【完結】戦姫絶唱シンフォギア ~キミに決めた!~   作:カンさん

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またもや素晴らしい絵を頂きました!
書いてくださったのはHITSUJIさんです!


【挿絵表示】


コメントも貰いました!
【こうね、二人ともスタンス違うから違う方向向いてほしかったんだ、イーブイが挨拶してるってことはそっちに人がいるってことなんだけど響はそっぽ向いてる、でもこの二人には信頼関係が欲しかったのでマフラーの中にしっぽを入れることに】

エモ過ぎかよ…エモ過ぎてエモンガになったわ…


第七話「雪解──わたしの帰る場所」

 

「ブーイ」

 

 うーむむむ……。

 俺が完全聖遺物、ねえ……。

 

「……気になる?」

 

 俺の唸り声が聞こえたのか、ゴロンと横になった響ちゃんが問いかけてくる。

 まーね。でも正直実感が湧かないというか、今更言われても俺は俺だし……。

 ただ、フィーネさんは大昔に神様の一員として認められたと言ってて、そこから今まで何処かで本当に死んで聖遺物になった──って考えると、何故か引っかかるというか。

 

「──どうせ、アイツのデタラメだよ」

 

 だとしても、ウェルさんの言葉全てが嘘とは限らないんだよな……。

 二課の皆が割と信じているのは、俺の力のデタラメさと──フィーネさんの残したデータから判断されているものだ。

 

「……」

 

 響ちゃんも知っているでしょ? 

 二課で観測されていた俺の反応は彼女の偽装したもので、実際に観測される反応は──聖遺物から観測されるソレと酷似しているって。

 

「……」

 

 この事を知ったのはつい最近だけど──多分弦十郎さんたちは知っていたんだ。

 それでも言わなかったのは──。

 

「分かっている。でもさ──」

 

 それに俺も言っていたけど、弦十郎さんたちも言っていたじゃん。

 俺が何者だろうが、関係ないって。

 力が欲しくて俺と一緒に居るんじゃない。俺と居たいから一緒に居られるって。

 

 だから──あの子たち止めて、知っている事全部調べ上げて、それから俺を守る術を模索するって、その言葉を信じよう。

 

「……」

 

 あの人たち優しいから、ね? 

 

「……はぁ。お人好しなのは誰だか」

 

 響ちゃんも優しいよ? 

 

「……フン。明日早いから寝るよ」

 

 了解! 明日はリディアンの秋桜祭! 未来ちゃんや響ちゃんたちと回るからね! スッゲー楽しみ! 

 という訳でおやすみ! 

 

「……おやすみ」

 

 ──今日も、あの夢を見るのかな。

 

 

 第七話「雪解──わたしの帰る場所」

 

 

 ──ワイワイガヤガヤ。

 

 やってきました秋桜祭!!! 

 

「うるさっ」

 

 おっと、ゴメンね響ちゃん。

 俺ほら祭りの男だから、テンション上がっちゃってさ。

 

「祭りの男って何よ……くだらない事言っていないでコレ食べときな」

 

 そう言って響ちゃんは食べかけのアメリカンドッグを俺の口の中にねじ込んだ。

 ムグムグ……美味しい! ケチャップとマスタードが良い味出してる! 

 ──ムムム。響ちゃんそれって……。

 

「チョコバナナ……いる?」

 

 いるぅ! 

 

 

 

「自然とシェアしてんなアイツら。ムグ」

「あの、奏さん……ケチャップ掛けすぎでは?」

「そうか?」

 

 

 

 お? あそこに居るのは奏さんと未来ちゃんじゃないか。

 おーい、二人ともどこ行っていたんだ? 見つからなくて探したぞい。

 

「何言ってんだ。お前が目輝かせて飛び込んだんだろ」

「響も一緒になって楽しんでたね……」

 

 こちらをジトっとした目で見る二人。

 ふむふむ。

 響ちゃん楽しんでるね! 

 

「アンタだけには言われたくないっ」

 

 顔を赤くさせた響ちゃんに、頭をガッと掴まれた。

 あの……痛いんですが……。

 ギリギリと響ちゃんの照れ隠しを感じながら、ふと気付く。

 奏ちゃん、何そのサングラス? 

 

「これか? そりゃあお前変装だろ」

 

 変……装……? 

 

「あたしも翼も有名人だからな。と言っても翼はまだ在校生だが」

 

 そう言ってケチャップがめちゃくちゃかかったホットドッグに齧り付く。

 ……周りがザワザワと騒いでいるのですが。「本物?」「あのケチャラーはツヴァイウィングの……」「でっっっっっっっ」って色々と言われてますが。

 

「響、口汚れてる」

「ん……」

 

 そしてこっちはこっちで自分たちの世界に行っている。未来ちゃん、嫁力強いな……。

 そう思っていると、未来ちゃんがこっちを見た。

 

「あ、コマチも」

 

 そう言って俺の口元を拭こうとして──横から伸びた親指がグイッとケチャップを拭った。

 視線を向けると、ペロリと親指を舐めている響ちゃんが。

 ……男前過ぎない? 

