【完結】戦姫絶唱シンフォギア ~キミに決めた!~   作:カンさん

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第三話「覚醒──夜明けの光」

 

「フィーネの事は聞いたデス……お悔やみ申すデス」

「──!」

 

 キリカの言葉にピクリと反応するクリス。

 しかし、それを悟られないようにしつつ、彼女はキリカに問いかける。

 

「なんで、こんなことをしているの?」

 

 何故手伝っているのではなく、何故しているのか。

 質問の仕方から、クリスがどれだけ察しているのかが伺える。

 ──ソロモンの杖は、元々彼女……の背後に居る人物が欲している完全聖遺物だった。

 それを容易く手放し、マリア達に渡すとは思えない。

 つまり──キリカもまた主犯の仲間という事になる。

 

 クリスの問いに、キリカは困ったように頭部を掻いた。

 

「すみませんが、それは言えないデース」

「……また()()?」

 

 キリカの()()に、クリスは不快そうに吐き捨てた。

 ……クリスは、二課に言っていない情報がある。

 別に彼らを信頼していないから、ではなく彼女が言いたくなかったから。それを汲んで弦十郎も他の者達も無理に聞き出す事は無かったし、それで何か不都合があった訳では無い。

 しかしこれからは違う。

 敵対者の情報として、クリスは話すだろう。

 ──友を助ける為に。

 ──母を助けられなかった時のような想いをしない為に。

 

「本当、言いたい事を言えなくするのは──気分が悪い」

「んー、それが人間とあたしの違いなのかもしれないデスね」

「──変わらないよ、わたし達もキリカも」

「──いいえ。違うデス。そうじゃないと助けられないデスから」

 

 譲れない想いが、叶えたい願いがある故に。

 忘れられない想いが、約束した願いがある故に。

 彼女達は──ぶつかり合う。

 

 

 第三話「覚醒──夜明けの光」

 

 

 クリスとキリカが激闘し爆煙を起こす中、マリアはコマチの首を掴んで持ち上げていた。

 

「さぁ、力を解放しなさい──今日このライブの目的はアナタなのよアカシア?」

 

 アカシア。その名を知っている者は極僅かしかいない。

 にも関わらずマリアが知っているという事は、可能性が高いのは彼女の言う通り──。

 しかしコマチは、先ほどの悲しそうな顔が忘れられない。

 

「早くしなさい! 例え貴方でも、わたしのこの力があれば殺せる──また、記憶を失いたいの!?」

 

 こうして毅然とした態度が──とても痛々しい。

 なんとかしたいが、動けない。

 首を絞められ、波導で技を使う力の流れを阻害されているコマチは何もできなかった。

 唯一できるのは、ライブの際に吸収、増幅させた力を解放する事くらいだが──。

 

 コマチの中の本能が警鐘を鳴らしている。

 それはダメだと。

 それをしてしまえば──夢の中で見た事が現実に起きると理解していた。

 

 だからコマチは必死に我慢し──背後で怒りの奔流が会場を包み込んだ。

 空気が重くなる。ステージに乗せられた足が、ビキリとヒビを作り上げる。

 マリアはそれを涼しい顔で見据え、コマチは苦しみながらも振り向き、ダメだと叫びたくてもできなかった。

 

「──何を、している……!」

 

 響が……怒っていた。

 

「コマチを……放せえええええ!!」

 

 紫電が迸り、響がマリアの懐に入る。

 

「フン」

 

 しかし波導で先読みしているマリアはそれを受け流そうとし──直前で響の拳の軌道が変わった。

 

「──っ」

 

 ギリギリで気付いたマリアは、長い脚で蹴り上げる事で拳を弾いた。

 しかし今の一手で響の危険性を感じたのか、ここで初めて後退した。

 その際に掴んでいたコマチを無意識に抱き寄せて、コマチは「お?」と反応し、響は怒りのボルテージを上げる。

 ごめんって、とコマチが無言で謝った。

 許さん、と響は無言で睨み付けた。

 

「復讐、いや妄執の力か……!」

 

