【完結】戦姫絶唱シンフォギア ~キミに決めた!~ 作:カンさん
調査部の報告により、とあるオペラハウスが衛星からの補足が出来ないことを知ったSONG。
友里、藤尭、その他エージェント達は切歌と調の護衛の元、潜入を開始したのだが……。
「──死んでる」
「デース……」
そこにあったのは、事切れているバルベルデ大統領とその他重鎮達であった。外傷は無いため、何かしらの力で命を刈り取られたと推測される。
「──!こっちに地下がある」
そんな中、藤尭が地下に続く階段を発見。
友里、調を先頭に進み、最後尾には切歌と藤尭が後ろを警戒しつつ進み……。
「あーん。既に目当ての物は盗られてるじゃない!」
「結局後手に回っていたワケだ」
その先には二人の女性が居た。
何か探していたのだろうが、目的の物は見つからず不満を漏らしていた。
彼女達が上の大統領達を殺したのだろうか?
友里以下エージェント達が警戒するなか──藤尭のパソコンからタイミング悪く音が鳴る。ここに貼られていた結界が解かれ、捕捉出来た為に起きたミス。
その音に気づいた二人の女性が振り返り、友里達は拳銃を向け、調と切歌がギアを手に前に出る。
「あら?もしかしてSONG?」
「シンフォギアがあるという事はそういうワケだ」
しかし二人の女性は敵対する姿勢を見せず、それどころか此処を嗅ぎ付けた手腕に感心する始末。
彼女達の反応に藤尭達が戸惑いを見せるなか──本部から通信が入り、指示が下る。
目の前に居る二人の女性──錬金術師を丁重に案内しろ、と。
第二話「撃槍沈黙」
SONG本部にて、装者たちは集合し、目の前の突然の客人に強い視線を向けている。
代表者である弦十郎は落ち着いた姿勢を取っているが――内心は気が逸っていた。
何故なら――目の前に居るサンジェルマンは「立花響について話がある」とマリアとセレナに言ったのだから。
もしこれがマリアでなければ、他の装者だったら詰め寄って一悶着あったのかもしれない。
実際、先ほども奏や翼、クリスが詰め寄ろうとして止められた所だ。
「話を始める前に、こちらで確認したい事がある」
「ああ、分かった」
弦十郎の許可を得たサンジェルマンは、切歌と調に連れて来られたカリオストロとプレラーティに視線を向け問い掛ける。
「アンティキティラの像は無かったのね」
「それどころかパヴァリアの錬金術師達の影も形も無かったわ」
「あの時足止めされたせいなワケだ――」
――立花響に。
プレラーティの言葉に、装者達は強く反応した。
特にコマチはそれが顕著で、弦十郎の静止を無視してプレラーティに詰め寄る。
「ブイ! ブイブイブイ!」
「……オリジナルのアカシア。何を言っているのか分からないワケだ」
「ブ――」
尚も詰め寄ろうとするコマチだったが――突如クルンと体に蔓が巻き付き、プレラーティから引き離される。
そしてそのまま――彼を捕らえた主の前に移動させられた。
「ダネ、ダネフシ!」
「ブ、ブイ!?」
コマチに落ち着かせようとしているのは、プレラーティの相棒のアカシア・クローンのフシギダネ。ニックネームはジル。
ジルはコマチを下ろすと、何事か話し始める。
「ダネ、ダネダネダネ!」
「ブ、ブイ……ブイブイブイ!」
「ダーネ。ダネフッシ!」
そう言ってジルは蔓でコマチの頭を撫でて、コマチは薄っすらと涙を浮かべてコクリと頷く。
「まったく、相変わらずお人好しなワケだ」
(いや、何を言っているのか分からんのだが)
弦十郎がそう思っていると、サンジェルマンとカリオストロが持つボール型制御装置からパカリと開き、二体のアカシア・クローンが飛び出す。
サンジェルマンの相棒のヒトカゲ。ニックネームはイグニス。
カリオストロの相棒のゼニガメ。ニックネームはカメちゃん。
イグニスとカメちゃんは、コマチに近付くとジル同様慰め始める。
絶対大丈夫だよ。必ず助けようね、と。
それを横目に、サンジェルマンは説明を始めた。
先ずは、自分たちについて。
「我々は錬金術師協会に所属している錬金術師。パヴァリア光明結社とは敵対関係にあります」
「錬金術師協会……パヴァリア光明結社とは別組織なんだな?」
弦十郎の問いに、サンジェルマンが頷く。
「よく間違えられるのよね〜。同じ錬金術師だからって」
「まぁ、それも無理は無いワケだ――錬金術師協会は、元々アダムが作ったワケだしな」
「アダム?」
「はい。錬金術師協会初代統制局長にして、パヴァリア光明結社現統制局長アダム・ヴァイスハウプトは――我々の長年の宿敵にして、立花響を手中に収めた人物でもあります」
