【完結】戦姫絶唱シンフォギア ~キミに決めた!~ 作:カンさん
響が過去へと跳んだその日も、皆諦めなかった。
何か方法がある筈だと。コマチを救い、滅びの歌を止め、明日へと続く未来へと進む為に。
マリアは寝不足で倒れそうなのを必死に堪え、セレナはそんな姉を心配しつつ手伝い。
ウェルは死にそうな人達を何とか延命させつつ解決方法を模索し。
切歌は調に寄り添い。
奏や翼、クリスは世界中を飛び回り調査をし。
二代目は錬金術師協会を管理し。
キャロルとエルフナインハはシャトーの力で何とかできないかと想い出を遡り。
サンジェルマン達は研究を進める。
そんな中、弦十郎は未来から報告を受けていた。
「響くんが過去に……」
「はい。ディアルガの力を借りて歴史を変えようって」
「それができれば良いのだが」
──彼らは知らない。歴史を変えるのは不可能な事を。
──彼らは知らない。未来に行き、響が絶望している事を。
それでも彼らは諦めず、信じて、手を伸ばし続ける。
「──ブイ」
「──コマチ!?」
そこに、コマチが未来と弦十郎の元へやって来た。
未来は驚き、彼に駆け寄って抱き上げる。
引き篭もっていた部屋から出て来たのは嬉しいが、状況が状況だ。下手をすれば殺されてしまう。
「コマチ、今出てきたら」
「ブイ」
心配から彼を注意しようとした未来だが、彼は彼女の言葉を遮って弦十郎に頼み込んだ。
未来は彼の言葉を聞いて不思議に思い、思わず復唱した。
「みんなを集めて……?」
コマチは──覚悟を決めていた。
◆
そこはかつてシェム・ハと戦い、勝利し、彼女と手を繋ぎ──未来を奪還する事ができた場所。
ユグドラシル跡地。関係者以外入って来られないその場所に──シンフォギアを纏った皆とアルセウス。そしてコマチが居た。
コマチは
雨が降り続け──まるで皆の心を表しているかのよう。
しばらくジッと見続けて……コマチは皆に謝った。
「ブイ」
──ごめんね。皆に辛い選択を強いて。
その言葉に皆答える事ができない。
本当なら彼と別れたくない。彼を犠牲にしたくない。
しかし──彼の願いを、祈りを、想いを刻み込まれた彼女達は……コマチの言葉を無碍にする事はできない。
だから、涙を堪えて俯く事しかできなかった。
「ブイ……」
──みんな、響ちゃんに伝えて欲しい。
──勝手な事をしてごめんって。
──勝手に約束を破ってごめんって。
「──分かったわ。わたしが……伝えておくわっ」
彼のお願いに、マリアは頷いて引き受けた。
死にそうな程苦しそうな顔で、今にも血を吐きそうに。
コマチはそんな彼女の優しさに笑みを浮かべて、アルセウスへと向き直る。
『……良いのだな』
「……」
コクリ、とコマチが頷く。
装者達は最期の時が来たと、目を逸らしそうになりながらも、しかし耐えて彼の消滅を目に焼き付けようとして。
「──うあああああ!!」
響が、駆け付けた。
コマチはその声に、ずっと聞きたかった声に、大好きな響へと振り返る。
響は駆けながら目の前の光景を、装者達がまるでコマチを逃さない様に彼を包囲していたのを見て。
その光景は、嫌でも響に──現実を突き付ける。
通信越しに未来が言っていた事は本当だという事が。
「ああああああ!!」
響は装者達の包囲網を突き抜け、コマチを抱き上げ、アルセウスから離れようとして──サンジェルマン、カリオストロ、プレラーティ、キャロルの四人が張った結界に阻まれる。
結界にぶつかり、尻餅を着き。
「響!」
皆が駆け付けようとして。
「……どうして」
ギリッと奥歯から音が鳴り響き、握られた拳からは血が滴り、響から悲しみに染まり切った声が響いた。
「どうして!」
響は信じていた皆を睨みつける。対して奏達は、彼女の視線を受け止める事ができずに視線を逸らしていた。