 先の戦いで見せた響の力。

 その片鱗を見て流石のマリアも冷や汗を掻く。

 

「おおおおおおお!!」

 

 追い縋る響。その瞳には敵対者を叩きのめすというギラついた敵意しかなかった。紫電を纏った高速のラッシュが暴風雨のようにマリアを襲う。

 それでも尚直撃を免れているのは、波導による先読みとガングニールの力故に。

 しかしこのままでは時間の問題である──彼女が一人なら。

 

「Seilien coffin airget-lamh tron」

 

 新たな歌が──戦場に響いた。

 銀色に輝く刃が舞台を舞い、そして勇者を守る妖精の如くマリアの前に飛来し──エネルギーシールドを形成する。

 響の拳はその盾に阻まれた。

 一瞬動きを止めた彼女に、マリアがカウンターを叩き込むようにして握り締めた拳を振り抜いた。

 

「ガッ──」

 

 響は頬を打ち抜かれて吹き飛び、再び観客席に叩きのめされた。

 それを見送ったマリアは、背後に立った自分の妹に礼を言う。

 

「助かったわセレナ。おかげで無駄な波導を使わずに済んだ」

 

 そう言ってマリアは溜めていた波導を自分へと還元する。どうやら迎撃する用意はあったようだ。

 セレナはその言葉に心配そうにしつつ、視線をマリアの胸の中にいるコマチへと向ける。

 

「それが……」

「ええそうよ──わたし達の切り札」

 

 だけど──と言葉を続け。

 

「マムの言っていた通りね──ネフィリムを解放させるだけの力がないみたい。それに、こちらの言う事を聞いてくれない」

「では……」

 

 計画を思い、セレナが問いかける。

 マリアは頷いてはっきりと答えた。

 

「──このまま来てもらうわ」

 

 しかし──マリアのその言葉は……地雷だった。

 ビキリと四人の額に青筋が浮かび上がり、逆鱗に触れられた彼女達はマリアの前に集結した。

 そして──全員が怒りの表情を浮かべて叫ぶ。

 

『絶対に、させない!!』

 

 セレナがその怒気に思わず後退り、しかしマリアは。

 

「できるのかしら──貴女達に?」

 

 ちゅっと抱き寄せたコマチの額に口付けを落としながら挑発し──第二ラウンドが始まった。

 

 

 ◆

 

 

「ひゃー。これは凄い事になっているデスね」

 

 クリスと戦闘をしていたキリカだったが、突如その相手がブチ切れてマリアの方へと向かった為、彼女も舞台の方へと降り立った。

 しかし戦闘に加わる事なく、キリカは二課の四人とマリアの激闘を見て感心していた。

 

「それにしても凄いデス──あのマリアに喰らい付けるとは」

 

 キリカの知る中で最強はマリアだ。

 自分もまた依頼先の荒事で、戦闘経験は豊富な方だが……あの状態のマリアには勝てる気がしなかった。

 

 波導による先読み、遠中近距離に対応した技、攻撃力の高いガングニール。そしてそれらを使いこなす戦闘スキルと血の滲むような努力。

 

 先日模擬戦をしてコテンパンにされて以来、キリカは敵対したくないと心底思った。

 

「でも時間は大丈夫なのデスかね──その辺どうなのですかセレナさん?」

「……」

 

 キリカの問いに、セレナは黙して語らず。

 両者の間には、三人分の距離があり──それが心の距離を表していた。

 

「ありゃ、その反応は答えられない、デスか」 

「……個人的に、答えたくないだけです」

「それはそれでオッケーデース。どうせ調と博士が分かっている事でしょうから──それよりも」

 

 スッとキリカが指さしたのは──セレナの胸。

 

「その相変わらずなみょうちくりんは、息、しているデスか?」

 

 ……の中で幸せそうな顔でこの世を去ろうとしているコマチだった。

 キリカの指摘にコテンと首を傾げて疑問に思い、視線を下に下ろして……彼女は顔を青くさせてアワアワと慌て出した。

 