 

「ちょ、響!?」

「……?」

 

 未来ちゃんが顔を真っ赤にさせてワタワタするが、響ちゃんはよく分かっていない様子。

 はは。カオス。

 ──あれ、そういえば翼さんとクリスちゃんは? 

 

 

 ◆

 

 

「調、これ美味しいですよ?」

「興味ない」

 

 リディアンの秋桜祭に、キリカは調を連れてやって来ていた。

 これもドクターの指示であり、楽しんで来いと笑っていた。

 

 調は切歌の側から離れたくないと初めは拒否していたが、ウェルの口八丁手八丁により、此処にやって来た。

 

 そしてキリカは調を楽しませようと彼女が好きそうな物を見繕って持ってくる。

 調はそれを見て強く目を閉じ、絶対に喜ばないと決めて冷たく引き離す。

 キリカはそんな彼女の態度に、拒絶に一瞬悲しそうにしながら、次々と露天に行き、その後ろ姿を調がジッと見つめる。

 

 とても秋桜祭を楽しんでいるように見えなかった。

 しかしそれで正解だったのかもしれない──ターゲットを見つける事ができたのだから。

 

「ハッハッハッ……!」

 

 キリカの視線の先に、走り去るクリスの姿が映った。

 誰かに追われているのか、しきりに後ろを気にしている様子。

 

「調! カモネギが居たデスよ!」

「ちょ──」

 

 グイッと調の手を握り、クリスの後を追い掛ける二人。

 しばらく追うと誰かと話しているクリスを見つけ、物陰に隠れる。

 

「雪音さんお願い!」

「もう時間が無いの!」

「っ……!」

 

 コッソリと覗いてみると、そこには翼の背中に隠れているクリスと、彼女に詰め寄っている三人の生徒が居た。

 どうやら、今行われている歌唱勝ち抜きステージに出て欲しいと頼んでいるようだった。

 しかしそれをクリスが拒否しているらしい。

 

 ──本当に嫌なら、彼女たちも無理に勧めないだろう。

 

「クリス。お前は──歌は嫌いなのか」

「……」

 

 翼の問いに、クリスは目を閉じる。

 かつては嫌いだと言った。

 しかしクリスの歌が好きだと言ってくれる存在が現れた。

 そしてクリス自身もまた──歌が好きだった。

 

 それでも、一歩を踏み出せない。

 人を不幸にした自分が、人を救おうとした両親と同じ場所に立つのが──怖い。

 手が震え、俯くクリス。

 翼も三人の生徒たちもその様子に強く言えないで居ると──。

 

「クリス!」

 

 そこにキリカが飛び込んできた。

 

 

 ◆

 

 

 はえ〜〜〜。みんな歌が上手だな〜〜。

 現在俺たちは勝ち抜きステージに来ていた。

 響ちゃんの友達、面白いね! 今度あのアニメ見てみようかな。

 

「はぁ、好きにして……」

 

 なんで疲れた顔してるの? 

 未来ちゃんも苦笑いしている。奏さんは爆笑。

 板場ちゃんたちのアニソンの後もたくさんの人が楽しく、熱く、本気で歌っていて胸が温かくなった。

 

 そういえば、響ちゃんは歌わないの? 

 

「っ……なんで?」

 

 いや、なんとなく? 

 俺響ちゃんの歌が好きだから聞きたいなーっと思って……。

 

「……無理」

 

 そっかー。

 

「でも──いつかきっと聞かせてあげる」

 

 ホント!? 

 うわー楽しみだな! 響ちゃん戦う時以外ほとんど歌わないしなー! 

 カラオケでも未来ちゃんとのデュエットくらいでしか歌わないし! 

 

 約束だよ響ちゃん! 

 

「──はいはい」

 

 何処かおざなりに、でもしっかりと返してくれる響ちゃん。

 そんな彼女に俺たちは思わずニッコリと笑ってしまった。

 

「さて! 次なる挑戦者の登場です!」

 

 お、次の子が出てきた──ってんん!? 

 

「あれって──」

「クリス?」

 

 響ちゃんも奏さんも知らなかったのか、驚いた表情でステージの上のクリスちゃんを見ている。

 翼さんのサプライズか何かかな? 

 とりあえず──。

 

「ブイブーイ!!」

 

 クリスちゃん頑張ってー! と俺は叫んだ。

 

 

 ◆

 

 

 ──あたし、クリスの歌が大好きなのデス! 

 

 本来此処には居ない筈のキリカが現れ──クリスに発破を掛けた。

 翼も予想外の出来事に目をシロクロさせていた。

 それに構わずキリカは真っ直ぐとクリスの目を見て言った。

 

 ──例え百人の人間がクリスの歌を嫌っても、例えクリス自身が自分の歌を好きじゃ無いとしても、あたしは大大大好きなのデス! 

