきたい』

 

 演説の内容的に、そろそろ終わりが近くなって来たところだろう。

 

『これから私達は、様々な苦難にぶつかっていくでしょう。受験や就職など、きっと高い壁が聳え立つかも知れません。挫折も味わう事でしょう。努力なんてみっともないと思う方もいるかも知れません。ですが忘れないでください。努力は自分を裏切らない。どんな形であれ、自分の糧になる。努力の権化と言われた私が皆様の先頭に立つ事で、努力が人生において大事な一部だと知って欲しいんです』

 

 そして、締めの言葉。

 

『この学校を、この学校に在籍する生徒を。私の出来得る全力の努力で、支えていきたい。皆様の手本になれる生徒会長になりたいです。…私、魂魄妖夢に清き1票を、よろしくお願いいたしますっ!』

 

 最後をきちんと締め、頭を下げる。それに呼応する様に、生徒達は拍手を送る。

 

「…すっごいね。あんたらの演説。思わず聞き入っちゃったよ。あの子なら、四季様も後を任せられるんじゃないかい?」

 

「それはこれからです。あいつの言葉で票数の半分以上を取れるかどうか。取れたとして、生徒会長の仕事をこなせるか」

 

「でもあの子が困ったら、八幡はサポートするんでしょ?なんたって優しいからね、あんた」

 

「…時と場合によりますよ。そんなん」

 

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 東方学院生徒会室。四季映姫前生徒会長と風見先輩が引退し、空いた穴を埋めるべく、2名の生徒会役員が補充された。

 

「学園祭の時期が近づいて来たね〜。私達のクラスは何するんだろね?」

 

 広報、河城にとり。

 

「何をするにしろ、私は裏方に徹するわ。私が表に出たところで、良い影響を齎すとは思えないし」

 

 会計、鍵山雛。

 

「あたいはサボって学園祭を満喫するね。あ、折角だしあたいとデートしようじゃないか、八幡」

 

 副会長、小野塚小町。

 

「俺はそもそも学園祭自体サボるつもりなんで」

 

 庶務、比企谷八幡。

 そして。

 

「サボっちゃダメですよ、八幡さん。私達生徒会は、生徒の模範とならなければならないんですから」

 

 新生徒会長、魂魄妖夢。

 彼女の演説が響いたのか、彼女を推す生徒がこの学園の大半以上いたのだ。結果、生徒会長に抜擢。

 

『私が生徒会長になれたのも、全部八幡さんのお陰です。本当に、ありがとうございますっ!』

 

『お前の演説が効いたんだろ。内容に関しては俺考えてねぇし』

 

『いえ!…貴方が、いたから。貴方が、私の傍にいてくれたから。私を支えてくれたから、私の努力が実ったんです』

 

『…あっそう』

 

『今度は私が貴方を支えます!貴方がどんな苦難にぶつかろうとも、私も傍で支えます!』

 

 その時、彼女は最後に。

 

『ずっと、貴方の傍で』

 

 やべー女じゃないかって一瞬疑ったんだが。あれもう天然とかじゃないだろ。もろ告白みたいなセリフじゃねぇか。あれを素で言うんだろ。魅惑の女じゃん。うっかり惚れて告白するぞ。

 

「そういえば、書記は?まだ来てないけど…」

 

「来なくて良いですよ。むしろ今から脱退してくれた方が助かりますし」

 

 何故あいつが生徒会に立候補したのかは分からない。確かに書記係として優れた腕を持っているのかも知れない。だが能力云々以前に、俺はあいつと合わない。

 

「あやや。八幡さんにそこまで言われちゃうと、私悲しいですよ」

 

 生徒会室の扉が開き、最後の人物が入室して来た。

 

「そうか。なら泣いて帰ってくれ」

 

「すーぐそうやって私を突き放すんですから。ほーんと…」

 

 目にも止まらぬ速さで俺に接近し、耳元で囁く。

 

「生意気」

 

 風見先輩に代わる書記係。魂魄と同じ1年C組であり、学校新聞などを作成している人物。更に付け加えるなら、封獣と同等の苦手意識を持つ人物。

 

 書記、射命丸文。

 

「これで全員揃いましたね。それでは、今日の仕事ですが…」

 

 新生徒会、始動。

 

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