【完結】戦姫絶唱シンフォギア ~キミに決めた!~ 作:カンさん
「響!」
「未来……」
謹慎されて響だったが、本日を以て解除された。
彼女が本部に居る間、オートスコアラーは変わらず活動し、キャロルの姿も何度か確認された事により、彼女のスパイ容疑は晴れた。
加えて。
「コマチもありがとう。ずっと響の側にいてくれて」
「ブイ!」
コマチが響の側から離れなかったのも理由の一つだった。
響の不在により、貴重な戦力であるコマチが動かない。これは国連の間でも問題視されていた。さらに例の宗教団体がこの件について介入してきたのも大きかった。
ともかく、解放された響は未来から(本来はスタッフの仕事だが、未来の懇願により変わって貰った)通信端末やギアのペンダントを受け取り──。
「……っ」
響は、自分の携帯を見て顔を強張らせた。
着信がある。送り主は──響の父親。
響は、それを見て──知らず知らずのうちに生唾を飲み込む。
「──ついに来たか」
響は──開放されて早々休暇を取る。それと同時に報告をした。
敵の仲間を捕まえることができるかもしれないと。
第十二話「本当のアナタ」
ファミレスにて、俺は響ちやん、未来ちゃんと共にあのホームレス──じゃなくて、響ちゃんのお父さんを待っていた。
メールで今日、この場所を指定して来たからだ。
「話す事なんて、無いのに……」
「響……」
「それに『覚悟は決まった。今日なら会える』って……何様のつもりなんだろう」
時間が経つにつれて響ちゃんの機嫌が悪くなっていく。
それを未来ちゃんと連携して両隣に座って落ち着かせているが……爆発するのも時間の問題かなぁ。
「というか、何でわたしの連絡先知ってるんだろ……未来教えた?」
「いや、そんな事していないけど……」
いやー、不思議なこともありますね!
何はともあれ、話す機会が得られたのは良いことだ!
そういえば、エルフナインが執拗に何処に行くのか聞いていたな……結局、SONGもすぐに動ける様にモニターで見るって聞いて納得してたけど。
──お、来たみたいだ。
「響……」
「っ……」
洸さんの声に、響ちゃんはピクリと体を震わせて、そしてジロリと彼を見る。その視線に洸さんはたじろぐが、それでもグッと視線を逸さなかった。
それにより、逆に響ちゃんの方がたじろぎ、視線を逸らし同行者を見る。
「来たんだ……」
「ああ。エーフィも来て貰っている。……まさか、今更やはりダメだと言わないだろうな?」
「──はぁ?」
何のことだと響ちゃんが、キャロルを怪訝な目で見る。
それに対し、キャロルも眉を顰める。
おっと、これはまずい。
「そもそも、そちらから──」
「ブイブイブ──イ!!」
まぁまぁお二人とも! せっかく集まったんだから席に座って話をしよう! ね? ね?
「……なるほど、そういう事か」
「──コマチ?」
おっと、どうやら俺の冒険はここまでのようだ。
ここはセーブをして一旦電源を切って退散しよう。時間が解決してくれる。
俺はピョンっと跳んでこの場を去ろうとし──サイコキネシスで囚われた。
って、何してくれてんの!?
「よくやったエーフィ」
「フィー」
「コマチ、怒らないから正直に言って? 怒らないから」
じゃあ何で二回言ったんですかね?
──キャン!
「なるほど、立花響の母から連絡先を聞き、洸に連絡したと」
「コマチ、何でこんな事を……アンタらしくないよ」
キャロルちゃんが納得し、響は怒りの表情ではなく困惑し切った顔で聞いて来た。
いやだって、響ちゃん何度も話がしたいって言っていたじゃん。
「──っ」
これが本当に響ちゃんを傷付ける結果に繋がるのなら、君が望まないのならしなかった。
でも響ちゃん。メールを見た時──嬉しかったんだよね? 洸さんが歩み寄って来てくれたって喜んでいたよね。
「……」
「響……!」
だから響ちゃん──一緒に一歩踏み出そう。
「わたしも一緒だよ響」
「コマチ、未来……」
響ちゃんは俺と未来ちゃんを見て──洸さんと向き合った。
「改めて──話がしたい」
「ああ、俺もだ」
こうして、二人の会談が始まる──。
あ、その前に。
俺はでんじはとサイコキネシスを使って、近くの監視カメラにちょいと細工をする。これでSONGは変わらない映像を見続けるだろう。
「コマチ?」
親子喧嘩を他の人にジロジロ見られるのは嫌でしょ?
おやっさんには俺が怒られるから思いっきりぶつかってこい!
