【完結】戦姫絶唱シンフォギア ~キミに決めた!~   作:カンさん

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好感度的なの

 これは、まだウェルの片腕が無事だった頃。

 

「最近皆さんの扱いがぁ〜ひどいと思うんですよぉ〜」

 

 土曜日の夜。久しぶり大人組が呑みに行った日。

 へべれけになったセレナがジョッキをテーブルに叩きつけながらウェルに愚痴を吐いていた。

 他の者はウェルに完全に任せ、思い思いに呑んでいた。その事に額に青筋を浮かべながら、彼は酔っ払いの相手をする。

 

「そうですか? 皆さん優しいと思いますが」

「でもぉ、なんだかぁ、疎外感というか、好感度が足りない気がするんですよぉ」

「好感度」

 

 真っ赤にさせた顔をグラグラと揺らせながら彼女は言う。

 

「何というか、それぞれパートナーというか、なんか友達にしては仲が良過ぎるというかぁ。奏さんと翼さんとかぁ。調さんと切歌さんとかぁ。響さんと未来さん、もしくはクリスさんとかぁ」

「あなたにだって姉であるマリアさんが居るじゃないですか」

「それは! 姉妹だから当然ですぅ! もう姉さんはちっこくて可愛くて凛々しくて──」

 

 スッとセレナは両手を合わせて。

 

「──尊い」

「痛々しい……」

 

 セレナの奇行にウェルが酸っぱ過ぎる菓子を食べた時の様な顔をする。

 結局何が言いたいのか分からないが、彼女の言いたい事も分かる。装者同士一定の好感度があり、仲には百合の花が咲くのでは? と思ってしまう者達も……。

 ウェルとしてはそれもまた愛だと思っている為気にしていないが。

 

「というかですね、そういう好感度なら別格の存在がいるじゃないですか。アカシアが」

「リッくん先輩はもうレジェンドですよ。殿堂入りですよ。チャンピオンですよ。何当たり前の事言っているんですか? 大丈夫ですか?」

「ねぇ、僕まだこの酔っ払いの相手しなくてはいけないんですか? 誰か交代してくださいよ」

『がんば』

「よし分かりました。全員表出ろ』

 

 その後、結局ウェルが最後まで彼女の相手をし。

 帰りに泥酔したセレナを背負い、途中ゲロシャワーを喰らってキレるまでが日常であった。

 

 

 ◆

 

 

「その時の事を思い出したんだ。光彦くん、もしかしてハーレム築いてる? って」

「何徹目?」

「五徹」

「寝なさい」

「だが断る」

 

 シェム・ハとの戦いの事後処理で忙しい日々を過ごしている藤堯はある日壊れた。

 しかし友里にとっては見慣れた光景なのか、満足するまで付き合ってやろうと全てを諦めていた。

 

「実際、彼は好かれている。いや愛されている。過去の偉業から納得できるが、それでも異常だ」

 

 お前のテンションが異常だ、と思ったが友里は黙っていた。

 

「これを解明すれば俺もモテ……人類は一歩また前進するのかもしれない」

 

 私情だらけの人類の一歩。

 

「という訳で光彦くんと一定以上関わりのある者から聞き取り調査を行おうかと」

「好きにすれば良いじゃない……」

 

 画して、藤堯による自己満足の為の好感度チェックが今始まった。

 

 

 ──エルフナインの場合。

 

「アカシアさんの事ですか?」

 

 先ずは手始めに身近な人間から攻める事にした藤堯。

 彼の問いにエルフナインは特に疑問に思う事なく自己分析し答えを出す。

 

「好ましいと思います」

「やっぱり!」

 

 思った通りだとドヤ顔をする藤堯に、イラッとくる友里。

 そんな彼に構わず続けるエルフナイン。

 

「彼が居なければフィーちゃん達に会えなかったので。彼の存在がボクの大切な家族を作り出しました。

 それに……キャロルやノエル、そしてボクを救えたのは彼の存在が大きいです」

 

