【完結】戦姫絶唱シンフォギア ~キミに決めた!~   作:カンさん

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デートした事ないのでデートシーン書けなかった
許せサスケ八卦六十四掌


第五話「忘れてもなお変わらぬ想い」

「本当に良かったんでしょうか……?」

 

 藤堯の戸惑いの声が発令室に響く。

 彼はモニターに映る光景を見て眉を顰めている。そしてそれはここに居る何人かの人間も同じ想いでいた。

 

 現在、響は未来と共に外に出ている。

 通信機や拘束具を付けていない状態で。

 確かに二課は彼女を捕らえるつもりはなかった。しかし協力はして欲しいと考えていた。だからこそあのような作戦に出たのだ。結果は裏目に出てしまっているが。

 

 故に、今の状況は二課にとって苦いもの。

 このまま彼女がガングニールを纏って逃走すれば、二課は響を見失ってしまう。

 

 そのリスクを負ってでも、弦十郎は未来に後を託した。

 

「オレ達では心を開いて貰うどころか、逆に閉ざされてしまう。……オレ達にできる事は見守る事のみ」

 

 そしてもし未来が説得できなければ……無理強いをする事はない。

 ただ戦場に立った時、彼らは響を守り、共に戦おうとするだろう。

 例え拒絶されても。何度でも。

 

 

 第五話「忘れてもなお変わらぬ想い」

 

 

「響、これなんて似合うんじゃない? あ! こっちも良いかも!」

「…………」

 

 響は機嫌が悪かった。

 コマチを失い余裕のない彼女は、どうしても二課の行動が自分に擦り寄るものに見えてしまう。彼らが善人だという事は分かっているが、受け入れる事はできない。それと翼と藤堯は単純に不快だった。何が子猫だ。何自信満々に入って来てんだ。ぶちのめすぞ、と黒い感情が浮かんでしまう。

 

 だからこそ、目の前の女も信じる事はできなかった。デート言われても、どうせ自分を懐柔する為だろうと冷めた目で見てしまう。外に出る事ができる為こうして着いて来たが……隙を突いて逃げるつもりだった。

 だった、のだが……。

 

「響はカッコいい系も似合うけど、こういう可愛い系も似合うと思うんだ。響はどう思う?」

「……別に。どうでも良い」

「もうっ。またそれっ。でも良いよ。わたしが選ぶから!」

 

 何故か目の前の少女にだけは、無徳な扱いができなかった。

 何かしらの武術を習っている訳ではなく、シンフォギア装者でもない為、いつでも逃げる事ができる。

 しかしできない。

 

 ──彼女を放って置く事ができない。

 

「ねえねえ響。この猫のぬいぐるみ、響に似てない?」

 

「あ、あの映画今日上映だったんだ。見てみる? そっか、興味ないよね」

 

「あのお店いい雰囲気……行ってみる? ……うん、分かった」

 

 それでも。

 

「──いい加減にして」

 

 響は拒絶する。

 

「わたしは、こんな事をしている場合じゃない!」

 

 陽だまりに居られない。

 

「早くアイツを助けないと!」

 

 日陰に戻りたい。

 

「奪われたわたしが、今度こそ!」

 

 もうあの時の……独りにはなりたくない。

 響の心からの叫びに、未来はしっかりと受け止めて、彼女を真っ直ぐと見つめる。

 悲しむでもなく、憐むでもなく、ただ真摯に響を見ていた。

 

「……ちょっと来て」

「ちょ……!?」

 

 そして彼女の手を取ると歩き出す。

 響が抗議の声を出すが、未来は強引に引っ張って行く。

 しばらく歩き街から離れ、とある高台へと着く。そこは、街を見渡す事ができる場所で、夕陽の輝きと相まって絶景スポットだった。

 そこに着いた未来はようやく響の手を放す。

 

「綺麗でしょ、少し前に見つけたんだ」

「……」

 

 しかし、響は応えなかった。

 未来もその事を察していたのか、気にした様子を見せず──彼女の心の旨を出した。

 

「そのコマチって子、大切なんだね」

「ああ、そうだ! わたしが唯一手を伸ばせる日陰! だから──」

「だったら、二課の人達に協力して!」

 

 響の叫びを己の叫び声でもって遮る未来。

 未来は、別に響が本当に嫌なら二課に協力しなくても良いと思ってた。確かに戦力的に厳しいかもしれないが──それ以上に大切なものがある。

 そしてその大切なものの為に──未来は彼女に想いを伝えた。

 

「なにを……」

「大切なら手段を選ばないでよ。どうしてそうやって1人で抱え込んじゃうの!」

「……っ」

「悲しいなら悲しいって言ってよ。助けて欲しいなら助けてって言ってよ!」

「っ、それが言えないからわたしは! 助けてくれたアイツは今!」

「だからこそ、今言うべきなんだよ。だって──」

 

