やはり東方の青春ラブコメはまちがっている。   作:セブンアップ

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ともあれ、ゴールデンウィークに休めない日が存在するのはおかしい。

 

 

 4月ももう下旬。明後日から、ゴールデンウィークになる。一週間と少しの間、ずっと家にいれる最高の期間だ。ずっとゴールデンウィークだったらいいのに、と何度考えたことだろうか。

 

 それはさておき、今日も今日とていつもの日常を送る私、比企谷八幡。女子高生に囲まれて、と聞こえはいいが、実際は肩身が狭い。そして、今の俺は本当に肩身が狭い。何故か。

 

「八幡に近づくな。お前達が近くに来るせいで、八幡が困ってるんだよ」

 

「毎日毎日八幡のところに来てるあんたが困らせてると思うんだけど?」

 

 封獣と博麗の言い争いがまた始まった。封獣が俺に懐いて以降、博麗と言い争いするのが定着してしまったのだ。封獣は毎日俺がいる教室に来て話しにくる。しかし、封獣は俺以外を敵視しているため、近くにいる博麗や霧雨らを突っぱねる行動をする。

 

「…あのね。喧嘩するのは結構だけど、ここ教室よ。するならせめて廊下とかでしなさいよ」

 

 マーガトロイドが二人を宥めるが、二人は聞く耳を持たない。と、ヒートアップしそうなここで、休み時間終了のチャイムが流れ始める。

 

「…チッ。…またねっ、八幡。今日もいっぱい、お話しようね」

 

 封獣はそう告げて、教室を出て行った。精神的に俺が一番疲れてしまう。なんせ、喧嘩の原因は俺なのだから。

 

「……なんか、色々悪いな。封獣のこととか」

 

「別にあんたが謝るのは違うでしょ。それより、嫌なことは嫌って言いなさいよ。あいつ、八幡の優しさに付け込んで我儘ばっかりしてるじゃない。今日だって、あんまり眠れてないんでしょ?夜遅くまで、封獣の我儘に付き合ってたんでしょ?」

 

 ここ最近、封獣が俺に電話を掛けてくる。それは別にいいことだ。だが、徐々に通話時間が延び始めて、結果的には夜中の3時まで電話することになってしまった。

 最初、俺も否定はした。寝ることが出来ない、と。だが彼女は、すぐ卑屈になり、自分がいらない子だと言い始める。しまいには、自殺宣言までする始末。

 

 もしかしたら嘘の可能性が高いだろう。だが万が一、本当に自殺したのなら、否定した俺に非がある。ならば、彼女の我儘に付き合ってしまえばいい。そうすれば、自殺することもヒステリックになることもない。

 

「本当、ここ最近顔色悪いわよ。大丈夫?」

 

「…別にお前が気にする必要はねぇよ。それより俺は寝る。眠ぃ」

 

 6時間目は化学だ。理系絶望の俺からすれば、この時間は寝るに限る。俺は初っ端から、顔を机に伏せて眠りについた。

 

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「…ん…」

 

 チャイムの音で目が覚め始める。目を擦りながら、身体を起こす。どうやら、化学の授業は終わったようだ。たった50分だけだが、少し気持ちよく眠れた気がする。それでも、まだ寝足りないのは事実。

 

「あんた、そんなに寝まくって中間試験大丈夫なの?ゴールデンウィーク明けたら、中間試験なんてすぐよ」

 

「理系は捨ててる。文系は付け焼き刃でどうにかなる」

 

「なんなのその自信は…」

 

 文系は得意だと自負している。中学の頃から、文系にはめっぽう強い反面、理系はお粗末な結果だ。

 

「…そういえばさ、魔理沙がこのゴールデンウィークの間にどこか遊びに行くぜーっとか言ってたわよ」

 

「あいつ元気だな。まぁ楽しんでこいよ」

 

「何言ってるの?あんたも誘われてんのよ?」

 

 と、博麗は当然のように言うが。

 

「え?いや、聞いてないんだけど」

 

「あんた休み時間、ずっと封獣と話してたからね。それに授業中じゃ、あんた寝てるし。で、どうなの?ゴールデンウィーク、なんか予定あるの?」

 

「バッカお前。俺にも予定ぐらいある。家で録画してるアニメを片っ端から観るという予定が」

 

「それ暇なんじゃない」

 

 そうとも言う。

 いや、つかゴールデンウィークに遊びに行くとか馬鹿なの?アホなの?死ぬの?

