やはり東方の青春ラブコメはまちがっている。   作:セブンアップ

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思いの外、彼女達と過ごすのも悪くはない。

 ゴールデンウィークについに突入した一日目。私、比企谷八幡は千葉駅にいらっしゃいます。普段ならば、家に引きこもってぐうたらして過ごすのが私の休日なのです。しかし、そんな人間が何故、千葉駅にいるのか。

 

「おっ、早いじゃないか八幡!」

 

 こちらに勢いよく走ってくる金髪のJK。誰であろう、霧雨魔理沙である。

 

「あら、一番乗りは八幡だったの?」

 

 霧雨の後ろから歩いてくる金髪のJK。誰であろう、アリス・マーガトロイドである。

 

「意外ね。一番後に来そうなイメージだったけど」

 

 マーガトロイドと共に歩いてくる黒髪JK。誰であろう、博麗霊夢である。

 

 そう。この女子3人組と俺で、出かけることになってしまった。行く先がどこかはまだ聞いていないが、切実に帰りたい。

 

「で、どこ行くの?魔理沙が提案者なんだし、魔理沙が決めてよ」

 

「やっぱみんなで出かけるって言ったら、ショッピングだぜ!」

 

 と霧雨が言い、迷わずららぽーとに行くことになった。

 ららぽーとに到着すると、ゴールデンウィークというだけあって、学生達や家族連れの人達が多い。

 

「人多いな……」

 

「帰っていい?私、もともと出かける気なかったんだけど」

 

 博麗が怠げに文句を垂らす。

 

「いやお前、俺を誘うときだいぶ強引だったじゃねぇか」

 

「私だけ面倒ごとが降りかかるとかふざけてるから、絶対暇そうなあんたも巻き込んだの。あんただけ一日中家にいるとか許さないから」

 

「何その理不尽」

 

 こいつ時々俺のこと舐め腐ってる節があるよ。でも反抗したらシリアルキラーみたいな目付きで俺を威嚇してくるんだよなぁ…。博麗の巫女怖ぇ。

 

「今あんた無礼なこと考えたでしょ」

 

 この勘の鋭さはエスパーか何かかな。シリアルキラーでエスパー属性とかどんなキャラクターだよ。

 

「それで、最初はどこ行くの?」

 

「んー、服が見たいよなー」

 

「言っとくけど私、あまりお金を持ち合わせてないからね」

 

 そんなわけで、ららぽーとに入って最初に行く先は服屋に決まった。霧雨、マーガトロイドは自分に似合う服を探し、片っ端から試着している。

 一方、俺は特に買いたい服があるわけもなく、店の前で彼女達を待っているのだ。同じく、博麗も服に興味はなく、並びに金がないという理由で俺の隣で彼女達を見つめる。

 

「今帰ってもバレないかしら」

 

「多分霧雨がお前んとこの神社に突撃するぞ」

 

「あり得そうね。今朝だって、大声で突撃してきたんだから。朝の8時によ?」

 

「マジか。あいつ元気だな」

 

「元気過ぎよ。休日に出かけることを楽しみにしてる子どもかっての。子持ちの父親の苦労が少し理解出来た気がするわ」

 

 そう言われると、結婚って全く惹かれない言葉に聞こえてくるのは気のせいだろうか。まぁ結婚は人生の墓場って聞くし、少なくともみんなが結婚して幸せってわけではないのだろうな。

 

 いや、だがしかし。俺は働きたくない。誰か養って欲しい。専業主夫という職に就きたい。

 

「おーい!待たせたなー!」

 

 霧雨とマーガトロイドは紙袋を持って店から出てくる。どうやら、気に入った服を買ったのだろう。

 

「一体、そんな金どっから沸くのよ。服に使うなら、まず私の神社に来た時に賽銭箱にお金を入れるのが筋でしょ」

 

「だから代わりに煎餅持って行ってるだろー?」

 

「あれを賽銭代わりって言い張るとかあんたやばいわね」

 

 彼女達は軽口を交わしながら、歩き始める。客観的に見て、彼女達の信頼というか、友情は固いものがある。互いを信じ、互いを受け入れることが出来る関係。

 一見、博麗も文句は言っているが、本気で嫌がっている様子はない。彼女達を見ていると、そういう関係を確立出来ているのが凄いと素直に思う。

 

「…どうしたの?」

 