「ブイ……」
──なんで、響ちゃんが此処に。
コマチは響にはこの事を教えないまま、この世界から、歴史から消えようとしていた。
そうすればこれ以上彼女が苦しむ事も、悲しむ事もないと思って。
装者達にもそう伝え、協力して貰っていた。
しかし、現実は非常で響は間に合ってしまった。
「ごめんねコマチ。わたしが教えたの」
「ブイ……」
「やっぱりこのままだと……響は納得しないと思ったから」
未来の言葉を聞いて、コマチは強く目を閉じて──響の説得を決意した。
「ブイ」
響ちゃん、とコマチが彼女の名を呼ぶ。
しかし響はその言葉を聞き入れず叫んだ。
「なんでこんな事を! なんで──なんで!」
響の叫びに、コマチの心が軋む。
迷ってしまう。悲しませたくない、と。でももう後には退けず。
そんな彼に代わるようにして、マリアが口を開いた。
「彼の願いなの。歴史を修正してこの世界を、皆を救ってくれって」
「マリア……!」
マリアの言葉に、響の目に怒りの感情が──否、憎しむの感情が浮かび上がる。
「何で……何で!? 皆あんなに必死に、何とかしようって……信じていたのに……いたのに!」
響の言葉が皆の心を軋ませる。
あれだけ信用していた皆を、好きだった皆を──受け入れる事ができなくなっていく。
何故ここに来て皆諦めてしまうんだ。あれだけ救おうとしていたのに、考えを裏返して彼を殺そうと──。
そこで響は、コマチがした事に気づいた。
「──コマチ。アンタまさか」
「……」
「力で、皆を──!」
「──ブイ」
──こうでもしないと、皆納得してくれなかった。
──だから……考えを変えて貰った。
コマチはこの世界を、皆を救う為に……皆を洗脳した。
ご丁寧に死にかけていた調を復活させて、絶対にアルセウスの力で消滅できるように、何があっても全てを──自分以外を救えるように。
そんな彼のやり方に──響は絶望した。
「──ブイ」
──響ちゃん、ごめん。
そしてコマチは、その力を響にも使った。
直接触れている為に侵食は早く、ドクンっと響の心臓が、魂が脈打ち、頭にモヤが掛かる。
──しかし響は五千年分の執念と神殺しの呪いで、コマチの洗脳に抗う。
「ぐっ……」
それでも、コマチの洗脳は、力は、彼の意思は諦めずに響を説得する。
コマチ を あきらめますか ?
「……っ」
はい ▶︎いいえ
頭に浮かんだコマチからのメッセージを、強い信念で拒絶する。
ならばとコマチは──皆の力を借りる事にした。
「響……分かってくれ。光彦の願いを蹴るって事は生きる事を諦める事なんだ」
「そんな訳……!」
「あたしだって嫌だよ! でも……仕方ないじゃないか……!」
コマチ を あきらめますか ?
奏の諦めるなという言葉を、その諦めてしまった言葉を。
はい ▶︎いいえ
「まだ、何か方法がある筈だ!」
諦めたくない気持ちが払い除ける。
「方法って……何だよ」
「だからそれを」
「お前だって過去に跳んで探して来たんだろ!? でも……見つけていないじゃないか」
翼の言葉が、響の心を深く斬り付ける。
「このままズルズルと時間が経てば……想いを遺してくれた皆を、親父達の死を……無駄にしてしまうんだぞ!?」
コマチ を あきらめますか ?
「まだ、時間はある!」
はい ▶︎いいえ
響は残り少ない時間に縋り付いて、翼の言葉を弾き飛ばした。
「それって……皆が死ぬまでって事だよね?」
「……それは」
「そんな地獄を、コマチに見せるの? コマチを……孤独にするの?」
クリスはこの先にある絶望よりも深い地獄を思い浮かべながら、彼により辛い想いをさせる響の言葉を否定し、撃ち砕こうとする。
「響は本当にそれで良いの!? 大切な人を目の前で失う痛みを、孤独になる苦しみをよく知るあなたが!?」
コマチ を あきらめますか ?