 わたしは、わたしたちは手を差し伸ばしているじゃない。

 

「──」

「……今の響には確かに難しいかもしれない。酷い事を言っているのも分かっている──

 でも、このまま放って置いて、後悔して欲しくないから。悲しんで欲しくないから。だから──」

「それでも……それでも無理なんだ」

 

 響を自分の手を見る。

 酷く震えている。思い出す。──家族を滅茶苦茶にした呪われた自分の手を。

 差し伸ばした分だけ、頑張った分だけ、周りを不幸にする。

 わたしは呪われている。

 だからこそ彼女はコマチ以外には手を伸ばせない。

 

「……そっか。そうだよね」

 

 響の言葉を聞いて、未来は頷いて──。

 

「だとしても、わたしは響に手を伸ばす事を……諦めたくない」

「──」

 

【──だとしても、俺は君に手を伸ばすのを諦めない】

 

「だからお願い響。一言で良いから。今回だけで良いから。響の本音……聞かせて」

 

【──だから一言で良い】

【──今回だけでも良い】

【──言ってくれ、君の本音を】

 

「……」

 

 同じだった。

 響を救ってくれたコマチと同じ事を、彼女は同じ言葉を響に送った。

 苛立ちとで握られた拳から力が抜ける。

 黒く染まった怒りが収まり、表情も険が取れいつもの落ち着いた彼女へと戻る。

 そして、彼女は──言った。

 

「──お願い、助けて。アイツを……助けたい」

 

 その言葉に対して、小日向未来は当然こう答える。

 

 

「もちろん!」

 

 その際に浮かべた笑顔は陽だまりみたいで──温かいな、と響は思った。

 しかしそれと同時に申し訳ない気持ちも浮かぶ。

 目の前の少女は過去の響を知っていた。そしてそれを彼女は覚えていない。

 その事をちゃんと伝えたし、拒絶もした筈だ。

 それなのに──。

 

「ねえ……どうしてそこまで……。わたし、アンタの事忘れているのに」

「当然だよ──わたし、諦めていないから……諦めるものか」

「え……?」

「いつか絶対、わたしの事を思い出して貰うんだ」

 

 未来は響にそう宣言して。

 

「とりあえず今は──」

 

 背後の街を見て。

 

「今度はコマチって子も連れてデートしよ。そして、この景色を見せてあげたい」

 

 笑顔で未来を思い浮かべて響に言った。

 それを聞いた響は少しだけ──ほんの少しだけ笑って。

 

「……うん」

 

 コマチを此処に連れてこよう──三人で見る為に。

 と、ギュッと拳を握り締めて胸に誓った。

 

 ──小日向未来、説得に成功。

 以降、コマチ救出まで二課と協力体制に入る。

 

 

 ◆

 

 

 うおおおおおおおお! トリプルアクセル! 

 

「なんの! せい!」

 

 うわああああああ! 俺のキャラが場外にいいいい!? 

 

「……楽しそうだね。というか、よくゲームができるね」

 

 後ろから観戦していたクリスちゃんが何処か呆れた声を出す。

 まあね。街の悪ガキ共と店頭で試遊場でよく遊んでたからね。

 うちテレビが無くてゲームできないから、あそこでしかできないんだよな……母ちゃんにゲーム買って貰えない子どもたちはソウルメイトだぜ。

 

「あたしはたくさん持っているデスよ! といっても相手は弱っちい博士だけでつまんないデスが」

 

 相変わらず言葉の何処かにトゲがあるねキリカちゃん。

 

「さて、これであたしの十連勝──ぐっふっふ。敗者は勝者に従う。そう言いましたね?」

 

 ぐぬ……確かにそう言った。

 あわよくば十連勝して此処から逃して貰おうと思ったけど、まさか負けるなんて……! 

 

「意外と小狡い……」

 

 賢いと言って! 

 

「小賢しい……」

 

 クリスちゃん? 

 

「まーまー。敗者に口無しデスよ──という訳で、モフらせろー!」

 

 ぐあー!? モフられたー!? 

 でも仕方ないよね! 俺、ぷりちーなイーブイボディだから! 

 おまけでつぶらな瞳もプレゼントしてあげよう! 

 

「あざとい。そういうのは良いのデス!」

 

 ひどす。

 

「作られた可愛さは……ね」

 

 いやクリスちゃんも人の事言えな──ああ、何でもないです。だからイチイバル握り締めないで。

 それにしても……ふむ……。

 キリカちゃんは、その……発育が良いですね。

 やわっこいのが当たってらっしゃる。

 というか、会う子だいたい発育がよろしい。響ちゃんもそうだし、奏さんもナイスだし。目の前のクリスちゃんなんてメガシンカしてらっしゃる。

 翼さん? 滑りやすそうだなって。

 あとこの前のリボン付けた子も……まあドンマイ。

 

 ──余談だが、この瞬間若干2名殺気立った。

 

「あー、癒されるデスねー。クリスもどうですか?」

「……わたしは、良い」

「えー、何でですか? そうやっていつも拒否して」

 

 あれ? キリカちゃん知らないの? 