 彼女達の背中を見つめていると、隣にいるマーガトロイドが覗き込んでくる。

 

「…いや何も。つか、お前はあれに混ざらんの?」

 

「魔理沙がいつも以上に騒ぎ過ぎて、ちょっと疲れたのよ…」

 

 マーガトロイドは、こめかみを抑えてそう呟く。

 

「…そうか」

 

 俺達も彼女達の背中を追いかけるように、歩き始めた。次に向かったのは、先程とは違う服屋である。服屋に寄っては買って、服屋に寄っては買っての繰り返しの結果。

 

「…買い過ぎちゃったわ…」

 

「お、重いぜ……」

 

 霧雨とマーガトロイドの両手には、服が入った紙袋がぶら下がっている。

 

「言っとくけど、私一つも持たないわよ。買い過ぎたあんた達の自業自得なんだし」

 

 博麗は冷たくあしらう。女子はオシャレに目がないというが、後々買い過ぎて色々と後悔するらしい。ソースは小町。

 

 このままでは、ららぽーとを回る時間がなくなる。別に買うものがない俺からすれば、そんなことはどうでもいい。だが、服を買い過ぎてしまい、ららぽーとを回り切れない彼女達のことを考慮すると、あまり良くは思わない。

 

 博麗やマーガトロイドの言い方では、主に霧雨がこの日を楽しみにしていた。彼女のことだから、まだまだ周りたいのだろう。彼女が気分良く買い物するには。

 

「……ん」

 

 俺は、彼女達に向けて手を差し出す。

 

「…持ってくれるのか?」

 

「そんな重いもん持ちながら歩いてもしんどいだけだろ。いつも妹に荷物持ち扱いされてるから、別に気にしなくていい」

 

「八幡……」

 

 俺は二人から、多量の紙袋を受け持つ。女子二人が重そうにしていただけはあって、纏めて持つとかなり重い。が、持てない重さではない。

 

「ありがとう。…貴方、割と力持ちなのね。意外だわ」

 

「基本的に俺はハイスペックだからな」

 

「あんたの場合はローどころかノースペックの間違いでしょ。まず目からアウトよアウト」

 

 ねぇ誰かこの人の口塞ぐ方法ないかな?口を開けば俺のこと激しく攻めてくるんだけど。今のなんか言い回しエロかったな。

 

「なんだかんだで、霊夢と八幡って仲良いよな」

 

「なわけないでしょ。誰がこんな妖怪もどきと仲良くするか。なんなら今から退治してやってもいいわよ」

 

「人のことゾンビだ妖怪だと失礼過ぎだろ。このクソ巫女」

 

「私に楯突くなんていつから偉くなったの?この雑魚妖怪」

 

「…仲良いの?これ」

 

 少なくとも仲良くはありません。人のことを妖怪扱いする巫女はちょっと距離置きたいです。いつかマジで暗殺されそうだし。

 

「…はぁ。それで、これからどうするの?もうそろそろ昼時だけど」

 

 ケータイを見ると、もう12時を過ぎていた。あちこち周っていたせいか、時間が経つのが早く感じる。

 

「そうだなー…。八幡、なんかいい店ないか?」

 

「俺に聞くなよ。…でもまぁ、あるにはある。博麗の金銭的な問題も解決出来て、毎日行きたくなるような美味い店が」

 

「え、嘘?私、たったの千円程度しか持って来てないのに?」

 

「安心しろ。物によれば、およそ700円程度でお釣りが返ってくる。そんな店だ」

 

 まさに学生の味方とも言えるべき、絶対的なファミリーレストランがこの世には存在する。安くて美味いのは、何も牛丼屋だけではない。俺のことを分かっている読者ならば、どこに行くかはすぐに想像出来るだろう。

 

 安価で美味いファミレス、その名は。

 

「サイゼかよ」

 

 学生の懐に優しく、幅広い年齢層から人気を得ているファミレス。サイゼリヤ。こいつに勝るものはねぇ。というか俺が認めねぇ。

 

「確かに、ここなら霊夢の金銭的な問題は解決するわね」

 

「それに、安い割には美味いしな。霊夢にはうってつけのファミレスだ」

 

「サイゼリヤなんて初めて来たけど……そんな都合の良い店あるんだ」

 

「まぁ入れば分かる。サイゼの魅力がな」

 

「なんか八幡いきいきしてないか?」

 

「普通にキモいわね」

 

