【完結】戦姫絶唱シンフォギア ~キミに決めた!~ 作:カンさん
『本部! 応答せよ! こちら観測部隊! 至急応答せよ!』
「どうした、何があった!?」
突如、鎌倉に屹立したユグドラシルを観測していた部隊から通信が入る。
『ユグドラシルに動きあり!』
「──!?」
『指示を!』
シンフォギア装者と依然として連絡が取れない中、起きた──敵の動きに、SONGは。
「──全部隊撤収! 後は我々が対処する!」
『了解!』
覚悟を決め、ユグドラシル攻略に向けて動き出す。
この星の未来をこの手に掴むために。
第十四話「絶対に逃げない!」
端末を用い、セレナは他の仲間の誘導を行った後、地球のSONGと通信を繋げる。
一瞬のノイズの後に──接続を確認。
「本部! こちらセレナ! 装者全員無事です!」
『セレナ! 無事だったのね!』
「姉さん……! ──現在、コントロールルームから他の装者を誘導して合流を行っています!」
響、クリスも既に一緒だと伝えると、通信越しに安堵の声が響く。
しかし、おちおち再会を喜んでいられない。
「そちらの状況は?」
『……ユグドラシルが動き出したわ。それを止めるために作戦行動中』
「──! もう、動き出したの……!?」
「セレナさん、これは……」
「はい──姉さん、みんな。わたし達が得た情報を今から伝えるわ」
そして、語られるのは──自分たち人間に仕掛けられた恐ろしい真実。
時は少し遡る。
「──これは」
「それじゃあ、バラルの呪詛って」
エンキが語ったのは、人の歴史──造られた理由。
身体機能よりも脳内を強化された人類。
その正体は、惑星環境改造装置──ユグドラシルを制御する為の生体演算端末群。
エンキ達、アヌンナキは命を創造し、進化を促し、目的に応じて改造を施し──人類もその過程の産物の一つ。
そして、此処で一つの問題が生じた。それは──アカシア。
「アカシア……リッくん先輩がどうしたの!?」
『──これ以上の情報の開示はプロテクトが掛けられている。すまないが、君たちに教える事はできない。しかし』
しかし、この事が原因で──当時改造執刀医だったシェム・ハは反乱。エンキ達に戦いを仕掛けた。
自身を言語と置き換える事で、あらゆるシステムに潜伏するシェム・ハを覆滅する事は不可能であり──エンキ達はシェム・ハを封印、そして地球を放棄する事にした。
「封印……あの腕輪の事?」
クリスの問いに対して、エンキは否と答える。
『シェム・ハはデータ断章となり、全人類に遺伝子情報に存在し続けている』
一瞬、プログラミングされているだけの筈のエンキの顔が歪む。
しかし響達は話の内容により気付かなかった。
「それじゃあ、私たち人類はシェム・ハの──」
『──何度倒してもデータ断章から復活を繰り返すシェム・ハは事実上の不死身。故にオレ達はネットワークジャマー・バラルによって統一言語で繋がれた人類を分断。封印に成功する』
つまり、バラルの呪詛は人類間の不和の根源でありながらも、人をシェム・ハから守護し──死と呪いを止める為の唯一の手段だった。
「蘇ったシェム・ハはバラルの呪詛を解除し、人類を生体端末群にしてユグドラシルで星と命を意のままに操れる武器──怪物にしようとしています」
「それが何故コマチを助ける事になるか分からないけど……」
「──止めなければならない。絶対に」
話を聞いた弦十郎は指示を出す。
『ならば、月遺跡の守護を任せる! ユグドラシルは錬金術師協会、了子くんと協力し攻略する!』
『こちらが片付けばリッくん先輩と共に迎えに行く。だから──』
──突如、通信の最中に地響きが起きる。
「これは──」
『どうした!?』
「何処かで戦闘が起きています。恐らくは──ノーブルレッドと仲間の誰かが!」
セレナの予想通り、月遺跡にてシンフォギアとノーブルレッドが激突していた。
「翼、無事か!?」
「ああ。だが、それよりも──」
翼と奏の視線の先には──ミラアルク。
「さぁ。第二ラウンドと行こうゼ、ツヴァイウィング。ウチの怪物の翼とお前ら歌の翼──どちらが上か比べてみようか!」
そして、別の場所では。
「切ちゃん……」
「そうデスね調。油断、してはいけないデス」
調と切歌が相対するは──エルザ。
「我らが悲願を叶える為、此処で潰えて消えてもらうであります──シンフォギア」