 だから感謝している。

 だから好ましく思っている。

 エルフナインはアカシアに対して恩人に対する想いを抱いていた。

 

「じゃあ結婚したい?」

 

 ブッと吹き出す友里。

 

「結婚……? いえ、そういう訳では」

 

 戸惑いつつもそう答えると、藤堯は納得したように頷いてエルフナインに礼を言うと歩き出す。

 その後を友里が追い、エルフナインに声が届かない所まで来た所で、彼は言った。

 

「よし一勝!」

「何が????」

 

 全く理解ができないと顔を顰める友里に、藤堯が丁寧に優しく教える。

 

「良いか? 先ず前提にオレは光彦が羨ましい。可愛い女の子にチヤホヤされて良いなって思ってる」

「うわ……」

 

 ドン引きする友里。

 

「しかし結局は種族が違う。そうなるとどうなると思う? ──結婚ができない」

「さっきから何を言っているのか分からない」

「つまり、彼と結婚したいと思う程好きと想う者が居たら──それは真の愛。つまり俺の敗北という訳だ。そして逆説的にそうでなければ俺の勝ち」

「寝たら???」

 

 しかし藤堯これを断る。

 まだまだ五徹パワーは止まらない。

 

「それじゃあ次行ってみよう」

 

 友里は、いざと言う時は気絶させようと胸に誓った。

 

 

 ──クリスの場合。

 

「コマチについて……? そう、ですね。コマチはわたしに優しく手を伸ばしてくれた大切な友達です」

 

 それと同時に家族の様に愛おしく思っているともクリスは言った。

 

「わたし家族を失って、大好きなお姉ちゃんに酷い事言って、その後も大人の人達に酷い目に遭わされて……。

 フィーネに助けられて、でもその時のわたしは大人を信じられなくて、ずっとずっと塞ぎ込んで。

 でも本当のフィーネは優しくて──それでもわたしは受け入れるのが怖くて、そんな時に背中を押してくれたのがコマチだった……。

 たくさん悲しい事も辛い事も苦しい事もあったけど、コマチが手を繋いで、そしてみんなに出会えて──今此処に居ます」

「……」

「……」

「だから──うん。コマチの事大好きです」

 

 クリスは心の底から藤堯にその想いを伝え、それを聞いた彼は彼女に礼を述べると友里と共にその場を離れる。

 そしてクリスに声が聞こえない所まで来ると。

 

「ちょっと待って二番目でこの愛の質量は重い。ちょっと休憩する……」

「寝たら?」

 

 藤堯は寝なかった。

 

 ──ナスターシャ。

 

「好感を抱いてはいますが、アナタの想うような感情ではありませんよ」

 

 藤堯の質問に対して速攻で切り返したナスターシャ。これには彼もたじたじとなる。

 しかし友里を見て、色々と察していたナスターシャは、この茶番に付き合おうと思ったのか口を開く。

 

「……私も彼と付き合いが長いですからね。当時機関の責任者だった私は、彼と行動を共にする事が多かった」

 

 あまり語らない過去を聞かせるナスターシャ。

 

「息子の様に想っていました」

 

 もう取り戻せない過去を話すナスターシャ。

 

「何度言ってもナターシャと言い……おそらく、私と会う前の誰かと重ねたのでしょう。彼は優しく、過去を悔いる事が多かった」

 

 過去を話すナスターシャはとても優しい顔をしていた。

 

「そんな彼だからこそマリアもセレナも懐き、彼を目標にし、今の彼女達があるのでしょう」

 

 そして、彼が遺した者達を誇らしげに語る。

 

「だから私にとって彼は──自慢のバカ息子ですよ」

 

 

 ──調と切歌の場合。

 

 

「なんか死にたくなった」

「でしょうね」

 

 ナスターシャの想いを聞いた藤堯はちょっとだけ反省した。

 

「でもそれはそれとして次行こう」

 

 しかし五徹の力は凄まじい。

 頭のネジが外れているのか、彼は意気揚々とウェルの研究室に入る。

 そこには調と切歌が居り、どうやらウェルは外出中との事。

 