 ──だからどうか、自分に嘘を吐かず思いっきり歌ってほしいデス。

 

 何故此処にいるのか。

 敵対していたのではないのか。

 聞きたい事はたくさんあったクリスだったが──彼女の言葉で胸に火が付いたのは明らかだった。

 

 故に彼女は──此処にいる。

 帰る場所は此処だと。

 大切な場所は此処だと、想いを歌に乗せて──伝えた。

 

「──」

 

 歌いながら、クリスは思い出す。

 

『キリカと言います……突然ですけど歌を聞かせてほしいデス!』

『ほへー。こんなに綺麗な歌は久しぶりデス! 調と同じくらい好きデス!』

『ねーねークリスー、もっと聞かせるデスよー』

 

 

 

『アナタの歌は、両親譲りで素晴らしいものね』

『……あら、もう終わりなの? 私に遠慮せずに歌いなさい』

『──あの方にも聞かせたかったわ』

 

 

 

『ブイブイ! (綺麗なお歌──! もっと聞かせて!)』

『ブーイ……(聞いていると安心する……うん、心が洗われるようだ)』

『──ブイ(クリスちゃんの歌、俺好きだよ)』

 

 

「──っ」

 

 クリスが歌い終わると同時に──拍手喝采が起きた。

 皆がクリスに見惚れ、歌に感動し、心惜しむ事なく称賛した。

 しかしクリスが見ているのは──自分を認めてくれた人たち。

 視線の先に響たちが居り、彼女たちも拍手をしながら笑顔でクリスを見て──自然と涙が頬を伝った。

 

 

 ──だが、楽しい時間もここまでだ。

 

「さあ、新チャンピオンの誕じょ──」

「ごめんなさい、わたしはこれで」

「って、ちょっと!?」

 

 司会の呼び止める声と観客のどよめきを聞きながらクリスはステージを飛び出し外へ。

 そして予め翼と決めていた合流地点に向かい──。

 

「クリス! さっきの歌良かったですよ!」

「……」

 

 かつての友が満面の笑みでクリスを褒め、その傍には黒髪の少女が佇んでいた。

 

 

 ◆

 

 

「お前ら……!」

 

 翼の連絡を受けて響と奏も合流する。キリカを見つけるなり、響は睨み付けながらコマチを片手で抱えて警戒する。

 そんななか、調がコマチを見て呟いた。

 

「それが完全聖遺物キマイラ……」

「──言葉に気を付けろよ。ソレ、あたしらの地雷ワードだからな?」

 

 怒気を込めて調を牽制する奏だが、当の相手は気にした様子を見せず、興味は失ったかのように視線を外した。

 

「さて──何が目的だ?」

「ズバリ! 貴様らのペンダントデス!」

「ペンダント?」

「ネフィリムの餌にするのです!」

 

 その言葉に全員が構えた。

 

「ここでやり合っても良いけど、周りを巻き込んで困るのはアナタ達の方」

「──人質のつもりか?」

「──目的達成の為に必要なら、やる……!」

 

 翼と調が強く睨み付け合う。

 バチバチと火花が散るなか、キリカがワタワタと慌てふためて──叫んだ。

 

「そうだ! 決闘デス!」

 

 素っ頓狂な彼女の発言に、皆が固まる。

 

「勝った方が相手の言う事を──」

「お前、ナンセンスなことを言うな」

 

 しかし、調がキリカの言葉を遮り、強い言葉で黙らせる。

 

「で、でも」

「考える頭がないくせにでしゃばるな。すっ込んでて」

「……ごめんなさい、デス」

 

 悲しそうなキリカは、調の言った通りに下がろうとし──。

 

「──そんな言い方無いんじゃない?」

 

 それにクリスが待ったをかけた。

 調を睨みつけて、キリカを守るような発言をする。

 

「──なに? 文句あるの?」

「あるよ。大アリだよ。キリちゃんはアナタの事をすごく大切にしている──それなのにアナタは……!」

「──お前に、わたしの何が分かるって言うんだ……!」

 

 調もまた、クリスの言葉に怒りを顕にした。

 このままでは戦闘勃発──の寸前で、キリカの腕輪から音声が流れる。

 

『──良いと思いますよ、決闘』

「──くそ助手」

『丁度装者も四人──ここで一気にケリを付けるのも悪く無いと思いますが』

 

 

 ◆

 

 

「どう思いますフィーネ?」

「一気にケリを付けるのは賛成よ」

 

 ウェルの視線の先には、幼い姿のままガングニールを纏ったマリアが居た。

 波導の力を用いない際のガングニールは白く、戦場では些か不釣り合いだった。

 しかし──今のマリアのガングニールは血で赤く染まっている。

 彼女の足元には米国からの追手が両手足を折られ、血を吐いて倒れていた。

 

 全てマリアがした事だ。

 

「二課にこう伝えなさい──全力で叩き潰してあげるから本気で来い、と」

 

 ──純白の鎧を纏い、その身を血で赤く染め。

 ──その胸に漆黒の意志を抱き、鮮烈な過去を思う。

 

 マリアは止まらない。

 波導を手に、覇道を突き進む。

 それが例えどんな茨の道だとしても。

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