怪物たちは己の心に従い、人を喰らう。
万人に非難されようとも、恨まれようとも──それが正しい事だと信じて。
◆
月遺跡での戦いに呼応するかのように、シェム・ハもまた動き出した。
ユグドラシルが地球の核域に潜行し、世界中でユグドラシルが屹立していく。
「心踊る。歓喜極まる。このような時、ヒトは歌の一つでも口ずさむのであったな──む」
世界を己の物にせんとする神。それに立ち塞がるのは──この世界に生きる人間たち。
シェム・ハの知覚範囲に転移反応。そして彼女の視線の先に現れるのは……。
「怖いか? エルフナイン」
「しっかりとしてくださいまし。此度の作戦、あなたも中核なのですから」
「派手な活躍を期待する」
「まぁ、いざとなれば我々が」
「家族は守るゾ!」
キャロルにオートスコアラーの四体。
「怖いです……でも!」
『未来は取り戻さなくてはならない──世界を識る為にも』
エルフナインとその体に宿るノエル。
「私も託されたのでね、アダム様に」
「託されなくとも、我々は戦い続けるでしょう」
「まぁ、あーしはサンジェルマンに協力するだけ」
「それでも──私たちは負ける訳にはいかないワケダ」
錬金術師協会、二代目統制局長並びにサンジェルマン、カリオストロ、プレラーティ。
「貴様と肩を並べて戦う事になるとはな」
「オレは嬉しいぞ、了子くん」
かつては櫻井了子であり、フィーネの名を持つ終末の巫女。
そして人類最強に名高い風鳴弦十郎。
「ブイブイ!」
「ええ──あの子達の帰る場所を守りましょう、リッくん先輩」
奇跡を起こし人に寄り添う神アカシア。
波導の勇者マリア・カデンツヴァ・イヴ。
現在、地球上に存在する最高戦力が神に挑むべく、この地に集結した。このチームなら一国を容易く落としてしまうだろう。
だが──。
「忘れたか? 我の力を」
シェム・ハは己の体からディアルガ、パルキア、ギラティナを放出した。そして赤い鎖で三体の神を操り──世界のあり方を書き換えた。
「これで我以外の“力”は無力と化す! 加え、あの時と違い力との癒着はより深く、強くなっている。そこの妙な錬金術師も、勇者も──そしてアカシア、貴様も戦う力は無い!」
シェム・ハの言う通り、この場に居る者の持っている聖遺物、スペルキャスターは輝きを失っている。
以前の種子島の時と違い、範囲も地球全体、効力もより強くなっている。
「蹂躙してくれようぞ、人間共!」
抗う力を奪ったシェム・ハは、眼下にいるマリア達を冷たく見下ろし、嘲笑し──。
『──人間舐めないでくださいよ、神様』
戦場に男の声が響く。
「──何」
突如、シェム・ハの声に戸惑いの色が強く滲み出る。
男の声に反応したのではない。世界のあり方が、何か別の力で書き換え変えられているのだ。
その光景に、マリア達は作戦は成功したのだと察する。
「今のままでは戦う力を奪われて赤子同然に捻り潰されます。ですよね、フィーネ」
「……ああ、そうだ。対抗手段は……」
「神殺しくらいでしょう。しかしそれでは圧倒的に戦力が足りない。ですので」
チフォージュ・シャトーを使いましょう。
ウェルはまるでコンビニに行くと告げるように当たり前のように言った。
皆が彼の言葉に呆然とする。
「あれは世界を壊す、つまり分解し──再構築する力があります。ですので、その力を使ってあの神様が作り上げた世界を分解し、元の世界に再構築──戦う為の場所をセッティングする訳です」
「でも、シャトーを動かすには膨大なエネルギーが。それに動かす為に必要なものも……」
「ヤントラ・サルヴァスパが確か深淵の竜宮にある筈ですが……今から取りに行っても間に合うか分からないのでこれを使います」
そう言ってウェルが取り出したのは。
「それはLinker……?」
「ええ。しかしただのLinkerではありません──ネフィリムの体細胞から抽出し、作っておいた……名付けてネフィリムLinkerです」
『──!?』
その言葉に皆が反応し、特にブラックナイト事件と関わり深い者達は強く反応を示した。
キャロルは特に睨みつける程で、ウェルに問いただす。
「そのような物を使って、完全に制御できるのか? ノエルの時のように奴が復活すれば」
「まァ、その時は真っ先に僕を殺してください」
あまりにもあっさりとウェルがそう言い。
「──なんてね。死ぬつもりはありませんよ。ケツを蹴られたくありませんので」