「そんなこと言ってられるのも今のうちだ。サイゼの魅力は千葉県民を虜にする」

 

「…それはさておいて、入りましょうか」

 

 俺達はサイゼに入店する。休みの昼時であって人は多いが、俺達4人が座ることの出来るテーブルは空いていた。案内してもらい、椅子にかけた。

 俺達は椅子に座り、テーブルに置いていたメニューを見始めた。サイゼリヤに初めて来た博麗は、メニューを見るなり目をキラキラさせている。

 

「ピザが400円程度って凄いわね!こっちのミラノ風ドリアなんて300円!?めっちゃ安いじゃない!」

 

「サイゼでこのテンションって……。高級レストランなんて連れて行った日には、霊夢死ぬんじゃないかしら?あ、私はシーフードパエリアにしようかしら」

 

「私はイタリアンハンバーグにしようっと。…あれ?八幡はメニューは見なくていいのか?」

 

「ふっ、サイゼのことはここにいる誰より知ってる。メニューなんて、見なくても分かる。俺はミラノ風ドリアとドリンクバーにしよう」

 

 フォッカチオはまた別の機会に頼もう。フォッカチオにガムシロかけると美味いからな。

 

「私もミラノ風ドリアにしようっと」

 

「あ、私もドリンクバー頼むぜ」

 

 俺達は店員を呼び、決めたメニューを頼んだ。俺と霧雨はドリンクバーを頼んだため、それぞれ好きなドリンクを取りに行った。

 

「私はコーラにしようかな。八幡は?」

 

「自作マッカンだ」

 

「マッカン?なんだそれ」

 

 マジか。千葉に住んでいてマッカンの存在を知らんだと?千葉県民が千葉の落花生を知らないくらいあり得ないぞ。マッカンは千葉の水だぞ。

 

「まぁアレだ。世界最高峰のコーヒーだ」

 

「そんな美味いのか?」

 

「あぁ。あれはマジ神」

 

 いつか彼女達に、マッカンを布教するとしよう。信徒が増えるのは、マッカン教祖として嬉しいことだ。

 

「幽々子様、一体何品食べるつもりですか!もうこれで11品目ですよ!ステーキにピザ、パスタ、ドリア!まさか全品食べるつもりじゃないですよね!?」

 

 霧雨と話していると、突如、店内に一人の女の子の声が響いた。俺達はその声がした方に視線を向けると、テーブルには大量の皿と鉄のプレート、グラタン皿が置いていた。

 

「いいじゃない。サイゼリヤの料理、美味しいんだもん」

 

「だもん、じゃないですよ!なんなんですか!?幽々子様はカービィの擬人化か何かですか!?」

 

「私コピー出来ないわよ?」

 

「知ってますよそんなこと!」

 

 幽々子と呼ばれる、桃色のミディアムヘアーをした女性が平らげた跡のようだ。それに対して、白髪のボブカットをした女の子が怒鳴っている。

 

「あ、あのお客様……店内では、もう少しお静かに…」

 

「いや本当申し訳ありません!」

 

 注意をしに来た店員に対し、ボブカットは頭を下げて謝罪する。単純な迷惑な客ではなく、ちゃんと礼儀のなった女の子である。

 

「ごめんなさいね〜?妖夢ってば、何をそんなに怒っているのよ」

 

「幽々子様の暴飲暴食に対してです!お店にご迷惑をお掛けしてしまったようですし、さっさと会計を済ませて帰りますよ!」

 

「えぇー。まだ前菜なのにぃ〜?」

 

「ステーキ3品、パスタ3品、ピザ3品、ドリア2品食べておいて前菜ってなんですか!?幽々子様の胃を医療機器で調べてもらった方がいいと思うんですよ本当に!」

 

 そう言って、ボブカットの子はカービィ(擬人化)さんを強引に連れて行き、会計を済ませて店から立ち去った。

 

「嵐みたいだったな」

 

「…そうだな」

 

 俺達は気を取り直して、自分達のテーブルに戻る。テーブルに戻ると、博麗が先程の騒ぎについて尋ねてくる。

 

「なんだったの?さっきの」

 

「カービィの擬人化が現れたらしいんだと」

 

「何それ」

 

「知らねぇ」

 

 そんな会話をしていると、頼んだメニューが運ばれてくる。ドリア2品、ハンバーグ1品、パエリア1品。

 

「それじゃあ、頂きましょうか」

 