 クリスちゃんキリカちゃんが寝た後二人っきりになったら存分に甘──はい、何でもないです。

 

「二人っきり……!? なんだか、えっちデス!」

「そういうのじゃないから!」

「慌てて強く否定するとか、ますます怪しいデス!」

「だから……! コマチも、何か言って」

 

 クリスちゃんは……その……凄かったです、ポッ。

 

「……!」

「あ、ヤベーデス。本気で怒らせてしまったデス」

 

 おいおい、死んだわ俺たち。

 

「──随分と賑やかね」

 

 己の死期を悟って、どうせ死ぬならクリスちゃんの胸の中で……! と、思っていたら第三者の声が聞こえた。

 その声を聞いたクリスちゃんもキリカちゃんも動きを止めて、何処となく固い雰囲気を醸し出す。

 もしかして、この人が……? 

 そう思い振り返って──絶句した。

 

「……お久しゅうございます」

 

 何か言っているが頭に入らない。何故なら──新たな胸囲……じゃなくて驚異が現れたからだ。

 しかもノー装備! つまり裸族! 辛うじて白衣を羽織っているけどそれで余計にエロい! 

 不味いぞ……囲まれた! メガおっぱいにデスデスおっぱい、そしてノーガードおっぱいに囲まれた……! 

 翼さん三人呼んでこい! 相殺するから! 

 

「えっち……」

「確かこういうのを淫獣って言うんデスかね?」

「……はぁ」

 

 ……失礼、取り乱しました。

 

「いや、もう遅いから」

 

 クリスちゃんの視線が心無しか冷たい。ひんひん。

 そうやって泣きそうになっていると、裸族おっぱいさんに抱き抱えられた。

 

「相変わらず変わりませんね」

 

 性分でな。

 ……あれ? 会った事あったっけ? 

 

「……覚えていないのなら結構です」

 

 そう。あ、単刀直入に聞くね。

 君がフィーネ? 

 

「はい、そうです」

 

 そっかー……。

 その答えを聞いて、俺は腕の中から抜け出して、彼女から離れた。

 

「ブイブイ!」

 

 君がフィーネなら、今は仲良くできない。

 あなたの所為で、苦しんで、泣いている人を知っているから。

 

「……そうですか」

 

 うん。

 

「…………そう、ですか」

 

 ……うん? 

 

「──はぁ」

 

 絶句してしまった。

 突如目の前の女性、フィーネが深いため息と共に膝を突いて、何だか凄いショックを受けている。

 それを見たクリスちゃんたちも驚いていた。

 え? 何が起きているの? 

 

「き、気になさらないでください……覚悟していたとはいえ、やはり心に傷が……」

 

 大丈夫? とあまりにもあまりな姿に思わず近づいて問い掛けた。

 いや、してきた事は許せない人だけど流石にね? 

 

「──本当、相変わらずですね」

 

 どうにか持ち直したのか、フッと意味深な笑みを浮かべるフィーネさん。

 俺の事を知っているのか? 

 

「ええ、知っています──貴方以上に」

 

 ふーん。まあ、いいや。

 それはそうとフィーネさん。俺を解放して。

 

「ええ。構いませんよ」

 

 え? 

 

「え?」

「……どうしたクリス。不服か? 元々そういう手筈だろう?」

「……うん」

 

 一瞬、フィーネさんとクリスちゃんの間で不穏な気配が流れるが、すぐに消えた。

 フィーネさんはこちらを見て、言葉を続ける。

 

「ただ、タイミングはこちらで決めさせて頂きます。ですので、もう暫く此処に」

 

 う──────ーん。響ちゃん的に早く帰りたいんですが。

 

「それならご安心を。今は冷静になり、二課と協力体制にあります」

 

 マジ? あの響ちゃんが? 

 どういう心境の変化なんだ? 

 

「大事、だから……。だから、手段を選んでいられない」

「以前より厳しい戦いになるという事デスね」

「それもある。けど──」

 

 んー? やっぱりクリスちゃんの様子がおかしいな。

 後で話を聞くか。

 

「では、こちらに来てください」

 

 え? なんで? 

 

「貴方を攫ったのは、ある目的の為──しばらく大人しくして貰います」

 

 大人しくって──って、待って。

 

 

 

 それが何でこの世界にあるの? 

 

「では、行きます」

 

 ちょ、まっ──。

 

 

 ◆

 

 

 立花響が二課と協力体制に入ってしばらくし、ある事件が起きる。

 広木防衛大臣の暗殺事件。

 それを機に二課は慌ただしくなり──ある計画が実行される。

 

 完全聖遺物デュランダルの移送計画。

 この件に、装者たちは外敵を警戒し警護に回され──その日、再び二つの勢力が衝突した。

 

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