――元々、錬金術師協会のトップだった彼は、とある友との約束で人類を裏から見守る番人であった。
しかし、ある日を境に錬金術師協会を捨てパヴァリア光明結社を興し神の力を求め始め――その目的は人類の支配。
その為に裏で暗躍を繰り返し、響はそれに巻き込まれた――否、その中心にあると言える。
「彼女とは交戦しました――とても、辛そうでした」
しかし、それと同時に抗っていた。
戦闘の途中で歌を唄うのを辞めてサンジェルマン達を見逃した。
――その姿を、サンジェルマンは痛ましく思った。支配されながら他者を助けるその姿に、在りし日の事を思い出してしまう。
故に――助けたいと思った。
「元々、二代目統制局長の命により貴方方に助力する予定ではありましたが――何があっても彼女の支配を解き放つと約束します」
「こんなにやる気に満ち溢れたサンジェルマンは久しぶりに見たわね〜」
「普段から真面目だが、今回は熱意が凄いワケだ」
サンジェルマンの様子に苦笑するカリオストロとプレラーティだったが、彼女に一生着いて行くと決めている二人。何も疑う事なく、協力の姿勢を見せた。
「話は有り難い。響くんの情報も感謝する。しかし――」
いまいち、装者達が信用し切っていない。
波導でサンジェルマン達の善性を確認しているマリアと違い、その目は懐疑的だ。しかしそれも無理は無い。仲間が行方知れずで装者達は精神的に余裕がない。先ほどの話も何処まで信じているやら……。
加えて。
「一つ良いか?」
「どうぞ」
奏が、語気を強めて問い掛け、サンジェルマンは冷静に対応する。
「あのアカシア・クローンは、お前が……?」
「……ああ、そうだ」
「――何で造ったんだ? 様子を見る限りレプリカタイプじゃ無いみたいだが――」
レプリカタイプとは、理性を削除し戦闘行為のみを行うように調整されたアカシア・クローンである。軍事政権を始め、裏社会にパヴァリアが流出させたアカシア・クローンはこれが主体だ。
そしてこのタイプのアカシア・クローンは、倒す事でしか救う事ができない。以前、アレキサンドリア号事件の最中、保護し治療を試みた結果――ボロボロと体を崩して自壊した。
敵に利用されない為に設定されているのだろう。一定時間戦闘行為を止められた彼らは、その力を自分に向ける。苦しみ踠きながら。
そして、現在レプリカタイプを救う手立ては無く、一思いに倒すのが最善策である。
だから、彼女達は――アカシア・クローンを作った人間を許せない。
「お前何だろ? シャトーで見たんだ――お前の名前を」
そして、サンジェルマンこそが――世界で初めてアカシア・クローンを作り出した人物であり、レプリカタイプの自壊機能の理論もまた組んでいた。
奏の問いにサンジェルマンは。
「ああ、そうだ」
言い淀む事なくハッキリと答えた。
それを聞いた奏は――。
「――っ!」
怒り心頭で拳を振り上げ。
「やめなさい」
パシリと、間に割り込んだマリアによって受け止められた。それも、波導を使って大人の姿で。
「マリア! 何でだ!」
「彼女に今当たっても無駄よ。これから共同戦線を組む相手にする事じゃ無いわ」
「だけど!」
「それに、わたしにはあれが害する為に組んだ理論だとは到底思えない」
奏とマリアがジッと見つめ合い――折れたのは奏だった。
サンジェルマンの事は許せないが、仲間であるマリアの事を信じたのだろう。
「皆も良い?」
マリアの言葉に、奏と同じ思いだったのか、他の装者達も渋々ながら頷いた。
「感謝する、マリア・カデンツヴァ・イヴ」
「礼には及ばないわ――アナタの相棒見て思ったのよ。大事にされているって」
そう言って二人はコマチにじゃれついているイグニスを見る。
ゆらりゆらりと揺れる炎を見て、サンジェルマンは――。
「――大事にするさ」
遠い日の記憶を思い出し、コマチとイグニスを重ねて見ていた。
◆
サンジェルマン達、錬金術師協会から情報提供を受けている最中、アルカ・ノイズの反応を検知した。
場所はエスカロン空港。モニターに映る映像では、パヴァリアの錬金術師であろう者達がアルカ・ノイズを使って現地の人間を襲っていた。
装者達は、サンジェルマンのテレポートジェムにて現場に急行し――戦闘を開始した。
「――来たか、シンフォギア共!」
装者達が現れたのを確認すると、パヴァリアの錬金術師達が動きを見せる。
「
「分かっている!」
「ああ、目に物を見せてくれる!」
「錬金術師協会の犬共も、纏めて蹴散らしてくれる!」
錬金術師達は、アルカ・ノイズを操り襲わせて、自分たちも錬金術で支援攻撃を行う。