 俺達は、それぞれが頼んだ料理を口に含んだ。

 うむ。やはりミラノ風ドリアは安定に美味い。あと三杯はいけるな。

 

「このミラノ風ドリアってやつ、すごく美味しいわね!」

 

「お気に召したようで何より」

 

 もしサイゼに初めて行くという友達がいるなら、ぜひミラノ風ドリアを勧めるといい。それか、辛味チキンでもいいぞ。

 

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 会計を済ませて、俺達はサイゼから退店した。みんなは、特に博麗は満足げな表情であった。

 

「美味かったぜ〜」

 

「たったの300円程度であの美味しさ……私、サイゼの常連になろうかしら」

 

 どうやら、サイゼの同士が一人増えたようだ。サイゼの同士が増えるのは良いことだ。博麗は分かるやつで良かった。

 

「さて、買い物の続きだぜ!まだ回ってないところあるし、ゲーセンだって寄ってないんだからさ!」

 

「ららぽ全部回る気か…?」

 

「当たり前だろ!折角の休日、時間いっぱい使わなきゃ損だぜ?」

 

 そうだね。折角の休日、時間いっぱい使わなきゃ損だよね。でも俺の場合、外じゃなくて家で使いたかったんだよなぁ。

 

 引き続き、彼女達の買い物が再開した。そして一通り回り終えた後、ららぽーとの中のゲーセンへと向かった。

 

「やっぱゲーセンに来たら、プリクラだろ!」

 

「プリ…クラ……だと……!?」

 

 おっといかん。一瞬意識を持っていかれた。

 きっと彼女達3人が撮るに違いない。流石に男1人混じってプリクラは普通にアウトだアウト。何も動揺することはない。

 

 霧雨がプリクラの機械の前まで俺達を先導する。

 

「じゃ、撮ろうぜ!」

 

「私、別にいらないんだけど」

 

「いいからいいから!アリスもさっさと入って来いよ!」

 

「えぇ。今入るわ」

 

 3人はプリクラ機の中に入っていく。

 よし、俺は近くのUFOキャッチャーでもしようかな。小町のために何か取って帰ろう。

 

「八幡!何してるんだ?八幡も入って来いよ!」

 

「いや、俺はいいって。3人仲良く撮りな」

 

「八幡もいないと撮る意味ないんだぜ?早く来いって」

 

「あ、俺ちょっとトイレに………ぐぇっ」

 

 俺はその場から逃げ出そうとすると、不意に背後から俺の(うなじ)が力強く掴まれてしまう。

 

「あんただけ何逃げようとしてるの?あんたも撮るの」

 

 怖い怖い死ぬ死ぬ助けて助けて。

 博麗、お前は巫女をやめて暗殺者にジョブチェンジするべきだ。多分、今ので俺は死んだ。

 俺は頸を掴まれ引っ張られてしまい、無理矢理プリクラ機の中に連れ込まれてしまう。

 

「動いたら分かってるわね?」

 

「ちょ、博麗さん?そろそろ痛いんですが…」

 

 ていうか、プリクラ機の中が狭いから女子独特のいい匂いが至近距離にですね。

 

「八幡は前な!私と霊夢は後ろだ!」

 

「じゃ、私の隣は八幡ね」

 

「言っとくけど逃げる素振りを見せたら、即あんたの首を潰すから。ゾンビって頭が弱いらしいけど、首を潰しても大して問題ないわよね」

 

 いや大アリだから。俺一応人間だから。大問題になっちゃうから。

 本当に神に使える女の子なのかな博麗は。魔王からの手先じゃないかって思うわ。

 

「ほらほら、早く撮ろうぜ!」

 

 この後、プリクラの悪魔のような指示に従いながら、仕方なくポーズを取ることになった。

 

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「はぁ……」

 

 精神的にゴリゴリ削られたプリクラタイムだった。ポーズを取るだけでもやばかったのに、何よりあいつらとの距離感。俺を男子として見ていないのか、ガンガン距離が近かった。

 多分俺の表情は、そこらの指名手配犯の紙の比にならんくらいやばい。職質されても文句を言えねぇレベル。

 

「あんた、ずっと変顔してたわね」

 

「うっせ。終始俺の頸掴みやがって。割と痛かったんだけど」

 

「いいじゃない、女の子から頸掴まれて。人によっちゃあ、お金払うやつもいるんだし」

 