「リ、リッくん先輩!? ごめんなさいわたし気付いていなくて──」

「いやソイツおっぱい好きデスからそのまま死なせてあげた方が本望デスよ」

「そういう訳にもいきません! ああ、リッくんせんぱ〜〜い!?」

 

 山脈の中で遭難仕掛けていた登山者コマチは──「ブイ」と一言呟いてう前足を上げて──満足そうな顔をして再び埋もれた。

 セレナの悲鳴が木霊する。

 

 

 

「あんの淫獣!!!!!!!」

 

 そしてそれを見た響がブチ切れていた。

 

「落ち着け響! 取り戻して説教だ!」

「奏の言う通りだ! あの節操なしをオレ達で粛清する為にもマリアを倒す!!」

「お前が言うなって言いたいけど、今回は翼に賛成……!」

 

 二課の三人も切れていた。

 コマチ、どの道死ぬ事が確定した。ブルリと体を震わせ、彼は今この瞬間の幸せに身を委ねる事にした。人、それを現実逃避と言う。

 マリアは一人呆れた様にため息を吐き、装者たちに言った。

 

「余裕の無い女は捨てられるわよ」

『!!!』

 

 火にガソリンをぶち込むような行為だが、それでも彼女は四人の怒りの炎を凉し気に受け流していた。

 その事に響たちは歯噛みする。

 怒りで火照った頭がすぐに鎮火される程の実力差。

 クリスが合流し、近接での手数を増やしたにも関わらずマリアに攻撃が当たらない。

 四人で歌い、攻撃も速度も通常の倍以上に高めているが、マリアは一人でその歌に対抗する。

 さらにそれを乗り越えようと四人の

 歌が激しくなり──そうして堂々巡りをしていると、マリアの元に通信が入る。

 

『マリア。ネフィリムの起動に成功しました。長居は無用です──撤退なさい』

「OK、マム」

 

 通信に答えると同時に、マリアは装者達を弾き飛ばしてセレナとキリカに間に降り立つ。

 

「セレナ、放してあげて」

「はい」

 

 そしてセレナにコマチの解放の指示を出す。するとコマチが地面に降り立つと同時に、響が雷速で回収しすぐさま距離を取った。

 ギュッと抱き締めたコマチが苦しそうにしているが……響は緩めずマリアを強く睨み付けていた。

 

「さっきのアレはただの挑発だったの?」

「まさか。でも状況が変わった──今夜は帰らせてもらうわ」

「させると思っているのか!?」

「そう思っているのよ」

 

 奏の言葉に不遜な態度で返すと、彼女はギアを変形させ──奏と同じアームドギアを手に持った。

 

「温存していやがったのか!?」

 

 驚きの表情を上げる翼に構わず、マリアは槍を掲げ矛先に全エネルギーを集中させる。

 ギアの力と波導の力が混ざり合い──空気が揺れる程のエネルギーが暴れるその時をいまかいまかと待ち続けている。

 

「これに耐え切れたら──また、会いましょう」

『──っ!!』

 

 ──HORIZON†SPEAR+

 

 そして放たれた砲撃は──大気とステージを根こそぎ吹き飛ばしながら響たちに襲い掛かった。

 その威力──絶唱に届かんばかりに桁違いだった。

 響達はそれぞれ対抗する為に、ギアの出力を上げれるだけ上げて技を放つ。

 

──我流・雷塵翔來

──蒼ノ一閃

 LAST∞METEOR

──LAST∞METEOR

SEPULTURA BUSTERRAY

 

 雷が、竜巻が、斬撃が、弾丸が、マリアの一撃と激突し──押し負ける。

 

「嘘だろ!?」

「っ……」

 

 奏が叫び、クリスが絶句する。

 翼は前に立ちアメノハバキリで受け止めようとして──そんな彼女の肩を足場にし、前へと飛び出す影があった。

 

「ブイ!」

「コマチ!?」

 