「──ありがとう」
◆
響はそう言って、洸を見る。
「お父さん。わたし、大変だった。学校で虐められて、家に帰っても石を投げられて、生き残った事を否定されて……そして」
疲れ切った祖母と母の顔を見て、
響は逃げ出したと言った。
「結局同じなんだ。お父さんと」
「……」
「耐えられなくなったから、全部捨てて逃げた──大嫌いだと思ったお父さんと!」
ダンッと響がテーブルを叩く。
「ねぇ、何でわたしと会おうと思ったの? わたしが全部悪いのにお父さんのせいだって言って、八つ当たりだと自覚しながらお父さんを許せないって思ってて、でも、心のどこかで期待して勝手に失望している──こんな、醜いわたしに!」
「──」
「今のお父さんを見ていると、胸のところがクシャクシャするんだ。昔はあんなにカッコいいと思っていたのに、わたしが足引っ張って、奈落の底に落として──」
「響」
そっと洸が彼女の肩に触れようとして──バッと振り払う。
拒絶、ではない。
恐怖、からだろう。
自分のせいでまた父を傷つけ──また目の前から逃げられることが。
その事を理解している洸は、自分の手と響を見る。
「……」
そんな彼を、キャロルが横でジッと見ていた。
その目には──彼に対する疑いの色は無かった。
「響──」
彼が、己の娘に胸の内を曝け出そうとした瞬間──強い衝撃が襲いかかり、悲鳴と轟音が響き渡る中……響は何かに包み込まれた。
◆
「コホコホ。何が起きて……」
エーフィとコマチ、そしてキャロルが咄嗟にそれぞれの力で店内に居た人々を守った結果、死人はでなかった。
未来もまた彼女達に守られており、舞う砂塵に咳き込んでいると。
「お父さん! お父さん!」
「っ、響!」
親友の切迫詰まった声に未来は駆け出し──そこで、頭から血を流して響に縋られている洸の姿があった。
どうやら、先ほどの衝撃の際に響を庇ったらしい。
「ひ、ひびき……無事か……?」
「何で……何でわたしを、わたしなんかを……!」
泣き叫ぶ響の頬に、洸の手が触れる。
今度は──振り払われなかった。
その事が、彼は凄く嬉しかった。
「──娘を守らない父親なんて、居ないさ」
「──」
「でも、俺は一度、見捨て──」
そこまで言って、洸の手から力が抜け落ちる。
「お父さん! おとう──」
「どけ!」
錯乱する響を押し除け、キャロルが洸を視る。
険しい表情を浮かべていたが、しばらくすると深く息を吐く。
「気を失っているだけだ。治療すれば命に別状はない」
彼女の言葉に皆がホッとし、響はようやく落ち着きを取り戻した。
「本当……?」
「こいつには借りがある。それを返すまで死なせはしないさ──だが、その前に」
キャロルが、砂塵の向こうに居る誰かに、覇気の籠もった声を突き付ける。
「お前の仕業か? ──呪いの塊」
現れたのは──黒騎士。
彼の騎士の登場に、全員身構え。
「──いえ、僕がやりました。キャロル」
しかし、続いて聞こえたその声に、その姿にひびきも、未来も、コマチも──信じられないと目を見開く。
「──やはりお前だったか」
──ノエル。
SONGにてエルフナインと名乗り、そう呼ばれていたホムンクルスは、同じ顔をしたオリジナルにそう呼ばれた。
◆
「ノエル? コイツはエルフナイン──」
「いや、こいつは正真正銘ノエルという名を持つホムンクルスだ──なるほど、そういう事か」
キャロルは全てを理解した。
「お前は、エルフナインと名乗りSONGに取り入った」
彼が何者なのか。それを正しく理解する者はSOGOには居なかった。
何故なら、彼がエルフナインと名乗ったから、皆は彼の事をエルフナインと認識し、そう呼んでいた。
本物であるとか、偽物であるとか、それ以前の問題だった。
ただ、真実なのは──エルフナインと騙り、暗躍していたという事。
「効率良く進めた訳だな──万象黙示録の準備を」
「ええ。オートスコアラーと黒騎士だけでは、あなた達を追い詰める事ができませんでしたからね」
だからこそ、シンフォギア装者を使った。
彼女達とオートスコアラーの戦い。必ず介入してくるアカシア・クローン。そしてそれを斬る黒騎士。
何もかもがノエルの計画通りだった。
「ちょっと待って。アナタはキャロルを止める為に──」
「ええ、彼女を止めるつもりでしたよ──世界を壊す為の歌の書き換えを」
ノエルは、かつてキャロルは万象黙示録を為そうとしている事を伝えた。
そして、キャロルを止めるのを手伝ってくれと言った。
彼の言葉に嘘は無い。しかし真実は無かった。
だからこそ、マリアすら欺けた。
「マリアを斬ったのは、お前か!」
「──そう受け取って頂いても構いません」
彼の物言いに、響の頭に血が昇る。ただでさえ父の事で心が乱されているのに、さらなる真実で荒れに荒れている。
「しかし解せんな」
そこに、冷静なキャロルが指摘する。