「俺ドMじゃないんだが。勝手にマゾヒスト扱いしないで?」

 

 隙あらばこいつは俺に対して喧嘩売ってくるのだ。なんだ、俺はお前に何かしたのか。知らないうちに恨まれていたのか俺は。何その理不尽。

 

「……あんた、ゴールデンウィーク中に封獣と遊んだりするの?」

 

 彼女は表情を変え、突然に尋ねてきた。

 

「…遊ぶっていうのか分からん。ただ封獣曰く、俺の家に来るとか言ってる。家の場所もなんでか把握されてたよ」

 

「やばいわね、それ。彼女、あんたに相当依存してる。それももう、重度にね」

 

「知ってる。なんで依存したのかは知らんけど、依存したきっかけを作ったのは多分俺だ。俺がなんとかしなきゃならん。…つか、いきなりどうした」

 

「…ただ気になっただけ。とにかく、あまり中途半端なことはしないでおくことね。じゃないと、辛くなるのはあんただから」

 

 中途半端、か。

 確かに、言われてみればなんとかするって言っておきながらなあなあで済ませている。結果、彼女の依存は深くなる一方だ。おそらく、もう手遅れなところまでいってるだろう。

 

「どうしたんだ?なんか暗い顔して」

 

「…何かあったの?」

 

 先程撮った写真を加工し終えた霧雨とマーガトロイドが戻ってきた。

 

「…なんでもねぇよ。それより、加工は終わったのか?」

 

「あぁ!でも八幡、すっげー変な顔だったぜ?ぷぷぷっ」

 

 霧雨から写真を受け取る。

 上手い具合に腐った目がイケてる感じになってるけど誰だこれは。つか顔どうなってんだよ。女子3人目ぱっちりだなおい。

 流石、プリクラ。人の顔をここまで変えてしまうとは、恐るべき機械だ。

 

 その後、俺達はゲーセンで適当に遊んだ。無邪気にはしゃぐ彼女達の表情は、きっと親からすればお涙頂戴感が満載だ。適当に遊び尽くした俺達は、ららぽーとから出て行く。

 外に出ると、空はもう夕焼け色に染まっている。

 

「たはーっ!楽しかったな!」

 

「そうね。服も買えたし、何より八幡の変な顔も残せて良かったわ」

 

「俺の顔だけ切り取ってくれない?軽く死にたい」

 

「あら、私はいいと思うわよ?あんたのその変顔が永遠に残せるんだから」

 

「変だからって切り取るなよ!ちゃんと残せよな!」

 

 切り取ったなら捨てるっての。切り取ったら残るのはお前ら3人の顔だけだろうがよ。

 

「あ、そうだ!忘れてた!八幡、紙袋!」

 

「忘れるなよ……」

 

 自分が買ったものを忘れるとかどんだけ楽しんでたんだこいつは。俺は霧雨とマーガトロイドが購入した服が入った紙袋を、二人に返す。

 

「八幡、ありがとな!持ってくれて!」

 

「や、それは別に構わんが…」

 

「そういや私、まだ八幡のLINE知らなかったんだよな!交換しようぜ!」

 

「お、おう」

 

 怒涛の勢いで霧雨に言われるがままに、俺はラインを交換した。

 

「私も。八幡の連絡先、教えて欲しいわ」

 

 霧雨に続いて、マーガトロイドまでもが俺の連絡先を尋ねてくる。

 

 …今更なんだけどさ。これ、モテ期じゃね?何俺いつの間にモテてたの?

 

「言っとくけどモテ期なんて馬鹿みたいな考えはやめときなさいよ」

 

 こいつ人の心読めんの本当なんなの?

 

「じゃあ、そろそろ帰りましょうか」

 

「やっと家に帰れるわ……」

 

「八幡はどの電車に乗るんだ?」

 

「…今の時間帯だと、京成本線の船橋競馬場駅からになる」

 

「そっか、私達とは別の電車か…。じゃ、八幡!また学校でな!帰ったらLINEするぜ!」

 

「さようなら、八幡。またね」

 

「じゃあね。妖怪擬き」

 

 彼女達は、三者三様の別れの挨拶をしてくる。

 

「…あぁ。またな」

 

 俺も彼女達に別れを告げて、船橋競馬場駅に向かって歩き始める。今日一日、本当に疲れた。

 疲れた一日ではあったが、思いの外、彼女達と過ごした時間は悪くないものであった。

 

 

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