「そんな事はさせない!」
はい ▶︎いいえ
響は目を塞ぎ、耳を塞ぎたいと思いつつも反論する。
「響さん……それは優しさなんかじゃ無いです。リッくん先輩の事を本当に想うのなら──」
「だけど!」
「──よく考えてください! 本当に辛いのは誰なのかを! それでも心を押し殺して、リッくん先輩は……せん、ぱいは……!」
コマチ を あきらめますか ?
「よく考えるのはアンタ達の方だ!」
はい ▶︎いいえ
響は、優しさを捨ててでも彼女達を拒絶し、コマチを救おうとする。
「考えてないと思うデスか? ──皆必死に考えているデスよ! 博士だって死にそうになりながらも一生懸命に……!」
「でも!」
「それに! ……このままだと調が死んでしまうのデス。それは──コマチを犠牲にするのと同じくらい嫌なのデスよ……!」
コマチ を あきらめますか ?
「わたしだって……わたしだって……!」
はい ▶︎いいえ
切歌の涙は、響の歪んだ視界では見る事ができなかった。
「ここまで来て目を逸らすの? ──あなたが彼の願いを拒絶すればする程、彼の胸の苦しみは強くなる」
「──」
「だから、選択を間違えないで」
コマチ を あきらめますか ?
「嫌だ……! 嫌だ……!」
はい ▶︎いいえ
調の言う彼の心は、響は翳した心では触れる事ができない。
「──響。あなたが決断できないのなら……わたしが決めるわ」
「マリア……!」
「恨んでくれて構わない。……わたしは結局、あなたの味方にはなれなかった」
コマチ を あきらめますか ?
「嫌だ! 嫌だ! 嫌だ! 嫌だ!」
はい ▶︎いいえ
響はマリアを、皆を恐れてその場から逃げ出そうとする。
しかし結界がそれを阻み、逃げる事ができない。
「響……」
未来が響の名を呼ぶが、彼女には届かない。
コマチ を あきらめますか ?
「やめてくれ! やめてくれ! お願いだから、やめて!」
はい ▶︎いいえ
まるで子どものように響が泣き叫び、それを皆痛々しげに見る。
「──ブイ」
コマチはそんな彼女を見ていられず、アルセウスに一言だけ呟いた。
お願いだ、と。
『──良いのだな?』
アルセウスの問いにコマチはしっかりと頷き──響の手からふわりとコマチが引き離される。
コマチ を あきらめますか ?
「待って! お願い! やめて!」
はい ▶︎いいえ
取り戻そうとする響の前に、装者たちが立ち塞がる。
彼女達は涙を流しながら、悲しみに苦しみながら、コマチの意思に従う。
コマチ を あきらめますか ?
「わたしから日陰を──」
はい ▶︎いいえ
コマチ を あきらめますか ?
「奪わないで!!」
はい ▶︎いいえ
コマチ を あきらめますか ?
はい ▶︎いいえ
コマチ を あきらめますか ?
はい ▶︎いいえ
コマチ を あきらめますか ?
はい ▶︎いいえ
「──ああああああああああああ!!」
みんな を ころして コマチ を すくいますか ?