 早速藤堯が礼の質問をする。

 

「コマチの事デスか? 大好きデスよ! 大切な仲間で友達デス!」

 

 切歌の純粋な答えに友里の心が少しだけ癒される。

 

「わたしは……凄く興味がある」

「お? 珍しいな、調さんが切歌さん以外でそこまで言うのは」

 

 調は自分の好意を素直に口にする相手は切歌のみで、他の者にはあまり口にしない。別に嫌っているのではなく、恥ずかしがっている為であり確かに好意を抱いている。

 特にウェルに対しては素直にならない。

 故にあっさりとコマチに対して好意を口にする彼女に藤堯は意外そうに声をあげたのだ。

 

 しかし。

 

「うん……前々から調べてみたいと思ってたの。解剖とか──フフフ」

 

 どうやらマッドな理由だったらしい。

 藤堯達は顔を青くして体を震わせて、切歌は「だめデスよ!?」と声を出していた。

 

「冗談だよ」

 

 しかしすぐに蕩けた笑みを浮かべていた調が、真顔になってそう言った。

 逆にそっちの方が信じれなかった。

 気を取り直して藤堯が聞く。

 

「じゃあ、結婚してみたいと思う?」

「……?」

「何言ってるの……?」

 

 二人揃って理解ができないと首を傾げ、友里はいつまで続くのだろうかとため息を吐いた。

 

 

 ──奏と翼の場合。

 

 

「光彦をどう思っているだぁ? 今更そんな事を聞いてどうするんだ?」

 

 奏の疑問を聞き、友里は尤もだと思った。

 奏。翼。藤堯。友里。この四人は二課時代からの同僚で、共に光彦と過ごした想い出がある。

 だから彼女達が光彦の事をどれだけ大事にしているか──それが分からない藤堯ではない。

 

「家族だと、弟だと思っている。オレも奏もそう思っているぞ」

「ふむ、じゃあひとつ思考を変えて──もし、光彦くんが人間だったらどうしていた?」

 

 藤堯は途中で趣向を変えていた。

 それはもし彼が人間だったならば。

 非人間だから彼に向ける愛がどうしても家族、友達未満になってしまうのではないか? そう思って彼は先ほど調達の同様の質問をした所、少し戸惑っていた為、自分の考えは正しいと確信した。

 

 実際は徹夜テンションで様子のおかしい藤堯にドン引きしていただけだが。

 

 そして、あえて彼と身近な関係であるツヴァイウィングの二人にこの問いを投げ掛ければ──。

 

「多分今と変わらねえよな」

「そうだな」

 

 しかしあっさりと返されてしまった。

 藤堯は予想外だったのか、パチクリと目を瞬かせる。

 彼がどうしてだと尋ねると、そう質問される事自体を不思議そうにしながら彼女達は答えた。

 

「と言っても光彦は光彦だしな……」

「正直、アイツが摩訶不思議生物でも、完全聖遺物でも、人間でも……大切な弟には変わらねぇな」

「あ、でももし人間だったら色んな服を着せてやりたいな」

「オレは体を動かす運動をしたい。キャッチボールとか楽しそうだ」

 

 ──圧倒的な深い絆。

 

 それを見せつけられた藤堯はそれ以上何も聞けず、そのまま友里に回収された。

 

 

 ──マリアとセレナの場合。

 

 

「俺、何でこんな事しているんだろ……」

「知らないわよ……」

 

 目的を見失いつつも、藤堯は次のターゲットであるイヴ姉妹の元へと向かう。

 

 そして実際に聞いてみた。

 

「あはは……恥ずかしい話、わたしも姉さんも子どもの頃『リッくん先輩のお嫁さんになる』って言ってまして」

「セレナ!?」

「それでわたしと姉さん喧嘩した事もあって『どっちと結婚するの!?』って困らせた事もあり……」

「セレナやめなさい!!」

「あの時はわたし達子どもだったな……あ! そう言えば、花で結婚指輪を作ったり」

「狼狽えるな! 狼狽えるな!」

「此処だけの話、姉さんリッくん先輩と模擬戦をした後にすっごく可愛い顔でリッくん先輩を見てて」

「セレナァァァァァアアアアアア!!」

 