 折角休める期間が長いというのに、そんな中遊びに行くとかどうかしてるよ?

 

「じゃ、連絡先教えて。決まったら連絡するから」

 

「いや、だから予定が…」

 

「早く教えろ」

 

「ひゃいっ」

 

 俺は恐る恐るケータイを取り出して、博麗に渡す。時々思うのだが、こいつの前世殺し屋だったりしてない?今の目付き暗殺者のそれと一緒だったんだけど。

 

「…ん。登録したから。無視したらお祓い棒であんたの頭引っ叩いてやるから」

 

「俺の頭を霊か何かと同じ扱いにしないでくれる?」

 

「でもあんたの目はゾンビのそれじゃない」

 

「ゾンビをお祓い棒でなんとか出来ると思ってんのお前」

 

 お祓い棒ってそこまで万能な武器だったっけ。

 

「席に着いてください。ホームルーム始めますよ」

 

 担任の稗田先生が教室に入り、教壇の前に立つ。明日のことを端的に話して、ホームルームは終了した。鞄を持ち、生徒会室に向かおうとすると。

 

「八幡っ」

 

 瞳を輝かせた封獣が、俺の右腕を掴む。

 

「今日も帰ろうよ」

 

 毎日のように、封獣はホームルームが終わっては、こちらの教室にやってきて一緒に帰らそうとする。生徒会がない日は別に構わないのだが、わざわざ学校に戻ることを考えると完全な無駄足だ。だからって断れば、ヒスを起こす可能性がある。

 

 故に、断れないということだ。

 

「…そうだな。だが何度も言うが、命蓮寺の入り口までだ」

 

「うんっ、分かってる」

 

 いつものように、小野塚先輩に遅れるとの一言を送り、封獣と共に命蓮寺まで同行することにした。

 歩き始めて少しすると、封獣が話を振ってくる。

 

「八幡、今度のゴールデンウィーク…」

 

「家に引きこもる。家から一歩も出たくないんだよ」

 

 博麗の誘いは、仕方なしに乗ったのだ。あのまま断ったら、お祓い棒で地球からお祓いされそうだし。

 

「じゃあ一歩も出なくていいよ。八幡の家行くから」

 

「いや、俺ん家知らんだろ」

 

「知ってるよ?八幡の家」

 

 今聞き捨てならないセリフが聞こえたんだけど。なんで俺の家知ってんの?誰一人として家に案内した覚えないよ?

 

「私、八幡のことならなんでも知ってるから。知ってなきゃダメだから」

 

「…お前まさか、ストーキングとかしてたりしたのか?」

 

「さぁどうだろうね。とりあえず、ゴールデンウィークの間に八幡の家行くから」

 

 封獣ははぐらかした。もしストーキングされていたのなら、少なからず小町に危害が加わる可能性がある。それだけは、絶対に避けなければならない。

 

「どうやって家の場所を知ったのかは、この際置いとく。だが、絶対に俺の妹に手を出すなよ。手を出したら、俺はお前を許さない」

 

「出さないよ。そんなことしたら八幡に嫌われるし」

 

 思いの外、あっさりと承諾した。俺に嫌われることを嫌がることはしないということなのか。変なところで冷静というか、みみっちいところがあるな。

 

「…ならいいけどな」

 

 小町に手を出さなければなんだっていい。切り替えて、再び俺達は命蓮寺への帰路を辿った。

 

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「はぁ…」

 