 響が泣きそうな声で叫ぶ中、コマチは次々と技を発動させていた。

「みがわり」「ひかりのかべ」「バリアー」「まもる」で受け止める態勢を作り、「サイコキネシス」「ねんりき」「じんつうりき」で力の流れを操り直撃を避けるように操作し「このゆびとまれ」で響達に万が一に逸れないようにし──。

 

 

 ライブ会場は、爆音と閃光に包まれた。

 

 

 ◆

 

 

 アレだけの大技が放たれたのに、俺達は、それどころかライブ会場の外に居る観客達も無事だった。

 ……さっきの感触。

 響ちゃんたちの技が破られて焦って色々と頑張ったけど……最後のあれって──。

 

「完敗だな」

 

 奏さんがポツリと呟く。

 振り向いてみれば、全員心底悔しそうなかおを浮かべていた。

 

「アイツに……マリアにビビっちまった」

 

 ギュッと拳を握り締める翼さん。

 

「目的は分からないが──アイツの覚悟を決めた目に負けちまった」

「わたしもそう」

 

 クリスちゃんは悲しそうな顔で、疲れたように言葉を吐く。

 

「そうであって欲しく無いと思って、わたしは何もかもが中途半端だった──あの時後悔したのに……友達と戦う事を怖がった」

 

 やっぱりアレは見間違いではなかったのか。

 クリスちゃんを抑え込んでいたのは──キリカちゃんだった。

 クリスちゃんは、母親当然であるフィーネさんと戦って、そして……。

 

「ちくしょう……!」

 

 ガンっと響ちゃんが地面に両腕を叩きつける。

 

「わたしは、守れなかった……! アイツはコマチをどうとでもできた……!」

 

 響ちゃんの言葉に俺は──応える事ができなかった。

 ……あの時の事を思い出しているのだろう。今回は見逃されていたが……。

 

「ちくしょう──ちくしょおおおおお!!」

 

 ──俺はまた、悲しませてしまった。

 響ちゃんの叫び声が、虚しく響き渡った。

 

 

 ◆

 

 

「ハッ、ハッ、ハッ……悪いわねセレナ」

 

 ギアも波導の力も解けたマリアは、現在顔を青褪めて荒く呼吸を繰り返し、体をガクガクと震わせながら──セレナに横抱きに抱えられていた。

 セレナは、そんな姉の──無理をした結果の姿に涙を流しながら叫んで問うた。

 

「姉さん、なんであんな力の使い方を──最後、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()!」

 

 コマチの感じた違和感の正体は──これだった。

 マリアはあそこに居た者たちが死なないように手加減をするのではなく、限界を超えた全力で以て救ってみせた。

 矛盾に見えるこの行為。しかしマリアからすれば当然の事。

 

「わたしは──月の落下から皆を守る為に立ち上がった。決して誰かを殺す為ではない」

「だからって──何で長時間その力を使うの!?」

「……」

「ただでさえLinker使ってガングニールを纏えるのに、加えて時間制限のあるそれを、しかもライブ前から使うなんて!」

 

 マリアの手にはガングニールのコンバーターと朱色の宝玉の中に、深い蒼と赤が入り捻れた紋様が刻み込まれたアクセサリーを握り締めていた。

 

「──ツヴァイウィングと張り合うには必要な事だった。それに、二課や世界にわたしの力を見せつけて動きを鈍らせるのも作戦のうち。マムも納得していたわ。おかげで、彼女たちはわたしを最大限警戒してくれる」

「でも!」

「それに──見せたかったから」

 

 マリアの瞳には──遠い記憶が映っていた。

 

「リッくん先輩にわたしの力を見て貰って、もう守られるだけの存在じゃないって、そう教えたかったから……」

「姉さん……」

「……馬鹿ね。もう、わたし達との思い出は覚えていないというのに」

 

 過去を振り切り、再び強い意志を瞳に宿したマリアは、セレナの腕の中から降り立つと、ビシッと人差し指を妹に刺しながら彼女に言った。

 

「それはそうとセレナ。あなたもしゃんとしなさい。戦いはこれからなのだからっ」

「わ、分かった」

 

 見上げてくる姉の眼差しに思わず背筋が伸びるセレナ。

 さらにマリアは釘を指す。

 