 

 ──ゲストの場合。

 

 

「うーん。皆そこまで反応が変わらないな」

「ちょっと待って。さっきのグループ明らかに今までと違ったでしょ。それよりもマリアさんのあの反応、もしかして……」

 

 なかなかに混沌としてきた中、藤堯は廊下の曲がり角で誰かとぶつかりそうになる。しかし相手が超人離れした反応で避けられた為ぶつかる事なく、藤堯はつんのめりながらも謝った。

 

「おっとっとっと。申し訳──あれ?」

「アナタ達は、確か」

 

 藤堯達と遭遇したのは、サンジェルマン、カリオストロ、プレラーティだった。

 二人は挨拶をすると、彼女達に尋ねる。

 

「今日はどうなさいました?」

「ああ。例の件に少し進展があってな。そちらの司令に報告、情報共有をしに来た」

「なるほど。司令なら執務室に居られると思います」

「ありがとう」

 

 短く会話を終えて、別れようとし──藤堯が質問する。

 

「あのすみません。光彦──アカシアの事をどう思っていますか?」

「ちょっと!」

「ふむ……」

 

 友里が驚いて止めようとするが、サンジェルマンは対して気にした様子を示さず、少し考えて──口を開いた。

 

「彼は、私にとっての光だ」

「光……」

「ああ。もし彼と出会っていなければ……そこまで考えや思想は変わっていないのかもしれないが。それでも私は、彼と出会ったことで、今の私があり──イグニスという掛け替えのない存在と出会えたと思っている」

 

 幼い頃は守られるだけであった。

 自分が造り出したイグニスはパートナーとなり──未来を託された。

 そしてそれは、アカシアとの出会いから始まった。

 

「だから私はその出会いを光と呼ぶ」

 

 その答えはとても眩しくて、藤堯は恥ずかしくなった。とても結婚できる? と聞ける空気ではない。

 

「サンジェルマンベタ惚れね。アカシアが良い男だったらくっついていたんじゃない?」

「な、何を言っているの!?」

 

 カリオストロの茶々に、サンジェルマンが顔を赤くして叫ぶ。

 その反応におや? と藤堯が反応するが、友里が後頭部を殴って物理的に止めた。

 

「水を差すようで……サンジェルマンには悪いが、私はアレを好きだと言えないワケダ」

 

 そんな中、ピシャリとプレラーティが藤堯の問いに答える。

 

「無償に手を差し伸ばす等、それこそ愛する者との死別を覚悟して不特定多数の人間を救うなど普通ではない」

 

 アメリカな反応兵器から日本を守った時の事を思い出すプレラーティ。

 そう言われてしまうと、藤堯も確かに……と思ってしまう。

 

「サンジェルマンには悪いがな……」

「それじゃあプレラーティは大嫌いって事?」

「……いや。アレの善性は私も好ましく思っているワケダ。だからその無知な部分も知れば」

 

 それに、と一つ加えて。

 

「ジルに会えたのは、結局──彼の存在あってこそなワケダ」

「……そうね。あーしも同じ」

 

 プレラーティの言葉にカリオストロが同意を示した。

 

 

 ──響と未来の場合。

 

「コマチの事ですか? ……別に。ただの腐れ縁です」

(((いや無理があるでしょ???)))

 

 藤堯の問いに対して、ふいっと顔を背けて髪の毛を弄りながら照れた表情でそう宣う響。それに対して藤堯、友里、未来は内心で激しく突っ込んだ。

 今までの響とコマチを見て腐れ縁だと言われて納得する者は居ない。それで信じるのは余程の目が節穴な者か、言われた事をそのまま信じる底抜けに純粋な者だ。

 グレデレな響に苦笑しつつ、未来が答える。

 

「大好きです。わたしのお日様と同じくらいに」

「未来……」

 