 命蓮寺に到着すると、毎度のごとく命蓮寺の中に連れて行かれそうになる。そして毎度それを断ると、封獣はあからさまに不機嫌になる。その結果、強引に夜の長時間の電話を約束される。

 いつも以上に鬱になりかけたそんな時。

 

「離してって言っているでしょう?」

 

「ん?」

 

 俺が歩いている少し先に、銀髪のボブカットのもみあげ辺りから三つ編みで結んでおり、また髪の先には緑色のリボンを付けている女子が、年上の男二人に絡まれている。

 

「そんな冷たいこと言わないでさ。な?俺達と一緒に遊ぼうぜ?絶対楽しませてやれるからさ」

 

「つかこいつ、秋葉原からでも来たのかよ。千葉でメイド姿なんてそうそう見ないぞ」

 

「…しつこいわね」

 

 女子の方は全く動じていない。普通なら、怖くて怯えているだろうに。

 周りは見て見ぬ振りをして助けに行かない。自分が標的になると嫌だから、見て見ぬ振りをしているのだ。どうせ他人だし、放っておいたところで罪にはならない。

 

 そうだ。全然知らないメイド姿のやつなんて、別に放っておけば良いのだ。最初から何もなかった。そう思っていれば良いのだ。

 

 なのに。

 

「…あ、あの。すいません」

 

「あぁ?なんだお前」

 

 俺は二人がこちらを見た瞬間、ケータイの機能として搭載されているライトを付けて、二人に向けた。

 

「うわっ!?」

 

「な、なんだ!?」

 

 二人はライトの光を直視して、ほんの少しだが動けない。

 

「…走るぞッ」

 

 俺はそいつの手を引いて、その場から一目散にダッシュした。ただひたすらに、あの男達から遠ざかるように走っていった。男達の姿が完全に見えなくなったところで、一旦止まる。

 

「はぁ……はぁ……」

 

 肩で息をして、少し休憩をする。対して、彼女は息一つ乱していない。

 

「別に助ける必要はなかったわよ。あの程度の輩、すぐに片付けることが出来たし」

 

「余計なお世話でしたねごめんなさい」

 

 彼女は助けてなんて言わなかったし、俺は別に感謝されることを求めて動いたわけじゃない。よく分からん正義感で、身勝手に俺は動いてしまった。彼女にとっては、それが迷惑だったのだろう。

 やはり、慣れないことはするもんじゃないな。

 

「…まぁ、余計なことしてすまんかった。それじゃ」

 

 俺は疲れ切った身体で学校へと戻って行こうとした。

 

「待って」

 

 メイドさんが、俺の右手を掴む。まだ何か用があるのだろうか。

 

「貴方の名前を聞いていないわ」

 

 メイドさんから名前を尋ねられる。別に尋ねても、もう会うことはないだろうに。

 

「…比企谷だ。比企谷八幡」

 

「私は、十六夜咲夜(いざよいさくや)。さっきはありがとう。貴方、なかなか勇気があるのね」

 

「勇気っていうか、ほぼ無茶だったけどな」

 

「そうね。けれど、あの場で貴方だけが勇気を出した。見て見ぬ振りを決め込んでいた人達とは違って、貴方は動いた。それが勇気であれ無茶であれ、素晴らしいことだと思うわ」

 

「…そうかい」

 

 気持ち悪い正義感で動いたが、これはこれで良かったのかな。

 

「まぁ、助けがなくても私なら一人で完封出来たけれど」

 

「一言多いなお前」

 

 こいつ本当苦手かも。ちょっと優しい人だなって思った俺の純情返してくんないかな?