「その黒騎士はダインスレイフを元に動いているようだが──力を、アカシア・クローンの力を吸い取る能力は無かったはず」
だからノエルが事を為すには時間が掛かると認識し──裏を掻かれた。
キャロルの言葉に、ノエルは笑みを浮かべて黒騎士に指示を出す。
すると黒騎士は鎧の胸元を開けて──心臓部を見せる。
それを見たキャロルは──否、響とコマチは驚愕の表情を浮かべた。
何故なら、そこにあるのは──。
「──ネフィリムの心臓!?」
「堕ちた巨人か。確かにそれなら……だが、それを何処で?」
「──バビロニアの宝物庫にありましたよ」
事も無げにノエルは答える。
「フロンティアにてバビロニアに通じる道が開いていましてね。回収させて頂きました」
ノエルは、ネフィリムの力でアカシア・クローンを吸収し、万象黙示録を発動させる為のエネルギーを蓄えていた。
「コイツのアカシアへの怨念は素晴らしいですよ。ダインスレイフと合わさって、出力が増しています」
そして、あと一回──エーフィのエネルギーを吸い取る事でエネルギーは溜まる。
後は、キャロルを斬る事で譜面を作り、オートスコアラーを斬れば世界を壊す為の歌が発動する。
だが、その前に。
「響さん。僕と一緒に来ませんか?」
「──なに?」
ノエルが手を差し伸ばす。
「アナタは世界に呪われているとしか思えない。そんなアナタだからこそ──」
「──ふざけるな!」
しかし響は叫んでその誘いを蹴り飛ばす。
「確かに辛い事ばかりだった──でもそれ以上に大切なものに気付かされた!」
日陰と陽だまり。
そして遠い記憶に居た父の姿。
「わたしには、まだ生きていたい理由がある!」
「残念です……キャロル、あなたは?」
響に断られたノエルは、次にキャロルを見る。
「同じ記憶を持つアナタなら、いい加減目を覚ましている筈です──パパの無念を晴らしましょう」
スッと伸ばされる手を──キャロルは振り払った。
「オレの答えはあの時と変わらん。
──オレは世界を識りたい。その事を気づかさせてくれたこいつらに報いたい。だから──今、世界を壊す訳にはいかない」
「つくづく残念です──理解ができません」
「──それにな、ノエル」
キャロルはチラリと黒騎士を見て。
「オレはもう取り零したくない──全員救ってやる。オートスコアラーも、お前も!」
「──戯言を。全員纏めて魔剣の餌食にしてやる」
──世界を賭けた戦いの序章が、今幕を開けた。
以下、解説。
第三話より。
今はSONGが用意した服を着ているエルフナインに向かってクリスが問い掛ける。
どうやらあの時の姿が衝撃的だったらしく、エルフナインに尋ねていた。
それに対して、オートスコアラーからの追撃を免れる為、と答えた。
それを聞いたクリスが、趣味ではない事が分かりホッとしていた。
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ノエルは見た目青年っぽく、逃げていた時はSONGに保護されやすくする為少女の姿だった。
故にクリスが聞いたのは原作のあのハレンチチックな姿ではなく、少女から青年姿になったノエルに対しての趣味なのか?という言葉
もしハレンチチックならクリスは赤面してるが、ここではしていない。
第七話より
そういえば、エルフナインは来ないの?
「断られちゃった」
「でも正直助かったかも……恥ずかしいし」
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性別が無いとはいえ、青年姿のノエルと海に行くのはちょっと……なクリス。
黒騎士登場後、出てくるエルフナイン(ノエル)
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黒騎士を操っていたのがノエルだから。SONGの機器でアカシア・クローンの反応を検知してすぐに現場に向かっている。その時の理由は心配だったから、と言っている。
黒騎士が必要以上にアカシア・クローンを虐めてる理由
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ダインスレイフが呪いでブーストしてるのがネフィリムの悪感情だから。
こんな感じです。
ちなみにGX前日譚で、あたかもヒトデナシがフロンティアに行ってバビロニア庫に入って、ネフィリム回収して、フロンティア沈めたように見えますが
?????
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ノエル、フロンティアからバビロニア庫に入りネフィリム回収して離脱
↓
アダム、フロンティアからバビロニア庫に入りネフィリムとソロモンの杖探すも見つからず、フロンティア沈める。そして帰る。
↓
????
となっています。