「それと、彼女達の前で気を抜かない事」

「……姉さん、でも」

「信頼を置くには時間が短いし、目的が不明瞭。──それでも選り好みはしていられない。だったら、利用させてもらうまで」

 

 非情に聞こえる姉の言葉。

 しかし彼女のことばはどこまでも正しかった。

 それをなかなか受け入れる事ができないのは──セレナの優しさだろうか。

 

「これからミーティングよ──隙は見せないでね」

「──はい」

 

 妹の返事を聞いたマリアは、彼女を連れ立って個室から出て、ナスターシャと()()()が居る部屋へと入る。

 

「おやおや。ようやく主役の登場ですか」

「あら、待たせてしまったかしらウェル博士?」

 

 いの一番にマリアに声をかけたのは、ジョン・ウェイン・ウェルキンゲトリクス。

 生化学を専門としている研究者であり、協力者の一人。

 

「いえいえ。ただ先ほどは二課と激しく戦っていらしたので。もしかしたら、と」

「ふん。なら覚えておくと良いわ。そのもしかしたらは無いと」

「そうさせて頂きます──なら僕からも一言」

 

 クイッとメガネを押し上げてウェルは言った。

 

「僕は博士ではありません。白衣着てこんな格好をしていますが、あくまで助手です。それを忘れなきよう──」

「──お前の拘りなんて、誰も興味ないから」

「アイタ!?」

 

 突如ウェルは背後から臀部を蹴り上げられて悲鳴を上げる。そんな彼を冷たい目で見上げるのは、サイズの合っていない白衣を着て、ショートボブヘアーにぐるぐる眼鏡を頭に掛けた少女──月読調だった。

 

「調博士」

「……別に呼称に興味は無いから。好きにして」

「そんな……」

 

 自分の拘りを一刀両断され、意気消沈するウェル。そんな彼に調はふいっと視線を外して端末を操作して何かのデータを閲覧する。

 

「元気出すデスよ博士!」

「キリカくん……」

「そんなにしょげていても、ウザ……鬱陶しいだけデス」

「訂正しても酷いですね!」

 

 そして最後の協力者は、先ほどのライブ会場にも居たキリカだ。

 彼女は晴れやかな笑顔を浮かべてウェルを無意識にディスっていた。仲間が居なくてウェルは若干涙目だった。

 

 ──そこに、調の冷たい声が刺さる。

 

「なんでお前が此処に居るの?」

 

 調の視線の先は──キリカ。

 キリカはビクリと肩を跳ねらせて、恐る恐るといった様子で調を見る。

 

「で、でもデスね調。もしもの事があったら──」

「うるさい。口答えするな。……さっさとアジトβに戻って回復ポッドに入って。お前にはまだまだ働いて貰うんだから」

「…………分かったデスよ」

 

 悲しそうな顔をしてキリカはその場から退出した。重い空気が流れ、思わずセレナが口を開く。

 

「調さん。さっきのはあまりにも……」

「……こっちの問題。口出ししないで。わたし達はあくまで協力関係──過干渉はしないのがルールの筈」

 

 しかしピシャリと言い跳ね除けられ、セレナは何も言わず体を小さくさせた。

 その様子にマリアはため息を吐き、謝罪する。

 

「ごめんなさい。さっきの失言は撤回するわ」

「……うん、分かった──それにしても」

 

 少しだけ、調の興味がマリアに向き──。

 

「こうして見ると本当に貴女がお姉さんなのね──見た目はこんなに可愛いのに」

 

 その言葉にマリアは──。

 

「か、可愛いって言うな!」

 

 頬を赤く染めて感情豊かに叫んだ。

 

 ──もしこの場に二課の装者、それも奏や翼が居れば驚くだろう。

 何故なら、今のマリアは──。

 

 先ほどの威風堂々とした大人マリアではなく。

 とても可憐で背伸びした、子どもの姿だったからだ。

 




「ロリマリア」「大人セレナ」「調博士」のタグを、明日投稿した後に追加します
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