 

「…それじゃ、私は帰るからこれで。さようなら、八幡」

 

 そう言って、彼女は去って行った。つか、なんでメイド姿であんな大通りにいたのだろうか。仕事の間の休憩時間だったのだろうか。

 

「…俺も戻るか」

 

 会わない十六夜のことは考えず、俺は再び学校へと向かい歩き始めた。

 

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 学校に戻り、俺は生徒会室に向かった。生徒会室に入ると、いつもの面々が仕事に取り組んでいる。

 

「…また封獣ぬえですか?少しは断る姿勢くらい見せたらどうです」

 

「それが出来たらもう少し早く来てます」

 

 俺は鞄を置いて、自分に割り振られた仕事を取り組み始めた。

 

「そういえば、明後日からゴールデンウィークですよね。四季様は何して過ごすんですか?」

 

 不意に小野塚先輩が、ゴールデンウィークの話題を四季先輩に振った。

 

「勿論、勉学に励みます。もう受験生ですしね」

 

「別にゴールデンウィークくらい、休んでも何もないと思うんですけど…」

 

「その油断が受験の際に差が生まれるのです。小町、それに河城にとりや鍵山雛。進学を考えているのなら、今からでも勉強を行いなさい」

 

「うぅ……そう言われるとやる気が…」

 

 確かに、河城先輩の言い分は分からないでもない。例えば、親に「宿題やった?」としつこく聞かれると、やる気が削がれてしまう。勉強もまた然り。人に言われてやるよりも、自発的に行う方が勉強しやすい。

 

「…とはいえ、何も勉強って量だけじゃないと思いますけどね」

 

 と、そう呟いた俺が気に食わなかったのか、四季先輩は顔を顰める。

 

「…私のやり方に不満でも?」

 

「いえ、三年生だしゴールデンウィークを使って勉強に励むのは分かります。あの時やっておけばって後悔がないように、空いた時間を勉強するのは悪いことじゃないです」

 

「なら…」

 

「けど限度があるんじゃないんですかね。…ずっと思ってたんですけど、四季先輩って本当に寝てるんですか?」

 

 その言葉に、一瞬だが四季先輩の目が見開いた。カマをかけてみたが、どうやら当たりのようだ。

 

「その反応だと、夜遅くまで馬鹿みたいに勉強してたんじゃないですか?例えば、夜中の1時とか」

 

「…マジで言ってるんですか?四季様」

 

 四季先輩は観念したのか、俺の尋ねに答える。

 

「…これくらいは慣れの問題です。別に苦じゃないですし、気にすることでもありません」

 

「知ってますか?人は眠たくなる時、瞬きが多くなるらしいですよ。四季先輩、普段から瞬きが多く見えたんです」

 

「ドライアイの可能性は?」

 

「だとしたら、目薬を常備してるのが普通です。まぁ授業中してる可能性もあるんでしょうけど。今の小野塚先輩の様子を見れば、ドライアイの可能性は低い」

 

 さっきの瞬きの時、小野塚先輩が代わりに四季先輩がドライアイだと答えてもおかしくなかった。でも、そんな素振りは一切なかった。何故なら、四季先輩はドライアイじゃないから。

 

「眠いのを我慢してまで、勉強してたんですね」

 

「あたいですら気づかなかったのに……凄いな」

 

「俺の108あるうちの特技の一つです」

 

「いや多いわね」

 

 とはいえ、ドライアイと言い張られてはそれまでだった。しかし、四季先輩は何も言い返そうともしなかった。

 

「まさか、たった数週間しか会っていない後輩に言われてしまうとは……。余程、人間観察が得意なんですね」

 

「…まぁ」

 

「……そうです。私は寝る間を惜しんででも、なりたいものがあるのです」

 

「なりたいもの?」

 

「えぇ。…裁判官です」

 

 予想外の答えが返ってきた。てっきり、警察の仕事にでも就きたいのかと思っていたのだが。

 

「裁判官とは知っての通り、裁判において中立の立場です。公正を守り、適正な解決に導くために、我が身を削って一つ一つの事件に取り組む職務。私はそんな裁判官に、憧れを抱きました。人一人の人生に大きな影響を与えてしまい、それにはとても重い責任が生じる。ですが、その分やりがいもある。…私は、一人一人の人生を、正しき方向へと導きたいのです」

 