装者達は、アルカ・ノイズを蹴散らしながら、歯噛みする。
「ちょこまかと鬱陶しい!」
「だったらわたしが……!」
苛立ち混じりに翼が叫び、クリスがライフルで直接錬金術師を狙う。
しかし――。
「おっと、危ない」
錬金術師達は新たなテレポートジェムを使い――アカシア・クローンを呼び出した。
呼び出されたのは銅鐸型と古代の盾。
「ドー、タク……」
「トーリデデデ……」
二体は、その身でクリスの狙撃を受け、痛みに苦しみながらも立ち塞がる。
「ははははっはは! やはり便利だなアカシア・クローン! 流石は奇跡の模造品!」
『――』
錬金術師の言葉に――ギリっと奥歯を噛み締める音が複数聞こえ、堪忍袋の緒が切れる音が何本も聞こえた。
「ブイ……!」
コマチもまた悲しそうにし、彼らを助けようと踏み出し。
「カゲ」
それをイグニスが止めた。
ここはオレに任せろ、と。
そして振り返ってサンジェルマンに呼び掛ける。
「カゲ! カゲ!」
「――ええ、分かったわ」
サンジェルマンは、イグニスの呼び掛けに応えてボール型制御装置を取り出す。そして、魔力を込めて中央から光を相棒に向けて解き放ち――。
「イグニス――進化!」
「カアアアアゲエエエエエエ!!」
イグニスの体が光に包まれる。
そしてそのまま体が一回り大きくなり――オレンジの体から、真紅の体へと変化した。
「リザー!」
――イグニスは、リザードへと進化した。
尻尾の炎を燃え上がらせて、イグニスは突っ込んだ。
「かえんほうしゃ!」
サンジェルマンの指示に従い、イグニスが炎を吐き出す。それを受け止めた銅鐸型は――耐え切れず、光となってその支配から解放された。
「一撃……!? いや、まだもう一体居る!」
顔面が盾のような形をしたアカシア・クローンが、その頭を鋼の様に硬くさせてイグニスへと突っ込む。
それを見たサンジェルマンは、さらに指示を出す。
「かわらわり!」
「リザ!」
赤く染まった腕を、振り下ろす。
すると、ガキンっと甲高い音がなりアカシア・クローンはそのまま光となって消える。
――強い。
イグニスの背中を見て、コマチは素直にそう思った。
「リザ!」
「ひぃい!?」
そのまま錬金術師を抑えようとイグニスが走り出し――遠くから放たれた光弾で弾かれる。
「リザ!?」
「イグニス!」
サンジェルマンが悲鳴を上げ、視線を光弾を放った方へ見れば、そこには戦闘に参加せずに一人魔力を高めていた錬金術師が居た。
彼は歪んだ顔で笑みを浮かべ――。
「これで終わりだ――シンフォギア、そして錬金術師協会!」
ある存在の専用のテレポートジェムを使用した。
そして現れたのは――。
「――ブイ?」
――響だった。行方不明だった筈の。
しかし、彼女を見て誰も喜びの表情を浮かべなかった。
誰もが彼女を見て言葉を失い。
「嘘……そんな……なんで……!?」
特に調は信じられない、信じたく無いと響を――バイザーを付けて表情が見えない響を見て酷く動揺していた。
「さぁ、目覚めよ――我らが英雄よ!」
その言葉をトリガーに、響の体が光り、その身に戦う為の、かつての仲間を殺す為の撃槍が宿る。
しかし、妙だった。
「なんで、歌ってないのにシンフォギアを……!?」
胸の歌を介さず、ガングニールが起動した。
それは何故か?
その答えは――。
「知れた事。コイツが纏うのはシンフォギアに有らず」
錬金術師は、酷く興奮した様に叫ぶ。
「これは錬金術師の叡智の結晶――ファウストローブだ!」
――響の巻いていたマフラーが、ぶわりと広がり響の身を包み込み、ローブへと変わる。
ガングニールのファウストローブ。
それが、今響が纏っている――力の名だ。
今まで出てきたグループでどれが好き?
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雷光のフリューゲル(奏翼光彦)
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翳り寄り添う日陰(響コマチ)
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先史文明期コンビ(フィーネアカシア)
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愛娘に挟まる陰獣(クリスキリカコマチ)
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波導と姉妹(リッくん先輩マリアセレナ)