 コマチを想う気持ちが、響を想う気持ちがシェム・ハに付け込まれてしまった。

 しかし未来はこの想いを偽ろうと思わず、素直に口にした。大好きな響と、大好きな響を救い続けた大好きなコマチへの想いを。

 

「じゃあ二人とも結婚できるくらいには好きって事?」

「「けっ……!」」

「おまっ」

 

 フルスロットルで叩き込まれた爆弾。

 炸裂する衝撃。

 絶句する友里。

 

「な、ななななな!!」

 

 顔を真っ赤にさせた響が地面を掴むようにして踏み込み。

 

「あ、アイツと結婚して一戸建ての家に住んで仲睦まじい家庭を作って!」

 

 その衝撃を足から膝。膝から腰。腰から胸。胸から肩、腕、そして腕に流し。

 

「一姫二太郎の近所の評判の家族になるなんて──」

 

 そしてそのインパクトを藤堯の胸に添えると同時に炸裂させる。

 

「そんな事、考えていないです!」

「ぐほぉあ!?!?」

 

 瞬間、藤堯は体を五回転くらいさせてから地面に叩き付けられて気絶。

 響は顔を真っ赤にさせてその場を走り去り。

 

「ちょ、響!? 何でそこまで詳細な未来予想図を!? もしかして普段から考えてる!? ちょっとこっち見て! ちょっと話そう! わたし怒らないから! 響──響ぃぃいいいいい!!」

 

 

 ◆

 

 

「いてて……」

「もう、何してるのよ」

「──え?」

 

 ふと目覚めたら、藤堯は友里の膝枕で寝かされていた。

 慌てて起きようとするが彼女に頭を押さえつけられてしまう。

 

「あまり無茶しないの──もう私の気も知らないで」

「……え?」

 

 ふと友里が頬を赤くして拗ねた表情を浮かべた。

 

「可愛い女の子に結婚したいかどうかなんて聞いてる姿──あまり見たくなかった」

「……どう、して?」

「──女の私から言わせる気?」

 

 空気が何処かピンク色になる。

 

「私は、あなたの事が──」

 

 体を震わせて精一杯の勇気で口を開こうとする友里は、まるで恋する少女の様で──。

 

「抜け駆けを許さんぞ!!」

 

 しかし次の瞬間、弦十郎がふんどし一丁で大声を出しながら登場した事で吹き飛んだ。

 

「藤堯ぁ! 好きだゾォ!!!」

「ちょ、司令、は? あれぇ!?」

 

 筋肉ムキムキなナイスバディを揺らして寄ってくる弦十郎に、藤堯は半狂乱だった。先ほどまで居た乙女な友里はおらず、いつの間にか部屋の隅に追い詰められていた。

 

「返事はぁ!?」

「すみませんノーですぅうううう!」

 

 しかし悪夢は止まらない。

 

「ンンンンンンン、藤堯くぅん! 僕と一緒に愛について語り尽くしませんかぁ!?」

 

 ウェル参戦。

 

「藤堯さん。あなたの事はお守りします」

 

 何故かホストスタイルの緒川参戦。

 

「っかぁ!! 果敢無き哉……」

 

 突然の風鳴訃堂! 

 

 漢達に囲まれた藤堯は顔を真っ青にして逃げ出し叫ぶ。

 

「こんなの絶対嫌だぁあああ──」

 

 

 ◆

 

 

「──はっ」

「あ、起きた」

 

 ふと気がつくと藤堯は──仮眠室で横になっていた。

 傍らには友里が居り、彼の目覚めに気がつくとため息を吐く。

 

「急に気絶してビックリしたわ。これに懲りたらもう徹夜テンションで変な事しないことね」

 

 どうやら先ほどまでの事は夢だったらしく──藤堯は心底安心した。

 

「──次からはそうします」

「よろしい」

 

 がっくりと項垂れた藤堯に、友里は笑いながらそう言った。

 

 

 ところで。

 

「ブイ?」

(響ちゃんどうしたの?)

「……何でもない」

 

 何処から何処までが──夢だったのか。それを知る者は誰も居ない。

 

 

 

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