 四季先輩には、確固たる信念があった。裁判官になりたいという、強い信念。そして、それを裏付ける努力。

 その姿に俺は、とても勇ましく見えた。きっと、この学校では間違いなく完璧な優等生である。

 

 しかし。

 

「…四季先輩の志望理由は分かりました。裁判官になるのは、そう簡単じゃないですし、それこそ血の滲む努力が必要になります。ですが、今の四季先輩は間違っている」

 

「私に間違いなど…」

 

「極論を言います。それを続けて仮に裁判官になれたとしましょう。そうしたら、四季先輩は今後そのやり方しか信用しなくなる。裁判官なんて、ただでさえ精神的に擦り減る仕事。人一人の人生を歪めてしまう権利を持つ立場だ。ですが、もしオーバーワーク気味で過労死になったらどうします?」

 

「…過労死…ですか?」

 

「えぇ。そうじゃなくても、過労によって何かミスを犯してしまうかも知れない。裁判官において一つのミスは、馬鹿みたいに重い。それは取り返しのつかないもの。ミスの原因が過労によるものとか、尚更世間からの批判は免れない」

 

「…そんなことを言い出したら、裁判官にはなれないのですが」

 

「そうですね。だからそうならないように休息を取った方がいいって話です。大体、今の裁判官でも休みくらいありますよ。そこまでブラックじゃないと思いますけど」

 

 四季先輩は他人に厳しく、そして自分にも厳しい。彼女の長所でもあるが、それは短所にもなり得る。自分に厳しい人間ってのは、徹底的に厳しくしなければ満足しないやつだ。それ故に、オーバーワーク気味になってしまうのがオチだ。

 

「ですが……」

 

「いいじゃないですか四季様。ゴールデンウィークくらい、羽伸ばして休みましょうよ。あ、そうだ。ゴールデンウィーク最終日、生徒会のみんなで遊びに行きません?」

 

「そうね。何気に生徒会のみんなで出かけるの初めてだろうし、四季映姫にはいい休息になるでしょう。にとりと雛は?」

 

「勿論OKだよ!ね、雛?」

 

「みんなが嫌がらないなら、行くけど」

 

 どうやら、生徒会のみんなはゴールデンウィークの最終日にどこかに出かけるようだ。今の内容的に、生徒会のみんなで出かけることはなかったらしい。

 

 さて、最終日は家で何して過ごそうかしら。

 

「言っとくけど、八幡も来るんだよ?」

 

「え」

 

「当たり前だろ?生徒会のみんなでって言ってんだから。あんたも行くんだよ」

 

「ちょっと待ってください。俺ついさっき休息は大事だって言いましたよね?休日は休む日と書いて休日です。つまり、家で休むことが当たり前……」

 

 なんで最終日に出かけなきゃならないのだ。次の日学校だぞ。前日は一日中寝て食って寝たい。俺があれこれ言い訳していると。

 

「…その異議を却下します」

 

 四季先輩は満面の笑みで意義を却下した。

 

「四季先輩、それは横暴過ぎません?」

 

「黙りなさい。被告人は私が話す許可を出した時にだけ話せるのです」

 

 いつから俺は罪人扱いされてたの?目か?目で罪人扱いされてたのかよ。この世は理不尽過ぎる。

 

「俺の弁護人はどこですか」

 

「いません。帰りました」

 

 帰るなよ弁護人。なに職務放棄して裁判所から抜け出してんだよ。

 

「貴方にはゴールデンウィークの最終日、必ず外出していただきます。まさか、断るなんてことはしませんよね?」

 

「いや、俺家で…」

 

「しませんよね?」

 

「…は、はい」

 

 最近の俺ってばこんなんばっか。博麗にも似た感じで強引に誘われたし。いや、女子の鋭い目付きはマジで死ねるからな。目付きだけで殺せるとか最強かよ。

 

 ともあれ、ゴールデンウィークに休めない日が存在するのはおかしいと、俺は思う。

 

 

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