「──良いだろう。信用してやる」
ウェルの覚悟の重さを感じ取ったのか、キャロルはため息を一つ吐いて、彼の作戦に乗った。
「シャトーには私も同行しましょう。あの城は様々な聖遺物が組み込まれています。何かしらのサポートができる筈です」
ナスターシャが名乗りを上げて、ウェルは鼻を鳴らして頷いた。
元々助力を願うつもりだったのだろうか。
「エネルギーは……」
『それなら俺も協力しよう』
そこに通信を繋げてきたのは八紘だった。
『東京周辺のレイラインを用いて供給できる筈だ』
「世界の危機故、遠慮はしませんよ。思う存分使わせて貰います」
これで、戦う為の力を奪われなくて済む。
しかし話はそれで終わりではない。
キャロルが次は自分たちの番だと口を開いた。
「先程のシャトーの力だが──オレとノエルはあれを錬金術で再現、応用し──シェム・ハと小日向未来を引き離す」
「何、可能なのか?」
フィーネの問いに、エルフナインが頷く。
「オートスコアラー達の躯体には、当時のデータとキャロルが入れ直した想い出があります」
「二人がかりとプラス四体による個人的世界の破壊──いや救済だ。やる価値はある」
それでも腕輪が二つな為、そう容易く事が進む事はないだろう。
加えて、三体の神の妨害もあり得る。
それを抑えるのが──。
「わたし達の出番って訳ね」
「ブイ!」
神殺しの槍を持つマリア。神の力を扱うコマチが気合を入れる。
『今回は私も参加しよう。総力戦故に。残りのアダムスフィアを使えば、足止めくらいにはなる』
「私たちもお供します」
二代目の言葉に、サンジェルマンは参戦の意思を示し、カリオストロとプレラーティも彼女に続くように頷いた。
その光景を見ていたフィーネは、ため息を着き弦十郎の元に向かう。
「弦十郎」
「どうした、了子くん」
「これ」
そう言ってフィーネが渡したのは──シンフォギアとは違うとある武装。
「かつて作りかけ、シンフォギアの完成によりお蔵行きとなった骨董品だ。普通なら、使用者を死に致しめる失敗作も良いところだが──貴様なら、扱えるだろう」
「──これは」
彼女は、その武装の名を口にする。
「それはRN式回天特機装束──そしてシンフォギアと同じく聖遺物が扱われ、この局面では最高の代物を扱っている」
「まさか──」
弦十郎に渡されたその武装には、神を殺す為の力が宿っている。
それはつまり、その聖遺物とは──。
◆
「ガングニール、だとぉ!?」
弦十郎の振るう力から、マリアの持つギアと同じ力を感じ取り、思わずシェム・ハは唸った。
ディアルガの竜の波導を拳一つで打ち壊し、空気を蹴り戦場を駆けるその姿は、まさしく鬼人。
パルキアが援護しようと水の波導を放つが、マリアが割り込んで槍で蹴散らし、ギラティナのシャドーボールは二代目、サンジェルマン達の障壁で受け止められる。
その光景を見ながらシェム・ハハ舌打ちし、自分に向かってくるキャロル、ノエルの錬金術、フィーネの光弾を回避する。
戦えている。
その事に皆が希望を見出す中、ウェルが弦十郎に通信を繋げた。
『さっさと片付けてくださいよ。僕、貧弱なものであまり長く持ちません』
ウェルはネフィリムLinkerを打ち込んだ事により、片腕は異形になり、血管も顔まで侵食している。
その事を把握している弦十郎が思わず問いかけた。
「治るのか?」
『無理ですね。切り落とすしかありません』
「──」
あの時にウェルは語らなかった事。もし口にすればお人好しのSONGは止めると分かっていたから。
悲壮な顔を浮かべる彼に、まるでそれが見えているようにウェルが言った。
『なぁに。世界を救えるなら腕一本安いものです』
「だが──」
『──終わらせましょう』
弦十郎の言葉を遮って、ウェルが強い言葉で言い放つ。
『より良い世界を取り戻して、子ども達の未来を奪還して──我々大人はそれを肴にする。それで良いのです』
「──」
『その時は奢ってくださいね』
我が友よ。
その言葉を聞いた弦十郎はグッと目を閉じ、そして。
「ああ──泥酔するまで飲ませてやる!」
そう返答し、再び力強くディアルガの攻撃を弾き飛ばし──戦いはさらに激しさを増していく。
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