▶︎はい いいえ
「響……?」
──脈打つ鼓動が煩かった。聞こえる全てが雑音に、視界に入る全てが灰色に、軋み上げる心が翳り堕ちていく。
「──まさか」
マリアが響の波導から──彼女の愛憎を感じ取った。
「バルウィシェル……!」
響は唄う。コマチを救う為に。
「ネスケル……!」
響は唄う。手を繋ぐ為ではなく、拳を固く固く握り締める為に。
「ガン、グニィイイル……!」
響は唄う。花咲く勇気を枯らしてでも。
「トロォオオオオオン!!」
響は唄う。……大切で、大好きな掛け替えの無い仲間達を殺す為に。
ギアを纏った響が拳を振り抜き、それを奏が槍で受け止める。
「何してんだ響!?」
しかし響はもう何も答えず、殺す為に、救う為に前へと進む。
響の拳と奏の槍が何度も衝突し──バキリと奏の槍が打ち砕かれる。
「な!?」
それに一瞬気を取られた奏は、響の回し蹴りを諸に喰らい吹き飛ばされる。
「ぐあ!?」
「奏!? ──くそ!」
響は本気だ。その事を理解した皆は彼女を止めるべくアームドギアを手に、向かってくる響に応対する。
翼と切歌が響の行方を阻むように斬撃を振るいながら、彼女へと言葉をかける。
「やめろ響!」
「話を聞くデス!」
しかし響は退かず、ギリギリのタイミングで回避しながら前へ前へと進み──アメノハバキリとイガリマの刃を握り締め、そして折り砕く。
そしてその握り締めた拳で二人を殴り付け、翼をセレナの方へ、切歌を調の方へと吹き飛ばす。彼女達はそれぞれ受け止められるが、響は止まらない。
「翼さん!」
「切ちゃん!」
殴られた仲間に気を取られた彼女達に、響の手甲が唸りをあげ、空間を殴りつける事で衝撃波がセレナ達を襲う。
『きゃああああ!?』
四人が悲鳴を上げて、地面へと投げ出される。
その光景を見ていたサンジェルマン達は、響を止めるべく結界を解こうとし──その前に響がギロリと彼女達を睨みつけた。
「──させない」
響は──この五千年の時間逆行で錬金術を学び、己の物とした。
コマチを救えると信じて、力になると思い、しかし無駄だった。
その無駄が──何千年分の研鑽はサンジェルマン達の錬金術を掌握する。
サンジェルマン達の逃がさない為の結界は、響の誰も入らせない──繋がりを隔てる壁へと変わった。
「──な!?」
「邪魔はさせない……!」
空を睨み付ける響に一つの弾丸が放たれる。
しかしそれを響は簡単に受け止め、自分を狙い穿ったクリスへと視線を向ける。
その視線はどこまでも冷たく、クリスの熱は、炎は……届きそうに無かった。
そこに波導を纏ったマリアが拳を振り抜き、響の拳と激突し、衝撃が走る。
「──それが、あなたの選択なのね」
「……」
マリアの問いに響は答えず、力で応える。
ガンッと音が鳴り、マリアは響の拳の力を受け流しながら後ろに飛び、未来の隣に降り立つ。
「響……」
未来が悲しそうに、辛そうに彼女の名を呼ぶが──響は陽だまりすら拒絶し、自ら翳す。
他の装者たちも悲しみを帯びつつも、響は止まらないのだと理解し──覚悟を決めて立ち上がる。
「ブイ……」
それをコマチは。
「──ブイ」
見ている事しかできず──。
彼女達は血まみれになるまで殺し合いをし──。
◆
「っ、ぁ……」
凄惨な戦いの後、倒れ伏したのは──響だった。
彼女も、彼女を叩きのめした装者達も、皆ボロボロだった。
マリアが居て数で負けている以上、コマチとの融合が使えない響に勝ち目はなかった。
響が負けても死んでいないのは、装者達が響の事が大好きで、愛していて、仲間だと思っているから。
装者達が血塗れになりボロボロなのは、それだけ響がコマチの事を大好きで、愛していて、家族だと思っているから。
「……お、ねがい」
掠れた声で響が懇願する。
「ころ、さないで……」
それは命乞いではなかった。
「け、さな、いで……」
それは──。
「わたしから、コマチを……奪わないで……」
それは──少女の祈りだった。
しかし、人の祈りを聞き遂げて奇跡を起こす神は既に居らず、日陰は裁きの時を待つのみ。
「ブイ……」
コマチはその光景を目に焼き付けながら、どうか自分が居なくなってもまた皆が仲良く、幸せになれるように願い。
アルセウスに向き直り、最期の時を受け入れるべく目を閉じ、アルセウスもまた力を行使しようとし。
凶祓いの光が力の行使を中断させ、黒きマントがコマチを包み込んでアルセウスから奪われる。
「──ブイ!?」
コマチは戸惑う。何故なら、それはあり得ない行動だからだ。
自分の力で彼女達は自分に賛同してくれている。
だから邪魔をする筈が無い。
それなのに──奏が、翼が、クリスが、未来が、マリアが、セレナが、切歌が、調が……響の側に立ち、涙を流していた。
『──何故だ。貴様らは納得したのではないのか?』
アルセウスが、コマチの代わりに問いかける。
それに対する答えは──。
『──している訳無いだろ!』
彼女達は正気に戻ったのではない。心が変わったのではない。考えが変わったのではない。
ただ、響の涙を見てしまった。泣いている所を見てしまった。傷つけてしまった。
そうなるともう……ダメだった。
人間は感情で動く。それを本能で抑え、理性で動く事もできるが──本当に大切な事は、心に従う。
人間はそうやってずっとずっと生きてきた。
「みん、な……?」
響が顔を上げて、仲間達を見る。
「ごめんな響。あたし達まだこれが正しいのか迷っている」
「それでもオレ達はお前を放っておけない」
憎しみに囚われて涙を流し苦しんでいた響を知っているからこそ、奏と翼は今──いや、あの時から彼女を救おうとする事に戸惑わない。
「わたしは何度も間違えてしまう……それがあなたを傷つけてしまう──そうしてでもあなたと隣に居たい」
道に迷い、撃つ弾丸を間違えても、クリスは響に寄り添いたい。
「同じ痛みを知っているからこそ、何が正しいのか、何が間違っているのか、分からなくなる」
「それでも。偽善と言われてでも、後悔したくないのデス。響さんを泣かせるのは、嫌だから」
調と切歌が響に肩を貸し、立ち上がらせる。
「もう優しさが何なのか分かりません──でも優しくなくても、わたし達は」
セレナがその力で響の体を癒す。その行為が罪の意識から来るのか、泣かせてしまった事に対する贖罪なのか、優しさなのか、もう分からない。
「もう弱いままでも、強いままでも居られない。あなたの敵でも、味方でも居られない。でも、それでも……裏切れない」
マリアは弱々しくコマチを抱き締めながら、弱音を吐く。
もう皆──訳が分からなくなっていた。
狂っていると言われても仕方がない。
それでも──響の涙を見たくない。コマチを悲しめたくないと言う気持ちは同じで。
「みんな……!」
「響……」
「未来……」
響は、未来の伸ばした手に触れて、皆の顔をそれぞれ一人一人見て、このどうしようもない絶望の中で、崩れかけた世界に咲いた胸の歌に、応えてくれた残酷さえ抱き締める
『──認められない』
しかしそれをコマチが否定する。
マリアの腕から飛び出したコマチは、アルセウスの隣に浮いて戻ると──彼女達を見つめる。
もう彼は声を出さず、テレパシーだけで一方的に彼女達に告げる事にした。
声に出すと、感情が込もってしまうから。
「コマチ……!?」
『俺は──消滅してでも、この世界を救う!』
その言葉を最後に、彼はアルセウスへ助力を頼み。
響達は、コマチの言葉を、行動を認められず──。
「それでも、わたしは……わたし達は!」
『邪魔をするなら……!』
アルセウスとコマチが光を放ち、それを止めるべくシンフォギア装者達は必死に喰らい付き、彼女達の歌は、彼の覚悟は、魂は、世界は──まるで流れ星のように、堕ちて、燃えて、尽きて、そして。
第十話「FOR THE FUTURE」
──動かない装者達。
──傷だらけになり、神殺しの力で瀕死の状態のアルセウス。
──そして、その地獄の中心で立つのは──血塗れになった響と、彼女に首を掴まれているコマチ。
『響、ちゃん……』
「……ごめん、コマチ」
もう──どうしようも無い。
皆が死んでしまった。皆がこれから死んでしまう。
それなら、響が取れる選択は。
「わたしは」
響は。
「世界を壊してでも──アンタを救う」
未来を翳してでも──自分を救うしか無かった。
グシャリとナニカが潰れる音がし──一つの世界が終わった。
もう、誰も止められない。
止める者が──居ない。
次回、LOST SONG編 最終話